第154回通常国会

2002年6月28日
政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会







○又市征治君 社民党の又市です。
 本日が第一回目でありますから、今日は私設秘書及び近親者のあっせん収賄問題に絞って質疑をいたしたいと思います。
 私たち野党四党の案が、首長及び地方議員の実質的な秘書も含めること、また政治活動に携わっていなくても近親者は含めることとしているのに対して、与党案はこの二者を含めていないことは、依然として私たちと大きな違いだろうと思うんです。
 そこで、私はまず、なぜ与党が私設秘書を含めるというように主張を変えられたのか、改めてお伺いをしたいと思います。
 二年前、与党がこれに反対した理由の中で、公明党の久保提案者から、私設秘書は国会議員との関係の程度が個々様々であるので一律に処罰の対象とすることは不適当であるという御主張がございました。今回、その考えを変更なさったわけでありますので、私設秘書といえども議員の権限を分担、補佐している以上公的な性格が非常に強いのだから、その行うあっせん利得を処罰をする、こういうお立場になったということになりますね。その限りで、政治活動を補佐するのであれば、そのあっせん利得は一律に罰することになりますが、それでよろしいというお考えなんだろうと思うんですが、二年前の御答弁との関係で公明党に、公明党提案者にお伺いをしたいと思います。
○衆議院議員(西博義君) 公明党独自の方針をお述べしたわけではないと思うんですが、たまたま公明党の方から御答弁申し上げておりますので、私がお答えさせていただきます。
 私設秘書といっても、例えば公設秘書と同様に、議員の政治活動を補佐するということにつきましては先ほどからずっと議論があるところでございます。その内容としましては様々でございます。事務所の受付業務を行っている人もいますし、会計を行っている人、さらには運転手という形で私設秘書の役割を負っている人など、その範囲は確かに様々であると、こう認識しております。私どもも、この私設秘書を入れるということに関して十数回の議論をしてまいりましたけれども、実態的には誠に様々だなということを感じたわけでございます。久保提案者の国会議員との関係が個々様々であるというこの答弁は、そのようなことを念頭にお述べになったのではないかというふうに考えております。
 本法の改正案を作るに当たって、「衆議院議員又は参議院議員に使用される者で当該衆議院議員又は当該参議院議員の政治活動を補佐するもの」、先ほど先生がおっしゃったとおりで、補佐するもののみを議員秘書あっせん利得罪の犯罪主体と、こういうふうにいたしたものでございまして、国会議員との関係が個々様々である私設秘書すべてを一律に処罰の対象にしたのではないということについては変わりはないと、こう考えております。
○又市征治君 お言葉ですが、あっせん利得を得るほどの実権のある者はもはや単純な事務補助だけの者とは言えないんですから、そもそも二年前の御答弁がいかがかと、こう言わざるを得ません。
 そのことだけ申し上げて先に進みますけれども、二年前に久保提案者が言われた、私設秘書が国会議員との関係の程度が個々様々だという現象は、私設秘書を多数抱えることが可能だから起きるんだろうと思うんです。その中には集金専門の人もいるようでありまして、それは、その議員が党や政府の要職に就いていたり、地元や業界に絶大な実権、利権を持っているからだろうと思うんです。そしてまた、それによって正規あるいは不正規の政治資金が豊富に入ってきて多数の秘書を雇う、あるいは企業が私設秘書を給与付きで派遣をしてくれる。何と、政治資金規制の任にある片山総務大臣がそうだと、こう今報道されているわけですね。
 そこで、少し具体例を出してお伺いをしてまいりますけれども、先ほども出ました、我が参議院にとっては誠に不名誉なことですけれども、前議長の元私設秘書が六千四百万円と言われる汚職で逮捕をされました。これは前議長の地元鎌ケ谷市の公共工事に絡むあっせん収賄であることは御承知のとおりであります。この野崎容疑者は、前議長の選挙の運動員を務めていたが、この事件では、前政策秘書の半田容疑者と役割分担をして、実質的に議長の代理人として鎌ケ谷市役所に出入りをし、市の幹部と密接な関係を続けていたと報じられているわけです。
 そこでお伺いをいたしますけれども、今回の与党案では、その他政治活動を補佐するものが追加されたわけですが、この実質的私設秘書、野崎容疑者についてはあっせん利得罪が成立をするというふうにお考えなのかどうか。もちろん、与党のこの法律案が施行されて以後の事件だということで仮定をしてお答えをいただきたいと思います。同じことについて野党案の場合はどういうふうになるのか、野党側から御答弁をいただきたいと思います。
○衆議院議員(西博義君) きっかけが久保議員ということで、私が代わってお答えさせていただきます。関連でございますので。
 先生御存じのように、今回の改正は、あくまでも公設秘書が犯罪の中核であるということを前提に、その関連で、「政治活動を補佐するもの」という公選法の定義を使いまして、私設秘書もその範囲に加えるということになったわけでございます。
