第154回通常国会

2002年5月21日 総務委員会








○又市征治君 社民党の又市です。
 まず、本件に入る前に地方自治の現状を少し言いますと、ただでさえ職員定数の削減が続いて、それによって賄えない業務量を臨時職員などによって補うことが一般化をして、職場の中には身分や勤務形態の違う労働者が混在をする、こういう矛盾が今生み出されています。
   〔委員長退席、理事景山俊太郎君着席〕
 つまり、今の地方公務員の採用や定数の問題は、住民のサービスの原点を忘れて、財源難を理由にして人員削減人員削減、こんな格好で、総務省の様々資料でも出されているように毎年人員が削減をされていく、仕事はどんどん増えていく、こういう状況にあるわけですね。
 こうした状況の上に、今回の法案では、公募試験によらずに情実や利権やあるいは政治的な任用の入りがちな個別選考で、最大五年間、一般職公務員として任期付職員を採用して、しかも人によっては国家公務員指定職十二号、先ほども出ましたが、月額最高で百三十七万五千円という高給も払うことができると、こういうわけですから、たとえそれが最終的に個別自治体の選択であり、条例で定められるとしても、ただでさえ定数削減で混乱している地方自治体の現状に更に混乱や利権などを持ち込むおそれがちょっとやっぱりぬぐい切れない、こういう面が私はまだあると思うんです。
 そこで、幾つかお尋ねをしてまいりますけれども、先ほど、従来の顧問だとかあるいは参与などの特別職では守秘義務や兼業禁止を適用できないから、今回、一般職の任期付職員の採用をするんだと、こういうふうに述べられておりますね。しかし、実際問題として、一般職にすればこうした規定は本当にこの人に適用できるのかどうか、ちょっと疑問なわけです。
 先ほどの総務省側の例示によれば、この人たちは、例えば弁護士や公認会計士さん、任期付公務員になる直前と直後は御自分の経営体の利害を代表しているわけですね。あるいはまた、システムエンジニアやイベント屋さんにしても、任期を終えて帰ればその自治体と取引関係のあり得る企業のポストに戻るわけですから、住民の個人データなどというのは論外としましても、その企業が自治体から次の契約受注を取るための行政内部の情報や決定前の秘密を独占的に持ち帰ることができる可能性が私はあると思うわけですね。
 こうした意味で、この新制度がたとえ形式上守秘義務があっても実質的に利権や癒着につながる可能性は非常に高いんではないかと思うんですが、これはどういうふうに防止されているのか、そこをまずお伺いします。
○政府参考人(荒木慶司君) お答えいたします。
 この法案によります任期付職員の採用に伴います民間企業との癒着などについての御懸念の点についてのお尋ねでございますが、この任期付職員は、あくまでもその個人の有する専門的な知識経験などを一定期間、これは最長でも五年となっておりますが、活用する目的で採用されるものでありまして、採用後は一般の職員と同様に地方公務員法の適用の対象になりまして、守秘義務でありますとか営利企業などへの従事制限といった服務の規定の適用を受けるものでございます。特に守秘義務の違反につきましては、これは公務を退職した後におきましても罰則をもって規制がされているところでございます。
 また、地方公共団体との、企業との関係という点で申し上げれば、仮にそういった企業から、発注先になるような企業からこういった職員を採用するということは現実には余りあり得ないと思いますが、仮にそういった形態があるにしましても、入札の、地方公共団体の契約関係につきましては入札制度等で、あるいは他の法の制度に基づきまして適正な運営が確保されるようになっておりますし、現実の運用上、地方公共団体が民間からの職員の方を、民間の企業から専門の方を採用した場合に、その方の配置等に当たりましては、当然、任命権者におきましてはその出身企業に対する、これも現実にそういうおそれがある場合ということでございますが、出身企業に対する行政権限の行使等にかかわるようなセクションにはやはり配置をしないというようなことも十分配慮する必要があろうかと。
 いずれにしましても、再三申し上げておりますように、この制度が健全な新たな制度として運用される上では公正な人事が、採用が行われるということが極めて大事でありまして、そのためにも議会での審議あるいは住民への情報公開等を通じた住民からの監視というような、そういったことを通じまして各地方団体において適切に対応がなされていくものと考えているところでございます。
   〔理事景山俊太郎君退席、委員長着席〕
○又市征治君 どうも私の質問の答えになっていないんですが、守秘義務があるからと。守秘義務は漏らしちゃならないのであって、自分が持っている分、自分がそれを利用する分、これ禁止になっていないじゃないですか。そのことを私、実は聞いているし、その点が大変に疑問だと、こう言っているわけです。
 そこで、もう少し具体的に例を挙げてお聞きをいたしますけれども、都市部における小泉流改革の目玉として、都市再生法など関連法案が先月一気に可決、成立をいたしました。この中で、民間企業が都市計画を提案したり土地収用の権限まで持つことも認めているわけですね。言わば自治体の町づくりの権限を丸ごと営利企業に譲り渡すこともできるわけですが。
