第154回通常国会

2002年3月28日 総務委員会(1)








○又市征治君 社民党の又市です。
 提案されている改正案につきましては基本的に賛成をする立場で、なお制度改善を求める、そういう観点で幾つか質問をいたしたいと思います。
 三月の十九日の衆議院総務委員会で我が党の重野委員が指摘をいたしましたけれども、自民党議員が会長をお務めになっている軍人恩給議員協議会という団体があります。この団体の会合に恩給局長が出て説明をしたり、この会の機関誌が、片山大臣から特段の御配慮を得て云々と、こういう報道をされておるわけであります。
 団体の正当な要求活動はよいとしても、恩給受給者にはいろいろな主義主張の人がおられることは当然です。旧軍人といえども、いや、むしろ赤紙一枚で戦争に取られて御苦労なさったゆえに、なおさら戦争を憎み平和を愛する方々がたくさんおられるわけであります。したがって、くれぐれもこの恩給改善の運動が特定政党の票集めの下請機関化をしたり、これに総務省が癒着しているのではという、こういう疑念を持たれたりということのないように、まず冒頭に一言申し上げておきたいと思います。
 そこで、大臣に御質問をいたしますが、まず、恩給を裁定する機関が大臣ではなくて恩給局長となっています。先ほど来いろいろと答弁なさっていると、大臣の方が上で答弁なさっておりますが、これは単なる形式の問題ではなくて、戦前の天皇制軍国主義を支えた恩給法の上で、天皇の官吏であった局長が最終決定権者としていまだに残っているという、こういう制度なんだと思うんです。これは勲章に関する賞勲局長も同じだと思いますけれども、これは今の憲法の下で当然大臣に改められるべきものだったんですが、今日までずらずらと来ておると。
 大臣はこの問題については是正する意向のようですけれども、改めてそのことについて確認を求めたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 衆議院の総務委員会で御質問がございまして、なるほど、年金なんかは大臣なんですね、あれ戦前、戦後、制度が変わったから。恩給は大体残っちゃいましたからね、途中中断がありましても。そこで局長のままだと、こういうことなんでしょうが、まあバランスを欠いているというなら欠いているというふうに私も思うんですけれども、実はその後、そういう答弁いたしまして、いろいろ帰って検討してみましたら、現在の恩給制度はもう新規に入る人はないんですね、新規に入る人は。それから、御承知のように八十一歳でしょう。八十一歳の現行受給者は高齢化しておりますから、ここで局長を大臣に変えたら皆さん混乱するんじゃないかと思いましてね。新規に入る人はいないし、もうお年寄りですからね、あと何年かと、そんなことを言っちゃいけませんけれども、そういうことなものですから、大臣を、ここで局長を変えるのもいかがかなと。
 それから、ただ、異議申立てや審査請求の方は、異議申立ては局長なんですけれども、それに不服なら私に来るんです、審査請求は、大臣に。最終の判断者は大臣になっておりますから。まあ、ちょっとこれもはずが合わぬといえばはずが合わぬのですけれどもね。しかし、最終の判断がそこでできるということで担保されておりますから、衆議院では検討するとは言いましたけれども、検討の結果、わざわざ直す必要があるのかな、どうかなと今考えている段階でございます。
○又市征治君 いや、改めるのはやっぱりきちっと、大臣よりも局長が権限持っておるなんという格好のままのものを残しているというのは、それはおかしな話ですよ。
 そこで、この元々恩給法は一九五三年にどうも再軍備の動きの中で復活をしてきた経過があるようですけれども、戦前の名残をやっぱり引きずった、今の問題もそうですけれども、ちょっと不十分な法制だというふうに言わざるを得ぬと思います。
 それは、恩給の階級別な格差も色濃くまだまだ残っておる。召集されて、仕事を捨てて働かされたこの下級兵士と、特権的待遇をそういう意味では謳歌をしたと言っては言い過ぎかもしれませんけれども、兵士らの殺生与奪の権を振るった高級軍人が、もう戦後五十七年近くもたっても、そしてこの平和憲法の下でも、階級によって恩給の額が大きく差別をされている、こういう実態にあることは事実なんだろうと思うんです。憲法十四条の法の下の平等に反する、私はそんなふうに思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、旧軍人と遺族の全体で百四十万人、その平均が年額八十四万円とありますけれども、この下級兵士と他方の将官などの高級軍人ではどのぐらいの格差があるのか、倍率の問題でお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
 恩給は、公務員の退職当時の俸給を基礎として算定することとされておるわけでございますが、旧軍人の場合におきましては、従来から階級ごとに仮定俸給を設けまして、恩給年額計算の基礎としているところでございます。
 このように、恩給年額は公務員の退職時の条件に応じて決定されるものであり、これは文官恩給にも共通する原則でございます。
