第154回通常国会

2002年7月17日
政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会







○又市征治君 社民党の又市です。
 せんだってこの場所で、予算委員会でも御指摘申し上げたんですが、小泉内閣が、今国会冒頭の所信表明以来、重要法案と位置付けてこられたいわゆる有事法制、私に言わせれば憲法違反の戦争準備法制と、こう言わざるを得ませんが、国民の総反撃を食らって今衆議院でとんざをしています。
 そのとんざをした要因の大きな一つに、先ほど来からも出ておりますけれども、今国会中に、議員辞職勧告決議にもかかわらずまだ議員にしがみついておる鈴木宗男さん、あるいは辞職をされた加藤紘一元自民党幹事長、さらに我が参議院の議長であった井上さん、その上に駄目押し的に最近の宮路副大臣まで、政治と金の問題が噴出してきた、こういうことがやっぱり背景にあると思うんです。
 現行あっせん利得処罰法のできた二年前、与党側は、審議のさなかに私設秘書が融資に関する口利き事件で逮捕されたにもかかわらず、最後まで私設秘書を含めることを実は拒否をされました。与党の理屈はわずか二年にして現実に追い越されてしまった、こう言わざるを得ぬのだと思うんです。だというのに、なおまだ与党の皆さんはまた小出しの改正でしのごうとされている。
 そこで、今日は観点変えて、法務省からおいでいただいていますが、刑事局長にお伺いをいたしますけれども、あなた方の先輩である最高検検事出身の土本さん、せんだって、ここの参考人としておいでいただきました。当時からこの処罰法の積極論者でありまして、雑誌論文で、議員立法で議員が自らを律する以上、大胆に広く浅く立法すべきだ、こういうふうに実は指摘をされておられたわけです。土本さんは今回もこの場所で、朝令暮改は提案する議員の皆さん、みっともないですよ、簡単に言えばこんなふうに忠告をされ批判もされているわけです。
 法を運用していく責任のある法務省にそういう意味では伺うわけですが、今から当時を振り返ってみますと、あのときの狭い立法は国民の期待にこたえたことになったと言えるのかどうか、率直な感想を述べてほしいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) あっせん利得処罰法は、ただいま委員の御指摘のとおり、政治公務員の政治活動の廉潔性の維持と、そういう観点から議員の御提案によって成立したものでありまして、その際、この犯罪の主体としてどういう範囲を含めるべきかということについては様々な観点からの御議論がなされ、その結果として現在の主体に限られたというものと承知しております。
 しかし、その後様々なことが起こったことから、この国会におきまして改正案が御審議されているということでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、政治公務員にかかわります政治活動の在り方と、こういうふうな問題でございますので、法務当局としてはその議論を見守りますとともに、捜査機関におきましては国会において定められたところに従いその適切な運用に努めていくものと考えております。
○又市征治君 そうおっしゃるんですが、第三者供賄罪だって、衆参両院の附帯決議が付いたのに刑法本体の改正は全然進んでいないわけですよね。怠慢だと言わざるを得ぬと思うんですよ。国民の倫理観の向上に合わせて変えていくことに、法務省もやっぱり私は責任があると思うんですよ。
 そこで、次に移りますが、参考人質疑の結果、三つの重要な点、つまり、一つは首長や自治体議員の秘書への拡大の問題、二つ目は「権限に基づく影響力を行使して」というなくもがなの限定句の削除、それから三つ目は政党支部を始めとする第三者供賄の追加と、この三点についてはどの参考人からもほぼ賛意が示されたわけです。
 このうち第一の点、つまり首長、自治体議員の秘書への拡大について法務省に伺いますけれども、さきの参議院前議長、井上さんの疑惑では、その地元である鎌ケ谷市の皆川市長が収賄を認めているわけですね。その代理である私的な人物が仕切ってあっせんをしておった。野崎さんという方ですが、彼は正にそういう格好で、参議院議長秘書の肩書はあるんですけれども、日常はむしろ市役所に入り浸りで、市長室長とも懇意であり、市長の選挙も手伝っていた。つまり、市長側の政治活動の補助をする者、こういう格好にあったということはもう法務省もお調べのことだろうと思いますけれども、言わば市長室長が公設秘書に相当して、この野崎さんは私設秘書に相当する、こういうことだろうと思います。