 その政治活動を補佐するものというのが、個々具体の、先ほどの参議院議長の事例でどうかと、こうおっしゃられますんですが、確かに、私もちょっとそういうお話がございましたので調べさせていただきました。名刺を持っていたとかそういう記事が載っておりましたが、個々具体の問題につきましては、このあっせん利得処罰法に私設秘書を入れたということのみで今回の野崎元秘書でしょうか、その適用がなるかどうかということは一概には言えない、どちらとも言えないというふうに考えておりまして、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○委員以外の議員(大脇雅子君) 御指摘の事案が改正後のあっせん利得処罰法で処罰対象になるか否かにつきましては、当該事件の事実関係及び全証拠を厳密に検討することが必要であり、報道等で伝えられた内容をもって法的判断を申し上げるということは非常に難しいと思います。
 しかし、野党案に基づく考え方を述べさせていただけば、次のように考えます。
 野崎一雄容疑者、三鈴建設の役員は、井上前議長の私設秘書として正式には登録されていませんが、前議長の選挙運動員をするなど、事実上の私設秘書として、既に逮捕されている元政策秘書の半田容疑者の代わりに鎌ケ谷市役所に頻繁に出入りしていたということであります。
 この場合、したがいまして、「公職にある者に使用される者で当該公職にある者の政治活動を補佐するもの」という本案の私設秘書の定義に該当することになると解釈されます。
 一方、与党案によりますと、現行法に犯罪主体として国会議員の私設秘書を加えようとしておりますが、「その権限に基づく影響力を行使して」という内容のあいまいなものを構成要件とするとともに、請託という立証が著しく困難な要件を構成要件としておりまして、また、対象の職務を契約の締結とか行政庁の処分に限定しているから、したがいまして実際の適用においては著しく実効性に欠けると。したがって、御指摘のケースには有効に働かないのではないかというふうに考えます。
 野党案は、与党案のようなその権限に基づく影響力を行使して、及び請託それから構成要件におきますあっせん内容を公務員の職務全般に拡大しておりますし、第三者供与を処罰するという、しているのでございますから、正に御指摘のケースにおいて実効性を十分発揮すると考えられます。
○又市征治君 分かりました。
 与党案では一概に答えられない。つまり、適用されないことがある、抜け道が多いということでありますし、そこをふさぐことに野党案の優越性がある、こういうことなんだろうと思います。
 では、政治活動を補佐していない親族の場合はどうかということについてお伺いしてまいります。実は、相手から見れば全く親族も同じでありまして、あっせんを依頼する価値は大いにあるんではないか、こう思われます。
 そこで、これも具体の例を挙げて申し上げますが、横須賀市にあったコンステレーションというコンサルタント会社、週刊誌で報道された直後の昨年七月に解散をしましたけれども、この会社は日立金属などの企業から九九年から二〇〇一年に掛けて毎年一千万円前後のコンサルタント収入を得ています。しかし、会社所在地は社長の自宅という実体のないペーパーカンパニーですから、代表単身での小規模なブローカーまがいの業務内容であり、コンサルタント料といっても実質上口利き料、仲介料に等しい状況だと、これは民間の調査機関のコメントであります。
 例えば、二〇〇〇年にあった同市の舟倉ポンプ場という下水処理設備の入札について見ると、予定価格五千六百五十万円よりわずか百五十万円安の、的中率九七・三%という神業でこの日立金属が落札をしています。そして、情報の授受があったことは両当事者、つまり日立も小泉正也氏もともに認めているわけであります。鈴木宗男事件同様、入札妨害か、あっせん利得の疑いは極めて濃厚なわけであります。以上のことについては、サンデー毎日、週刊現代、赤旗等で実は報道をされております。
 ここまで申し上げますと、皆さんもう思い出していただいたと思いますが、この社長小泉正也氏はほかならぬ小泉総理の実弟でございまして、横須賀市は言うまでもなく小泉総理の選挙区であります。
 そこで、二つの法案に戻りますけれども、一般に、国会議員の政治活動を補佐していない親族、例えば兄弟姉妹がこうしたあっせん利得を得ることについて適用されるかどうか、議員の親族であることを町のだれもが知っているような、地元選挙区内の公共工事についてであります。
 まず、これについて野党からお伺いをしたいと思います。
○委員以外の議員(大脇雅子君) 野党案であります本法案の保護法益は、公職にある者の廉潔性及びこれに対する国民の信頼、被あっせん公務員が行う公務の公正さに対する国民の信頼であります。ですから、これらの法益を害するおそれがある者に対して厳しく対処すべきということは国民の要請であろうと思います。
 大変残念なことですが、日本の政治風土におきましては政治家と近接度、すなわち近さ、結び付きを背景にしたいわゆる隠然たる影響力というものが実効力を持つということが現状でありまして、著しく法益が害されるおそれがあります。したがいまして、最もこの影響力を行使し得る立場にある秘書全般及び親族を対象とすべき者と判断したものでございまして、親族だからといって無限定に法の適用対象とするものではありません。
