第155回臨時国会

2002年11月14日 総務委員会



(1)民間にも波及する給与法改悪反対
(2)公務員労働者の労働基本権回復
(3)学閥官僚を増殖させる採用試験「四倍化」
(4)給与法改悪に対する修正案・附帯決議案




○又市征治君
社民党の又市です。
午前中来の同僚議員からもありましたように、今年の二・〇三%のマイナス勧告によって、十二月の一時金で四月分からの月例給やあるいは勤勉手当などまで減額調整をするというこの措置は、不利益不遡及の原則に抵触するのではないかということについては、さきの私、決算委員会でも申し上げましたので、今日はこのことについては触れません。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、こうした問題が発生をする原因といいますか、正に今日の人事院勧告制度の制度的な欠陥、元々予定をしていなかった、こういう問題に由来をしているのでありますから、それならば基本に戻って労働基本権の制約を解除することが条理だと、こうなると思うんですね。しかし、一足飛びにそこに行かないまでも、せめて最低限労使協議でこの減額調整の手法については理解と納得を得る努力が、そういう意味では大変従来以上に必要だったのではないか、こう思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(片山虎之助君)
私は何度もこの委員会でも答弁させていただいておりますように、今の公務員の給与決定の仕組みはこれはこれで正しいと、こう考えておりまして、今回の人事院勧告が給与の切下げの勧告だったから労働基本権の回復ということは、なかなかそこは私は結び付かぬのじゃないか。上がるときは黙っておいて、下がるときだけけしからぬと。
 しかし、民間準拠、官民均衡というのは大原則ですから、給与決定の。しかも、労働基本権は制約せざるを得ない、公務員の特殊性から。そういうことで、代償機関である人事院がいろいろ調べて言われる。それを受け入れると、下がるのはけしからぬ、労働基本権の回復だと、こういうことに私はなるのかなと思っておりまして、これでもし労働基本権を回復して全部労使交渉で決める、場合によってはストライキをやる、サボタージュをやる。こうなったら、国民全体への奉仕者、地域の住民の全部の奉仕者ということの使命が私はこれは達成できないと思いますね。
 だから、公務員というのはそこはもう我慢せにゃいかぬのですよ。労働基本権は制約される、そういうことを前提で公務員になってもらうわけですから。その代わり、人事院や人事委員会がきちっと勧告したのはそれは尊重すると、こういうことでございますので、お気持ちはよく分かりますしお腹立ちも分かりますけれども、ここは是非御理解を賜りたいと思います。
○又市征治君
大臣、あなたはちょっと先の方だけそう取っちゃ駄目なんですよ。私が聞いているのは、せめてこういう減額調整の措置について労使でもっと理解と納得ができるような努力をすべきだったのじゃないのかと、こう聞いているのに、そこのところは全然お答えがないんです。それは先ほどもありましたから、大体分かりましたからいいですよ。
 そこで、ちょっと横へそれて、さっきもあったんですが、毎日新聞の報道によれば、ILOは連合などからの公務員制度改革大綱に関する提訴にこたえて勧告案をまとめたと、結社の自由委員会に、十人の委員がいるそうですが、これに全部配付をしたと、こう伝えている。その内容は、当然政府側も取っておられるんだろうと思うけれども、とぼけておられるんですが、労働側の訴えを支持し、政府に労働側との十分な協議に基づく法改正を求めているというふうに今、報道しているわけですね。特にスト権、団交権については、結社の自由はすべての国に一律に適用される、こういうふうにして、政府が改善措置を避けてきた各国の個別事情という主張を退けている、こういうことになっているわけですね。
 そこで大臣、ILOからこの勧告、多分今月の二十日にも決定をするというふうに私は聞いています。そういう格好で出れば、政府は当然これを受け入れる用意があるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君)
 午前中の御質問にも人事・恩給局長の方から、審議内容については日本政府は現時点では一切承知していないと、表向きはそうなっておりまして、漏れ聞くぐらいのことは我々も分かっておりますが、今お話しのように、最終的な勧告は二十日前後だろうと。
 これが出ましたら、中を見まして詳細に検討して日本政府としてどういう態度を取るか。今、委員、結社の自由と言われましたね、これはもうずっと委員が痛いように御承知の消防職員の団結権の問題なんですよ。これは消防職員委員会というのを作りまして、今、労使でそのコミュニケーションの場も作っているわけですから、我々としては、どういう勧告が出るか知りませんが、認めろと言われてもなかなか、さようでございますかというわけに今の段階では私はいかないと、こう思っておりますが、いずれにせよ、勧告が出てから十分な検討をいたします。
○又市征治君