 与党側が今おっしゃる、公設秘書がいないから私設に広げることはできないというのは、土本参考人も、これはもう論理矛盾だ、こういうふうにずばりおっしゃっているわけですけれども、この例について法務省としての見方をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま御指摘のありました例につきましては、前参議院議長の元政策秘書らから賄賂を収受したとの事実で、元千葉県鎌ケ谷市長及び犯行当時市長公室長でありました元助役を公判請求して、現在審理中でございます。
 法務当局といたしまして、秘書の法令上の一般的な定義ということを申し上げるという立場ではございませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、この法案につきましては、政治活動に対する信頼の確保という観点を踏まえながら、どのような範囲で処罰をすることが適切かということを様々な観点から国会において議論されているものと承知しておりまして、その範囲は国会において御判断されるべきことと存じますので、法務当局としてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
○又市征治君 いや、論理矛盾にならないかと、こう聞いているんですよ。立法するのはそれはもちろんここなんですよ。だけれども、私が聞いているのは、公設秘書がいないから私設にも広げるべきではないということで言われているけれども、これは論理矛盾だというふうに思わないか、法律家としてのあなたに聞いているんですが、お答えになりませんか。
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほども申し上げましたとおり、どのような範囲でその処罰範囲を定めるかということについては様々な角度からの議論が必要なものと考えておりまして、私どもとしてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
○又市征治君 ある程度の限界があることは分かった上でお呼びしたんですが、ちょっと余りにもひどいですね。
 時間の関係で次に移りますが、最後に残ったこの議員の兄弟姉妹等の親族の問題です。
 これらも地元選挙区の公共工事であっせん利得を得ているケースが幾つかあるということで、私もせんだって一番冒頭には名前を挙げたんですが、その後余り、ぼかして言っておりますが、これもまた刑事局長に聞くと名前を挙げるとまた話は進みませんから、例えば、著名な国会議員の弟が選挙区内の神奈川の自治体を相手にコンサルタント業をやっておって、公共事業を落札させて成功報酬を得ていたということがこれ明らかになっているわけですね。幾ら本人が、いや、全くの経済活動なんだと、こう言い逃れをしましても、周りは、つまり業者も自治体側も、あの政治家の弟だからという理由で頼んだり応じたり実際はしておる、あるいはしておった、こういうことがはっきりしているわけですね。
 仮に政治家本人は知らないとしても、親族が彼の影響を勝手に行使をしてあっせん利得を得ることは、このように可能なわけです。
 これは、一体、現行法では処罰をできるんですか、その点をお伺いをします。
○政府参考人(古田佑紀君) ただいまお尋ねの件につきましては、ある様々な仮定を置いて考えなければならない問題ということになろうかと思いますけれども、端的に申し上げますれば、現在の刑法の賄賂罪あるいはあっせん利得罪、これの共犯というふうに認定できる場合には処罰は可能でございます。
○又市征治君 私もここの場で参考人質疑あるいは一般質疑含めて三回やってまいりましたけれども、今具体的なそういう例を幾つか挙げてお話もさせていただいてまいりました。しかし、残念ながら、今、司法当局そのものが、こういう具体的な例を挙げても残念ながら答えれない、あるいは、困っているんだろうと思うんですね、現実問題としては、実際上は。
