第153回臨時国会

2001年11月29日 総務委員会

国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、
休暇等に関する法律の一部を改正する法律案及び
地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案


政府参考人
総務省人事・恩給局長
厚生労働省職業安定局次長

大坪正彦君
青木功君

○又市征治君 社民党の又市でございます。
 公務員の育児休業の取得率が、女性に限れば国では八九%、地方では九一%と、かなり普及してきたと思います。それでも、職場の状況によってはとりづらい、あるいはとるにしても期間を自己規制をするということがあるわけであります。調べてみますと、また男性について言えば、育児休業、介護休暇ともに取得率が圧倒的に低い状況があります。こうした実態というのは、当事者の男女役割分担意識の問題もあるんでしょうけれども、先ほど来から出ておりますように、職場の周りに迷惑がかかるとか昇進や昇格に響くとか、一般的にやはり取得しがたい、こういう現状も一面では男性の側にあるんだろうと思うんです。
 今回の改正案ではこれらを代替要員の確保などで前進させようとしておるわけですが、そこで今後の改善はこの代替要員を確保することにかかってくるんですけれども、この点、人事院はどのような指導を考えておられるのか。
 現状を見ますと、臨時的任用が五割、非常勤職員の採用が二割、特段の任用行為なしが二割などとなっていますね。これが法改正でどのように変わるのか。とりわけ、特段の任用行為なし、つまりは職場内の他の職員にかぶせられるという、こういう部分があるわけでありまして、今後ここらのところはどういうふうにするのか、お伺いをしたいと思います。

○政府特別補佐人(中島忠能君) 育児休業をおとりになる方、その方の期間というものをにらみながら、臨時職員あるいは非常勤職員というもので代替していくか、あるいはまた一年以上おとりになるので任期つき任用をしていくかということを任命権者側でよく考えていただく必要があると。そこらは、この改正法が成立いたしましたら各省庁の官房の方によくお話を申し上げたいというふうに思います。
 ただ、今、先生がお話になりましたように、仮に育児休業をとる期間が非常に短い場合、そのような場合には、職場の中でお互いに職務分担というのを見直して、短期間だからひとつ助け合おうじゃないかという、そういう空気というのが非常に重要でございますので、そういうことで対応しておられるところがあるというふうに承っております。
 したがいまして、それぞれの職場で実態に応じてどのような対応をしていけばいいのかということを工夫していただく必要があるだろうというふうに思いますし、どのような職員を代替職員で採用するかということにつきましても、いよいよの請求があるまでに若干時間がございますので、地域内をよく見渡して、それぞれの官職にふさわしい代替職員というものを獲得していただくように手配をしていただくという、そういうことをよく申し上げたいというか、各官房の方に申し上げたいというふうに思います。

○又市征治君 確かに、今回の改正案は一面で前進でありますが、反面、今お話もございましたように、同一の職場に身分の異なるより不安定な立場の職員がふえるということでもあるわけでありまして、勤労者全体の立場からは必ずしも好ましくない面もあるわけであります。あくまでも基本は、育児休業なり介護休暇の申請が出てくる以前の通常の職場の状態において正規職員の欠員がきちっと補充をされている、労働強化になっていないという状態がやはり求められるんだろうと思うんです。
 したがって、この制度の運用に当たっては、まずこの基本を確保するべきでありまして、法改正によって安易に臨時雇用であるとか任期つき雇用が乱用されないようにぜひ総務省なりまた人事院等も指導を要望申し上げておきたいと思います。
 次に、休業手当の問題についてお伺いしてまいりますが、現在四〇%になっていて、これは今回改正をされない。したがって、先ほど来からこれは低いんじゃないのかというのが各委員から皆出ておるわけでありまして、一方で、労働基準法は第二十六条で休業手当について定めておりまして、これは使用者の側の責めに帰すべき事由ということになっていますけれども、賃金の六〇%と定めております。あるいは、国家公務員法の七十九条の休職に基づく人事院規則、この点でいきますと、例えば病気などの場合でも、公務上の休職は一〇〇%、私傷病は一年間八〇%、あるいは、異なりますけれども、刑事休職の場合に六〇%以内という、こういう規定もやられているわけでありまして、必ずしもこれは整合性がとれているとは言えないんではないか、こういう気がいたします。まして、この育児、介護というのはいわばもう社会的事由だというコンセンサスができていると思うんですが、四〇%というのは非常に低い、こういうことではないかと思います。
 先ほど来から民間準拠ということが盛んに言われていますから、今後改善する可能性について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(青木功君) 育児休業給付の給付率の問題についてのお尋ねでございますけれども、育児休業給付につきましては、御案内のとおり、ことしの一月から、給付率それまで二五%であったものを四〇%に引き上げました。
 これは、公労使の代表の皆様から成る関係審議会その他相当の議論を経て厳しい中で引き上げを行ったわけでございますけれども、その基本的な考え方におきましては、失業者に対して基本手当というものが支給されます。これはおおむね従前賃金の約六〇%の給付率となっておりますけれども、この育児休業期間中につきましては社会保険料の本人負担分が免除されているとか、そういったものがございますので、そういった失業者に対する給付率との均衡その他等から引き上げられたところでございます。これは一月から実施をしておりますけれども、当面この制度を着実に運営をしてまいりたいというふうに存じます。

