第154回通常国会

2002年3月26日 総務委員会








○又市征治君 社民党の又市です。
 二法案の締めくくりの質疑になりますので、大臣もお疲れでしょうけれども、締めくくり的、前向きにひとつ御答弁はあらかじめお願いを申し上げておきたいと思います。
 まず第一点目は、地方への税源移譲のスケジュールの問題についてお伺いをしてまいりますが、今回の地方税法改正は、株式譲渡益あるいは不動産取得税、特別土地保有税など資産課税関連の細々とした改正が盛り込まれておるわけですけれども、そのほとんどは資産のある人だとか企業の地方税を安くする改正案になっているというふうに思います。
 今、自治体にとって最も改善すべき税制というのは、私が過日この委員会で市町村長の地方分権、自治に関するアンケートの結果でも紹介をいたしましたけれども、国から地方への税源移譲にあると思います。このことは地方分権推進委員会も指摘をされておりますし、既に所得税プラス消費税の各一部との案も出されているわけですが、大臣もこの委員会で何度も、まずは国と地方の税源配分を当面五対五に努力すると、こう明言をされてまいりました。
 大臣の言われるこの五対五なりあるいは所得税等の一部地方移譲は今後どのようなスケジュールで取り組んでいかれようとしているのか、その決意を含めてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 何度も御答弁させていただいておりますように、当面は国からの税源移譲などによって国税と地方税の比率を一対一にすると、その際には個人住民税や地方消費税など地域の偏在の少ないそういう税を充実していくと、こういうことを言っておりますが、具体的には、経済財政諮問会議や地方分権改革推進会議で、ここで議論していくと。今まで、秋に政府税調、党税調が中心に、税制改革論議は秋ですよ。大体十月の終わりごろから始めて十二月までと、こういうことでございましたけれども、もう既に政府税調も経済財政諮問会議も、地方分権改革推進会議がちょっと遅れますけれども、いずれも税制改革の議論をスタートしておりまして、是非そういうことの中でこの税源移譲についても道筋を付けていきたいと、こういうふうに私は考えております。
○又市征治君 こういう、大臣かなり前からそういう決意を申されておるわけですが、残念ながら、今お話がありましたようにこれについて遅れてきている、あるいは今日の景気動向が大きく変わってきたという、こんなこともあって地方自治体はいろいろと自衛策を講じているんだろうと思うんです。
 その一つが東京都の金融機関に関する法人事業税への外形標準課税の導入ということだったと思いますが、今日、午後の冒頭にもこのことが出ましたけれども、これに対しては銀行業界が提訴をし、本日、その地裁の判決が出されまして東京都が敗訴をすると、こういう結果でした。
 しかし、この東京都の問題提起は、単なる一団体の問題にとどまらずに、自主財源不足に悩むすべての自治体にとって、法に基づいて自前の税収増を図るというよりは、ここ数年の税収減の食い止めを図る貴重な提議だったんだろうと思うんです。
 政府による企業への恒久減税に今日まで取り組んでこられたその影響、こういうものに加えてここ数年の法人関係税、とりわけ法人二税の大幅な減収によって、これを基幹的な税目とする都道府県は大きな減収を被ってまいりました。その原因が法人の利益のみに着目をして課税をする現行の地方税法にあるんだろうと思います。このため、今日午前中も大臣からもお話がございましたけれども、実に約七割の法人が税法上は赤字として課税をほとんど免れているという、こういう実態にあるわけですから、こうした現実を勘案すれば、本来、国が法人事業税の課税標準を外形に求めて都道府県の税収を安定をさせるように地方税法を改正をすべきであったと思いますけれども、今日も残念ながら実現をしていません。
 そこで、大臣に、一つは、東京都の銀行へのこの外形課税条例の意義と判決への感想、二つ目には、外形課税への都道府県の要望はどのようなものになっているのか、三つ目に、それを受けての旧自治省から総務省が提唱してきた全産業にわたる法人事業税の外形標準課税の考え方を改めてまとめてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) まず、東京都のいわゆる銀行税ですね、外形標準的課税ですけれども、これにつきましては、今、又市委員お話しのように、一審では事実上銀行の勝訴ですね。東京都の敗訴だと、こういうふうに思います。そういう意味で、東京都が問題提起した、外形標準課税というものを天下に知らしめた功績は私は大変あると思います。
