第155回臨時国会

2002年11月21日 総務委員会



(1)ILO勧告に対する政府の態度
(2)個人情報漏えいの危険を増大させるオンライン三法
(3)財界の利権づくりのための自治体IT化




○又市征治君
 社民党の又市です。
 本論に入る前に、昨日出されたILO勧告に関して一言政府に注文しておきたいと思います。
 私は、一週間前の本委員会においても、このILO勧告が出れば新勧告に沿った公務員諸法の改正をすべきだというふうに申し上げました。勧告は、そのとき私が指摘したとおり、スト権、団交権については、結社の自由原則はすべての国に一様かつ一貫して適用される、こんなふうに述べておるわけでありまして、政府がこれまで改善措置を避ける口実としてきた各国の個別事情だとか日本の特殊事情という主張を実は退けているわけですね。
 ところが、今朝の新聞を見ますと、総務省は、我が国の実情を十分理解した判断とは言えず承服し難いと、相変わらず日本の特殊事情を挙げて勧告を受け入れる意思がないように見受けられるわけです。これで一体、労使の信頼関係が築かれて、透明で民主的な公務員制度が構築できるのか、こういう点で言うならば、否と言わざるを得ませんし、その旧態依然たる認識に私はあきれる次第であります。
 だから、勧告には、委員会は政府に対し、望むのであれば事務局による技術支援を利用することができるなどというILOの日本政府に対する痛烈な批判の一説までむしろ盛り込まれている内容です。このような時代後れの認識を改めて、公務員組合と十分に実効性ある協議をして、納得を得て所要の法改正をするように冒頭強く求めておきたいと思います。
 そこで、前回もいろいろと情報漏えいなどのいろんな危惧される問題などを挙げてまいりましたが、少し今日は技術的な問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 電子政府、電子自治体にすれば経費節減になる、こんなふうにおっしゃるわけです。しかし、このIT機器やシステム開発に多額の初期投資が要るわけで、更新だって必要になってくる、こんなことでしょう。それでも行く行くは節約になるというのは、対面窓口の職員削減ということになるんではないか、こう思います。
 人減らしの是非は別として、この電子化でその事務について紙ベースの証明書の交付や対面による事務は廃止をするということに今の論理でいくとなるわけですね。例えば、推進派の小坂憲次衆議院議員、さきの総務副大臣ですけれども、新聞紙上で、旧来の業務フローを断ち切れ、電子化された資料と紙の二種類が併存するようでは電子政府は必要ない、こうまで言い切っておられるわけですね。
 そこで、お聞きするんですが、全廃するなら正に情報弱者のための対策だとかデータ破壊の場合のバックアップ対策なども経費としては加算すべきだろうと思うんです。逆に併存させるなら、この人件費や事務費の何割を一体残すのか、併存ベースの経費試算というのは必要だろうと思いますね。そうした試算があるのかどうか、国の事務又は自治体の事務でお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(大野慎一君=総務省政策統括官)
 今回の行政手続のオンライン化の基本的な考え方は、従来、法令に基づきまして書類等で申請、届出するものにつきまして、これに加えて、これに加えてということは従来どおり書類でもいいわけですが、オンラインでもできることにするという、できる規定でございます。
 そして、そうなりますと、国であれ地方自治体であれ、書類での申請の方もいらっしゃいますし、インターネットなどを通じておやりになる方もいらっしゃるという事態が続くわけでございますけれども、私ども前から考えておりますのは、そうなるわけでございますが、内部事務の処理の中で紙ベースのものについてはできるだけ電子的に読み取るような工夫などいたしまして、できるだけ行政の内部の事務処理というものをこの機会に変えていく、そういった工夫によって経費の節減も図れるのではないかと、こう思っておりますが。