 これは大変重要な問題でして、ILOは、労働基本権は各国の歴史的、社会的事情にかかわらず一律に適用されると、こう言っているので、今度こそは日本の特殊事情という口実は通用しないわけです。つまり、この五十年間の公務員制度の総決算がつまり八十七号条約違反だと、こういう形で国際的な審判として出されようとしているわけですよね。
 ですから、今の大臣の答弁、それはいただけませんよ。出てから検討というのは、それは分かりますよ、今の段階では。つまり、これは、政府に新勧告に沿って公務員諸法を改正をするのか、それともILO八十七号条約から脱退するのかということを突き付ける内容になってくる可能性が非常に高い。そういうことなんですから、いやいや今のままと、個別事情をまだおっしゃっている、これではいただけませんよ。もう一度、少しそこら辺のところを回答をいただきたいと思います。
 もう一つ、行革担当副大臣、こういう新勧告が出れば、勤務条件については労働側との協議の上で、そしてその納得を得て公務員制度改革案を出し直す必要があると思うんですが、この点はいかがですか。
○副大臣(根本匠君)
 ILOの勧告につきましては、既に御承知のとおり、今月十九日から二十二日まで開催されるとされるILO理事会の採択を経て公表されるものと承知しておりますが、結社の自由委員会の審議は委員会を構成する政労使の委員のみで開催され、その議事については非公開とされておりますので、現段階ではどのような勧告が出されるかは私は承知しておりません。
 公務員制度改革につきましては、昨年十二月に公務員制度改革大綱を閣議決定し、これに基づき、来年じゅうを目標に国家公務員法等の改正案を提出すべく、検討作業を行っているところであります。
 いずれにいたしましても、公務員制度改革を進めるに当たりましては、職員団体を始めとする関係者の皆様と今後とも誠実に協議をしていくつもりであります。
○国務大臣(片山虎之助君)
 勧告が出ましたら、詳細に内容を検討して政府としての対応を決めますが、ILOの言うことも、それはもうこれ昔から大体似たようなことをずっと言ってこられているわけで、我々もそれについて相当な工夫をしながら対応をしてまいったわけでございまして、出ましたものについて十分な検討をし、誠意ある対応をいたしたいと、こういうふうに思っております。
 もちろん、職員団体の皆さんの意見を聞くということは当然だと、こう考えております。
○又市征治君
 もう本当に一週間足らずで出るんですよね。そのときにこのような答弁されたことは大変残りますよ、これ。大変重大な問題です。そのことだけ御指摘して次に移りますが、あと一点、厚生労働省からも来ていただいていますから、この人勧から翌年の民間への逆波及の問題についてちょっとお伺いしたいと思うんです。
 ちょうど今から二十年前の例でお伺いしますが、この年、人事院は五・二三%の勧告を出したわけですが、政府はこれを凍結、つまりベアゼロにしたわけですね。企業側はこれ待ってましたとばかりに、当時の経団連の稲山会長は、公務員が凍結なのだから民間もゼロにすべきだと、こう公言をされた。これが翌八三年の春闘にもろに影響して、春闘相場は前年比で二・五九ポイント下がった。これは人事院、十分御承知のとおりです。
 正に、人勧凍結が賃金のデフレスパイラルを生んだわけですね。ましてや今は大不況なわけで、来年の賃金全体への逆波及、あるいは政府主導の賃金デフレスパイラル、こういう状況の中で不当な賃下げあるいは不払い、解雇などを食い止めるこういう政策というのはどういうふうに考えておられるのか、厚生労働省から伺いたいと思います。
○政府参考人(青木功君=厚生労働省政策統括官)
 デフレ対策の問題につきましては、御案内のように、政府は現在の我が国の経済情勢にかんがみ、様々な対策を講じてきております。特に、今般、政府は改革加速のための総合対策を取りまとめまして、日本経済を再生するための政策強化を行い、デフレを克服しながら民間主導の自律的な経済成長の実現を目指すということといたしております。
 また、去る十二日には、産業再生・雇用対策戦略本部を設置をしたところでございまして、これにより、産業再生と雇用対策を一体的に推進する体制が整ったものと考えています。
 賃金問題は、これは民間、それぞれ労使が自律的に決定をされる問題であるというふうに承知をいたしておりますけれども、厚生労働省としては、これらの総合対応策に盛り込まれた雇用のセーフティーネットにかかわる事項を誠実に実行をするとともに、政府の一員として現在の状況に積極的に対処してまいりたいというふうに考えております。
○又市征治君
 何か心もとないですね。さっき、総務大臣だって、こういうものはもう民間に波及されるべきではないと、こう言明しているわけで、そこら辺のところはもうちょっと明確に、あなた担当なんだからやってもらわなきゃ駄目ですね。ちょっと不十分ですが、その点だけ申し上げて、次に移りたいと思います。
 さて、今ほど同僚の渡辺先生からも出た公務員の採用問題についても触れておきたいと思います。
 前回も実はお伺いをしたんですが、今年は二・五倍に増やした結果がせんだって出されております。採用者を見ると、東大などの有名大学に偏らないで地方大学などから幅広く人材を採るという、こんな結果には全くなっていないわけですね。にもかかわらず、今度は、政府は更に最終合格者を四倍にしようとしている。
