| 国会活動報告と私たちの決意 |
| 2002.1.27.社民党参議院議員 又市征治 |
| 1.6か月の国会活動(概要) @ 皆さんの暖かいご支援を頂き、昨年の参議院選で、田嶋陽子さんや大田昌秀さんと共に当選させて頂きました。改めて感謝申し上げます。早や6か月です。 私は、いま党では政策審議会副会長、請願行動に応対する参議院側の責任者を仰せつかり、また国会では総務委員会、行政監視委員会等に所属しています。時には週3〜4回の質問あり、毎日党の部会学習会もあり、体力勝負・目の廻るような忙しさです。先の臨時国会では、総務委員会9回、行政監視委員会4回、予算委員会2回、政治倫理・選挙特別委員会1回の計16回の質問に立ちました。委員会で質問をする場合、5〜7時間位の調査・勉強が必要です。まるで57歳になって東京の予備校にいき、炊事・洗濯をやりながら毎日受験勉強と試験の繰り返しのような状況です。 国会活動や政治動向の概要と私たち社民党の決意を若干報告致します。 A 質問は議席比例配分で往復15分(6〜7分)程度、極めて非民主的ですから、質問の仕方の工夫がたいへんです。これまで私が取り上げたものを挙げますと、 A まず総務委員会では、地方税財源問題で、片山総務大臣と2回一問一答をやり、小泉内閣の「地方交付税削減」発言は制度上できないし、地方交付税制度は堅持していく、税収が国65:地方35を当面50:50をめざし、地方の自立を一層支援していくことなどを言明させましました。しかし歳出削減を巡って、民営化促進や市町村合併、つまり福祉切り下げに院内の凄まじい圧力です。 また(公務員制度改革についても2回追及し、「改革」の前提は労働基本権の回復であり、少なくとも組合との誠実な協議と合意だ。それがないなら従来以上の代償措置が必要だと迫りました。さらに)新宿歌舞伎町のビル火災問題では、東京では96%もの雑居ビルで法律違反、それも1ビル当たり12.5項目もの法違反がある。日常の査察・指導がザル状態、消防力基準に照らして職員が4万7千人も足りない現状などを取り上げ、職員増など一定の改善を確認させました。 B 行政監視委員会では、政府の総合規制改革会議の医薬品のコンビニ販売の動きを取り上げ、医薬品は人の命と健康を守るために欠かせない許可制度であり、対面販売指導システムを活用して薬害や乱用を防止することを追及し、規制緩和に歯止めをかけました。また臓器移植の横流し事件を追求し、新たな基準作りなどを確認させました。さらに医療制度改悪で高齢者の6か月以上入院者が現行の7倍の42万円負担となり、医療と介護の谷間で老人難民を作るのかと追及し、負担軽減と特別養護老人ホームなど5万床増床を引き出しました。加えて原発偏重のエネルギー政策の歪みが生んだ新潟県刈羽村の原発誘致施設ラピカの不正額の返還や電源立地関係法人(14団体・88人の天下り1900億円)の見直し、高速増殖炉もんじゅの再開断念と安全なら大都市に作れと迫りました。 C 11月14・15日の予算委員会では、政府の雇用悪化の責任追及と超勤規制によるワークシェアリングなどでの雇用創出、憲法違反のアフガンへの自衛隊派遣の有害無益さと報復戦争即事停戦を迫りました。小泉首相は、「アフガンに比べれば天国」と開き直り、弱者の痛みへの無感覚・無責任ぶりと100万人雇用のごまかし(実質6月以上は35〜36万人程度)などを露呈しました。 |
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| 2.小泉内閣の「聖域なき構造改革」の本質とは @ 昨年4月に発足した小泉内閣は、90%前後の異常に高い支持率でした。それは、小泉氏が「抵抗勢力はぶっ潰す」「自民党も政治も変える」と叫び、「聖域なき構造改革」を唱え、いかにも政治が変わるような幻想を振り撒いて登場し、マスコミもこれを持ち上げ、多くの国民が錯覚し「小泉に任せてみよう」となったからでしょう。9か月後の今も70%前後です。不安の裏返しでしょう。 私は、選挙中、小泉内閣の『聖域なき構造改革』の本質は、@大企業の国際的競争力を高めるために、あらゆる産業でリストラ合理化を徹底する「弱肉強食の競争社会づくり」、その延長線上に憲法9条を改悪して「戦争のできる普通の国づくり」にある。Aいま国民が求める改革は、雇用創出と年金・医療・介護や福祉の拡充を中心とした「国民生活優先の政治」と、世界政治の先頭にある「平和憲法を守り活かしていく政治」の実現ではないか。Bそのために「社民党の強化と労働運動の再生」に向けて共に立ち上がってほしい―と訴え続けました。この指摘がかくも早く的中したことに、読みが正しかったというより、背筋が寒くなるような危機感をいま感じています。 