| 第154回通常国会 |
| 2002年7月17日 総務委員会 |
||||
| ○又市征治君 社民党の又市でございます。 他の委員会の関係から、私の発言の順を特別に繰り上げていただきまして、同僚議員の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。 今ほど御三方から、大変短い時間で語り尽くせない、そういう意味では、産業構造や就業構造がどんどん変わってくる、人口が減少し、あるいは高齢化が進んでいく、こういう状況の中で、それぞれの地域において夢や希望が持てるような町づくり、こんなことに大変御努力をいただいているその一端をお伺いをし、またその関係で、郵便局とのつながりということについて様々お伺いをしてきたところであります。 そこで、そうしたそれぞれの社会的な状況の変化、とりわけ危機的な状況から脱却して村や町に活気を取り戻そうと、こんな格好で住民総ぐるみでお取り組みになっている、こういうことを幾つかお伺いをいたしました。 一番初めに、下中参考人は私と同じ北陸ブロックの御縁ということもございまして、一番先にお伺いいたしますけれども、名田庄村では郵便局との間で協力に関する協定書というのを結んでおられる、こういうことでございますが、まずはその協定の大きな社会的な背景をお伺いをしていきたいと思っているわけであります。 というのは、いわゆる過疎地と言われる地域において、これはほかの御三方も共通しているかもしれませんが、役所が最大の産業だと言われる、こういう冗談半分に言われるところがあるわけであります。これは、悪意ある人たちにとってみると公務員ばかり多くてと、こういうことになってみたり、あるいは公務員の人件費がどうのと、こう言われることがあるんですけれども、実は、この言葉の真実はそんなことではなくて、元々第一次産業もちゃんとあった。多くの人が農林業で生活を立てていたけれども、それが名田庄村のように人口はもうずっと減って、元々林業で栄えた村なんだけれども、国の政策変更、とりわけ国策が石油依存に変わっていきまして、その林業が衰退をしていく。 そして、資料を読ませていただきましたけれども、昭和二十八年の台風によって大水害と、こういう事態で村が壊滅的な打撃を受けた。こんなことから、農業や林業ではもう生活ができなくなってしまって、極めて大きな山村の典型的なところなんだけれども、実際上は第一次産業の従業者は一割程度、こんなことになっているわけで、そういう意味では、産業らしい産業、その就業人口がいなくなってしまったというこういう事態の中で、言ってみれば役所が最大の産業だと、こう皮肉交じりで言われるようなこういう事態が生まれているんだろうと思いますから、そういう点で、一番冒頭に申し上げましたように、この郵便局との間で協力に関する協定を結んでおられる、その社会的な背景の問題をもう一度改めてお伺いをしておきたいというのが一つです。 それから二つ目に、ここが本日の重要なポイントでもありますけれども、どんな小さな地域共同体でも最低限ワンセットの公的サービス機能というのは残さなきゃならぬ、こう御三方とも大体同じ御意見だったように思うんですけれども、それが文明国家の条件でもあり、あるいは憲法第二十五条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」でもある、こんなふうに私は考えます。 この二点は御三方とも共通だと思いますので、まず先にお話をいただきました下中さんから、続いて白石市の川井市長さん、そして智頭町の寺谷さんにこの二点についてお伺いをしてまいりたいと思います。 ○参考人(下中昭治君=福井県名田庄村長) 村と郵便局さんとの連帯感というのは、これはもう今に始まったことではございません。もうはっきり言いまして、私の子供のころからずっと連綿と続いております。田舎にとってはそれほど郵便局というのが必要なんですね。 今は情報化がどんどんどんどん進みまして、いろんなメディアから瞬時にして全国の情報が入ってきますけれども、かつてはその地域の情報のいわゆる窓口は郵便局でした。私ども子供のころから郵便局の表で遊んだのを覚えております。そうしたことが今なおずっと私どもの村では続いておりまして、これは先ほどのマップを見ていただくと分かると思うんですけれども、役場と歩いて二分かそのぐらいのところに立地しておりまして、常に連絡を取っております。 それから、お話にありました、確かに小さな村ですと企業誘致も困難ですし、そういうことから役場が最大の地場産業であると、私、外に出た場合には話をしております。 それと、それが郵便局さんの力がないとなかなか行政の遂行が難しいといった面があります。先ほど言いました防災協定なんですけれども、役場の職員も常にずっと村内をパトロールさせておりますし、また不法廃棄物につきましてもパトロールさせておりますけれども、なかなか毎日毎日そうはいきません。その点、郵便局さんは毎日村内を巡回しておられます。このマップでも分かりますように、ずっと私どもの村は谷に分かれておりまして、その間は全部山なんですね。