第154回通常国会

2002年3月19日 総務委員会








○又市征治君 社民党の又市でございます。
 提案されております法案の関係で、まず初めに住民訴訟をめぐる改正についてお伺いをしてまいりたいと思います。多々議論がありまして、残された問題について幾つか確認をしていきたいと、こう思っています。
 まず第一番目に、下関フェリー訴訟についてお伺いをいたしてまいります。
 よく例に挙げられる今度のこの下関市の日韓フェリーの訴訟については、広島高裁で二〇〇一年五月に出された判決は、元市長に三億四千百万円という莫大な賠償を命じたものと、こういうことに伺っています。この事件は、第三セクターである日韓高速船株式会社という、この会社が作った負債を、市が保証する義務がないにもかかわらず肩代わりをしたということが問われたものだと思います。採算が明らかでない事業に第三セクターを通じて自治体が進出し、赤字を公金で穴埋めをするというルーズな会計支出の典型だったんだろうと思います。
 ところが、この事例が今回の法改正案提出の、つまり被告を首長等の個人から機関に変えるという案の動機になっているというふうに言われていますけれども、支出は議会の同意を経ているし、これだけの大金を元市長個人に賠償させるのは無理だという、こんなことも言われておりますけれども、まず初めに、確認ですけれども、この元市長個人の責任について判決の要旨は何と言っているのか、芳山局長からお聞きしたいと思います。
○政府参考人(芳山達郎君) ただいまの下関の第三セクターの裁判でございますけれども、下関市の住民が第三セクターの会社の清算に当たりまして、市としては議会の議決を経て行った補助金の支出でありますけれども、それが違法であるということで当時の市長に対して損害賠償を求めた事案であります。
 それで、当該裁判については、平成十年六月九日に山口地方裁判所において、清算に当たって支出された補助金が違法であるということで市長に対して八億四千五百万の支払が命じられたわけでございますけれども、第二審、控訴審であります広島高等裁判所におきましては、平成十三年五月二十九日に、前下関市長に対し、補助金支出の中、そのうち第三セクターの借入金整理を目的に支出された部分についてのみ裁量権の逸脱があるとして、前市長に三億四千百万円余りの支払を命ずる判決がなされました。現在、最高裁にこの部分について上告中ということで聞いております。
○又市征治君 その高裁の判決では、つまり債務肩代わりについては裁量権の逸脱だとして、また市長個人の責任については、自治省勤務時代に補助金の在り方を自治体に指導していた経歴からして過失責任は免れないというふうにしているわけですね。
 そこでお伺いをするわけですが、このケースに今度提案をされている改正案を当てはめますと、この後の賠償は一体どういうことになっていくのか。つまり、改正後の新設される第二次訴訟を市が起こすわけでしょうけれども、元市長個人に請求をしていくということになるのか、またそれがなくなるとすれば一体だれを相手に第二次訴訟というのは起こることになるのか、この点をお伺いします。
○政府参考人(芳山達郎君) 御指摘の点は、今住民が、支出をした当時の市長に対して高額の損害賠償請求をしておるということであります。
 それで、今回の改正案に即して申し上げますと、新四号訴訟において住民が勝訴をした場合においては、判決が確定してから六十日以内に損害賠償金が支払われないときは地方公共団体が訴訟を提起しなければならないという条文を入れております。したがいまして、仮に住民が勝訴し判決が確定した場合には訴訟を提起すべき義務を長が有するわけでございまして、正当な理由がない限り速やかに訴訟を提起しなければならない義務を負うということでございます。そういうことで法文上明らかにしてございます。
○又市征治君 いや、そんなことを聞いたんじゃなくて、第二次訴訟を市が元市長に対して起こすわけですかと、こう聞いたわけです。
○政府参考人(芳山達郎君) はい。当然、今言いました第二次訴訟としては、支払わなければ当該個人に対して三億、被害金額を請求するということでございます。
○又市征治君 次に、憲法の政教分離の原則に違反するとして知事に公金の返還を命じた判例が九七年、最高裁の靖国神社玉ぐし料裁判で、これは愛媛県の問題ですが、出ておりますね。私は今ここで靖国神社問題を論議するつもりはありませんが、金額はわずか十六万六千円ながら、松山地裁はこの支出を憲法が禁止している宗教活動だというふうに断じたわけです。
 そして、今回の改正案、つまり長の個人責任との関係でいえば、地裁判決はこう言っています。支出は前知事の強固で明確な意思に基づいて前知事自らが行ったと。実は原告は前知事以下幹部職員七名を訴えていたわけですけれども、裁判所はこういう判断によって前知事一人の判断だ、責任支出だというふうに認定をしたというふうに思います。私は、こういう極めて政治的な支出ですから、幹部の合議というより知事の判断だったんだろうというふうに思います。