 しかし、あれは極めて限られた銀行をねらい撃ちの税でございまして、外形標準課税の理念は広く薄くなんですよ。広く薄くみんなでと。ところが、あれは狭く狭く少なくと、こういうことでございまして、その点、政府としては閣議了解で慎重にやってくれということを言ったわけであります。それが当時の自治大臣、保利自治大臣と石原都知事が会談をしましたけれども物別れになりまして、もう後はそれでやったと。銀行側はそれに対して訴訟を起こしたと。こういうことでございまして、少し判決を丁寧に読んでみないといかぬと思いますけれども、結果としては一審はこうなりましたが、恐らく都の方は控訴されるでしょうし、これから更にそういう意味での議論は続いていくと、こう思いますし、我々はこういうことがないように、制度として外形標準課税を現実化して東京都の税もその中に吸収してしまいたいと、こういうふうに思っておりますので、判決そのもののコメントは、先ほど申し上げましたが差し控えさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
 そこで、外形標準課税についても、何度も申し上げておりますが、特に与党の税制協議会では来年度の導入を目途に行うと、こういうことを決めていただきましたし、経済財政諮問会議も、党の、党ではありません、政府の税調も、経済財政諮問会議の方は十五年を目途にでございまして、政府の税調の方は早期にでございますけれども、いずれも導入に賛成でございますので、来年度は是非これが現実に導入できるように努力してまいりたいと。
 その場合に、中身をどうするのかと。一番最初の案は、人件費課税で、リストラ課税で失業を招くという反対が強うございました。そこで、十四年度の税制改正で出した案は、資本を、資本金を中に入れると。付加価値だけじゃなくて資本金を入れると。元々半分は収益を残すんですから、残りの半分について付加価値だけじゃなくて資本金も入れると、こういう案を作りましたが、これについても賛否半ばいたしましたんで、来年度の、来年度ではありません、十五年度の税制改正については、本年度あるいは昨年度の議論も踏まえて、更に関係の皆さんが納得できるに近いような案を是非作って、関係方面の御了解も得ながら是非推進してまいりたいと、こういうふうに思っている次第であります。
○又市征治君 それでは、この外形標準課税に反対意見も随分とあると。今日の銀行側の話もそうなんですが、反対をされる方々は、当然のこととして、税負担が増える企業側の方が反対意見を述べられているということなんですけれども、増えるといってみても、東京都の例でいいましても、東京都の考え方でいえば、不況前の平均的な課税の状態に戻るにすぎないという、こういうことだったんだと思いますけれども。
 課税標準を利益ではなく外形に求める以上は、好況、不況に影響されずにほぼ一定額の税を納めるということになるわけですけれども、この原理を判決は理解をしていないのか、あるいはまた銀行側、銀行業界はあえてこれを無視しているというのか、ちょっとここら辺のところはどういうふうにお考えなのか。ちょっと下げさせてくれということなのか。その点もう一つお聞きをしておきたいのと、併せて、反対をされる意見に、一つは中小企業の税負担が重くなるという意見と、それから今ほどもちょっとございましたが、外形標準の一項目に賃金を入れるということは、支払賃金の多い企業ほど事業税が高くなり、結果として企業が労働者の賃金を抑制することにつながるからという、こういう説もあるわけですけれども、総務省としては、当然これらへの反論というふうなことか、仕組みといいますか、そこらのところを提案をされておると思うわけですが、改めて税務局長、ここら辺のところを改めて御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(瀧野欣彌君) まず、東京都の外形標準課税、銀行税等と言われている外形標準課税に対します内容についてのコメントでございますけれども、東京都の課税につきましてのコメントでございますけれども、まだ判決の内容につきまして精査しておりませんので、その内容がいかなる理由で東京都の方の実質的な敗訴になったのかということについてはコメントできるような状況にないということをまず申し上げておきたいと思います。
 私どもの方で提案しております外形標準課税につきまして、まず中小企業の負担が重くなるのではないかという点がございますが、これにつきましては、我々の方では大法人全体とそれから中小法人全体の税負担は変わらないような仕組みにしていこうという設計をしているところでまずございます。その上で、それぞれ経営基盤の脆弱な中小法人あるいは創業期のベンチャー企業というようなものについては、担税力に配慮いたしまして、例えば資本金一千万円未満の小規模の法人に対しましては年定額四万八千円を限度にするとか、あるいはベンチャー企業で草創期のものにつきましては最大六年間徴収猶予が受けられるような制度を創設するというような措置を講じることとしておるところでございます。
