第154回通常国会

2002年4月1日 行政監視委員会








○又市征治君 社民党の又市でございます。今日は、今出ておりました営利企業等への官僚の天下りの人事院の承認から大臣承認への変更の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 初めに、公務員全体の人事を所管されています総務大臣にお伺いをいたしますけれども、最近問題になった幾つかの不祥事、一つは、薬害エイズやヤコブ病をめぐっては、薬や医療材料の認可やその取消しの引き延ばしについて、製薬会社と旧厚生省官僚との癒着が社会問題になりました。二つ目に、BSE問題では、国による買取り措置を悪用した業者の偽装による詐欺事件が起きましたけれども、この事件のさなかに、引責辞任したばかりの農水省の前次官が食肉業界団体に天下りをしようとしていたということが明らかになりました。第三に、最近、国立病院の入札に旧厚生省のOBが関与した疑惑が報道されて、坂口大臣がこの入札を全部白紙に戻すということを言明をされました。第四に、先ほども出たんですが、国税庁OBが税理士となって、課税に手心を加えるよう後輩たる税務署に圧力を掛けているんではないか、こういう疑惑の中で、莫大な顧問料を取り、しかも脱税して逮捕されるという事件もこれはございました。その背景に、国税当局の定年二年前の退職強制と顧問企業あっせんがあることも明らかになってまいりました。これは厳密に言いますと天下りではなくて癒着の問題なんでしょうけれども。
 本当にまじめに働く公務員の皆さんにとってみますと、この種の問題、もう情けないやら腹立たしいやらということなんでしょうけれども、こうした状況について、片山大臣、どういうふうに認識され、どのようにすればなくすことができるというふうにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今、又市委員から御指摘ございましたが、一番公務員に対するイメージを悪くしているのはこういう問題ですね。こういう天下りというのか癒着というのか、こういう問題は確かにそうだと思います。
 ただ、一生懸命公務員として頑張ってこられた方の退職管理をしっかりちゃんとしたものにするということは、また同時に公務員の処遇の問題として私は必要だと思っておりますが。
 昨年の十二月に、公務員制度改革大綱で、天下り問題についてはルールをきちっとしようと、こういうことになりまして、余り押し付けたり、予算やるからおまえこれ採れとか、うちの方の許認可権があるからこれどうだとか、こういうことをやったり、特殊法人なり認可法人で席がいつも空いていまして、そこへしゅっしゅっと入れるような、こういうことはやめようということで、適正なルールを作ろうと。こういうことでございまして、あの大綱でおおよそのことを決めましたので、今後は適正な再就職のルールを内閣府、石原大臣のところ等とも相談しながら、きちっと確立していくことが政府全体にとっての大きな課題ではなかろうかと、こういうふうに思っております。
○又市征治君 私は、これらの問題は単に個人のモラルの問題だけではなくて、様々なやっぱり権限を持つ省庁と業界の癒着であり、それを天下りの官僚OBが仲立ちをしているというこんな構造、こういうことが実は問題なんだろうと、こう思うんです。
 今ほどもお話ございましたけれども、石原大臣は、この公務員制度改革の中で、これを根絶することに努力をされているわけでしょうけれども、たまたま先ほども出たわけですが、一応各省庁から独立した機関である人事院でこれらの問題についても事前にチェックをしている。しかし、これさえも極めて不十分だったということがあるんだろうと思うんですけれども、これをやめて各省庁の大臣による承認制に切り替えようというのが出ているわけですけれども、これではますます官僚の、事実上、大臣の名前に基づいて、実際は官僚のお手盛りが進む。こういうことは非常に私は懸念をいたしますし、この点は大綱が出されたときにマスコミからも指摘をされました。先ほどからも同僚議員の皆さんからも御指摘があるわけですが、改めて石原大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(石原伸晃君) 又市委員の御指摘はもっともだと思います。先ほど同僚の田名部委員の御指摘のとおり、一昨年四十人だった天下りが人事院の事前審査でさえも六十九人になっていると。国民の皆さん方の批判に真摯にこたえられるために、片山大臣も御答弁されましたように、厳正なルールを作るということと、その天下り状況を情報公開するということによって抑制するということがこの問題に対する一つの回答だと思っております。
