第153回臨時国会

2001年11月28日 
政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会

地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る
電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律案


政府参考人

衆議院議員



総務省自治行政局選挙部長

政治倫理の確立及び
公職選挙法改正に関する特別委員長


大竹邦実君


中馬 弘毅君


○又市征治君 社民党の又市でございます。
 本論に入る前に、大臣にちょっとお伺いしたいと思うんですが、現行制度にも記号式投票というのがございますですね。各種の報告書、例えば平成十二年の中間報告では、これが電子投票に一番近いので記号式の普及を図るべきだと、こんなふうにまとめられております。
 こんな記号式で実施をされてきているのは、ちょっと見てみますと、長の選挙については全市町村の一六%、議員の選挙では一%でございました。国政選挙でも、平成六年にこれは決めたんですが、実施せぬままに平成七年にこれは廃止になっていると、こんなことなんですが、この中間報告の中で言っておるように、まず現行法での記号式投票の普及によって世論の動向を見るという慎重な選択もあるんではないかと、こんなふうに言われておるんですけれども、こうした記号式の普及についてはもうやめたということなのかどうか、まず先にお伺いしたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君) やめたというわけではありません。記号式は記号式でそういう制度があるわけですから、これは県では五つの県が知事選でやっていますよね。だから、それはそれでやっていただきたいと思いますけれども、今回は特に地方選挙についてこういうことで電子投票の道を開いたと、こういうことでございます。

○又市征治君 それじゃ本論に入りたいと思いますが、この法案には、先ほど来ずっと論議をされておりますように、投票の秘密であるとかプライバシーの保護だとか、あるいはハッカーなどのデータの改ざんの危険性であるとか、経費の負担など、さまざまな懸念があるわけであります。
 それらは当然電子技術の進歩によって今後解決されていくものであるということなんでしょうけれども、技術を過信してはならないとも思います。特に、投票という民主主義、個人の政治的な権利の根底にかかわる、そしてまたやり直しがきかないというこういう行為だけに、二重三重の安全手段を講ずるべきだろうと思います。
 一方で、提案されている幾つものメリットがあることも事実であります。
 私は、自治体の負担と住民の権利の問題に絞って幾つかお伺いをしたいと思います。
 まず、費用についての問題ですけれども、法案は機器についてだけ規定をしていまして、その電子的及び非電子的なシステムについては定めていないというふうに思います。実際は、システムの開発・改良費から安全な保管倉庫の費用まで含めねばなりませんし、非常に多額なものになるんだろうと思います。
 自治体の負担については第二十条の、先ほど来も出ておりますが、国の助言その他の援助以外に特段の配慮をどのように考えられているかという先ほど論議がありました。広島の例をとられて挙がっておりますが、平均四十万円ぐらい機械にかかるんではないかというお話ですけれども、じゃ一体、この場合に、当面この四十万の何分の一ぐらいを自治体に援助をしようとされているのか、お伺いをしたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君) この四十万というのは、外国の端末の投票機は大体三十万から五十万らしいですね。だから真ん中とって四十万と、こういう積算で概算要求いたしておりますけれども、今言われますように、地方の選挙にかかる経費というのは、標準的なものは交付税の基準財政需要に入れているんですよ。だから、地方団体みずから賄うんですね。
 ただ、今回はこの電子投票で特別の端末の投票機が要りますから、それについては二分の一を限度に補助しようと、こういうわけでありまして、その他、今、又市委員が言われました経費については自分で賄っていただくと。しかし、それは交付税の基準財政需要の中に標準的なものは入っている、こういう理解であります。

○又市征治君 次に、国は電磁式投票機その他、このためのシステムについて、これは将来統一を図っていく、全体的に統一を図っていくそういう意向があるのかどうか、これが一点。
 それから、法案第六条に条件を具備する投票機とありますけれども、この条件を具備しているかどうかは一体だれが認定をするのか。これは市町村なのか、あるいは政令などで国が決めるのか、ここのところが二点目でございます。
 また、法案の第一条に当分の間というふうに文言がございますけれども、これは将来の統一を考えているので、それまで自治体でやってくださいよという意味で言われているのか。
 この三点、お伺いをしたいと思います。

○副大臣(遠藤和良君) 国としては、今、国政選挙は自書式になっておりますから、これを記号式に変えないことにはこれは電子投票制度は使えないわけですね。ですから、これは過去に内閣として記号式の法案を出したんですけれども、それは可決されましたんですが、一回も施行されないまま、当時の自社さの議員の皆さんの議員提案で自書式に返ったという経緯がございます。
 したがいまして、これを電子投票ということを考えればやっぱり記号式の方がなじみやすいものですから、そういうふうな制度に変更した上での話になります。
 その間におきましても、機器を国が統一して決めてそれをお願いするということは、今のところ考えておりません。
 今回はまさに試行的な実施でございまして、試行しようとする自治体がみずから条例を定めていただきまして実施すると。したがいまして、その機器が具備すべき機能を備えているかどうか、この認定も進んで市町村にやっていただく、こういう基本でございます。ただ、情報に対する助言等が必要であれば国が助言をさせていただく。
 当分の間というのは、これはあくまで試行でございますから、こういうことをとりあえずやるということでございまして、将来これが国政選挙あるいはもっと地方選挙全体に拡大されるかどうか、これはまさに試行の段階での成否にかかってくると思っております。

○又市征治君 それでは、都道府県単位で統一をさせたいという意向があるんじゃないんですか。同じ第六条の第二項では、都道府県に協議しなければならぬとこういうふうに規定をしているわけでありまして、言いかえれば都道府県に拒否権があるというふうにもとれるわけでありますけれども、将来の問題を含めると、都道府県で機種なんかも統一をしてほしいという意向はあるんじゃないですか。