○又市征治君 では、育児休業は三歳まで延長されますけれども、一方で、先ほど来から出ていますように、一歳からは四〇%の育児休業手当がゼロになる、そして共済掛金免除もなくなって、これはいわば収入がないのに掛金が手出しになっていくということになるんだろうと思うんですが、実際に二年目以降も育児休業をとるには相当の経済的落ち込みを覚悟せざるを得ないところに、取得をしたいと思うけれども追い込まれていく、こういう状況になるんだろうと思うんですね。
 この点について、今後の問題なわけですけれども、一つは、一歳以後の実際の休業取得について総務省はどの程度の歩どまりを見込んでおられるのか、お聞きをしておきたいと思います。
 また、厚生労働省にお聞きをいたしますが、少子高齢化の中で、社会的コンセンサスとしても、現在の一年目に準じた休業補償に向けた努力が必要と思いますけれども、ここのところはいかがですか。

○政府参考人(大坪正彦君) 今、先生の方から、育児休業手当が一歳を過ぎたら出なくなる、こういう状況のもとで果たしてどのぐらい休業取得を申請する人がいるだろうか、その辺の見込みはどうだろうという御質問でございますが、基本の、今回一歳から三歳に引き上げましたのは、かねてよりお話が出ておりますとおり、家庭と職場の両立という基本的なところから必要性を感じてしたものでございます。
 手当がゼロかあるいはあるかによってどのように皆さんが、職員が御判断されるかちょっとよくわからないところでございまして、先生の御質問の歩どまりというのはなかなか推定することは難しいというふうには考えますけれども、人事院が調査されておりますものをちょっと御紹介させていただきますと、昨年度人事院が調査しました育児休業の新規取得者数の調査に見ますと、九カ月以上取得された方は五割以上の方になっております。
 したがいまして、この数字から、余り推測をしたらまずいのかもしれませんが、九カ月以上とられる方というのは、ひょっとしますと、一歳以上に期間が延びますれば、さらにとってみたいという方もかなりおられるんではなかろうかというふうにも考えられるというふうに思いますし、さらに、今一歳あるいは二歳の方につきましては、今後取得が可能になりますので、そういう方々の中からは申請される方もかなりあるんではなかろうかなというふうに思っている次第でございます。

○政府参考人(青木功君) 育児休業給付の給付期間についてのお尋ねでございますけれども、民間企業における育児休業につきましては、御案内のとおり、育児・介護休業法におきまして満一歳未満の子の養育のための休業を行う期間ということに定められておりまして、これを経済的にサポートするということで雇用保険の方から給付がなされることになっております。
 そこで、それ以後の問題につきましては、今般の育児休業・介護休業法の改正によりまして、一年を経過した後に例えば勤務時間の短縮をするとあるいは育児施設を企業内に設置するとかさまざまな措置をして、育児と仕事の両立を図っていこうとすることを企業に努力するように求めておりますし、またそういったことも労使の中でこれから話し合いが進められていくというふうに思います。そういった流れの中で、また新たなコンセンサスができるのかどうか見守ってまいりたいと存じます。

○又市征治君 時間がありませんから、本当は介護休暇も聞きたかったんですが省略いたしまして、いずれにいたしましても、世界で最も少子高齢社会が進行している我が国の現状を、先ほど片山大臣からもお話がございましたけれども、これをどうやって打開をしていくか、好転をさせていくかというためにも、やはり政策的にも政治的にも判断が求められている時期に来ているんじゃないだろうか。そういう点で、休業手当あるいは共済掛金の改善というものも引き続き人事院あるいはまた総務大臣にも強く求めておきたいと思います。
 そこで、話は変わりまして、こうした公務員の職務遂行上の根底を揺るがすような改変が今公務員制度改革ということでやられようとしております。先日もこの点については触れたんですが、今日、公務員制度の改革というなら、当然労働三権の回復が図られるべきだ、こう思います。
 しかし、今進められている政府の作業では、一部の新聞に出ておりますけれども、これについて労働者側と合意と納得のいく協議もないまま、この十二月に大綱が出されようとしていると思います。非常に私はアンフェアなことだと思うんですが、万が一労働三権を回復しないというのなら、今と同様、あるいはそれ以上に代償措置を講じるべきなんだろうと思うんです。
 そこで、今の人事院の機能の中でこの代償措置に基づくものが多数あると思いますが、行革事務局及び人事院の考えを説明いただきたいと思います。

○政府特別補佐人(中島忠能君) 人事院、いろいろたくさん仕事をしておりますが、その中で給与と勤務時間等に関する人事院の機能、基準の設定等がございますが、そういうものの中で代償機能に基づかないものというのを探すのがむしろ大変じゃないかなというふうに思います。

○又市征治君 今の人事院総裁の発言をぜひ尊重して政府部内でもこれは進めていただくように、総務大臣にもお願いをしておきたいと思います。このままでは、やはり公務員が安んじて本当に公務に邁進をしていく、こういう格好にならないで、逆に政府へのこうした一部の、労働条件にかかわる問題も人事権含めて各省庁に移っていく、だけれどもそこで自分たちの交渉権が担保されていない、こういう格好で不信がやっぱり募っていくんだろうと思うんです。
 そういう意味で、今の人事院総裁のおっしゃった中身を含めて、ぜひともこうした安定したいい労使関係がつくられていくように強く要望して、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。