 だから、そういう意味で、あの土本参考人がずばりそのものを見事に言い当てられたように、広く浅く網を掛けてそのままやるべきだ、こういう格好で言われて、そのことをやれば、今具体的に挙げたようなこういうケースも、だれが考えても国民の側は、もうこんなことは犯罪だ、こう見ている、こういう状況になっているんだと思うんですよね。
 ですから、結局はこれでは、国民の信頼はこのような法案では回復はできないんではないか、国民の政治倫理観というのは与党の皆さんがお出しになった法案よりもずっと進んだところへ来てしまっているんではないか。そういう意味では、この与党案のレベルでは、もうすぐに歴史の審判に堪えれなくなってしまう、いや、むしろ堪えれなくなってしまっている、こういうことになっているんだろうと思うんです。
 そういう意味で、是非、改めてこの、幾らかでも改正をする御意思が全くおありにならないのか、これで万全だというお考えなのか、最後に提案者側筆頭に改めてお聞きをしておきたいと思います。
○衆議院議員(保利耕輔君) 法律というのは、憲法を見ても分かりますように、改正論議というのは今起こってきているわけであります。ですから、未来永劫ともこの法律を変えないということは私も言う自信はありません。
 しかし、私どもは、党の組織、そしてまた与党三党の中で議論に議論を重ねましてこういう提案をしてまいりましたので、九項目についての修正要求、さらにまた、江田議員との話の中では三項目に絞って何とか検討できないかというお話もございましたが、申し訳ないけれども私どもで本当に時間を掛けて議論をした結果であるのでということで、失礼をさせていただきました。
 今回の法律改正によりまして国会議員の私設秘書についてこの網が掛かるということでございますから、大きな効果が期待されるであろうということは私も申し上げることができると思います。
 さらに、この国会におきます、特に参議院におきまして非常に濃密な御議論をしていただいたことが国民各位にあまねく知れ渡って、いわゆるあっせんということを国会議員に頼んではいけないのだというムードが国民の中にできてくることを私は大きく期待をいたしているところであります。
○又市征治君 本当に残念でしようがありません。今お話がありましたように、せっかく参考人までこの参議院では招致をして、そしてそれに絞って論議も深めていって、かなりそういう意味では共通項ができたなと、こう思うんですが、国会議員の私設秘書のみの拡大と、こんなところでとどまってしまって、先ほども申し上げましたけれども、もう歴史に堪えれるどころか現実にもはや堪えれないという、こういう中身になっている。やっぱり野党案でないと、これはそういうものについて本当に網が掛けれなくなってしまっている、こんなことが明らかになったんだろうと思います。
 そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(沓掛哲男君) 他に御発言もないようですから、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(衆第一六号)の質疑は終局したものと認めます。
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○委員長(沓掛哲男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大江康弘君が委員を辞任され、その補欠として平野貞夫君が選任されました。
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○委員長(沓掛哲男君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○池口修次君 私は、民主党・新緑風会を代表し、野党四会派共同提案の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に対し賛成し、与党共同提案の同改正案は、その余りにも不十分な内容から反対する討論を行います。
 そもそも現行法が審議された一昨年の第百五十回国会において、我々は、与党案は抜け道が多く、法の実効が期し難いことを厳しく指摘しました。しかし、与党はあえて世論からも抜け道だらけのざる法と厳しく批判される法制定を行いました。
