第155回臨時国会

2002年12月9日 決算委員会(2)



(1)実効性ある雇用対策を
(2)職能訓練民間委託での就職率低下の実態
(3)討論(東電原発虚偽報告・外務省報償費流用)


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今日は、厚生労働省に雇用問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 厚生労働省は、補正予算で七千五百億円を要求するなど雇用対策事業を拡大、新設をしてきていますけれども、実績や実質はどうだろうか。実例を二、三挙げてみたいと思います。
 まず一つは、中小企業雇用創出人材確保助成金ですが、実施は特殊法人の雇用・能力開発機構ですけれども、会計検査院で、十二、十三年度に不当支出がされた部分がありまして、受給した企業が実は山口組系暴力団のペーパーカンパニーだったというものであります。原因はどこにあったというふうにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(三沢孝君=厚生労働省職業安定局次長)
 お答え申し上げます。
 委員御指摘の中小企業雇用創出人材確保助成金でございます。委員御指摘のように、会計検査院から平成十二年度、十三年度にわたって不適正の指摘を受けてございます。
 不適正の指摘を受けましたのは、既に雇い入れた者を新たに雇い入れたこととして申請した事業主に支給したもの、あるいは新たに事業を起こした際に設けた施設や設備に掛かる費用、これは三百万円以上でありますけれども、の支払について虚偽の申請をした事業主、あるいは親会社といった資本関係の強い企業などからの雇入れ、これは対象外になっておるんですけれども、それにもかかわらず支給申請をした事業主に支給したもの、こういうものが不適正な支給として挙げられたところでございます。
 これらの原因でございますけれども、主として事業主が誠実でなかったと、そのために支給申請の記載内容が事実と相違していたということがございまして、こういう事実と相違していたにもかかわらず支給業務を行った雇用・能力開発機構都道府県センターにおける調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたと、こういうことによるものであると承知しております。
○又市征治君
 金額が少ないように見えますけれども、検査院の調べた十五の府県分だけの不当支出ですから不適正の比率は高いんだろうと思うんですね。実地に調べたのは大変少ないんじゃないか、こう思います。
 検査院は、今ありましたように、機構の都道府県センター側の調査確認が不十分だった、こういうふうに明記をされています。何とか事業を拡大しようという善意かもしれませんけれども、暴力団かどうかは知る人ぞ知るなわけで、地元の市町村に聞けばすぐ分かったはずなんですね。機構のこの府県センターで書類審査だけやったからこんな格好になったんではないかと思えるんですけれども、どうも政府系法人にありがちなこの無責任体制が原因ではないか、こう思えてしようがありません。
 本当に必要な人に届くためには、この際、同種の事業を含めて市町村との連携を取って行うように改めたらどうかと、こう思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(三沢孝君)
 お答え申し上げます。
 この助成金でございますけれども、いろいろな不正受給が横行している、数多いと、こういうこともございまして、雇用・能力開発機構におきましては、従来から行っておりました書類審査に加えまして、電話を活用しまして雇い入れた労働者に対する直接の確認を実施する、あるいは都道府県労働局で雇用保険データを持っておりますので、これは実際に雇い入れたかどうかというものを確認できるデータでございますけれども、その都道府県労働局が持っております雇用保険データの活用による要件の確認の徹底、こういうことで審査の厳格化に努めるとともに、悪質な事案が発生した場合には警察に直ちに告発を行うと、こういうふうな厳正な対応を取ってきたところでございます。
 ただ、いずれにしましても、引き続き事案が発生していると、こういうことでございますので、可能な限り今後現地調査を行う、こういうことで審査の厳格化に取り組んでいきたいと、こう思っている次第でございます。
 それから、地域の、地方公共団体の関係でございますけれども、地域における事業所の情報につきましては、私ども現地に、全国にハローワークを置いております。このハローワークでも可能な限りの把握ができるところでございますので、今後は都道府県労働局と支給事務を行っております雇用・能力開発機構都道府県センター、これとの連携を十分図っていきたいと、こう思っている次第でございます。
○又市征治君
 何か縄張意識がえらい見え見えみたいな感じがしてならぬのですね、ハローワークとその機構との調査でいきますとあると。市町村と何で連携取るのが都合悪いのか、ここのところをもうちょっとしゃきっとやってほしいと、こう言っているんで、やっぱりもうちょっと、本当にせっかくのお金をちゃんと適正に使い合えるようにいろいろな行政機関が協力をし合うということでやってほしいと思います。
 次に、緊急離転職者委託訓練についてですが、これは技術専門学校での直営と民間専門学校への委託とでやっていますけれども、全国及び私の調べた富山県や東京都、大阪府の実績だと、委託と直営では、委託の場合の定着、つまり事後の就職率が非常に悪いわけですね。その理由、またアドバイザーの設置等、厚生労働省がその後取っている対策は効果を上げているのかどうか、お伺いをいたします。
