第154回通常国会

2002年4月8日 行政監視委員会








○又市征治君 社民党の又市でございます。
 前回に引き続きまして、公務員制度改革大綱に含まれる天下りの大臣承認制の問題についてただしたいと思います。
 三月の二十七日に出された人事院の十三年度の営利企業への就職の承認に関する年次報告によれば、前年度四十一件であった人事院の直接承認という基準に該当する事例、つまり高級官僚から関連する業界への天下りが十三年度は七十件に増えております。一・七倍ということになるんでしょう。これについて人事院はどのように認識をされておりますか。
○政府特別補佐人(中島忠能君) 退職管理と申しますのは、先生よく御存じのように、それぞれの組織の職員の在職実態、そして退職管理の在り方というのが深くかかわってまいりますので、一概に断定できませんけれども、このように増えた原因というのを私たちなりに分析してみますと、一つは、やはりここ五、六年来、各省庁に呼び掛けまして、前年度よりも再就職者が増えないようにひとつ退職管理をお願いしたいということを要請してまいりました。その結果、徐々に減少いたしまして、平成十二年の再就職件数というのが、今、先生がおっしゃいましたように四十件ということに相なったわけでございます。しかし、実はそういうふうに各省庁に呼び掛けるというのは法律上の根拠が別段あるわけでございませんので、いろいろな意見が出てまいりまして、平成十三年におきましては特段そういう要請、呼び掛けというものを行わずに自然体でひとつ臨んでみようじゃないかということで自然体で臨んだところが、今、先生がおっしゃいましたような件数になったということでございます。
 もう一つは、やはり昨年の一月に省庁再編というのが行われまして、平成十二年一杯というのは各省庁が人事を凍結するというところが非常に多うございました。したがいまして、平成十二年はかなり再就職件数が少なかったわけでございますけれども、その平成十二年の少ない分が平成十三年に出てきたという要素もあろうかというふうに思います。
 いずれにいたしましても、こういうふうに人数が増えたということは、この問題についてのいろいろな要因というかいろいろな議論というものをそこに呼び起こすだろうと。そして、国会で広く議論していただきまして、これからの再就職の在り方について各省庁、また私たちも認識を深めていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
○又市征治君 今言われた理由、二つあるわけですが、この一つ目の理由は実に不届きな話ではありますけれども、まあさもありなんとも思えます。しかし、この二つ目の理由はちょっと納得がいかないんですね。
 というのは、この同じ報告書で、高級官僚より基準の緩い人事院から各府省への権限委任等による承認、まあこれは例えて言えば行政職(一)表でいうと中級以下の、つまり大体係長以下の職員ということになるでしょう。これの民間への再就職ですが、こちらの方は十二年の八百二件が十三年は八百二十七件、まあ横ばいと、こういうことだと思うんですけれども、今言われた二つ目の理由、つまり人事院が天下り自粛要請をしなかったのをよいことにして各省がこの高級官僚の問題をどっと出してきたというのがどうも最大の理由だというふうに思われませんですか、人事院。
○政府特別補佐人(中島忠能君) そういう見方というのも、成り立たないことはないというか、成り立つかも分かりませんですね。そこは少し、もう少し落ち着いて分析してみる必要があるかなというふうに思います。
○又市征治君 今申し上げたのは民間企業への天下りの数字ですけれども、高級官僚に関して言えば、これより大規模でまた国民の批判が強いのは公的法人への天下りだと思います。
 一例を総務省について伺いたいと思いますが、総務省と経済産業省共管で所管をする公益法人で、財団法人日本データ通信協会というのがございますね。この法人は、このたび総務委員会の委員長提案の形で議員立法として提案をされておりますいわゆる迷惑メール法案に関連して、この法律が成立した場合は、事業者に対する指導、助言、調査をする立場の指定法人になることがおおむね予定をされているわけです。
 この法人の理事長の履歴、あるいは主なこの法人の事業、国との金銭的な関係、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○副大臣(佐田玄一郎君) 先生も御存じのとおり、今はもうブロードバンド時代になりまして、そういう中におきまして非常に問題も多く出てきておるわけであります。その中の一つにいわゆる迷惑メール、これがあるわけでありまして、これはもうすべての方々がこれはなくなればいいと、こういうふうに思っていることでありまして、これは今もお話がありましたように、委員長提案によりまして議員立法が参議院で可決をされております。早くこれはなくしていかなくちゃいけないと。
 そういう中におきまして、今、先生が御指摘ありました日本データ通信協会の組織でありますけれども、この中において、当然これは迷惑メールを受けた方が大臣に申し出るわけでありますけれども、その中の事務的なことをやっていくという組織かと思うんでありますけれども、これは申請によって行われますので、今のところはまだ、これは法案も衆議院で通っておりませんから、そういう意味におきましては、申請をし、そして認定をするものでありますから、今のところまだ決まっておりません。
 また、理事長につきましては、谷公士理事長でありまして、この方は前の郵政省の事務次官をされていた方であります。
 以上です。
○又市征治君 私も調べてみましたが、今おっしゃったとおり、旧郵政省の外郭団体というふうに言っていいんだろうと思います。次官という第一級のポストにおられた方がここの理事長ということで、政府からの委託費が平成十二年の決算で一億三百九十九万、事業収入の九%を占めている。こういうことなんですが、申し上げたいのは、今のは一例ですけれども、新しい分野で法律を作るたびに指定法人が増えるとか、法人そのものが新設されないまでも、重ねて指定法人になることで国からの委託が増えて天下りポストが保障されていくという実態があるんだろうと、このように思うわけです。
 行革大臣にお伺いをいたしますけれども、行政改革本部が三月二十八日に行政委託型公益法人の改革実施計画を決められました。公益法人に独占させていた五十三の検査・検定業務のうち三十二を何らかの形で開放するというふうにされております。中にはかりんとうだとかたくあんまで公益法人が格付をしていたという例が述べられていますが、こういう仕組みが独占的な料金設定であるとか、あるいは天下りの温存につながっていたのだろうと思います。
 そこで、この行革本部の二十八日の計画の趣旨、そこから見て、新たにこうした個別立法を制定する際に指定法人を指定するという制度は、この行革の趣旨に明らかに逆行しないですか。この辺のところを見解をお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員御指摘のその指定法人が日本データ通信協会を指しての御質問でございますと、実は議員立法で提出されたものでございますから、政府側からその......