A と言うのは、経済と外交音痴の小泉首相が「構造改革」を声高に叫ぶ下で、経済成長は3年連続マイナスが確実となり、GDPの6割を占める個人消費は7か月連続で低下し続け、完全失業率は最悪の5.5%=350万人(実質10%≠650万人)、自己破産は年間14万件、自殺者は3万人を数える「小泉不況」に陥ったのですから、先の臨時国会は、当然「景気・雇用国会」であるべきでした。 ところが小泉内閣は、政治の要諦である国民生活の安定をそっちのけに、9月の米国でのテロ事件を「戦争のできる普通の国へ」の転換の絶好のチャンスと捉え、憲法の禁ずる集団的自衛権の行使に踏み込むテロ対策特措法など3法を強行し、自衛隊を戦後初めて戦争協力に派兵し、そして民主党の動向を見て改正PKO協力法まで強行してきたのです。いま衆・参両院で、これに反対する勢力が16〜17%程度という背筋の寒くなる実態になったのです。 |
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| 3.テロ問題と日本・世界の安全保障の進路 @ 確かに、米国のテロ事件は世界を震撼させました。無辜の市民約3000人の命を一瞬に奪った蛮行は断じて許せません。テロは重大な犯罪ですから犯人を逮捕し法と正義の下に裁くべきで、これに国際社会が挙げて協力することは当然です。(例えば、アウシュビッツへ何百万人も送り込んだナチスのアイヒマンは戦後15年を経てイスラエル法廷で裁かれ、また民族浄化で国家テロを行ったユーゴのミロシェビッチ元大統領はオランダの国際裁判所で裁かれました。)そのような努力が、遅いようでも報復の連鎖を断ち切る有効な方策です。しかし米国は、冷静さを失い、これを「新たな戦争」と呼び、やられたらやり返せとばかりに、国連決議が禁ずる軍事報復―実態は一方的破壊と殺戮―を開始したのです。 A 肝心なことは、テロを生み出す原因―貧困や差別、経済格差、大国の横暴、教育の欠如などーの克服・除去に向けて、国際的な粘り強い努力が必要です。米国は軍事報復に出、他方で昨年だけでもCTBT反対、京都議定書離脱、戦略防衛構想推進、人種差別撤廃国際会議欠席など横暴な態度―テロを誘発する姿勢です。逃げ惑う何百万の難民を生み出し、ここ3か月に10〜15万人の死者が出ると伝えられました。米国の軍事報復は、高まった反テロの国際的世論を弱め、新たな憎悪と「報復テロ」の連鎖を引き起こす愚かな行動です。 B そもそも今日の国際社会は、人類史上最も残酷な世紀であった20世紀の反省と教訓を基に、「戦争禁止」を基礎にする国際秩序を築いてきました。それは、国家による「戦争を行う権利」を否定し、平和的手段―交渉、仲介、裁判などによる解決へと前進してきました。(イラクのように)侵略戦争を起こしたり、(インド、パキスタンのように)核開発を進めたり、(ユーゴのように)人権を迫害するような国に対しては、国連の場で非難決議を行い、次に勧告を出し、その上で集団的経済制裁などを執ってきました。そして緊急止むを得ない場合にのみ、最後的手段として(イラク、ユーゴ制裁のように)軍事的対応をとる場合がありますが、この場合でも、「緊急にかつ国連の措置を待つ間の暫定的な自衛権」という制約が課されているのです。 ですから、1999年5月、オランダ・ハーグでの国際平和市民会議の10か条の宣言は、その第1条で「日本国憲法9条のような条文をできるだけ早く各国議会で決議しよう」となってきているのです。米国の軍事報復は、こうした人類の英知である国際秩序の流れに挑戦し、崩壊させる愚行でもあるのです。 C 日本は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という平和憲法をもち、そして世界最大のODA(政府開発援助)を行う国として、世界の信頼を得てきました。ですから、「戦争禁止」を基礎にする国際秩序を前進させるリーダーとして、国際社会からも期待されてきたのです。特に一昨年、アフガン和平のためにタリバンと反タリバンの両勢力の代表団を招いた実績もあり、信頼が厚い(その裏に日本人NGOの献身的努力もある)だけに、アジア諸国や反米でも親米でもない発展途上国を結集して、タリバン政権に容疑者引渡しの交渉役を果たすべきでした。 D しかし小泉内閣は、こうした歴史的使命や国際社会の期待に反し、また平和憲法を蹂躙して、逆に米軍支援の「テロ対策特措法」を、20日足らずの審議で国会を押し通したのです。改正PKO協力法は衆参両院で2日ずつです。「普通に戦争のできる国へ」大きく舵を切ったのです。