 しかし、その後も政治と金をめぐる事件、疑惑が後を絶たず、公設、私設を問わず、秘書による公共事業等への口利きの不祥事が相次いで発覚し、我々参議院の長までが議員辞職する事態となりました。図らずも我々の主張の正しさが証明されたわけで、与党各党は猛省と国民への謝罪を行うべきであります。
 にもかかわらず、委員会質疑においても与党は、第百五十回国会で繰り返していた、罪刑法定主義に反するので私設秘書は対象にできないとの詭弁を撤回することもなく、今回、自らの改正案に私設秘書を加えることの自己矛盾、それも国会議員の私設秘書に限定するという不合理、いずれも論理的な説明がなし得ておらず、到底国民の理解を得られるものではありません。
 また、与党の改正案は、我々野党が改正案で示しているその他の様々な抜け道をふさぐ手だてには一切手を付けておりません。
 我々が野党案をもって強く主張していることは、一つに、処罰の対象に政治家全般の私設秘書を含めること、二つに、処罰の対象に政治家の親族を加えること、三つに、請託を要件から削除すること、四つに、「権限に基づく影響力を行使して」という構成要件を削除すること、五つに、公務員の職務全般を対象とすること、六つに、第三者に供与させる場合も処罰すること、七つに、要求、約束も処罰の対象とすること、八つに、報酬の範囲を拡大すること、九つに、第六条「適用上の注意」を削除することであります。
 この中でも、参考人質疑においてすべての参考人が、一つ、国会議員に限らず政治家全般の私設秘書も対象に加えること、二点目に、「権限に基づく影響力を行使して」という構成要件は削除すること、三つに、第三者に供与させる場合も処罰することで完全に一致をしました。
 我々は、委員会がお呼びした参考人各位の一致した御意見を重く受け止め、この三点に絞った修正を与党に呼び掛けてまいりました。にもかかわらず、与党はこれらの一切を拒否しました。これは、参考人各位を全くないがしろにする行為であり、参考人をお呼びした当委員会、そして国会の議論の在り方を愚弄する暴挙にほかなりません。できるだけ抜け道を残しておきたいという与党の相も変わらぬ、そしてなりふり構わぬ醜悪な姿を国民は決して見逃すことはありません。
 国民の政治不信は今や極限に達しております。正に口利き政治との決別こそ強く求められているのであります。国民の信は我が野党案にあることは自明の理であります。
 このことを最後に申し上げ、野党案に賛成し、余りに不十分な与党案には反対する討論を終わります。
○木村仁君 私は、自由民主党・保守党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました自由民主党、公明党及び保守党三党共同提案の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院送付)に賛成の立場から討論を行います。
 申し上げるまでもなく、政治は国民の信頼を得なければ成り立ちません。ところが、最近、政治に対する国民の信頼を裏切る行為が相次ぎ、国民の間に重大な政治不信を招いていることは極めて残念なことであります。国民の政治に対する信頼を取り戻すことこそ、私どもが今、真っ先になさなければならないことであります。
 このような中で、国民の不信に対する信頼回復の第一歩として、与野党がともにいわゆるあっせん利得処罰法の改正法案を提出し、良識の府と言われる参議院において精力的な審議を行ったことは極めて有意義なことと考えられます。
 今回の、与党三党提案に係る本法律案は、議員秘書あっせん利得罪の犯罪主体に、その実態に着目して、公設秘書のほか、衆議院又は参議院議員に使用されている者で政治活動を補佐する者、すなわちいわゆる国会議員の私設秘書を追加することとしておりますが、これは、最近の政治的不祥事事件において、いわゆる私設秘書が大きな役割を果たしてきたことにかんがみ適切な措置であるとともに、構成要件の明確性の観点からも十分な検討を経たものであり、その他、国外犯の規定の整備、施行期日等についても妥当なものであります。
 これに対し、この際、あっせん利得罪の犯罪主体を大幅に拡大し、構成要件をほぼ全面的に緩和することによって処罰の可能性を高めようとするいわゆる野党案が提出されたところでありますが、この野党案には、法案の基本的な理念及び政治活動の自由に対する配慮の点で問題があることを指摘しなければなりません。