 そこで、本法案との関連で申し上げますと、Aというゼネコン業者がこうした都市計画事業の提案から請負までやろうとしたと仮定をします。その準備として、五年ぐらい前から、その重役B氏や代理人としての設計コンサルタントのC氏や弁護士などの専門家をこの任期付職員として送り込んだら一体どういうことになるのか。ここで、実は首長がA社と結託して長期計画の策定を打ち上げて、その中心メンバーとしてB氏やC氏を一本釣りで採用するといった形式を取るとした場合、その結果、この自治体の計画は策定する前からA社に丸投げで、町づくりは企業の食い物になる、市民の権利や財産の利益は大きく損なわれることになるんじゃないですか。
 このような癒着を禁ずる仕組みはこの法案であるのかどうかということをさっきも聞いているわけで、そこの点、もう一度お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(荒木慶司君) 具体の事例を挙げてのお尋ねでございましたが、先ほども申しましたように、この法に基づきまして採用された任期付職員につきましては、まず基本的には地公法によります守秘義務が課せられるということで、当然、罰則の規定もありまして、規制がされるということになります。
 また、今具体の事例のお話がございましたが、仮にそのような具体的な事業を前提に地方団体内部で種々の検討が行われているというような際に、その発注の相手方になるような企業から職員を採用するというようなことは現実にはやはり避けるべきであろうと。
 具体的にはどんなケースがあるかあれですが、やはり地方公共団体の行政の執行が住民の目から見て、これは住民の目といいますか、当然公正に行われることが必要でございますので、そういった特定の企業とつながる形で進められるようなことを前提にこの制度が活用されるようなことはあってはならないと思いますし、当然そういったことについては議会でありますとか住民からのチェックというものも十分働くと思いますし、それ以前に、やはり任命権者であります首長の方が法令に基づいてそういったことを行わないようにしていただくというのは当然のことでありますので、そういったことはないように、これはこの制度の話というよりも地方行政一般の話としまして、当然そういったことはないように行政執行していただくことが肝要であろうと考えております。
○又市征治君 ですから、せんだってからも相も変わらず政治家とそういう業者と、あるいは自治体まで巻き込んで口利き疑惑だの何だ、たくさん起こっているわけですよね。だから、こういう制度を、それだけに専門的な人を採用しようということがそんなことに利用されないような仕組みに仕上げていかないといけない、このことを実は申し上げているわけで、そこのところはちょっとどうもあいまいなまま、大変に私は、だから危惧がぬぐい切れないと、こう申し上げているわけです。
 そこで、人事院総裁にもおいでいただいていますから、人事院側からも少しお願いをしたいと思いますが、一年半前に成立をした国家公務員の任期付制度について人事院側からお答えをいただきたいと思います。
 既に一部先ほどもお答えいただいているわけですが、一つ目は、まず制定のときの衆参両院で官民癒着についての附帯決議が付いておるわけですけれども、この点について是非、私もそのときはまだおりませんでしたので是非御紹介をいただき、御趣旨もお伺いしておきたいと、こう思います。
 二つ目に、先ほども出ましたが、各省から任期付採用の承認申請が幾つも出てきたということで、人事院の承認した件は七十数件というふうにお聞きをいたしましたけれども、どういう、これ営利企業などでいいますと、どんなところなどから来ておるのか、そこら大まかにお聞かせをいただきたい。それと、これ以外に、事前の相談でそれはまずいんじゃないのかということで取りやめにしたとか承認しなかったとかという件があるのかどうか。
 それから三つ目に、これは非常に重要な点ですが、先ほど来から申し上げている、こうした癒着などというものを防止するためにという意味でお聞きをするんですが、任期付職員にも国家公務員法の百三条第二項の私企業からの隔離が適用されるので、密接な関係にある営利企業の職に就くことはできないというふうに私は思うんですけれども、この点についてももう少し御説明をいただきたいと思います。
○政府特別補佐人(中島忠能君) 四つ質問があったと思います。
 第一番目は附帯決議の話ですが、その附帯決議で官民癒着の防止ということを、そういう批判を受けないように適用しなさいというのがございます。その附帯決議を受けまして、人事院の方では人事院規則を定め、また通達を出しまして、その癒着防止のためのいろいろな措置を講じております。
 例えて言いますと、任期付で採用する前にその方がどういう業務を担当しておったかと、その業務に関連するところには受け入れないように各省庁に指導していくと。また、任期が終えてそれぞれの企業にお帰りになるときに、公務の世界で担当しておった業務と関連のある業務に民間企業に帰ってからお就きにならないように気を付けていただくというようなことをそれぞれの省庁にお話しいたしまして、それぞれの省庁はこの附帯決議の趣旨に従って現在過ちのないように運用していただいておるというふうに考えております。
 それから第二番目の、どのような企業から来ておるのかということにつきましては後ほど担当の局長からお答えいたしますが、第三番目の、今まで勤務先との関係において密接な関連があるということについて承認しなかったケースがあるのかというお尋ねでございますが、そういうケースはございません。この附帯決議の趣旨というのを各省庁がよく理解しておられまして、その理解の下に運用していただいておるということだと思います。