ですから、その谷側のずっと奥には数戸、五、六戸とかまた十戸とか、そういった集落があるんですけれども、そこにも必ず郵便局さんは配達さんが毎日行っております。そういう面で、私どもの行政では目の届かないところもこの郵便局という組織の中で私どもにいろんな協力をいただいておる、こういうことであります。 また、ワンセットサービスという話も出てまいりました。これは実は、隣の市長さんは市町村合併賛成というお話でしたけれども、私自身は困ったことになったなと思っております。 目下、やっぱり心配の種は市町村合併、それに郵便局がどうなるんかな、この二つですので、これからもこういうことはずっと続いていくと思いますので、どうか皆さん、先生方、何とか公社化は、まだ決まっていませんね、そういう方向に進んでおりますけれども、公社化になっても、先ほど申しましたようにきっちりとしたいわゆる普遍的なサービスということも非常に難しいことなんですけれども、私どものところにも日を当てていただきたい、これが最終的なお願いです。 ○参考人(川井貞一君=宮城県白石市長) まず最初に、白石市は、先ほど申し上げましたように、四万一千人で二百八十六平方キロと膨大な面積を持った市であります。そこの中で、かつてはいろんな国の機関等もございました。しかし、どんどん撤退をしております。例えば、非常に山林部が多いわけでございますので営林署等がございましたが、これも全部仙台に吸収合併されたということで、国の機関あるいは国の関係する機関として残っておるのは郵便局だけだと言っても過言ではないというのが実情であるということであります。 そうしますと、山間部の皆さん方は非常に寂しいんでございますね。つまり、自分の生活設計ができないという感じを持つようでございます。それがどういう具合に現れてくるかというと、結局は地域おこしという意欲がなくなってしまう、どうせおれたちには後を継ぐやつはだれもいないんだから、自分たちだけが生活していければいいと。 例えば農村集落排水事業というのがあります。非常に文化的な生活ができるはずなのに、負担が嫌だからおれのところはやらない、せっかく国の方にお願いをしてこれをやりましょうやと言ってもやらない。最大の理由は、後継者がいないんですよ。ですから、自分たちだけだったら我慢する、どうせその後は駄目になっちゃうんだからといったような気分が蔓延してまいります。そこのところに、郵便局までなくなったんだということになった場合のダメージというのは物すごいと思うんでございますね。これが第一点であります。 第二点、ただいま下中参考人の方から合併の問題が出ましたけれども、どうも私は今の合併の議論が間違っておると思うんです。 かつて、今まで二遍合併がありました。第一遍目は明治維新の後、このときは恐らく中央集権国家を作るための市町村合併だろうと思います。第二遍目は終戦後であります。これはどちらかというと、はっきり言えばアメリカンスタンダードによる合併かなと。それでも中央集権を残そうとして機関委任事務というものを必死になって残したという形だろうと思います。 今度こそ地方政府を作り上げなければならない。そういう意味では、今度の合併はやはり、いろいろ御意見はあるのはよく分かりますけれども、やはり前向きに考えていかなきゃならぬ。それを合併特例債とかそういうことだけでやるべきではないと、このような理解の仕方をしております。 そういうことで合併をします。当然小さな政府ということでありますが、といって住民サービスは十分提供しなさい、これが恐らく住民の皆さん方の要望であろう。となりますと、私はやはりe―Japan戦略というものはこれは徹底してやっていかなきゃならぬだろうと、これは一つ考えております。しかし、e―Japanだけでいいのか、いわゆるバーチャルだけでいいのかといいますと、そうはならないと思うんです。やはりフェイス・ツー・フェイスというのが最大のコミュニケーションだと、こう思っております。そのフェイス対フェイスの拠点、よりどころというのが郵便局と学校だというのが私の考え方であります。 以上でございます。 ○参考人(寺谷誠一郎君=鳥取県智頭町長) 私は、先生、要は地方にあっては郵便局というのはもう生活の一部である、それから一番大事にしたいのは、やはり今も申しましたけれども、いわゆる心のつながりですね。ハートの部分、これを大事にしたい。 郵便屋さんというのは、特に郵便屋さんと言いますけれども、もう全部地域を知っているわけですね。あの家には何人おばあさんがいて何人子供がいて、犬の名前まで知っています。 あるとき、本町で、私のところで火事が行ったことがあります。そうしますと、おばあさんが助かったんですけれども、郵便屋さんが、あのおばあさんはこの今燃えている何メートル先のどこの居間に寝ているはずだということまで分かるんですね。消防士が飛び込んでそこに寝ていたのを助けたと。これはもう銭金には換えられない、もう本当にすごいことだなと。もう本当に頭が下がった経験がございます。 それと、やはり、何というんでしょう、金銭的に、財政的にすべてを冷静にカットするというのも分からないではありませんけれども、それを全部やりますと、一体人間というのは何のために生きているのかなと。