 ただ、一点、先ほども議論になったんですが、いわゆる大臣承認にするからいわゆるお手盛りになるんじゃないかというような批判、御指摘をいただいているわけですが、先ほども御紹介させていただきましたように、大綱の中で、内閣は、承認案件について人事管理者から報告を受けるとともに、大臣から報告を受けるとともに、各府省における承認制度の運用について必要な総合調整を行うと、内閣でこの問題については責任を持っていくということを明示させていただいておりますし、承認基準も政令で作りますし、さらには人事院も引き続いて重要な役割を担っていただくということで、承認基準が本当に合っているのか合っていないかというような意見も言っていただいたり、承認事務の実施状況についておかしいところがあれば改善勧告も出していただく。さらに、委員が御指摘されておりますいわゆる営利企業への再就職については、片山大臣御答弁されましたように、予算持っていってやるとか権限持っていってやるとか補助金持っていってやるというようなことがないように行為規制を設けるという、そしてその行為規制に違反したときは刑事罰まで今度は設けるといったような二重三重の仕組みを組ませていただいているところでございます。
○又市征治君 そこで、そういう努力はもちろん必要だと思うんですが、そこで、大臣承認制の場合のこの承認の基準やあるいは結果の公表の内容はもう固まったんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 営利企業への再就職に関する承認基準と承認案件の公表について具体的にはというような御質問でございますけれども、承認基準については、不承認とすべき権限・予算関係を明確に列挙、限定列挙していかなければならないと思います。これがポジティブリストになるのかネガティブリストになるのかというところはまだ詰まっておりませんけれども、ミックスした形で、こういうものはいけない、ああいうものはいいというような形で書かせていただきますし、人事管理権者が行う承認審査において統一的で客観的な判断の下に運用が適正になされるような仕組みも確保していかないと絵にかいたもちになってしまうと思っておりますし、また、この公表ということは非常に私はかなりの抑止力になると思うんですけれども、すべての承認案件について、承認基準に合っているか合っていないかを明示するために再就職者及び再就職先に関する情報をすべて公開させていただきたいと思っております。
 具体的な内容については、もう少し、現在検討中でございますので、この段階では明確には申し上げることができませんが、いずれにいたしましても、委員の御指摘に沿ってかなり厳格なものを作り、厳格に運用させていただきたいと思っております。
 公表のところで今言えますことは、本省の課長さんあるいはその下の企画官に担当する方の再就職状況についてのお名前、退職されたときの年齢、あるいはその何々局何々参事官、何々課長といったような官職、そして再就職先の名称及び業務内容、再就職先での役職等を公表しようということはもう既に、先週でございますけれども、各府省で申し合わせて、この申合せに基づいて今年じゅうから、今年から、今日が新年度でございますので今年度から先行して行おうと、情報公開の方は先行して行わせていただきたいと考えております。
○又市征治君 今のお話をお聞きしていますと、大変御努力はされておるようですけれども、どうもまだ承認の基準だとかこうしたものが決まっていない、そういう中でまず大臣承認制ありきという、こんな感じを受けるわけで、どうも逆ではないかという気がしてなりません。だから、逆の意味で、大臣承認に名をかりて官僚のお手盛りが進むんじゃないか、こういう格好で皆さんがおっしゃるわけでありますから。この点、特に農水省の前次官の例なんて、こんな典型的な、こんなばかなことがついこの間起こっているわけですから。そういうことです。
 先ほども出ましたが、私、そもそも、公務員はやっぱり六十歳定年なんですから、六十歳定年まで在職を保障した上で、その上でこの天下りの原則禁止をする、このことが大事だと思うんですね、原則禁止。ただ、どうしても技術的な問題だとかそういうことで天下りをというか、言ってみれば再就職が必要な場合のチェックを、そういう意味では官と業との癒着のおそれなどをこれは独立した機関で厳しくやっぱりチェックをしていく、こういうことが必要ではないか。