この時、民主党は与党に擦り寄り、「テロ対策特措法」実質賛成、自衛隊の海外派兵承認、改正PKO協力法賛成で、反対者を処分した。社民党が小さくなって政治が変質し、議会制民主主義・民主主義が破壊されつつあることをまざまざと実感させられました。 E アフガンでは報復戦争は終わり、一般市民が開放されたような報道ばかりです。偏ったテレビ報道に惑わされず、歴史的視点での総括が必要です。 アフガンでの事実は、大干ばつによる飢えと寒波に震える罪なき市民に、一方的な爆撃の恐怖が追い討ちをかけたことです。テロ撲滅の美名の下に、何十万の人々を死の淵に追いやる権利は、誰にもありません。身内を殺され、傷つけられた人々の思いはどんなでしょう。唯一、TBSの番組で作家の逸見庸氏がアフガンの瓦礫に立って怒りを持って悲惨な状況を伝えているのが印象的でした。未来ある子供たちにアフガンも、日本も、アメリカもないのです。 現地では、政府が米軍支援に踏み出したために、日本人NGOの人々が身を危険にさらしながら、必死に難民救援を続行し、アフガンの一般市民に小麦粉と油を送り続けています。6000円あれば一家族10人がこの冬を越せます。 私たちは事態を冷静に見つめ、NGOの人々に連帯して、難民救援に手を差し伸べ、歴史と憲法に逆行する政府を糾弾すべきでしょう。世界でも抗議と救援の行動が広がっています。座して軍事報復の加担者となってはなりません。 |
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| 4.国民生活擁護と改憲阻止に向けて @ 小泉内閣が発足して9月、今や『聖域なき構造改革』の破綻は明らかです。 経済・雇用情勢は前述したとおりです。国民の痛みばかりが増大しています。 いま政治に求められるのは、雇用の創出・拡大と年金・医療・介護などの社会保障や福祉の拡充で、生活や将来の不安の解消に全力を上げることです。 特に、従来からの公共事業中心の景気対策ではなく、雇用を伴う事業に転換する、また欧州のように、雇用状況の悪化に際して、教育、医療、介護、環境、農林業などの公的分野で雇用を創出する、残業規制や年休完全消化のワークシェアリングで雇用を拡大する、医療制度改悪を止めるなど、国民生活に安定・安心を保証することです。これが小泉消費不況を好転させる道です。 しかし小泉首相は、第二次補正予算と2002年度予算を見ても、景気・雇用対策は全く無策です。むしろ大企業の国際競争力を高めるために、失業の増大や労働者の賃金・労働条件の切り下げを容認しています。それが「アフガンに比べれば天国」と言う発言の真意です。 A 国会にいて、連合の闘いが全く見えません。72日間の国会中、デモは1回きりでした。賃下げになってもワークシェアリングと言ったり、政労使で解雇ルールを談じたりでは、何も解決しません。雇用創出と医療改悪反対などの要求を掲げ、中央・地方で音の出る行動を起こさなければ、何も変わりません。資本・政府と闘わないで話し合いでうまくいく位なら労働組合はいりません。 世界政治は、伊、仏、英、独はじめヨーロッパを中心に、「平和・人権・雇用・環境・福祉」を掲げる労働運動が中心となって社民党・労働党政権に移ってきました。日本は、最大勢力である労働運動の立ち上がりが決定的に遅れています。国民生活擁護の大衆闘争の不十分さが憲法改悪の危機を招いているのです。 B この通常国会に、周辺事態法やテロ対策法の延長として、国民の主権や言論を制約する有事法制=防衛出動法を出すとしています。民主党もこれに同調の姿勢です。また社共を除く超党派議連が憲法改正の「国民投票法案」を準備し、さらに教育基本法改悪も出てきそうです。つまり、社民党が小さくなり、労働運動も弱体化したため、憲法9条はじめ10条〜40条までの国民の権利・義務も一気呵成に改悪の危機に晒されています。戦後政治の大きな曲がり角です。 C こうした歴史に逆行する政治反動を止めるために、自分に何ができるか、やるべきか。一人ひとりが一歩足を前に出すことです。本物の労働運動に向け仲間づくりを、組合本部に意見を上げる、地域に憲法を守る会を作り広げる。そして護憲と社会民主主義の社民党をかつての社会党のように強く大きくすることが重要です。ぜひ入党して下さい。いろんなことができます。それが総選挙に100名の候補擁立、統一自治体選挙での議席増大の力となります。 今こそ国民生活擁護と憲法改悪阻止に向けて輪を拡大しましょう。国会でも良心的議員と連携を強めます。一人一人が様々な課題で一歩足を前に出す、そして大きなうねりを作り出すことなくして政治は変わりません。 今年も国会と皆さんを繋ぐために奮闘する決意を申し上げ、提起を終わります。 |