○政府参考人(坂本由紀子君=厚生労働省職業能力開発局長)
 平成十三年度の離職者訓練につきましての受講者の訓練終了時の就職率を見ますと、先生御指摘のとおり、全国平均では都道府県の職業能力開発校が約六〇%に対しまして、民間に委託をしているものにつきましては、雇用・能力開発機構への委託も含めたサンプル調査でございますが、約四〇%と低いものになっております。
 この理由といたしましては、一般的に、民間の教育訓練におきましては都道府県校に比べて離職者に対する就職支援のノウハウが不足していることによるものと思われます。このため、本年四月より都道府県に巡回就職支援指導員を配置いたしまして、これら民間機関に対する就職支援についての指導でありますとか求人情報の提供等を行っているところであります。この結果、委託先の民間機関の担当者が就職支援への意識をより強く持つようになったというような報告を受けているところでございます。
 今後、委託訓練につきましては、就職実績を的確に把握した上で、その実績を踏まえた委託契約を締結するというようなことを行いまして、委託訓練の効果がより高いものとなるように努めてまいりたいと考えております。
○又市征治君
 これも対象人員を急増しているのはいいんですけれども、どうも委託はITばかりですよね。専門学校の一般コースを短期の詰め込みに変えただけで、生徒も学校経営側もベルトコンベヤーで一丁上がり的にこなしているという、こういう傾向になっているような気がしてならぬのです。直営部分の方が丁寧である分効果が上がっているのに、財政難を理由に直営事業を減らして委託ばかりが増えているという、こんな格好ですよね。
 現場からの改善の声は、ITばかりでなく介護なども加えること、あるいは中高年者向けは若者と違うプログラムにすること、東京都のように委託契約に就職支援業務を含めること、各校へ、各学校へ訪問調査をすること、事前のキャリアカウンセリングをすることなどが挙げられております。中でも、国費は委託費だけで指導員の分は出ていないと。
 そこで、大臣、緊急と名前は付いていますけれども、もう常態化をしてる状況ですよね。直営分や各県が工夫した分も少し国費でカバーをしていくということを考えられないのかどうか。例えば、後で見ます緊急地域雇用創出特別交付金では、直接雇用の人件費以外に一五%内外を込みで認めているわけですよね。是非その点をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(坂口力君=厚生労働大臣)
 都道府県に依頼をいたしますもの、すべて国が交付をいたしますものと、都道府県にお願いをし都道府県が主体的に行っていただいて二分の一を助成するものと両方あるわけでございますが、それはそれぞれ特徴がございまして、都道府県がやはり自分たちのものに合ったものを自分たちの意思によってやっていただくということに助成をするのも一つの私は方法だというふうに思います。どちらがいいとか悪いとかということを申し上げることはでき得ませんけれども、それによってできる限りその地域に見合った雇用というものが達成されるということが大事でございまして、それを私たちももっと重視をしていかなければならないというふうに思っております。
 御指摘いただきますように、そこを全部見るということができればそれにこしたことはないんだろうというふうに思いますけれども、なかなかそこまで行かない面もございますので、そこはひとつお許しをいただくとして、しかし効率的にそれが運営されるというようにしなければならないことだけはもう御指摘のとおりでございますので、我々ももう少し注意を集中してそれらのことに当たりたいというふうに思っております。
○又市征治君
 ありがとうございました。
 それじゃ三つ目に、緊急地域雇用創出特別交付金についてお伺いをしますが、これは私、昨年の九月、補正で創設する前と、四月にも実は取り上げさせていただきました。これも大幅に増やしているのはいいんですけれども、前回も指摘をいたしましたように、六か月の緊急雇用がその労働者のその後の常勤定着に結び付いているかどうか、これは残念ながら、どうもよく分からないという格好になっているようですね。
 したがって、この事業についても就職アドバイザーなどをやっぱり張り付けて、労働者が定職に就けるようにより一層の努力をしてもらいたい、こう思いますし、それがどうしてもそうしたアドバイザーなどを付けるのは難しいということであるならば、六か月を延長するというこういう方法もあるんではないかと思うんです。
 そういう点で、大臣、是非実態に基づいて地方の声を踏まえて見直しをやったりやはり改善をすべきじゃないか、こう思うんですが、この点についても御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(坂口力君)
 特別交付金につきましては、都道府県あるいは市町村辺りからも非常にいろいろのお声をいただいておりまして、そしていろいろあります雇用関係の予算の中では比較的地域に見合った、地域によって、地域の自由意思によってでき得る一つの非常にいいこれは制度であるというお褒めをいただきます反面、今御指摘をいただきましたように、その使い勝手が少し悪いという御指摘もいただいているわけでございます。できる限り皆さん方の地域の意見を聞かせていただきたいというふうに思います。
 ただ、これは、これによって将来の全部の雇用が生まれるというのではなくて、一つのつなぎでございますから、このつなぎを将来の本当の雇用に結び付けていくようなひとつお使い方をいただきたいということを、これは私の方がお願いをしているところでございます。
○又市征治君
 終わります。