 私は、先日来、大学の就職担当責任者から話を直接お伺いしようということで聞きました。ヒアリングに際して、人事院と行革事務局、大分意見が違うようですから、それぞれからこのヒアリング先を是非推薦をしてほしいというふうにお願いしたんですが、行革事務局からは、やめてほしいということで断られてしまいました。いかがなものかなと、こういうのは。自分たちは聞いて、我々国会議員が聞くのに、その推薦はやめてくれというのは、これはどういうことなのか、大変、ちょっと疑問に思うんですが、一応、いずれにいたしましても、私の方でも幾つか調べまして、地方の国立大学や私立大学から意見を伺いました。
 少しその内容を、せっかくのこういう機会ですから、各委員の皆さんにもお知りいただきたいという意味で御披露申し上げたいと思うんですが、まず、この四倍化については、ある教授は、二倍が限度で四倍はむちゃだ、なぜなら、今でも最終合格とは名ばかりの足切り試験で、実質的に別のところで選考がやられている、合格が報われずに不採用の先輩を見れば失望が広がり、結局は母集団、つまり受験者の質が落ちていく、さっきのお話と一緒だと思うんですが、と言っておられるわけです。また、別の教授は、外務省不祥事などでT種キャリアの魅力が薄まっている、東大、早稲田、慶応に偏重しているとの風聞、空気が学生の嫌気を誘っている、官庁訪問の拘束が長く、地方の者は宿泊、交通費など、費用が十万から十五万かかる。経済、家計の厳しさも加わって、早く決めるか二年生から受験勉強するか悩んでいる、その末に四倍合格しても採用されないのでは持ちこたえられないと批判的に述べておられます。
 これらはT種受験者、教授らの共通の悩みだろうと思うんですが、この問題は人事院と何か政府の権力争いのごとく面白く報道されている向きもありますけれども、私は、どうも本質は違うと言わざるを得ない、こう思います。
 これは、公務員制度改革大綱の一部であって、エリート官僚集団が国民から隔離したところで後継者を養成をし、そして官僚天国を言わば自己増殖していると指摘せざるを得ません。天下り規制の緩和案もしかりでありますし、能力評価の導入あるいは幹部養成コースの新設もしかりです。そのために権限を第三者機関から内閣あるいは各省に戻そうと、こういう格好に今なっているんだろうと思うんですね。ですから、与党内でも、この新聞に、昨日の新聞にも出ておりますけれども、心ある人たちは憂慮しているというふうに報じられているわけです。
 こうした不透明な内々定で各省に都合のよい草刈り場を広げるための四倍化ではなくて、国民の立場に立ち返って、地方を含め、国民各層の子弟を代表、代弁できるような幅広い人材を採用するシステムにすべきだろうということを改めて申し上げたいと思います。
 例えば、ある大学の教授は私に、関西枠だとか東北枠なども作れと、なかなか合格しないじゃないかと、こういうふうに言われています。また、ある大学は、省庁別の採用ではなくて、省庁別の面接を加味した人事院採用にせよと、こういうふうに注文もされているわけです。
 採用は最大の権力的な行為であるだけに、そういう意味では、民主的なチェックの可能な中立公正なシステムであるべきだろうと思います。そういう意味で、私は四倍化はやめるべきだと、こんなふうに思いますけれども、再度行革本部、この間のときはちょっと御意見をお伺いできませんでしたから、先ほどのなぜ私どもの聞くのをお断りになったのか、そのことも含めて行革本部と人事院の見解をそれぞれお伺いしたいと思います。
○政府特別補佐人(中島忠能君=人事院総裁)
 今年は二・五倍の合格者を出しました。これは以前にも御説明したことがあると思いますが、合格者を出した大学は四十一大学から五十八大学に増えました。しかし、内定をもらった大学数は去年も今年も二十五大学でございます。内定者をもらわなかった大学は十六大学から三十三大学に増えました。したがって、二・五倍にするという目的は何であったのか、それは広く人材を各地から求めようということが非常に大きなねらいであったというふうに言われております。したがいまして、今の数字から見ますと、その目的は達成されていないというふうに私は判断をいたします。
 したがいまして、そのときに、議論されたときに片山大臣が、いや、やっぱり地方の大学から、あるいは地方の私立大学から合格した人を総務省は採用するようにしましょう、来年は、というふうに、こういうふうにおっしゃいました。私は、非常にいいそれは発言だと思います。
 したがいまして、今年は二・五倍でやって何のとにかく地方大学に対する影響がなかったけれども、今の片山大臣の話のようなことを各省が申し合わせて、特に行革推進事務局は二・五倍ということをおっしゃったわけだから、行革推進事務局が各省に呼び掛けて、地方大学から採用しようじゃないか、やっぱり合格者の中で地方大学の占める合格者の比率というものがあるじゃないですか、その比率を目標に採用していこうと。岡山大学からも広島大学からも合格者が出ているけれども採用されていない、新潟大学からも採用されていないということですから、やっぱりそういうことがないようにしていこうということをみんなが申し合わせて採用していくということをもう一度私は来年やっていただきたいと思います。