 そもそもあっせん利得処罰法は、主権者たる国民から国政等に関する権能を信託された代表である公職にある者は、自らの良心と責任感とを持って政治活動を行わなければならないという観点から、公職にある者の政治活動の性質に着目して構成されており、その保護法益を公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性及びこれに対する国民の信頼といたしております。この罪は、公務員の職務自体の性質に着目し構成されている刑法の賄賂罪とはその趣旨を根本的に異にしているのであります。
 これに対し、いわゆる野党案は、財産上の利益という文言を賄賂と改めるなど、刑法の保護法益との関係があいまいになるおそれもあり、本罪の法的性格、位置付けの点において疑問を抱かざるを得ません。
 また、そもそも、私ども政治家は、国民や住民の声を政治に反映させることこそが通常の政治活動として何よりも基本的な職務であります。そのためには、国政、地方議会を問わず、一切のものに束縛されない自由な政治活動が十分に保障されていなければなりません。この点、野党案のように構成要件を過度に緩めることは、自由な政治活動の保障という憲法上の要請との関係で調和の取れたものと言えるかどうか、非常に疑わしいものであります。
 このことは、本委員会の審議における三人の参考人の方々の意見陳述においても、野党の要求された九項目の検討項目のうち、参考人全員が明確に賛意を表したものが少なかったことからもうかがわれるところであります。
 以上、本法律案に対する賛意を表明し、本法律案の成立こそが国民の政治に対する信頼回復の第一歩であることを申し上げまして、私の討論を終わります。
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案、野党四党案に賛成の立場から与党案に反対の討論を行います。
 本来、本法律の目的は、政治公務員が特定の利益を得させる目的を持ってあっせん行為をする、その対価として利益を得ることを処罰し、政治に対する国民の信頼の回復を図るものです。それゆえに、目的を達成できるような形で構成要件を少なくして実効性を高めることが求められています。
 本改正案に反対する理由は、与党案が処罰の対象に国会議員の私設秘書を加えたのみで、請託など様々な障害を設けて実効性のないものになっている現行法の欠陥をほぼ全面的に残すものとなっているからであります。
 とりわけ以下の三点は、参考人がそろって指摘した点でもあり、本委員会の質疑でも明らかになりました。
 第一は、第三者供与の問題です。現行法では政党支部など第三者が見返りを得る第三者供与の処罰規定がないため、口利きによる対価を政党支部が献金として受け取った場合、口利きをした政治家や秘書は処罰されません。政党支部が口利きの対価としての利益の受皿になることは明々白々です。
 第二は、権限に基づく影響力の行使の問題です。地方自治体等の公共事業に対する国会議員の秘書の口利き事件が発覚し、参議院議長が辞任をしましたが、本法を適用するには、自治体の補助金を削る、関連法案に反対するなどの圧力が立証されなければならないという重大な障害を持っています。
 第三は、地方議員など政治的公務員の私設秘書に処罰の対象を拡大することです。公設秘書と私設秘書とでは実態的に区別が付かないことを理由に私設秘書を処罰の対象に取り込んだ以上、地方の私設秘書を除外する理由は全くありません。実態としても、地方政治では公設秘書がいない分、私設秘書の役割が重大となっています。
 以上で反対討論を終わります。
○広野ただし君 私は、自由党・無所属の会、国会改革連絡会を代表して、ただいま議題となっております自民、公明、保守党三党共同提案の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。
 今日ほど政治と金、政治家と金の問題が国民の政治不信を増大させているときはありません。元自民党の鈴木宗男衆議院議員、加藤紘一元自民党幹事長、井上裕元参議院議長等、本人又は秘書の口利き、あっせん行為の疑惑や逮捕が相次いでいます。口利きビジネスなどとやゆされる始末です。
 政治家は、高度な倫理観、正義感に基づき、国民全体の立場に立って職務を遂行すべきであります。