○委員長(中原爽君)
 他に御発言もなければ、平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(中原爽君) 
 御異議ないと認めます。
 これより平成十一年度決算外二件及び平成十二年度決算外二件について討論に入ります。
 平成十一年度決算及び平成十二年度決算の議決案はお手元に御配付のとおりでございます。
 なお、理事会において協議の結果、議決案は両年度決算を一括して作成することとし、また、内閣に対する警告については、お手元に配付の案文のとおりとすることに意見が一致いたしました。
 それでは、警告の案文を朗読いたします。

内閣に対し、次のとおり警告する。
内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。

(一) 航空自衛隊の新初等練習機の調達に関しては、平成十二年八月に総合評価落札方式による入札が行われたが、同入札に関するスイス政府の問い合わせに対して、防衛庁が当該調達に関する会計検査院の検査報告及びその要約を付して回答を行った際、その要約において検査報告の内容等を適切に反映していなかったことは、遺憾である。
 政府は、このような不適切な事態を招かないよう事務手続の適正化を図るとともに、総合評価落札方式を採用する場合には、会計検査院の検査結果をも踏まえ、入札及び契約事務の透明性、公正性をより一層高めるよう対処すべきである。
(二) 郵政官署に支給される渡切費の執行に当たり、一部の特定郵便局において不適正な経理が行われ、また、証拠書を亡失していた事態等もあったことが、郵政監察の調査により明らかになったことは、誠に遺憾である。
 政府は、かかる事態が郵政官署における予算執行、ひいては郵政行政に対する国民の信頼を損ねたことを厳しく受け止め、平成十四年度から渡切費の廃止に伴い採用された新たな会計手続を適正に行い、同種事案の再発防止に万全を期すとともに、平成十五年度に発足する日本郵政公社においても、同様に適正な経理を期すべきである。
(三) 外務省が各種行事で使用したホテル等の取引先への支払の際に、本来の請求額を上回る金額を不適正に支払い、この差額を当該企業等の内部にいわゆる「プール金」として留保し、職員間の懇親等の費用に充てていたことは、極めて遺憾である。
 政府は、このような不適正な行為が長年外務省内で広く行われていたことを重く受け止め、同省の更なる綱紀粛正に努めるとともに、公金の使用及び管理に対する基本的認識を周知徹底させるなど、この種事案の再発防止に厳然として取り組むべきである。
(四) 核燃料サイクル開発機構において、主務大臣の承認を得ない人件費の流用、認可予算に計上されていない地元協力金の支払、固定資産税や消費税の過大納付等の不適正経理が行われてきたことを、平成十二年度決算検査報告で掲記されたことは、遺憾である。
 政府は、平成十年十月の動力炉・核燃料開発事業団から同機構への改組後も、これらの不適正な経理が引き続き行われていたことを厳しく反省し、予算執行に係る内部統制及び指導監督の充実強化を図る等により、同種事案の再発防止に万全を期すべきである。
(五) 健康保険及び厚生年金保険の保険料に関しては、毎年度決算検査報告において多額の徴収不足が指摘され、また、平成六年度決算に対する本院の警告決議でも両保険の適用の適正化を求めているにもかかわらず、平成十一年度及び十二年度の決算検査報告において、それぞれ五十九億円及び五十四億円の保険料の徴収不足を指摘されたことは、遺憾である。
 政府は、社会保険の公平・適正な適用の重要性にかんがみ、社会保険事務所等における調査確認の強化及び事業主への説明会の実施等制度の周知徹底を図るなど、健康保険及び厚生年金保険の適用の適正化に、より一層尽力すべきである。
(六) 雇用保険三事業に係る助成金をめぐり、佐世保重工業株式会社及びその関連会社による虚偽の申請に対し、県及び雇用・能力開発機構における審査及び調査が不十分であったこと等により、結果として四億円を超える助成金の不正受給が行われ、また、制度上の不備により不適正な支給が行われていたことは、遺憾である。
 政府は、雇用失業情勢の悪化に伴い雇用保険の重要性が増している中、このような多額の不正受給等が発生したことを重く受け止め、審査の厳格化、実地調査の充実、適切な制度設計等により雇用保険三事業の適正な実施に万全を期すべきである。
(七) BSE(牛海綿状脳症)問題に関し、BSE感染牛の国内発生を防げず、また、その後、行政対応等の不備から、消費者、畜産農家等に大きな混乱を招いたほか、BSE関連対策予算の執行においても、買入れ基準等の事業要件の周知徹底が不十分だったことなどもあって、輸入牛肉を国産牛肉と偽装する等の事件が頻発したことは、極めて遺憾である。
 政府は、BSEの感染源の究明に努めるとともに、検査体制等の充実を図るほか、食料・食品の安全確保に万全を図るための行政の体制整備及び施策を推進し、生産者の経営の安定の確保と国民の食の安全に対する信頼回復に全力で取り組むべきである。
(八) 東京電力株式会社を始めとする電気事業者の原子力発電所において、自主点検作業記録を改ざんする等の不正により、炉内構造物のひび割れ等が長期間にわたって隠ぺいされ、また、この問題に関する申告案件について、経済産業省が申告を受けてから公表まで二年を要するなど、政府の対応が不十分であったことは極めて遺憾である。
 政府は、かかる事態が周辺住民を始めとする国民の原子力の安全対策に対する信頼を大きく損ねたことを厳しく受け止め、事態の全容解明に全力を尽くすとともに、検査体制の見直し、組織的不正に対する厳罰化、情報公開の推進等により、この種事案の再発防止に万全を期すべきである。