 こういう場合に、改正後の法律ではどういうふうになるのか。つまり、第一次訴訟は機関を被告とせざるを得ないのでしょうが、第二次訴訟は一体どうなるのか。この場合も知事は既に退任をしているわけですが、どんな格好になっていくのか。
○政府参考人(芳山達郎君) 今回の平成九年四月の最高裁判決でございますけれども、玉ぐし料の支出が憲法二十条三項に規定する宗教的活動に当たり、違法な公金の支出であるということで、市長に対する損害賠償請求が認められた事案でございます。
 今回の四号訴訟が提起されて住民が勝訴をした場合、勝訴が確定した場合、そしてまた当該元首長さんが損害賠償金を支払わない場合ということでございますけれども、地方公共団体の長が当該元市長に対して個人を訴えることになる、先ほどと同じです。
○又市征治君 以下、ちょっと二点、大臣にお伺いをしたいと思いますが、今二つの判例の問題を取り上げさせていただきました。これらの場合、改正案では第二次訴訟という次のステップが生まれることになっていますね。そこには住民は参加ができないで、機関としての自治体が原告になっていくと、こういうことなんだと思いますね。首長や元首長、あるいは自らの職員を訴えるという、こういうことになるわけです。
 この点に対して、言わば身内同士の訴訟になるので、殊更低い額で和解するなどなれ合いも可能なんではないかという批判があることも御承知だろうと思います。第二次訴訟において原告は、つまり機関としての自治体ということになりますけれども、この第一次訴訟の結果を受けて、市民を代表して首長らに対して、元首長とか職員に対して損害賠償を要求しなければならないわけですが、こうした原告の公正さはどのように担保されていくことになるんでしょうか。
○国務大臣(片山虎之助君) 団体と機関という関係になりますね。団体が機関のそれぞれに対して損害を賠償すると。それで第一段目の訴訟で、訴訟の判決は原則として今言われた元首長や職員個人に及びますから、ここで住民が勝訴した場合には、元首長や職員個人は二段目の訴訟はやりませんわね。もう勝負は付いていますから、実益がございませんので。そうなると損害賠償を支払うと、こういうことになりまして、しかしこれはもうみんな分かったことですから、そこで損害賠償を負けるとか和解するとかということは私はなかなかなりにくいんではなかろうかと。普通は私は払うケースが多いだろうと。
 ただ、それでもまあ訴訟になる場合には、これはもう訴訟を起こさざるを得ません。新しい長が、首長さんがもしやらないと法的な義務違反を問われるわけでございまして、今度は自分に火の粉が降り掛かってきますから、私は、好むと好まざるとにかかわらず訴訟を起こさざるを得ないと、こういうことになるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
 大変、お互いの大変こういうふうな関係がややこしくなることは事実でございますけれども、まあこれは訴訟というものはそういうものでございますので、それはやむを得ないのではないかと、こういうふうに思っております。
○又市征治君 私も、最初から職員個人の賠償責任を問うという現行法の規定そのものは改めるべきだという、改める点があるだろうと、こういうふうに思ってまいりました。ただ、知事、市長という選挙で選ばれたこういう特別職、圧倒的に大きな権限を持った首長の場合は、ある場合にはその判断の個人責任、政治責任は免れないし、辞職後もそれはもう当然継続をするものだろうと、こう思います。
 改正後のこの四号訴訟においては、個人でなく、機関を挙げて組織的に被告となって原告と渡り合うということになるわけですが、このことが首長らの誤った判断あるいはその資質にいたずらに追随をしたり、あるいは裁判所の命令にもかかわらず情報を開示しなかったりすることにならないように、これは是非万全の措置を取っていただきたい、こんなふうに望んでおきたいと思います。
 ただ、これに関連して、公務員が自らの組織内の不正に我慢がならないとかあるいは許せないという、こういう場合があるわけですね。こういう場合、これを明らかにするというケースについて少し考えてみたいと思うんですが、これについては現在、刑事訴訟法二百三十九条二項の告発の問題だとか、公務員倫理規程第十二条だとか、あるいは原子炉規制法だとかにちょっとありますけれども、その彼あるいは彼女の身分を守る規定としては極めて不十分なわけですね。
 この点に関して、アメリカでは正義の内部告発を保障する法律があって、通称ホイッスルブロアー法、つまり笛を吹く人、警鐘を鳴らす人という意味で呼んでいるそうですけれども、こうした正義感ある公務員の行動を保護する法律というものを新たに制定することも必要ではないか。そういうことを併せ持っていかないと、こうした自治体内でのそうした不正など、こういったものをしっかり正していくということにならないんではないのか。