 しかしながら、町じゅうがだれもが知っている人、すなわち総理の実弟小泉正也氏の行為についてでございますが、コンサル料というより、実質上口利き料、仲介料に等しい状況と言われております。入札価格の九七・三%の的中率、あるいは当事者間での情報授受を認めているということなどから、正に本法案は、親族の立場をもって特定の者に利益を得させる目的であっせんしその見返りとして賄賂を得た者に適用されるということから、小泉氏のケースは当然本法案の対象になるものと考えられます。
○又市征治君 野党側のお考えはお聞きのとおりでありますが、与党案ではどうなるのかということをお伺いをしてまいります。
 議員の政治活動の補佐をしていてもいなくても、親族だからということで、相手は無言のうちに議員を意識をしてあっせんを依頼してきたり、逆に受け入れたりする。そうやってあっせん利得を得る立場にあるという点で、親族は議員と同等の政治倫理上の責任がある、あるいは付いて回るということだろうと思うんです。
 親族にも拡大をすべきだ、こういうふうに御修正をされるお気持ちはないのかどうか、改めてお聞きをしておきたいと思います。
○衆議院議員(西川太一郎君) お答えを申し上げます。
 現行法において国会議員の親族は独立の犯罪主体とされてはおりません。今回の与党案はこの点について変更を加えるものではございません。したがいまして、国会議員の親族につきましては、衆議院議員又は参議院議員に使用される者で当該衆議院議員又は当該参議院議員の政治活動を補佐するもの、これは公設、私設を問わず、こういう立場に該当する場合は別といたしまして、それが独立の犯罪主体として本法の適用対象になるということはないわけでございます。
 本法の罪につきましては、国会議員の親族に対象範囲を拡大すべきであるという御趣旨の又市先生のお尋ねでございます、御主張でございますが、本法の罪は、公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性とこれに対する国民の信頼の回復というものを保護しようとするものでございまして、このためには、国会議員の私設秘書に適用範囲を拡大することで十分である、更に国会議員の親族にこれを拡大いたしますということは適当でない、こう考えているわけでございます。
 親族を処罰対象に含めるべきであるとするお立場は、先生御主張のようなお立場は、国会議員等の公職にある者の政治活動に全く関与しておらず、公職にある者本人の持つ影響力を借用して行使し得ない親族まで処罰の対象にするという反面、例えば後援会の役員のように、親族以外であり、公職にある者の影響力を借用して行使し得る立場にある者すべてを本法は処罰の対象にはしていないわけでございますから、要するに公職にある者本人の持つ影響力を借用して行使し得るか否かということにかかわらず、親族という身分にあることのみを理由に犯罪主体にすることというのは妥当でない。したがって、親族を犯罪主体に加えるということは、修正する意思はないというふうに御答弁を申し上げる次第であります。
○又市征治君 実は今、小泉正也さんの場合はこれについて適用されるかどうかということをお伺いもしたんですが、そこのところは御答弁がございませんでした。後ほどお願いしたいと思いますが。
 実は、この小泉正也さんは小泉総理の私設秘書という肩書も持っているそうですから、野党案の親族という条項によらなくても、与党案でも十分に身分上該当するんだろうと思います。ただ、先ほども紹介したように、正也氏御本人は週刊誌にこういうふうに答えておられるわけで、かぎ括弧付きでありますが、「おれは別に総理でもないから説明責任を果たすことないじゃん、企業のことなんだから」と、こう答えています。つまり、彼の場合は、秘書という肩書を使ってはいるが、自分では企業としての純粋な経済活動だというふうに言いたいようであります。
 そこを与党の皆さんが故意に強調して、私人の経済活動だから、たとえ議員の兄弟姉妹でも権限に関係はないと、職業選択の自由だとすり替えられるんであれば、そういう姿勢だということで伺っておくしかないんですが、ただ、それだけ与党案には抜け穴があると、国民にそういう意味で明らかになるんではないのか、こういうことを思うわけでありまして、是非、先ほどの小泉さんのお答えがございましたら、答えていただければと思います。
○衆議院議員(西川太一郎君) 週刊誌の報道又は政党機関紙の報道につきまして、私ども十分にその事実関係を承知しておりませんので、こうした場で公式にお答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 しかし、くどいようでありますが、私どもは、親族であっても、それが当該衆議院議員、参議院議員に使用されている者であれば十分に適用できるわけでございます。
 具体的な例を申して恐縮でありますが、私の愚息などは、先ほどどなた様かのお話がありましたが、父親が至らぬせいでございますか、政治を全く嫌っておりまして、近くには住んでおりますけれども、全く、選挙は一生懸命手伝ってくれますが、それ以外のことはやっておりません。
 こういうような、別の職業を持ってきちっと暮らしておる者に政治家の家に生まれたからといって投網を掛けるようにやるというのは、刑法で言うところの謙抑主義という、もっと、何といいますか、優しい気持ちで立法をするべきではないかと、後ほど専門家の佐藤先生にしかられるかもしれませんが、私はそのように思っておりますことを付け加えさせていただきたいと思います。
○又市征治君 終わります。
 ありがとうございました。