助けたり助けられたりという世界というのが本当になくなってしまうんじゃないか、何かそういう感じが非常に田舎に住んでいれば住んでいるほど感じられますので、こういうハートの部分をなくすと、何だか日本て変な国になっていくんじゃないかなというような、そんな単純に思いがしております。 それから、うちはひまわりシステムというのを考案しまして、郵便局と非常につながりが深うございます。 先般も、田舎ですからだんだん高齢者社会になってくる。おじいちゃん、おばあちゃんが徘回するわけですね。どこかいなくなっちゃう。今度は消防団が出て山狩り、山を捜したり、それはもう大変なことなんです、もう何日も何日も。そこで、役場と郵便局がいわゆる無料探索機、これはちっちゃい探索機を要するに両方でちょっと徘回的な嫌いのあるおじいちゃん、おばあちゃんに持ってもらっている。とにかくちっちゃいものですから、どこかに縫い付けてもらっておる。そうすればどこに行ってもすぐ分かるということですね。それを今、智頭町では郵便局と一緒に組んで、おじいちゃん、おばあちゃんがいなくならないようにやっていると。 ですから、非常に田舎ですから、そういう一万人ぐらいの町でお互いが寄り添い合いながら生きているというのが日々楽しいことかなと、こんなふうに思っております。 ○又市征治君 ありがとうございました。 それぞれから、今一番最後に寺谷さんおっしゃったように、郵便局は地域住民の生活の一部だと、御三方ともよく似たようなお話をいただいたことだろうと思います。 そういう意味では、とりわけ過疎が進んだ地域などでは公的サービスの機能が、そういう意味で郵便局が非常に大きな役割を果たしている。そこにおける庁員だとかあるいは福祉系を含めた公務員の皆さんが大変重要な役割を果たしているということのお話だったろうと思います。 そこで、実は今この郵政公社関連四法案を論議をいたしておりますけれども、片山総務大臣は二万四千七百の郵便局数は維持すると昨日も明言をされているわけでありますけれども、問題は、これは数だけがそのまま存続されるというだけでは困るわけで、もうかっているのは東京で、東京の中央郵便局だけで北海道全域の収益分ぐらいあるんだとこういうことですから、これは大変な格差があるわけでありまして、そういう点でいうと、郵便局の総数を変えないけれども、都会の局を増やして、その分田舎の局をつぶされたのではもう地方はたまらぬということでは、もう皆さんも全く同感なんだろうと思います。そういう意味では、その点はしっかりと私どもも求めていかなきゃならぬと、こういうふうに思っております。 特に、人口の問題で置くのではなくて、多分皆さん方、面積あるいは時間的な距離を基準にすべきだというふうにお考えだろうと思いますが、郵便局の設置ですね、そういうことだと思いますが、そこのところは下中さん、いかがでございましょうか。 ○参考人(下中昭治君) 先生のおっしゃるとおりでありまして、郵便局は人口に比例して設置するものではない、あまねく、いわゆるユニバーサルサービスの目的を達するためにも全国津々浦々にも残していただきたい、このように考えております。 ○又市征治君 時間がなくなってまいりましたが、今、郵便局の存続の必要性、今ある場所を守るという、こういうことは多分御三方とも御同様のお考えだろうと思います。とりわけ過疎地におけるほかの公的サービスについても同じお考えなんだろうと思います。 そういう点で、今、先ほどもちょっと出ましたが、そこまで全部触れておる時間的余裕ございませんけれども、下中さんがおっしゃいましたように、総務省は今市町村合併推進、促進の掛け声を掛けて、行け行けどんどんとこんな格好になっているわけですが、しかし合併をすれば早い話、役場はうんと遠くなる、行政サービスは明らかに遠ざかっていく、こういうことになるということも起こるのかなと。そういう意味では、距離の問題だけではなくて心までむしろ遠くなるという、こういう感じがするわけでありまして、このことについてどう思うかというのは首長さん方に聞くのはちょっと酷ですから申し上げませんけれども、特に最後に下中さん、三十年ごろに合併をされた、こういうお話をお聞きしているわけですが、当時の合併の功罪あるいは村の暮らしの変化について、短時間で少し何かお話ありましたらお聞かせいただきたいと思います。 ○参考人(下中昭治君) 昭和の大合併は、当時はまだ、自治体とは言いますけれども本当はまだ未熟児でした。今とはもう全然感じが違います。ですから、今回の合併も特に否定はしませんけれども、国においては、財政面だけをとらえての合併でなしに、住民の視点に立っての合併を進めていただきたい、このように考えております。 ○又市征治君 どうもありがとうございました。 お二人の方に質問の時間数の関係で失礼をいたしましたけれども、それぞれのお話、御趣旨を体して、ユニバーサルサービスの確保に私どもも精一杯努力をしていく、そんなことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 |
||||