 そもそも、現行法が審議された一昨年の百五十回国会で、我々野党は抜け道だらけの欠陥法だと厳しく指摘しました。我々が強く主張した私設秘書も対象に含める案も拒否された経緯があります。
 その後、公設、私設を問わず口利きの不祥事が相次ぎ、マスコミが騒ぎ立てると、今回のように国会議員の私設秘書に限って対象に追加するという、与党は誠に場当たり的、無原則、無責任な対応を取っています。朝令暮改的な法律の制定では、国民の政治不信は解消しません。
 また、これまでの審議で明らかになったように、与党案では、首長、地方議員の私設秘書は対象外になっている。さらに、犯罪の構成要件に「その権限に基づく影響力を行使して」という文言があるため、抜け道が多くなる。また、第三者供与の処罰規定が明記されていないため、脱法行為がしやすいなど、多くの問題点があります。
 このことは、最高検元検事や法律学者などの参考人がひとしく指摘したところであり、野党案に比べ与党案は実効性の乏しい、ざる法とも言うべき法案であります。我々野党は、この法律の実効性を高めるため、与党と修正協議を行いましたが、結局、与党は大事な修正に応じませんでした。
 このことは、自民、公明、保守の与党、そして政府は、口では政治腐敗の防止を格好よく言うものの、根本では、政治と金の問題について真っ正面から厳しく断固たる決意で取り組むのではなく、国民の批判が強いので適当にお茶を濁しておこう、甘いがまあまあで抜け道を残しておくという態度だと言わざるを得ません。
 こういう行為は、国民の信頼を裏切り、結局、国民の政治不信をますます増大させることになる。そして、その責任は重大だと強調して、私、広野ただしの討論を終わります。
 ありがとうございました。
○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりましたあっせん利得処罰法改正案につきまして、与党案に反対の立場で討論を行います。
 鈴木宗男議員、加藤紘一前議員を始めとする政治と金の問題に象徴されるように、今国会ほど不祥事や疑惑、失政が噴出したことはかつてなかったのではないでしょうか。
 にもかかわらず、小泉内閣と与党三党は、自らの保身にきゅうきゅうとするばかりで、責任の所在を明らかにしないばかりか、ことごとくふたをし、国民の政治不信を増幅させた、その責任は極めて重いと言わざるを得ません。
 一昨年秋の中尾元建設大臣の逮捕を受けてようやく法制化に乗り出した際、野党側は、大物政治家の金庫番に私設秘書が多く、ダーティーな裏の仕事はむしろ私設にやらせている事例が多いことから、私設秘書を対象に加えることを強く求めてきました。しかし、与党は、審議の最中に私設秘書が融資に関する口利き事件で逮捕されたにもかかわらず、最後まで私設秘書を対象に加えることを拒否したのでありました。与党の皆さんは、過去の過ちを率直に認めるべきではないでしょうか。
 与党案は、犯罪対象が狭いことに加え、抜け道を許す現行法の問題点を多々残したままであります。法の抜け穴をふさぎ、実効ある手だてを取るべきだという国民の期待を裏切るものと言わざるを得ません。
 衆議院では行われなかった参考人質疑ですが、我が参議院においては、首長、自治体議員の秘書への拡大、「権限に基づく影響力」の削除、第三者供賄の追加の三点については、どの参考人からも賛意が示されました。
 現職議長の引責にまで発展をした参議院としては、与野党の別なく、政治倫理を自ら確立をし、国民の政治に対する信頼を回復するよう、正に自浄能力の発揮が求められておりました。にもかかわらず、国会議員の私設秘書だけという小手先の改正にとどめようとの与党の姿勢は極めて残念でなりません。
 小泉総理は、自民党をぶっ壊すどころか、政官業の癒着構造、利益誘導と金権腐敗体質にメスを入れる姿勢も覚悟もないということが国民の共通の認識になってきたのではありませんか。
 最後に、事件が起こるたびに罰則が強化されたり新法が制定されたりするのですが、それを乗り越えてまた腐敗が生じるイタチごっこに国民はもうあきれ返っています。
 近い将来、再びあっせん利得処罰法の改正問題が論議されるようなことにならないことが大事であり、その意味では野党の案がこの国民の期待にこたえる道だろうと思います。抜け道だらけの与党案には反対をして、私の討論を終わります。