 以上であります。
 それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

(中略)

○又市征治君
 私は、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、本決算委員会において採決を求められている平成十一年度及び十二年度一般会計歳入歳出決算外三案の是認に反対、平成十一年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに平成十一年度国有財産無償貸付状況総計算書の是認に反対、平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書の是認に賛成、内閣に対する警告決議については賛成する立場を明確にして、討論を行うものであります。
 以下、反対の理由を申し述べます。
 近年、企業の不祥事が相次いでおりますが、中でも地元住民の信頼を大きく裏切った東京電力による原子力発電所の運転管理の虚偽報告は許し難いと言わなければなりません。
 既に二年前に内部告発があり、原子力安全・保安院においても東京電力による虚偽報告が行われていたことを承知していたにもかかわらず、報告をそのまま認めていたのは、保安院が東京電力とぐるになっていたとしか思われません。
 しかも、東京電力が全面的に非を認めたその翌日、保安院が安全であるとの報告書を作成したことは、地元住民のみならず全国民を欺くものであり、そのようなことが平然と行われたことは信じ難く、承認できません。
 また、企業による不祥事のみならず、中央省庁の官僚による不祥事も正に目に余る状況でありました。
 昨年初め、国民を大きな衝撃に陥れた外務省の報償費流用事件と裏金作りによるプール金事件は、国民が額に汗して納めた税金とその尊い精神をじゅうりんした許し難いものでありました。
 元要人外国訪問支援室長の報償費横領事件は、報償費の使途が一切明らかにされない秘密のベールに包まれており、その使途や管理がいかにずさんなものであったかを示すものでありました。しかも、外務省は、その事件が元室長の個人的な犯罪であったとして、すべての罪を元室長に押し付けておりますが、長い間にわたってずさんな使用、管理が行われてきたことは明らかで、個人的な犯罪であったとの説明だけでは到底納得できず、是認できません。
 これまでに幾つかの外務省改革に関する報告書等が出され、水増し請求によってプールされた裏金が返納されることになったことは当然でありますが、特に報償費については、国民の血税がどのように使われたのか、その使途を一定期間を経た後には国民の前に明らかにするような改革が行われない限り、地に落ちた外務省の信頼の回復はないことを警告しておきたいと思います。
 以上、申し上げた点について政府に強く反省を求めるとともに、各案に対する態度とその主な理由を申し述べ、私の討論を終わります。