 我が党としても、こうした正義感ある公務員の行動を保護する法律、これも準備してまいりたいと思っていますが、このことについて大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 大変難しい問題ですが、できればこういう法律はない方がいいですね。やっぱり組織内やあるいは組織ぐるみや個人のそういう非違行為、犯罪的行為が私はない方がいいと思いますけれども、今、アメリカにはお話のような法制があるようでございますしね、今、日本でもそういう議論が現実になされていることも事実でございます。
 ただ一方では、公務員は守秘義務がございまして、職務上知り得たことはほかに漏らしたら駄目だと。それが国や地方団体の利益に反するし、個人のプライバシーにも場合によっては触れることになると、こういうことでございまして、それはなかなか難しいことだと思いますけれども、私は、究極的には程度問題で、守秘義務なり内部告発なりのより大きな利益、法益は何かということで考えるべきかなと、こういうふうに思いますけれども、基本的には、国家公務員も地方公務員も全体の奉仕者としての道を踏み外さないようにやると。そういう中での私は守秘義務の遵守であり、あるいは刑事訴訟法上じゃ内部告発を、一種の訓示規定でございますけれども義務付けているわけでございましてね、その辺は正に程度における運用の判断ではなかろうかと。
 答えになっていないと自分でも思いながら言っておりますけれども、大変難しい問題で、どちらがどうとは言えませんので、この辺でひとつ御了承いただければ有り難いと思います。
○又市征治君 難しい問題は分かりますが、刑事訴訟法二百三十九条第二項は、今も大臣言われまたけれども、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と、こういうことになっているんですが、これをやった場合に、その後の不利益取扱いの問題がこれは出てまいりますから。
 したがって、せんだってから外務省の内部の問題いろいろと出ていますけれども、そんなことがずっと隠れたままで、今になってそんなことが出てくるという、こういう問題があるわけで、程度の問題というお話がございましたけれども、できれば、そうした全体的な視野でこんなことも検討を是非お願いをしてまいりたいと、こう思っています。これは答弁要りません。
 続いて、二つ目に、市町村合併について伺ってまいります。
 私、十四日の大臣の所信表明の質疑なりあるいは法案審議で、合併そのものだとかあるいは候補そのものを否定をするというつもりはありませんけれども、ただ、市町村合併をあめとむちで強制するようなやり方、この点は大変問題だということで、具体例も挙げて少し批判を申し上げたわけですが、やはり将来に向かって、その地域の人々がどういう町づくりをやっていくのか、その自主性あるいは自立性というものを是非尊重すべきだというふうに申し上げてまいりました。
 そういう立場で、もう少し、残った問題点ただしてまいりたいと思います。これは若松副大臣に何点か、幾つかお願いをしてまいりますが、いわゆる合併持参金の問題について伺ってまいります。
 今、多くの県で、合併支援特別交付金、合併特例交付金、合併推進交付金、合併市町村交付金などという、いろいろと名前がありますけれども、そうした名目で、私流に言わしていただくならば合併持参金とも言うべき根拠のないつかみ金が大盤振る舞いされているんではないか、こういうふうに思います。
 国の合併促進策の一環として、多分総務省が音頭を取っておられるんだろうと思いますが、この県からのつかみ金について、総務省は一体何を法的根拠にして裏打ちをし、奨励をされているんでしょう。
○副大臣(若松謙維君) 今の持参金とかつかみ金とか、私どもにとって余り聞き慣れぬ言葉をちょっとお使いになっているわけでありますが、市町村合併は、もとより市町村の主体的な取組の下に進められるものと認識しておりまして、さらに、その円滑な推進に当たりましては、地域の実情を熟知した広域的な地方公共団体であります都道府県の果たす役割が大変重要であると、このように認識しております。
 そういった観点から、平成十三年三月に出させていただきました市町村合併の推進についての要綱、これを踏まえた今後の取組、いわゆる指針ですね、におきまして、都道府県は合併市町村における円滑な行政運営や事業実施を確保するため、合併市町村の行う事業に対する交付金等の交付などの支援策を講ずることが望まれるということになっております。
 なお、この指針でありますが、自主的な市町村の合併を推進するため、市町村合併特例法第十六条第一項に基づく必要な助言を行っているということでありまして、是非とも御理解をいただきたいと思います。