 一体それがどのような額になるのか、ちょっとその試算はいたしておりませんけれども、たまたまある一自治体でございますけれども、電子申請と電子調達、それから内部処理ですから文書管理ですね、これをシステム開発やって運用七年間なんですが、これを全部任せてやる場合に三十五億近く掛かるわけでございますけれども、これによって全体の節減効果が、もちろん書類も残るわけですよ、そういう上ですが、全体の節減効果が五、六十億というふうな試算がありますので、いずれにしても併存、ハイブリッドにはなりますけれども、内部事務のやり方などを変えていくことによって投資額以上な節減効果が出るということになろうかと思います。
○又市征治君
 試算がないというわけですから必ずしも、ある自治体の例だけ今出されましたけれども、どうも根拠薄弱だと言わざるを得ませんけれども。
 小坂さんではないけれども、紙ベースを全廃あるいは大幅削減するには本人確認の認証制度、つまり今回の法案の三本目で、ICカードが大多数の住民に普及し終わっていて、かつ家庭のパソコン通信又は市区町村の役所の公衆端末がどこでもあるという、こういう状態が必要だろうということですね。
 第三の法案、つまり自治体電子認証法案で提案されているICカードは、各自の銀行カードなど好きなものを持ってきてください、こんなふうに言われていますね。その民間のICカードですけれども、今ほとんど持たれていない。今後どのくらいの速さで普及するというふうに予測をされておるのか、それだけでなく、このICカードの所持者が希望して市役所へ登録に出掛けてくる必要があるわけで、その歩留まりは一体どういうふうに予測をされておるのか。制度ができたらみんな来るだろうという答弁では困るわけでありまして、強制しないと言っているわけですから、ここら辺の試算はあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(大野慎一君)
 私ども、この公的個人認証の仕組みを作ります場合に、秘密かぎとか電子証明書を収めるためにICカードを活用した方がセキュリティーが格別に高いわけでありますので、そういった前提で考えておりますけれども、法案の中にも、ICカードということではありますが、例えば住基カード、これはICカードを使うということでありますので、電子証明書を申請される方があらかじめ住基カードをお持ちであれば、そこの空き容量の中に電子証明書などを入れるということも考えられると思っております。
 そういったことが普及を進める大変大きな力になるのではないかと、このように思っているところでございます。
○又市征治君
 どうも茫漠たる計画のように見えてしようがないんですね。これでは窓口の職員が減るとか、あるいは節約になるという法案の理由もちょっと納得しかねるわけで、どうも莫大な投資計画だけが先行していることになるように思えてならないわけです。
 次に移りますが、年金まで拡大をしてしまうということになると、どうも税務事務までももうあと一歩なのかという懸念が出されています。我が党は大資産家やあるいはブラックマネーなどの脱税を防ぐという観点で納税者番号制度を作ることには積極的なわけですけれども、しかし、それとこの国民総背番号制あるいは住基ネットとの結合という問題は全く別問題です。個人データを行政が勝手に結合することは許されませんし、また漏えいの可能性が高くなってくるんだろうと思うんです。
 ところが、二〇〇〇年七月の政府税調、今年六月のあるべき税制の基本方針、昨年五月五日の塩川財務大臣などは、いずれもこの住基番号を使うというように言っておる、こういう危ない話が出ているわけですね。
 これについて総務省の考えはどうなのか。大臣、これは非常に重要な問題ですから大臣から明確にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(片山虎之助君=総務大臣)
 今、法律で決まっているのは特定の行政機関が恩給や共済を交付するときの本人確認情報を住基ネットから提供を求めるだけの話で、今回の百七十一も同じことなんですよ。その電子申告なんというのは、今持っていっている申告書をインターネットで送れますよ、オンラインで、これだけの話なんで、納税者番号とは何の関係もありません。 ・・・