 私の場合は、それはさっき続委員もお話ございましたけれども、人事院がその面の機能を強化をして行うべきではないか、こんなふうに思っているわけですが、大臣の方は、いや、内閣でというお話ですけれども、そこらは固まったんでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) これも先ほど御同僚の続委員の御質疑の中で御議論をさせていただいた点でございますが、今、委員御指摘されましたような農林省の前の次官の方の天下りは、現行制度の中で大臣の目に届かない形で行われました。そういうものを是正していくためにこの天下り全体のルールを変えていく。もちろん、天下りを根絶していくためには公務員の皆さん方に定年まで限りなくいていただけるような仕組みを整備していくということは重要であると私も認識をしているところでございます。
○又市征治君 時間がありませんので、その後少し突っ込みたかったんですが、総務省の方に幾つかお尋ねをしたいと思います。
 さて、総務省もまた自治体等への出向、派遣、そして公的法人や民間への天下りもあるわけであります。この二年間のこうした天下りの状況はどうなっておるのか。また、自治体等への出向、派遣の総人数はどのぐらいあるのか。加えて、総務省、全体を把握されていますから、全省庁から地方公共団体等への出向の数は幾らなのか、総数だけひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(畠中誠二郎君) まず、総務省の課長職以上で退職しました職員の再就職状況でございますが、平成十二年、具体的には平成十一年の八月から一年間でございますが、合計で四十五名でございます。平成十三年、これは具体的には平成十二年八月から一年間でございますが、これは合計で三十七名でございます。
 次に、地方公共団体への出向者の状況でございますが、平成十三年八月現在、去年の八月現在でございますが、合計で二百七十一名となっております。
 また、最後のお尋ねの国から地方公共団体への出向者の数でございますが、これも去年の八月現在でございますが、総計で千六百六人というふうになっております。
 以上でございます。
○又市征治君 今お聞きのとおり、ほとんどすべての府県や主な市町村の重要ポスト、これ総務省から出向者が握っている。現職からの出向、派遣ですから、これも、総務省は人材、経験の交流だというふうにおっしゃるわけですけれども、地方の側はそう見ていないわけでありまして、天下りだと、こう受け止めているわけです。ましてや、最後にお聞きをした点でいえば、千六百六人も国から地方へ行っているというのは、付け家老ですよ、これ、昔で言うと。ちょっとひどいんじゃないか、こうだれもが思っているんだろうと思うんです。
 自治体のそういう意味では支配だ、介入だというふうに、こういう批判も受けているわけでありまして、大綱でおっしゃっているやはり押し付け的な再就職の部類、いや、これは人事交流だと大臣はおっしゃるんでしょうけれども、そういう意味では地方の側はそうなかなか受け取らない。定数管理の面からいっても非常に私は問題があるんではないか。一体全体、総務省の定数というのは何ぼなんだ。こういう格好でちょっと分からなくなってしまっている。こういうこともあると思うんです。
 そういう意味で、大臣、非常に地方分権の時代ということを強調なさり、地方自治を育てる、こういう立場でおっしゃっているわけですけれども、この点見直すお考えはないのかどうか、最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 今の説明で、正確でないんですよ。警察が四百人おるんですよ。警察本部がある。これは、本部長だとか上の、刑事部長、刑事部長は少ないかもしれない、警務部長というのは国家公務員が行くようになっているんですよ。それまで入れていますから、四百人引いてください。
 それから、土木部長だとか衛生部長というのは、これは技術屋さんなんですね。地方でなかなか採れませんから是非来てくださいと、こういうあれでございまして、私どもの方は事務屋が中心でございますけれども、最近は情報関係多いんですが、事務屋が中心ですけれども、これはうちから押し付けることは一切ありませんよ。向こうから是非人をよこしてくれというときは出して、できるだけ交流で向こうからも採るようにしています。
 総務省の今定数は三十万四千人ですから。自治省時代は、自治省のころはそれは六、七百ですから、自治省のあれから比べるとそうなんですが、交流はいろんな、プラスもマイナスもあるんですね。だから、できるだけプラスのあるような交流をこれから考えたい。それから、片道だけじゃなくてできるだけ往復にいたしたい、ポストは固定化しない、こういうふうに考えておりますので、是非、又市委員の心配のないような国と地方の人事交流を推進してまいります。
○又市征治君 時間が参りましたので終わりますが、大変この天下り問題、大きな問題でありますし、この委員会で引き続きまた論議をさせていただきたいと思います。
 終わります。