○又市征治君 ちょっと余りよく分からないんですが、いわゆる私流に言わしていただくこの合併持参金、全部が県の一般財源なら、それはその県の独自の政策判断ですからとやかく言うべきことでないかもしれません。
 しかし、半額を国が地方交付税の特別交付税として裏打ちしているとなれば、大変問題は別と言わざるを得ないわけでありまして、地方交付税法第十五条に、「基準財政需要額の算定方法によつては捕そくされなかった特別の財政需要があること、」、こういう規定がありますけれども、特別交付税そのものをこういう規定に多分基づいてやられているんだろうと思いますが、ある県が、はい、一億円を一合併について出しましょう、いや、うちは二億五千万円出しましょう、いや、うちは向こう五年間で五億円ですよと。こういう格好で、何ら算定根拠のないこういう金を出し、これに国が半額を見ていくというのは、これ一体、特別の需要というようにここで言う、十五条で言う特別の需要というふうに言えるのかどうか。国はどういう根拠でこれを算定できるのか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(若松謙維君) 都道府県がそれぞれの都道府県内にある市町村合併について、積極的にやっておられる知事もありますし、また消極的な方も現実にいらっしゃいます。
 しかし、総務省といたしましては、市町村合併というのは大変重要な施策と認識しておりまして、そのような市町村合併を主体的に都道府県がやっているということに対しては、これ大変支援する必要があると、そういう認識をしているところであります。
 したがいまして、現在、都道府県が自主的に交付する合併の交付金に対して、その特別交付税に関する省令、この法律に、省令に基づきまして、合併市町村を支援するための交付する額に、先ほど委員も御指摘になった〇・五、二分の一の特別交付税措置を講じているところであります。
○又市征治君 億単位のかなり大きい額ですよね。これは必要経費でなくて政策的支出ということに今お伺いをしたわけですが、悪く言えば、札束でほっぺたひっぱたくようなものだと言わざるを得ぬわけであります。
 で、今年度はまだ、県の歳出予算ベースでいいますと、全体で十四億円ぐらいというふうに聞いていますが、その半額を持つということで、国の特別交付税ベースでいうと、本年度の予算では三億七千五百万が予算化をされているんだろうと、予定されているんだろうと思いますが、来年度からは合併期間、十七年度末に掛けては、当然これは十倍とか百倍にも増えていくことになるんだろうと思うんですね。
 交付税は、あくまで地方財源の偏在をなくして均てん化するということ、つまり弱小団体でも財政的自立ができるように重点的に配分することが目的なんだろうと思うんです。そうしますと、特別交付税だってこの原則には違いはないはずだろうと思うんですが、だのに、合併しない市町村はこの分だけ配分が減らされるということになるわけですよ。そうすると、これ自身がやっぱり差別だというふうに声がやっぱりあるわけですよ。
 そしてまた、これを除いても、今申し上げた三億七千五百万を除いても、今年度の予算で言うならば、合併関連の特別交付税は三十億円余り予算措置をされているわけですが、様々な特典をばらまくという格好に今なっている。
 その上に、今申し上げたように、県のつかみ金支出、これはもう本当に、それぞれの県がばらばらでしょう。ばらばらなのに、それに半分は見ますよということですから、私、だからつかみ金と、こう申し上げているんですが、ある県は一億円だ、ある県は二億五千万だ、ある県は五億円だと、こういう格好でそれぞればらばらに交付金を出して、これに二分の一を国が特別交付税で出すんですよということになれば、大変な格差あるいは差別。こんな格好で公平を欠くということになるんじゃないでしょうか。
 そういう意味では、私は、地方交付税制度の趣旨をゆがめるものとのそしりはやっぱり免れないだろうと、こういうふうに言わざるを得ないわけでありまして、この点についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(若松謙維君) まず特別交付税でありますが、これはちょうど今月の三十一日支給される予定となっておりまして、その金額の内容が、たしか先週でしょうか、閣議決定がなされたところであります。
 御存じのように特別交付税というのは、普通交付税というのは極めて画一的な算定方法で金額が決定されておりまして、この普通交付税では捕捉されない特別の財政需要を算定の対象としておりまして、具体的には、特に新潟の豪雪、そういった、または生活バス路線の運行維持に必要な経費とか、こんな地域的な特別の財政需要を算定の対象としているところであります。