 また、賃金課税ではないかとか、あるいは労働者が多いところは不利になるのではないかというような議論もございます。こういったものについては、今回の案というものが付加価値というものを課税標準の中に入れているために、その中の構成要素として賃金があるためにこういう議論が出てくるわけでございますが、元々この付加価値というものにつきましては法人の生み出します広い意味での収益を全体として対象にしておるものでございまして、単純に給与そのものを課税対象にしておるわけでもございません。給与を削減いたしましても全体の付加価値額というのは変わらないということでございまして、そういう意味では中立的な性質を有する課税標準というふうに考えておるわけでございます。
 しかし、いろいろ御懸念もあるという中で、先ほど大臣の方からもお答えいたしましたとおり、更に案につきまして、資本割を入れることによりまして全体としての給与に対します課税標準全体の割合を落としていくというような工夫も加えて、御理解を得るよう努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○又市征治君 それなりに説得力のある説明だろうと思います。
 総務省としては、一歩後れたものの、先ほど来大臣からお答えいただいているように、十五年度の税制改正にこれを盛り込むというお答えでございました。しかし、これまで産業界の反対で何度も実現をしてこなかったということも現実でありまして、先ほど来の御答弁では、政府関係の経済財政諮問会議あるいは政府税調、分権推進会議、それぞれ条件はそういう格好で整いつつあるようですけれども、いずれにいたしましても、地方財政の安定化を図る立場として、是非ともこの十五年度からの外形課税の実現に向けた決意を改めてもう大臣からお願いをしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 何度も申し上げますように、地方の税は応益でなきゃいかぬと、応益が中心だと、受益に応じて負担をしてもらうと、国の方は能力に応じて負担をしてもらうと、こういうことでございまして、そういう意味から言うと、法人事業税が法人税と同じ構造というのは、やっぱりこれは考え直した方がいいと思います。その方が広く薄く公平に負担していただくようになりますし、また安定するわけですね、ずっと、外形標準の方が。
 そういう意味で、是非これを推進いたしたいと思っておりますが、今までもなかなかこれがうまくいかないのは、経済団体や中小企業団体がやっぱり反対されると、こういうことでございまして、是非こういう関係のところの理解を得たいと。何度も申し上げますけれども、税収中立で、増税するわけじゃないんです、みんなで広く薄く負担してもらうと。したがって、今負担しているところは大体安くなるんです。
 そういう意味で、何度もそのことを御理解を賜るよう努力いたしたいと、こういうように思っておりますし、一番これで利益を受けるのは都道府県なんですね。だから、知事会や都道府県議長会にもう少し頑張っていただいて、少なくとも自分の県内、都道府県内の経済団体や中小企業団体には十分な理解をしてもらうような努力を私はしてもらいたいと、こういうこともお願いしておりますし、全部総務省に任したらどうにかなると、こういうことは地方自治じゃないんですよ。知事さんや議長さんが先頭に立ってやれと、こういうことをいつも知事会やなんかで言っておりまして、是非、委員の方からも強く御要請を賜りますようにお願い申し上げます。
○又市征治君 さて、話を税源移譲のことにちょっと移したいと思いますが、総務省の出されておる資料によりますと、国の所得税から地方の個人住民税への移譲について、幾つかの条件を置いての話ですけれども、その移譲額を三兆円というふうに試算をされておるというふうに思います。
 これだけでは国と地方の税収比率は五対五までは行かないだろうと思いますが、そういう意味で改善は小さいような気がするわけですが、どのようになるのか、御説明をお願いしたいと思います。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 平成十一年度の決算ベースで見ますと、例えば三兆円の税源移譲を行った場合、国税と地方税の税収割合でございますが、国税につきましては、現行五八%程度から五五%へ低下いたしますが、地方税につきましては、現行四二から四五へ上昇するというような形になろうかと思います。
○又市征治君 少ないながらもこれが実現すれば一歩前進であることは事実であります。しかし、次の問題は、地方トータルで三兆円入るとしても、税ですから、その取るべき税源が、つまり住民税であれば比較的お金持ちの住民が偏在をしているという、こういう現実もあるわけで、市町村によっては実際の課税対象者が少ないといいますか、いないので取れないという団体も出てくるんではないかという懸念があるわけですが、その点はどうですか。
○政府参考人(瀧野欣彌君) 現在、個人住民税所得割の税率でございますが、道府県民税、市町村民税合わせまして課税所得金額が二百万円以下の場合には五%、それから二百万円超七百万円以下の部分については一〇%、七百万円を超えます部分につきましては一三%というように緩やかな累進構造となっているわけでございます。