 したがって、私はもう一度、来年は二・五倍でもう一遍やってみたいと思うんです。そして、そういうような効果が出てくれば、私は、二・五倍というものをやった効果が地方大学にも及んだ、皆さん、地方におられる方々も喜んでいただけたというふうに思います。
 これは大変難しいことだと思いますけれども、やっぱりそういう努力というものを重ねていって、とにかく今はほとんど地方大学から採用されない国家公務員の幹部が地方大学から採用されるように、片山大臣の言葉によりますと、試行錯誤を重ねていって努力していこうということですから、私は、来年はもう一度二・五倍でやらせていただきたいというふうに考えています。
○副大臣(根本匠君)
 私は、合格者を四倍に増加することについては、そうすべきだと思っております。
 昨年末の公務員制度改革大綱では、意欲と能力を持った有為な人材を広く多様な人材ソースから公務部門に採用すべきだとの考え方を採用しております。
 なお、新規学卒者についても私は、基本的な考え方は、試験に余りに重点を置くのではなくて、やはり公務員として意欲と能力を持った人間にやってもらいたいわけですから、総合的な人物評価を重視するべきではないかと。従来にも増して多様で質の高い人材を採用して、効果的に育成、活用していくことが必要だと思いますから、その意味では私は、採用枠を広げた方がよりいい人材が、試験だけに得意な人材ではなくて総合的な人物評価を重視した人材が採れると、こう思います。
 今回の十四年度の試験結果をどう判断しているかということでありますが、地方大学を含む多様な大学の学生から人材を採用することができるという点で、合格者の規模を今年度二・五倍にしたことは評価をしております
 平成十四年度の試験結果を見ますと、確かに合格者を出しても内定者がいない大学数が昨年に比べ増えております。ただ、この中身を見ると、合格者が一人という大学が多く、これは、今回合格者を初めて出したり、あるいは久しぶりに出したりしている大学が多いんですね。これらの大学については、確かに今年は採用につながらなかったかもしれませんが、業務説明や採用面接の時期を公表するなど、官庁訪問の透明性、公正性の確保を図るためのルールが定着していけば、きちんとこういうことを大学関係者と意見交換をし、ルールを説明していけば実際の採用につながるケースが増えてくると私は思います。
 それから、先ほど先生から御指摘のあった、今回我々も地方に出向いて大学関係者から率直に現場の声を意見交換したわけでありますが、言わば本音を聞きたいということでヒアリングを行いましたので、だれが何を言ったかと具体的に名前を特定するということで聞いておりませんので、そこは、言った方に迷惑が掛かる可能性がありますので、固有の特定の名前を挙げることは差し控えさせていただいたということであります。
 ただ、ヒアリング結果で、どういう大学が参加し、どんな議論が交わされたか、どんな意見があったか、それはまとめてございます。
○委員長(山崎力君)
 時間ですので、おまとめ願います。
○又市征治君
 時間が参りましたから終わりますが、私だってそれはさっきから一つも名前を挙げていないわけで、そんなの常識ですよ。
 問題は、いろいろとあなた方からも推薦の大学を挙げてほしいと言っただけのことであって、いずれにしましても、どうも大分意見も、見解が違いますから、是非しっかりとそこら辺は調整を取ってもらって、受ける側の立場というものもやっぱり考えないと駄目だと思うんですよ。そのことを申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(山崎力君)
 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 両案の修正について高橋君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。高橋千秋君。
○高橋千秋君
 ただいま議題となりました両修正案について、民主党・新緑風会及び社会民主党・護憲連合を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 このたびの政府案にある平成十四年十二月に支給する期末手当及び期末特別手当に関する特例措置は、公務員労働者の既得の利益を過去にさかのぼって侵害するに等しいものであります。このような措置を国会が容認すれば、公務員労働者だけでなく民間労働者等に影響が及ぶことは必至であり、到底認められません。
 また、今回のような実質的に不利益遡及と同様の効果を有する措置については、現行法上これを許す明文の規定がなく、人事院勧告制度の下でのいわゆるルール変更に当たるものであります。職員が全く関与できない状況で一方的に不利益遡及を法定化することは、不当と言わざるを得ません。
 そこで、私どもは、官民均衡を図りつつ年間給与について何らかの調整措置を講ずるとの立場から、新たに職員の意見を踏まえた年間給与減額調整措置を設けるとともに、政府案の年間給与減額調整措置についてはこれを削除することが必要であると考え、両修正案を提出することとした次第であります。
 次に、両修正案の内容の概要について御説明申し上げます。