 今、委員がお触れになりました都道府県が合併を支援するということでありますが、御存じのように合併というのもやはり地域事情にかなり差がありまして、急に合併機運が盛り上がってこれは県としては支援しなければいけない、こんな正に特別な事情、そういったところを特別交付税としての算定対象としているところであります。
 そういった観点から、都道府県が、合併支援交付金に対する特別交付税措置について、都道府県の支出額の二分の一、これについて支援しているということでありまして、私は、各都道府県に共通のルールで算定しているものでありまして、公平に行わせていただいている、そのように理解しております。
○又市征治君 次に、大臣にお伺いをしたいと思いますが、先日も私、富山県の三十五市町村の例を挙げまして、市町村が分権のためには一番大事だというふうに言っているのは何といっても財源の問題、特に是非そういう意味では税財源の移譲を非常に強く求めている、これが全国の状況でもあるのではないだろうか、こんなことを申し上げさせていただきました。
 大臣は、せんだっての場合に、合併を国の財政支出削減のためなどとは毛頭考えていないと、こういう御答弁をいただいて、削ったものは国だけが助かるんじゃないんだと、そんなことを申されたわけですが、やはり是非こうした努力をしっかりやっていただきたいと思うんですが。
 せんだっても問題になりました福島県の矢祭町の例ですね、ここでもこんなふうにこの宣言の中で言われています。「矢祭町は、常に爪に火をともす思いで行財政の効率化に努力してきたが、更に自主財源の確保は勿論のこと、地方交付税についても、憲法で保障された地方自治の発展のための財源保障制度であり、その堅持に努める。 以上宣言する。」というふうに書かれておるのを見させていただきました。
 小さな町村にとっては地方交付税制度の堅持とは一体何なのか。大変、そういう意味では、段階補正が改悪されるとか、合併による需要額が切り詰められる、あるいは赤字地方債による補てん、その他現状の中でのやりくりばかりが出されてくるということに対して大変危機感を小さな町村ほど持っておられるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、大臣、改めて、この小さな自治体の言ってみれば税財源の移譲を是非強く求めたいというこういう切実な思い、もっと言うならば小さな自治体の大きな理想といいますか、こんなことについても感想を是非お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 矢祭町のお話もこの前お伺いしました。矢祭町は合併はしないと、こういう宣言をされたようですが、何か最近の情報だと、未確認でございますけれども、町民の皆さんにアンケートを取ってみると、そういうことの努力もされているようでございますが、税源の移譲は我が省の悲願でございまして、これは経済財政諮問会議その他でも強く言っておりまして、是非具体化のための道筋を作っていきたい、こういうふうに思っております。
 そこで、我々は合併推進が大きな国策と考えておりますけれども、それはあくまでも実質的な合併で、誘導はいたします、啓蒙はいたします、指導はいたしますけれども、強制はしないと、こういうことで今までもやってまいっておりまして、今後とも是非その努力を続けてまいりたいと。
 しかし、その上でもいろんな事情で合併ができない小規模な町村が残るということもあり得ると思います。その場合、そういう小規模町村の扱いにつきまして、制度的な面であるいは財政的な面でこれも併せて検討する必要があるんではなかろうかと、こういうふうに思っている次第でございます。
○又市征治君 最後に住民投票の問題について指摘をして、時間がありませんので終わりたいと思います。
 いずれにいたしましても、合併は新しい自治体を創設するということでありまして、自治の区域の変更ということになってまいります。合併に際しては、自治体の主権者である住民の自己決定権こそ尊重されなければならないし、住民投票で最終決定すべきだろうというのが我が党の考えでございます。
 今回、住民発議の合併協議会設置案件が議会で否決された場合に限って住民投票が導入をされることになっておりますけれども、しかしこれは最終段階で自治体の主権者たる住民が合併そのものの是非を判断するための住民投票とは全く異なるものであるとともに、住民から見ると、合併協議会設置後の新しい自治体づくりを行政と議会に白紙委任するものでしかないんではないのか、合併促進のための抜け道にほかならないという、こういう批判は依然として消えないわけであります。
 そういう意味で、先日も申し上げましたけれども、是非、大きな今の流れからいいますと、本当にやっぱり出口での住民投票による合併の是非を問うというこういう道も是非早急に御検討いただきたい、こんな立場で、今出されておるものについては残念ながら賛成しかねる、このことを申し上げて、私の討論を終わりたいと思います。