(以下、「不穏当発言」として議事録から削除された答弁)

 それから、立ったついでに言わせていただきますと、ILOから中間報告が出ましたが、これは中間報告ですから、最終報告と違うので。
 それから、ILOが言えば、一から十まで恐れ入りました、じゃおかしいんですよ。恐れ入ったところもあるし、入らないとこともあるのは当たり前なんで、恐れ入ったところ、恐れ入らないところ、わが国として言うべきことは言わないと。それが我が国の欠点なんですよ。
 何かちょっと、もっともらしい国際機関にやられたら恐れ入りました、全部恐れ入りましたと、そういうことでは私は駄目だと思っております


○又市征治君
 いや、今ILOの話も出ましたから、ここは改めて一遍ここの委員会で、当然総務省が見解出しているわけですから、やりましょう。
 それから、今のお話でそうした住基番号を使うというふうに他のところで言っているのは、これはないということですね、大臣。そういうふうに確認しておきます。
 次に、第三番目に、電子認証における暗号方式の選定についてちょっと伺ってまいりますが、今年の四月に総務省と経済産業省の連名で暗号技術検討会の「二〇〇一年度報告書」というのが、こういうのが出ていますね。この報告書の二十七ページでは、一九九五年にネットスケープナビゲーターの暗号プログラム、つまりかぎの管理に問題が発見をされて、アメリカの諸銀行が相次いでサービス停止に踏み切った事件を重視をしています。一流の専門家が電子的暗号そのものの未熟さを警告しているわけでありまして、総務省はこの問題についてはどういうふうに受け止めていますか。
○政府参考人(高原耕三君=総務省情報通信政策局長)
 今おっしゃいましたように、この暗号技術検討会の報告書で先生おっしゃいましたようなことが指摘をされております。この検討会そのものは、平成十三年五月から、電子政府の推奨暗号リストの作成等を行うために総務省及び経済産業省が共同でやっておるものでございます。
 この中で、一九九五年、ネットスケープ社のブラウザのソフトにおいて暗号プロトコルのためのプログラムに欠陥があるということが分かったということが指摘されておりまして、この後、この報道を受けて、当時インターネットを利用したオンラインバンキングのサービスを提供していたアメリカの銀行がサービスの停止をしたりしておりますが、これ、ネットスケープ社そのものが欠陥を修正したプログラムを配布するということによって問題は当時は解決をいたしております。
 これに関しましてでございますが、この問題というのは、暗号方式そのものに問題があったというよりは、この暗号をプログラム化する過程において問題があったというふうに考えております。
 このような暗号を利用するためのプログラムというのは、各ソフトウエアの会社、ソフトウエア会社が責任を持って個別に製作をいたすべきものでありまして、いたしておりますが、総務省としても、今後、暗号を利用するソフトウエアあるいはハードウエアの製品化のレベルでの評価についても、これ、暗号そのものの評価と、それから暗号の製品化の局面、それから暗号を、プロトコルといいましてやったり取ったりする場合の三つの局面がございます。今回、今の先生御指摘のケースは暗号を製品化する局面での問題点でございます。この辺の問題点についても、今御指摘の検討会を通じる等して、今後とも総務省としても検討していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○又市征治君
 今ありましたが、報告書は、「暗号技術の欠陥が社会に大きな影響を及ぼした」と、こんなふうに明言をしているわけですね。
 ネットスケープナビゲーターといえば今最もメジャーなソフトの一つ。悪意だったら一瞬のカード操作で何十万ドルという盗難に遭ったんだろうと思いますが、たまたま善意の人が見付けたということで問題はなかったというふうに伝えられておりますけれども、お金で済めばいいけれども、行政が保有するプライバシーの侵害だったとすると、お金ではもう取り返しが付かないということになるんだろうと思います。
 そういう意味で、この報告書の最後の三十一ページには、二〇〇二年十月にこの検討会がお勧めする暗号に関するリスト案を作成し、各省庁において合意を目指すというふうになっているわけですね。現在十一月ですけれども、このリスト案は出されたのかどうか、まずこれ一つお聞きしておかなきゃなりません。
 また、それはこの十二ページから十五ページに挙げられている公開かぎ暗号技術八種類など計二十五種類というものと同じなのかどうか違うのか、あるいは増えたのか減ったのか、この点お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(高原耕三君)
 今、先生御指摘のように、この「暗号技術検討会二〇〇一年度報告書」に公開かぎ暗号として八種類、それから共通かぎ暗号として十一種類、ハッシュ関数として五種類、疑似乱数生成系として一種類挙げられております。