 両修正案では、政府は平成十五年三月三十一日までに、平成十四年度分として支給する給与の額と同年度分として支払われる民間における給与の額との権衡を図るための必要な措置を職員の意見を聞いた上で講ずるものとするとともに、平成十四年十二月に支給する期末手当及び期末特別手当に関する特例措置に係る規定を削除し、平成十四年度三月期及び十二月期に係る改正規定を改めることといたしております。
 以上が両修正案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、速やかに御審議の上、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(山崎力君)
 これより両案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○宮本岳志君
 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております一般職給与法等の改正案に反対、特別職給与法等の改正案には賛成の討論を行うものです。
 一般職給与法改正案に反対する理由の第一は、これが小泉内閣のゼネコン奉仕の無駄な公共事業など財政赤字の根源には一切手を付けないままで、国民にだけ痛みを強いている逆立ち政治の一環だからです。
 今、小泉内閣が社会保障分野で進めている三兆円の負担増、国民と中小企業への増税計画によって、長引く不況は一段と深刻さを増し、全くその出口すら見えないという状況になっています。そこへ更にこの公務員給与の引下げを押し付けることは、人事院が公式に認める七百四十万人ばかりでなく、年金受給者や民間企業の賃金水準にも波及するものであり、これによってGDPが〇・一から〇・二%押し下げられるという試算も示されています。国民の消費の拡大による不況の打開が痛切に求められているときに、このような大規模な給与所得の減少が日本経済に取り返しの付かない結果をもたらすことは明らかではありませんか。それにもかかわらず、あえてこれを強行しようとしている小泉内閣には日本経済のかじ取りをする資格も能力もないと言わなくてはなりません。
 反対理由の第二は、これが国家公務員、地方公務員の生活向上の願いに背くばかりではなく、既に述べたように広範な国民の所得の低下をもたらすからです。公務員給与が下がっているという事実が広範な民間企業の賃金水準に波及すれば、それは更に後の年度の官民比較調査に反映することにもなり、昨今の経済環境の下では、公務と民間の際限のない賃下げの悪循環をもたらしかねないものです。
 日本共産党は、公務員労働者の生活を守る立場からも、国民全体の所得の向上を目指す立場からも、このような賃金抑制政策を容認することはできません。
 反対理由の第三は、これまでの支給済みの給与の民間との較差分を十二月期末手当から差し引くという調整の手法が不利益不遡及の原則に触れる脱法行為だからです。この問題は、法律論としても重大であるばかりでなく、人事院制度の根幹にかかわる原理原則が問われる問題でもあり、到底看過できないものです。
 なお、特別職の給与は一般職に比べて高額の水準にあり、従来からこれ以上の引上げには反対との態度を取ってきました。その経緯を踏まえて、法案には賛成するものですが、事実上の不利益の遡及となる措置には同意できないことを明確にしておきます。
 民主党及び社民党提出の修正案は、問題の十二月期末手当による調整を削除するものですが、来年三月末を期限として年間の官民較差の均衡を図るために必要な措置を講ずることを政府に義務付けるものであり、厳密には不利益変更の遡及がなくならないものです。しかし、この点について労使で話し合う場を設けることの意義は認められるため、あえて反対はいたしません。
 最後に、今後も日本共産党は、国民本位の公務員制度の確立と、公務員が安心して働ける労働環境の実現、公務員の生活の擁護のために努力を続けることを申し添えて、討論といたします。


○又市征治君
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる一般職給与法改正案及び特別職給与法改正案につきまして、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合提出の修正案に賛成、政府原案に反対の立場から討論を行います。
 反対の第一の理由は、両法律案が勧告史上初のマイナスベアを踏まえており、公務員労働者の生活にとってのみならず、政府の社会的給付に依存する多くの国民の消費生活や、地方における中小・未組織労働者に与える影響も大きく、現下の不況を更に深刻化するものだからであります。
 第二の理由は、四月からの官民逆較差分の差額について、不利益不遡及の原則によって、四月実施ではなく給与法改正後の減額であると言いながら、四月から法施行日までの給与を基礎に算定した額が十二月の期末手当で調整されることになっており、期末手当の性格を変更し、実質的に不利益不遡及の原則に抵触する疑いが強いものと言えることです。このような措置は民間労働者への影響も大きく、到底認められるものではありません。