○又市征治君 一般論、一般論。
○国務大臣(石原伸晃君) 一般論ですか。
 その法案を指して言うんであるならばコメントは差し控えさせていただきたいと思っておったんですが、一般論として言うならば、今、委員の御指摘のように、要するに指定法人をたくさん作って、そこにこの例でありました旧郵政省の次官の方が公益法人ですけれども天下っていると、しかも委託が一億数百万円あるみたいなことは、やはりこれからは慎んでいかなければならないというふうに考えております。
○又市征治君 新たな社会問題が生じて法律が必要だというのは良いことでございまして、我が党も、先ほど佐田副大臣からもお話がございましたように、この迷惑メール法案については賛成をいたしました。しかし、それを種にして指定法人制が拡大をするとか、あるいは強化をされていくという、そしてまたその幹部が天下りだ、委託費も更に流れるということはこれは別問題でございますから、今、石原大臣の見解をしっかり受け止めておきたいと思うんですが、これは、そういう問題は行政の民主化にも逆行するんだろうと、こう思うんです。
 さて、そこでこうして対民間と対公益法人の天下りを並べてみますと、対民間については一応法的規制がある。そして、これが国家公務員法の第百三条であり、これを受けて人事院規則の一四―四で承認の基準を定めて人事院が実施をしている。したがって、一人一人について詳しい前歴と再就職先の企業との取引関係の有無など審査の結果を公表しているわけですけれども、これがついせんだって発表されたこの人事院の報告書なんだろうと思いますけれども、高級官僚から公益法人への天下りについても同じであるべきだというふうに思うわけです、私は。こちらは法律はなくて、単に政府の中央省庁等改革推進本部の決定にすぎない、こんな格好になっている。そして、発表はしているけれども、前歴と再就職先との関係が明記をされていない、あるいは審査したわけでもない。しかも、各省がそれぞれ自分で出しておるわけで、人事院のような第三者のチェックも受けていない。こんな格好になっていると認識しています。
 そこで、人事院総裁に二つの点をお伺いをしたいと思うんですが、行政改革と言うなら、この際、対公益法人についても対民間企業と同レベルの規制を法制化をすべきではないのかというふうに私は思うんですが、つまり法律で明記することと第三者、例えば人事院によるこういう承認制というものを取っていくということが必要なんではないのか。
 二つ目に、また前回も述べましたけれども、政府は公務員制度改革大綱でこれとは逆に民間への天下りさえも各省大臣の承認制に緩めようとしておる、こういう中身になっているわけですが、各省大臣を内閣官房にという話もございますけれども、これを変えてみたところで私は同じだろうと思います。
 これは同僚議員の皆さん方からもこれは幾つか御指摘があるわけでありまして、総裁はこの問題についてさきの総務委員会でこう言っておられます。天下りをさせる側のトップが天下りの最終的な審査権を持つというのは制度としては不都合だ。また、どうしても内部委任、官僚が天下りを審査するという実態になりがちでございますので、やはり大臣承認制というのには多くの問題がある。これはすべてのマスコミが批判しておりますし、非常に多くの評論家もそういう指摘をしております。そして、十二月二十五日の大綱が出ました後も同じような論調でございます。
 こんなふうに人事院総裁、述べられておるわけですけれども、私どもはこれに全く同感なわけでございます。これを踏まえて、再度人事院総裁としての御意見を伺いたいと思います。
○政府特別補佐人(中島忠能君) 今、先生がお話しになりました考え方と考え方は変わっておりません。そのように現在も考えております。
 私たちがそのように考えましたその理由というのは、かねがね多くの方が言っておられるように、総理大臣とか官房長官という官邸の方の考えが幹部公務員に浸透する、そのような仕組みというのを作っていく必要があるんじゃないかということをかなりの識者がそのように言っております。したがいまして、退職管理というものを官邸が責任持って直接おやりになるというのは、私は行政改革、政治改革の一歩前進だというふうにやっぱり認識した方がいいだろうというふうに考えておるわけでございます。
 それから、公益法人の問題につきましては、これは民主党、社民党、自由党というのが別に法案出しておられますし、公明党もかつてそういう法案を出されましたので、恐らくこれから国会で議論がいろいろなされるだろうというふうに思います。その議論の際に、私たちの考え方もまた述べさせていただく機会が与えられるだろうというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○又市征治君 終わります。