 第四番目の、国家公務員法の百三条の二項との関連でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、公務の世界で担当された業務、その業務に関連のあるようなセクションに民間企業の方にお帰りになってからお就きにならないということで、この百三条の二項の趣旨を体現しておると、そういう運用をしておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○政府参考人(石橋伊都男君) 本年の五月一日までに七十七名の方が任期付で来ておられますが、専門的知識という面で見ますと、弁護士の方、公認会計士の方が圧倒的に多うございます。
 民間企業からの例でございますけれども、ITというような関係でNTTの方が知識を内閣官房で御活用になっておられるというようなケースもございますし、例えば電力会社の方が内閣府で御活躍になっておるというようなケースもございまして、民間企業の方は、今、総裁が申しましたように、業務執行に疑念のないようなポストで御活躍いただいておるというふうに承知しております。
○又市征治君 はい、ありがとうございました。
 今の人事院総裁から最後の方にお答え、四番目に私質問したことについてお答えがありましたけれども、つまり簡単に言うと、国家公務員の退職後を規定しているわけでありまして、任期付職員にも適用されるので密接な企業への復職はできないと、こういうことになるんだと思うんですね。したがって、元の企業への復職を前提とする限りは公務員への採用も難しいと、むしろそんなふうに言っていいのだろうと思うんです。このように国家公務員の場合は、言ってみれば、営利企業からの身分の出入りというのは一定の歯止めが掛かっている、こういうふうに思います。
 そこで、最後に総括的に総務大臣にお尋ねをしたいわけですけれども、今申し上げた国家公務員の方は百三条二項があるので、こういう言ってみれば一定の歯止めが掛かっている。ところが、地方公務員の方にはこれに該当する条項はないわけですね。ないわけです。先ほど出たように、守秘義務ぐらいの話しかない。ですから、ここのところは、やはり本当にこういうものをきちっと歯止めをしていくためには地方公務員法も改正を検討をやっぱりされるべきではないのか、こんなふうに思います。
 それから、先ほど来から同僚議員から何回も出ておりますけれども、やはり、地方人事委員会がありますけれども、これそのものは首長の権力に比べて独立性は極めて弱いし、まして今度の任期付職員は一本釣りですから首長のやっぱり思いのままになるおそれが強い。辛うじて今度の任期付職員の採用は人事委員会の承認が必要だとはいえ、大部分の市町村には公平委員会しかないのでそれすらも適用されない、こういう状況になっているわけでありますから、やはり人事委員会の権能を強めて採用を公平にする、こういう必要がある。
 先ほども出ているわけですけれども、やはり、例えばこの人事委員会が置いてないところであっても、多くのところは置いてないわけですから、県の人事委員会にこういう採用試験を委託をするとか、あるいは一部事務組合を作って人事委員会を置くとか、こうした改善策を早急に検討をすべきでないかと、こんなふうに思いますし、先ほど大臣もその旨お答えになっているわけですけれども、改めてこうした、地方分権の時代なわけですから、人事委員会制度、今人事院からいろいろなお話ございましたけれども、もう少しそういう権能が持てるような、現状のままでもいろんな工夫ができるのではないかと思うんでして、そうした点の改善に含めても二つ目にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君) 国家公務員法百三条二項ですか、の関係ですが、地方公務員の場合には早期勧奨退職じゃありませんね。大体、今六十歳定年制ですけれども、五十九ぐらいまでいっていますよ、ほとんど。だから一年早いか遅いかで、国家公務員の場合にはかなり早い時期から肩をたたいて辞めさせますから、そこで現実に第二の就職先で天下り等を含めて問題になるので、地方団体の場合にはそこが少し違うなと、こう思いますし、それから地方にはびっくりするような大変な営利企業や特殊法人ありませんから、その辺でも、まあ癒着のおそれがないわけじゃないけれども、程度は大分違うと、こういうことで恐らく百三条の二項的なものが地方公務員法にはないんだと思いますよ。
 ただ、今回も、だからかなり委員が言われたのは極端なケースで、制度というのはすべてのものをある程度カバーせにゃいかぬといっても、これは限度がありますから、それは、極端なことをやった首長は必ず次の選挙で落ちますよ。落ちなけりゃ、住民の方がおかしいんでね。だから、そういう意味では、住民のチェックだとか議会のチェックというのがあるんで、私は、そこの御心配はそれほどあるのかなと、こう思いますけれども。
 いずれにせよ、今の退職管理の問題等につきましても実態を調べまして、必要ならいろんなことを研究してまいりたいと思いますし、人事委員会の機能の強化や公平委員会の在り方については、研究会の御報告もありますし、いろんな今までの経緯もありますんで、御趣旨は十分体して、我々としてもいろいろ検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
○又市征治君 終わります。