 この検討会においては、現在、この二〇〇一年度の提案のものも含めて、更に追加ないし公募した暗号もございますし、現在既に広く利用されている暗号方式もございます。そういうものを含めて、全部、大体数えまして四十種類ぐらいございますが、そういうものを対象に本年度中にリストを作成する予定で今検討しておる最中でございます。具体的には、今月中にパブリックコメントに付するという予定でやっておりまして、この増減はまだ、増えるか減るかといったことも含めて、今お答えできる段階にはございません。
○又市征治君
 まだ遅れてきているわけですね。
 同じく十ページでは、そのリスト案に基づき総務省及び経済産業省において各省の合意を目指す、その日付は二〇〇二年度末だというふうに書かれています。リスト案がそういう意味で遅れているわけでありまして、そうすると各省の合意も遅れることになるのかどうか、お答えください。
○政府参考人(高原耕三君)
 今申し上げたように、特に遅れているというような状況ではございません。
 それで、各省庁の合意は、今年度中に各省庁間の連絡会議等によりまして合意を目指すということはできるというふうに考えております。
○又市征治君
 まだ専門家段階でたくさんの候補があるということでありまして、そうすると、なぜこんなにスケジュールを詰めて法律の成立を急ぐのか、ちょっと理解ができないんですけれども。
 もう一つ、政府各省の暗号検討会と自治体に使わせる個人認証の暗号の選定とは別だという話なんですが、なぜ同じ総務省が別々に選定をされるのか、暗号という狭い専門分野なのにまだ別の有力な専門家がいるということなのかどうか、ここのところをもう少し説明してください。
○政府参考人(大野慎一君)
 この暗号技術の分野というのは大変技術の進歩が速い分野でもありますので、私どもが今お出しをいたしておりますいわゆる公的個人認証法案における暗号技術の利用につきましては、法律案の中であるわけでございますが、技術評価につきましては総務大臣が行う、暗号技術のレベルの決定についての評価、これは絶えずやる必要がございますが、評価なり調査研究、これは総務大臣がやるんだと、こうなっておりまして、先ほど来お話のあります暗号技術検討会などの議論も踏まえながら、最新の暗号技術を使うというふうにしているわけでございます。
○又市征治君
 正にこの分野は日進月歩、この間大臣は秒分までをおっしゃったけれども、そういう状況でまだ固まっていない、そんな段階なのに法律で公開かぎ方式に固定をするというのは早計ではないかというふうに思うんです。
 この分野において言えば、この間も出ましたけれども、指紋方式であるとか、あるいは顔で見るとか、手のひらの静脈で見るとか、ひとみで見るとか、いろんな分野の問題もあるんだというのが先般のときにも出ましたけれども、そういう意味では、どうも公開かぎ方式に固定するというのは早計ではないかと、こう思えてなりません。
 それこそ、ロッキード、グラマンの利権争いじゃありませんけれども、IT産業が不況だと、これの救済をやらなにゃいかぬという立場から、どうもそういう意味では、このことが先行されて裏にあるんではないかという疑念がそういう意味では最近大きくささやかれるようになりました。そういう意味で、どうも専門家の検討会のこういう話なんかでも、だしではないかというふうに、こういう疑念さえも持たざるを得ないわけであります。
 そこで、以上二日間、私もいろいろと疑念やいろんなことを述べ、そしてできるだけかみ合わせて、そういう意味では国民の皆さんの疑念など払拭できればと思ってやっていたんですが、いずれにいたしましても、今この三法案を決めるのはやはり時期尚早だというふうに思っています。
 時間がなくなりましたので、最後に一つだけ確認を求めておきたいと思います。これは一番初めにお聞きをした点ですけれども、行政サービスは全住民の基本的な権利でありますし、情報リテラシー、つまりコンピューターを使いこなせるか否かで差が付いてはならないわけでありますから、そのためにどういう担保をするのか。具体例としては、自宅などでパソコンを持たない人だとか、電子証明の前提となるICカードを持たない人、また持ちたくない人もいるわけでありますけれども、とりわけ高齢者の皆さん、こういったところは大変問題になってくるんだろうと思います。これらにも引き続きサービスをどう保障するのか、その点の確認を伺いたいと思います。
○政府参考人(大野慎一君)
 行政手続オンライン化法案の条文にもございますように、従来どおり書面でもできるわけですが、国民の選択によりましてインターネットでもできるようにするということでございます。
○又市征治君
 終わります。
○委員長(山崎力君)
 他に御発言もないようですから、(「質疑続行」「採決反対」と呼ぶ者あり)三案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより三案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