○副大臣(遠藤和良君) これは都道府県の知事さんとか議員さんの選挙を行うことを市町村に限って、ここの市町村については今回の特例法で電磁的記録式投票機を用いてやる、こういうふうに決めた場合も、それは勝手にやってもらったのでは、選挙自体が県知事の選挙であり県議会議員の選挙ですから、それはやっぱり県に御相談の上で実施すると、こういうふうにしたものでございます。

○又市征治君 大変膨大な開発費だとか機器の経費、先ほど広島の例が八億ぐらいになるんじゃないかというお話がございましたけれども、あるいは人件費や時間の比較という問題を一方ではどうしても考えなきゃならぬと思うんです。こういうものを入れましたけれども莫大な金がかかったというんじゃこれは困るわけでありますから、そういう意味で、開票事務が非常に簡略になるという、こういう問題で人件費の節約というのはあるんだろうと思います。
 我が党の方である指定都市に聞いてみましたが、そこの聞き取り調査では、職員は三分の二を減らせるんではないかと、これは開票の事務の方だろうと思うんですね。時間は、市長選挙だと長くても二時間なのでこれは余り要らないんだという、こういう返答でございました。つまり、電子投票でも選管の職員を中心にして三分の一はどうしても必要になるということを言っているということだろうと思うんです。
 そういう、言ってみれば費用効果の問題で関連データがありましたら事務的にお答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(大竹邦実君) 今回の特例法に基づきますところの電磁的記録式投票の導入によりまして、ただいま御指摘ございましたように、開票事務にかかりますところの人件費でございますとかあるいは投票用紙の印刷経費、こういったものの削減が予想されるわけでございます。この額につきましては、機器の導入経費と比べますと非常に額が少ないわけでございまして、確かに費用対効果という面に関しましては、現段階では非常に削減効果は少ないものと考えております。

○又市征治君 それでは、きょうはわざわざ衆議院の側から中馬先生にもお見えをいただきました。衆議院での修正案二点ございましたので、その点についてお伺いをしたいと思います。
 一つは、第三条で、政令市の場合、行政区ごとに電磁式投票機を導入しても、導入を決めてもいいと、こんなふうになっておるわけでありますけれども、もちろんそれは条例で、つまりそこの議会が決めてよいということになるわけですけれども、では、議会がその同じ市民、有権者の間の投票権の行使方法について、例えば、A区の住民は電子投票でB区の住民は従来の自書式の投票でやれと、こういう格好で区分けをしてよいものかどうか、住民の感情を含めて。多分これは費用の問題などを含めてこういうことが、それぞれの自治体で判断すればいいということでお出しになったんだろうと思いますが、ちなみに行政区のない一般の市町村の場合は、あくまでも全域一括でということに、これをするかしないかという二者択一でございます。
 こういうことで、投票権の行使の平等という観点から、ここら辺の第三条の解釈についてどのようになされたのかお聞きいたしたいと思います。

○衆議院議員(中馬弘毅君) 今回のこの電子投票というか電磁的記録式投票機、機械ですよね、これの導入に踏み切ったわけでございますが、これはいろんな議論もございまして、やりたいところにそれを禁止することはないじゃないかということで、やりたいところは実験的にでもいいからやりなさいということの趣旨でございます。
 そういうことですから、おっしゃるように統一的にやることがある意味じゃ理想かもしれません。しかし、例えば県会議員の場合でも、それぞれの町や村で違うわけでございますから、それと同じことでございまして、政令指定都市の中の行政区は独立しております。といいますのは、それぞれに選挙管理委員会を持っておりまして、投票事務からそれから開票まで全部その区でやります。政令指定都市の中の行政区でやるわけでございますから、これはもう一つ独立した単体の選挙に関する単位だということが考えられますので、それと同じことでございまして、広い狭いは別にしまして、一つの行政単位として独立した選挙事務が行える単位ではそれをやってよろしいということ。
 それで、もう一つのその意図は、広島が一つの対象になっておりますけれども、それは大阪でも京都でもそうかもしれません。一挙に全部やるとなるとこれは大変なものですよ、その機器を並べるにしましても。ですから、まずはそれを分割してでも、少しずつ何区からやらしていくとか、そういうような意味も含めて、分割してでもできる、やらせたい行政区から始めていっていいというそういうことの意味で修正を加えたわけでございます。

○又市征治君 今お話しいただきましたように、修正案のこの部分の趣旨は、人口の大きな市ではいっときに一斉に導入するのは大変だからという配慮がおありだというふうにお伺いをいたしました。
 ただしかし、政令市ではなくても人口がそれに近い大きな市あるいは特別区があるわけでありまして、ちょっと調べてみましたら、最大は七十八万人の堺市、それから同じ人口になるんでしょうか、同じですね、世田谷区も七十八万人ぐらいの有権者。これらの市や特別区では修正案でも分割実施はならないわけでありまして、自書式か機械かというのは一括でというこういうことになるわけでございますね。相当数の数の候補者も出られる、こういうことなんです。
 その結果、指定都市と一般市やあるいは今申し上げた特別区のこの住民の権利の問題、あるいは比較、公平性というのはこれはいかが御議論なったのか、ちょっとそこら辺のところをお伺いしたいと思います。

○衆議院議員(中馬弘毅君) 衆議院の方ではそのことは余り議論にはなりませんでした。規模の大小、人口の多い少ないでそのことが議論されるわけじゃなくて、先ほど言いましたように、選挙事務を行政単位として独立に持っているところは自主的にやったらいいではないかということでございますから、堺市あるいは今言いました世田谷を幾つかに割ることの方が逆に非常に人為的になってしまうんじゃないか、そしてまたそこで開票なんかができるはずもありませんので、そういう意味で行政単位としてやらせていただくことにいたしております。

○又市征治君 終わります。