第155回臨時国会

2002年12月3日 総務委員会



(1)「ワン切り規制」は通信秘密保護との両立を



○又市征治君
 社民党の又市です。
 今、この法改正によって、つまり刑事罰によってワン切りを規制しようとしているわけですけれども、防止の方法はほかにも今、幾つか考えられますね。一般に、犯罪や迷惑行為に対して刑罰でしか対処できない場合もあるでしょうけれども、この新しい技術を悪用したこういう行為に対しては技術面からの防止策も検討していくべきではないか、こんなふうに私は思います。
 そこで、総務省が八月に行ったモニターアンケートがありますね。これではモニターの皆さんはワン切りに対してどのような対応を望んでいるのか、多い順に上位三つぐらいを、その割合も含めて御紹介をいただきたいと思います。
○政府参考人(鍋倉真一君=総務省総合通信基盤局長)
 先生今御指摘のモニターのアンケートでございますけれども、これは総務省では平成六年から実施をしておりまして、電気通信に関する利用者の意見とか要望等を把握することを目的としております。千人を対象にお願いをしております。本年八月にもこのモニターアンケートを行いまして、迷惑通信のうちの特にワン切りに関しまして調査を行ったということでございます。
 このアンケートではワン切りへの対応策として次の三つが多かったということでございまして、一つが、新たな法を整備してもらいたい、それからもう一つが、電気通信事業者による迷惑通信防止、予防サービスを充実してもらいたい、それから、悪質な業者を取り締まってもらいたいという回答が上位三つでございまして、それぞれ若干違いますけれども、六割ぐらいの回答があったと。六割、これは複数で回答ができるものですから、それぞれ六割あったということでございます。
○又市征治君
 このモニターの回答ですから、一般国民に比べて日ごろから役所への親近感は強いはずですが、必ずしも、今も話ありましたけれども、新たに法律を作って罰しろと言っているのが多かったというわけではないわけですね。
 今年八月に、総務省は迷惑通信への対応の在り方に関する研究会を設けられています。これは八月二十三日に第一回を開いて、わずか四回目の十月四日に報告を出されているわけですが、超特急でのこの報告でデータも載っていないんですけれども、一応技術的な防止策も検討されたようですね。
 そこで、二点お伺いをしたいと思うんですが、まず第一は、一番穏やかな商業ベースの対応策として料金を取るというやり方、つまりワン切りは、先ほどもありましたけれども、現在の課金システムでは料金に加算されないからこそ何万回も発信をしても採算が成り立つ、こういう格好になっているわけですね。そこで、一度でも受信者につながったら料金に加算するというふうにシステムを変えるとか、あるいは受信側の電話機に着信電話番号を残すのが目的なわけですから、番号を残したら通話が成り立ったとみなすとか、こんなことの検討はされているわけですか。
○政府参考人(鍋倉真一君)
 今、先生御指摘のとおり、ワン切りというのは、我々、不完了呼と言っておりますけれども、いわゆる受信者につながらない、そこに課金はすることになっていないということで、要するにただでネットワークを使うということで成り立っているビジネスモデルでございます。
 ですから、こういうものに対して課金をするということになりますと、ワン切り事業そのものが成り立たなくなるということで非常に効果があることだろうと思います。
 ただ、この不完了呼に対して課金をするということになりますと、幾つか問題点があるんじゃないかなというふうに思います。
 一つは、間違い電話で、ああ、間違ったなと思って切っちゃう、そういうものにも課金をされちゃうということになりかねませんので、なかなかそういった方々を含めた国民利用者の幅広い理解が得られるかどうかという問題がございます。それから、今現在のネットワークは不完了呼をカウントするシステムがないものですから、課金するためのシステムに多額の設備投資が掛かるということで、この設備投資はひいては受信者全体に転嫁されちゃうという問題点がございます。それからもう一つは、国際的にも不完了呼というのは課金が行われていないということでございます。着信履歴を残した場合に限り通話は成り立ったものとみなすというものについても、今申しましたような同じ問題点があるというふうに考えております。
 なお、特定の場合に課金をするということでございますが、実際にもう一部の携帯電話事業者で既に導入をしておりますけれども、個々の受信者がワン切り業者の電話番号を登録した場合には、以後ワン切り業者がその者に発信をしましても電話をブロックして逆に課金されるというような制度は導入をしているところでございます。
○又市征治君
 もう一つ、技術的対処について伺いますが、報告書が出されまして、その三、今後の対応のうち、約款等による対応という箇所で、受信者が発信番号を指定しなくてもワン切りを一括して拒否するという意思表示をもらえば局の交換機でブロックすることが可能だという意味のことが述べられていますね。
 ただ、その要件が大変難しいようですけれども、一定の人数からこの発信者はワン切り業者だからという申告があれば適用する、こんなふうに言われていますね。また逆に、それを公表して反論権を認めるとも書いてあるわけです。あるいは、第三者機関でそのブロッキング指定の公正さを調査をするという方法もあるというふうに考えられているんでしょう。しかし、通信の秘密があるから勝手に着信履歴を調べることはしないとも書かれている。
 ここの部分、もうちょっと簡潔に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(鍋倉真一君)
 ワン切りへの対応策の一つとしまして、ワン切り一般について受信を拒否する、受信者からの意思表示に対応して着信をブロックするという方策がこの研究会で提言をされております。これは、今、先生御指摘のとおり受信者側の交換機側でブロックをするということになりますが、仮にこの方法が取られた場合には、各受信者がブロックすべき番号を設定しなくてもワン切りの着信を防止するということができるという非常に大きな効果がございます。
 ただ、この方法については、どのようにブロックすべき番号を特定するかということが問題でして、ワン切りだということで百人の方から申告があればそれでいいのかというような問題がございます。例えば、百人を超えれば、受信者からそういう申告があればブロックするという、そういう方策を取るということは考えられるんですが、ただこれはワン切り以外の発信まで規制することにひょっとしたらなりかねない大きな問題がございますので、ブロックするワン切り電話番号が実際にワン切りに使われていることの確認方法について更に検討していかなきゃいけないというふうに考えているところでございます。
○又市征治君
 大変困難な仕分作業だとは思いますけれども、通信の秘密保護との両立を図りながら、技術革新によって刑罰以外の取組によっても可能な防止策というのは積極的に取り組んでいくべきだろうと、こんなふうに思います。そのことを政府及び民間通信事業者の皆さんにお願いを申し上げなきゃならぬと、こう思います。
 私どもとしましても、今のこの法改正そのものについては賛成という立場を述べて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。