(中略)

○又市征治君
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律など、いわゆるオンライン関連三法案に反対の立場で討論を行います。
 反対の第一の理由は、今回の電子政府、電子自治体が、自治体や住民の議論が不足をしている中で、国主導で行われている点です。
 政府は、e―Japanなるものを国家戦略だとして、地方自治を考慮することなく、電子自治体の到達目標と実現年次を一方的に決定し、国で定めたシステムを無理やり強行しようとしています。
 予算、人材の不足等からまだまだ未着手な自治体も多く存在していますし、国民的議論も不足していると言わざるを得ません。また、インターネットを利用できない住民や外国籍市民の切捨ての可能性もあります。
 反対の第二の理由は、事務の標準化による国の統制・管理強化と地方自治の骨抜きにつながる点です。
 電子文書化と総合行政ネットワーク、霞が関WANとの接続は、政府から自治体への電子メールが増え、また自治体からの統計データの調査項目が今以上に細かくなるなど、国による統制、管理が強まるおそれがあります。
 また、電子化によって標準仕様やシステムが構築されれば、自治体の判断による独自性の発揮ができなくなる可能性もあります。職員が住民と直接接触する機会は減少し、住民や地域をパソコンを通して見るばかりで、職員としての知識や経験が重視されなくなり、行政の標準化、画一化が進む一方、地域の実情の反映や住民による自治の側面が薄れかねません。このように、住民自治の後退を招くことにさえつながります。
 第三の理由は、企業、財界のための利権作りが先行しているのではないかということです。
 一時期、IT関連産業はリーディング産業として竹中大臣ももてはやしていましたが、現在、IT不況が深刻化しています。電子政府、電子自治体は、中央省庁向けだけで二兆円、自治体向けなども含めると、その三、四倍の市場規模と見込まれ、また、企業が自治体IT化こそ商機だとして照準を合わせ、現に暗号方式の選定をめぐって、メーカーなど日米大企業間の暗闘が繰り広げられています。
 第四の理由は、住基ネットとの関係です。
 多くの自治体が住基ネットの稼働に対し延期や凍結を求める意見書を採択し、また日本弁護士連合会のアンケートにおいても慎重論が相次いでいるのに、整備法案では、住基台帳法の再改正として百七十一事務を新たに加える内容が含まれています。
 このような重要課題は整備法の中で改正するのではなく、本来、独立の法案として問うべきものです。しかも中身も、「システム利用の安易な拡大を図らないこと。」という住基法改正時の附帯決議に抵触するものです。公的個人認証サービスも、一般商取引にも使われることが期待されており、住基ネットの営利目的利用につながることが懸念されます。
 最後に、現在のような拙速なスピード審議では国会の見識が問われます。なぜなら、個人情報保護関連法案も成立しておらず、住基ネット稼働への批判が高まっている中、わずか三か月で住基ネットのなし崩し的な利用拡大を認めるものだからです。
 社民党は参考人質疑を要求をしましたが、当委員会は自治体関係者からの意見陳述も、またITやセキュリティーの専門家からのヒアリングもしていません。今後の自治体と住民の利害に大きくかかわる電子政府、電子自治体について、ほんのわずかの拙速審議で採決することは、良識の府にふさわしくないものであり、強い憂慮を表明して、反対討論を終わります。
○委員長(山崎力君)
 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 先ほどの片山大臣の発言中に不適切と認められる言辞があったように思われますので、後刻速記録を調査の上、適当な措置を取ることといたします。

(直後に開かれた理事懇談会にて、該当部分の答弁は削除することを確認し、片山大臣も「迷惑をかけた」と謝罪し、削除に同意)