 第三の理由は、仮に官民の均衡を図るための何らかの調整措置が必要であるとしても、調整の仕方について政府が一方的に十二月支給の期末手当及び期末特別手当で調整すると決めるのは問題があるということです。職員が全く関与できない下で減額調整措置が一方的に法定化されることは大きな問題があります。
 社民党は、従来、人事院勧告の完全実施を主張してきましたが、今回のマイナス人勧は、制度上はあり得るものであるとしても、労働基本権制約の代償措置たる人事院勧告制度が本来想定していなかったものであり、デフレ下での減額調整によってむしろ労働基本権制約という現行の公務員制度の基本的な問題が浮き彫りにされているものと考えます。
 私たちの修正案は、不利益不遡及の原則に立って、実質的な四月遡及を削除し、調整措置については新たに職員の意見を聞いた上で講ずるものとするもので、労働基本権を尊重し、労使協議による賃金決定システムの実現のための第一歩ともなるものです。
 なお、人事院勧告と併せて出された人事院の報告では、セクショナリズム、キャリアシステム、天下りに対する国民の批判に留意すべきとの強い指摘がなされました。この指摘は世論を正しく反映しており、今後の公務員制度改革の実現に生かされることを期待しています。
 最後に、民間及び公務員の給与引下げの悪循環、賃金デフレスパイラルを断ち切るには、何よりも公務員労働者、民間労働者の運動の強化、再構築が不可欠であり、官民労働者の一層の奮起を強く願って、討論を終わります。
○委員長(山崎力君)
 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 初めに、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 まず、高橋君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山崎力君)
 少数と認めます。よって、高橋君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山崎力君)
 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、伊藤君から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤基隆君。
○伊藤基隆君
 私は、ただいま可決されました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。

一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び人事院は、本法施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、今回の月例給の引下げが公務員の士気や民間給与・経済に与える影響等を重く受けとめ、公務員の適正な処遇の確保に努めるとともに、デフレ克服のための積極的な総合施策を一刻も早く実施すること。
 二、年間における官民給与を均衡させる方法等を決定するに当たっては、職員団体等の意見を十分聴取し、納得を得るよう最大限の努力をすること。
 三、今回の給与の減額調整措置は、公務員給与の改定時期が民間と乖離している人事院勧告制度特有の在り方に起因していることから、民間等へ影響を及ぼさないよう十分留意すること。
 四、公務員制度改革に当たっては、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることにかんがみ、職員団体等の意見を十分聴取し、納得を得るよう最大限の努力をすること。
 右決議する。

 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

○委員長(山崎力君)
 ただいま伊藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山崎力君)
 全会一致と認めます。よって、伊藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、片山総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片山総務大臣。
○国務大臣(片山虎之助君)
 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(山崎力君)
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び二千五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 まず、高橋君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山崎力君)
 少数と認めます。よって、高橋君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

○委員長(山崎力君)
 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山崎力君)
 御異議ないと認め、さよう決定いたします。