 しかしながら、旧軍人恩給における著しい階級差は必ずしも望ましいものではないことから、旧軍人恩給再出発に当たりまして、兵の階級の仮定俸給を兵長の階級に一本しましたほか、その後の仮定俸給の格差是正等においても、できるだけ下に厚く改善するよう努めてきたところでございます。
 ちなみに、兵と少将の仮定俸給年額について比較いたしますと、終戦時に十二・四倍の差があったものが、現在は四・三倍の差まで縮小されておるところでございます。
 また、階級の上下間格差を普通恩給年額について見ますと、少将の平均年額と在職期間において見合う長期在職者の最低保障額では三・〇倍、同じく少将の平均年額と最も額の低い層である実在職年六年未満の最低保障額では五・九倍となっておるところでございます。
 なお、最低保障額保障制度の導入等の措置も講ぜられておりまして、終戦時に比較いたしますと階級による差は大幅に縮小されてきておるところでございます。
 さらに、現在では、旧軍人の普通恩給受給者の八一・〇%が最低保障制度の適用を受けておりまして、同一実在職年における階級差は実質的にはほとんどなくなっております。
○又市征治君 今お答えいただいたように、言ってみれば、実在職六年未満の最低保障額が受けている方が八一%超、実際は長期、十二年以上もというのは、これは専門的なんですよね。だから、この八一%を占める人々と、今もう大将だとか中将だとかという方はもう御生存なさっていませんから少将だということなんでしょうけれども、五・九倍のやっぱり格差があるわけですよね。詰めてきたとおっしゃるけれども、私はもはや受給者はどなたも高齢になっているわけですから、正にこの生活給付的な観点に改めて、階級別を廃してフラット化すべきだと、こんなふうに思います。
 そういう意味で、今ほど縮めてきたというお話がございますけれども、更にこのことについて縮めていく、こういう考えがあるのかどうか、改めてもう一度お聞きをいたします。
○政府参考人(久山慎一君) 先ほども申し上げましたように、従来から階級差の縮小には努力してきたところでございますが、恩給年額は公務員退職当時の俸給を基礎として算定することが恩給の基本的な仕組みとなっておるところでございます。公務員退職時の条件に応じて決定されることから、旧軍人恩給についてもある程度の階級差はやむを得ないのではないかというふうに考えるところでございます。
 御指摘のように、旧軍人の階級によります格差を完全になくし、生活給としての恩給に改めることにつきましては、恩給制度の根本にかかわる事柄でもございますので、いかがなものかというふうに考えておるところでございます。
○又市征治君 全く納得できない答弁ですが、時間が余りありませんから次の質問に移り、その中で、もし大臣に今の問題についてもう少し積極的なお答えをいただければ有り難いと思います。
 最後になりますが、私はこれを特にやっぱり強調今いたしますのは、今度の国会に小泉首相が有事法制を出す、再びそういう意味では戦争もできる国にしようと、こういう動きになってきていることに大変危機感を感じるからであります。
 軍人恩給制度は、天皇の軍隊を死ぬまで働かせるためのメカニズムだったということで、敗戦後の一九四六年、いったん廃止をされたわけです。しかし、前述のように、多くのそういう意味では不十分さを引きずったまま復活をして今日に至っております。
 今また、有事法制の中で、戦闘行為に対するお金の手当てだとか、傷病に対する褒賞を一般公務員より手厚くすることで、戦争国家体制作り、こんな動きがあるわけでありますから、そういう国家を挙げての愚行を絶対繰り返してはならぬ。大臣も一番冒頭のところで、本当にもうそんな戦争があったのか、こんなことを子供たちは知らない、こういうことでお話がございますけれども、そういう点では気持ちは一緒なんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で恩給も、軍への貢献度によってではなくて、平和な生活を奪い、また労役の末に命を奪ったことに対する国家補償として、国家補償として平等に見直すべきなんだろうと、こう思うわけです。
 また、この観点から、いまだに恩給や国家的補償の対象にされていない、旧植民地出身で日本国籍を失った元兵士だとか、あるいは従軍関係者について制度を是非拡大をしていくように、是非そういう御努力をお願いしたいというふうに思うわけですけれども、このことについて大臣の御見解を承って、終わりたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 局長がるる御答弁申し上げましたように、恩給というのは、これ公務員の退職管理制度の一環だと位置付けられておりまして、そこに大変難しいところがあるんですね。
 公務員、恩給の基本的な仕組み、性格をひっくり返すようなことはなかなかできないんですが、私も階級差が大きいというのは問題だと思っています。できるだけこれを縮めていくように、基本的な性格まではなかなか、あるいは仕組みまではひっくり返りませんけれども、今後とも処遇改善の中でできるだけ階級差を実質的になくするように努力したいと思いますし、それから、国籍をなくされた方につきましては、今の制度はかなりな制度を作っておるんですけれども、これもなお改善の余地があるかどうか、研究をいたしてまいりたいと思います。
○又市征治君 終わります。