 現在、一つの案として出ております三兆円の税源移譲の場合には、一律税率をこれを一〇%に持っていこうということでございますが、この場合、税源移譲としてオーダーが三兆円規模になると、こういうことでございます。その場合には、この七百万円超の部分は税率が一三%から一〇%に落ちるということになりますし、二百万円以下の部分につきましては五%の税率が一〇%に引き上げられると、こういうことになるわけでございます。
 で、現在の税制の下におきましては、大体納税者の六割程度はこの税率五%の所得区分のところにおるわけでございまして、その部分のところが税率が引き上げられるということでございますので、全般的な考えといたしましては、所得水準の高い地域よりも所得水準の低い、税源の少ない地域の方が、これまでの税収と比較して一定の増収効果が生じるのではないかというふうに考えております。
○又市征治君 はい、分かりました。
 それでも、これ大臣にお尋ねしたいと思いますが、府県に比べて市町村の間で税源の偏在が大きいことは変わらぬのでないかと思うんですよ。所得税から住民税への移譲による三兆円の配分は府県よりもやっぱり市町村に厚くし、今後の正に自治の担い手たる市町村が税源が乏しくてもやっぱり自立できるように配分をすべきなんだろうと、こう思います。
 もちろん、一刻も早くこの税源移譲そのものを実現するように努力を重ねてお願いをしたいと思いますが、この府県と市町村との配分についてひとつ大臣の一歩踏み込んだ見解をお願いをしたいと思うんです。
○国務大臣(片山虎之助君) 今のその三兆円というのはだれも決めた数字じゃないんですよ。今のその住民税の税率を一〇%のフラットにすれば三兆円の増収になると、こういうことでございまして、今我々が言っている五対五というのは、六兆五千億から七兆円、国から地方に税を移すということなんですよ。年によって違いますよ、今、国の税収の見込みと地方の税収の見込みは。だから、これは大変な議論でございましてね、すぐばたばたということにはなかなかならないかもしれませんけれども、何度も申し上げますように、我々としては道筋を作りたいと、こういうふうに思っております。
 そこで、委員のお尋ねの住民税も道府県民税、市町村民税とは違うではないかと。今御承知のように三対七ですね、三対七。だから、そういうことはあくまでも税源移譲で都道府県と市町村が分け合う場合にもベースになると思います、そういうことが。
 だから、それはほかの税との絡みがありますからね、そこで最終的にどうするかはこれからの議論でございまして、税源移譲、税源移譲とお題目みたいなことばっかり言っていても駄目ですからね、我々としても、具体的に何をどうしてどうするかというのをこれから検討していきたいと、こういうふうに思っております。
○又市征治君 それでは、最後になりますが、多額の地方財源不足が生じておりまして、それを賄うのに交付税特別会計からの借入れ、それでも無理で地方に特例債を求めるという、こういう方法が取られ、地方交付税制度そのものが破綻に近い状態になってきているんだというのは、私も以前からここで御指摘を申し上げましたし、各委員からもそのような懸念が表明をされてまいりました。
 ただ、法人事業税との関連でいえば、外形標準課税によって都道府県の税収について一定の安定化が実現をすれば、後は市町村の対策に課題が移るんだろうと思います。
 その限りにおいては、市町村、特に独自の税源が望めない非常に乏しい財政力の弱い市町村に重点的に配分することも一定可能になってくるんだと思います。そうすれば、段階補正の圧縮だとか、あるいは財政基盤の確立と称して特別交付税の特例操作を含めた、これ市町村の大合併の強要、こんなことも不要になるんだろうと思うんですね。これらに市町村長さんたちは非常に強く反対をなさっている、あるいは不快な思いをなさっているということは前回もこれは御紹介を申し上げたところです。
 そこで、地方分権、自治確立の観点から、国からの税源移譲で五対五を主張を強くされて、そしてまた外形課税を推進をされてまいりました大臣として、この自主財源の乏しい市町村に対して交付税で、むしろ手厚くするよう算定を改善をしていく、そういうお考えはいかがなものかとお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 我々は、何度も言いますように、二十一世紀は地方の時代、地方の時代の主役は市町村だと、こう言っております。
 ただ、市町村が今のままでいいんだ、金だけくれというんじゃ駄目ですよ。市町村がやっぱり、地方分権の担い手になるように強く大きくなろう、頑張ろう、そういう意欲を出さないと。金だけくれと、これじゃいけません。市町村がもっと強く元気に大きくなって、そこに金をやる、権限をやる、思い切って住民のために仕事をやると、こういう体制が望ましいと思っておりますから、我々はあくまでも市町村第一主義でございますから、今後とも市町村にそういうことを強く期待してまいりたいと、こう思っております。
○又市征治君 終わります。