第156回通常国会

2003年3月10日 決算委員会

(1) 政治的意図が見える税収の過大見積り
(2) 米国のイラク攻撃を止めよ


○又市征治君
 社民党の又市です。
 決算審査の対象であるこの二〇〇一年度の四月に小泉内閣が発足をされて、改革なくして成長なしと、こう唱えられたわけですが、不況は更に悪化をしたということは周知の事実であります。
 この年度の一般会計決算の特徴を見てみますと三つぐらい挙げられるんじゃないかと、こう思います。

 一つは、歳入で税収の当初見込みを高くし過ぎた結果、二兆七千八百億円の税収不足が出て、これを国債の増発で埋めたということ。

 二つ目は、歳出で公共事業がもはや有効な景気回復の手段となり得ないことが定説になってきているにもかかわらず、年度途中で公共事業費を対当初予算額より一兆三千八百億円も大幅に増額をされて、他方で、深刻化していった雇用対策や経済活性化対策に有効な策が打たれていないということ。

 第三は、こうした財政運営が、地方自治体の財政危機を更に悪化をさせて、地方単独事業を停滞をさせた上に、財政的に行き詰まってきた自治体を、あめとむちの政策で合併へと袋小路へ追い込んできた、こんな三つぐらいではないかと思うんです。

 こうした三つの失政が、現在まで続く不況や失業、倒産あるいは国民の生活苦、加えて国及び地方財政の赤字体質を更に深化させる、こういう二つの不幸を国民にもたらしたんではないか、これらは経済の自然現象ではなくて、小泉政権の財政運営の政治責任にほかならない、まずこの点を指摘しておきたいと思います。

 そこで今日は、税収の乖離について、まず財務大臣にお伺いをしたいと思います。
 今ほども申し上げましたけれども、対当初予算比でマイナス二兆七千八百億円、五・五%の不足なわけですね。この乖離率について、どの時点でお気付きになり、どう修正を試みられたのか。特に、十一月と二月に補正があったわけですけれども、このマイナス一兆一千億円しか修正をされなかった、それはなぜなのか。
 先ほどもお聞きをしましたが、税収予測は難しいといったこんな逃げな答弁ではなくて、一九八六年、当時の竹下大蔵大臣は、一%は誤差のうちだとはいいながら私なりにこれは深刻に受け止めている、こういうふうに厳しい姿勢を取っておられました。しかし、二〇〇一年度はマイナス五・五%ですよ。誤差どころの騒ぎじゃないんですね、これ。
 予想だから仕方がないなんといった占い師か予想屋みたいな答弁じゃなくて、また同時テロで景気悪化したんだと、こうおっしゃっていますけれども、突発事故のせいにしないで、やはり経済のファンダメンタルな部分について、政府のやっぱり見積り自体の反省に踏み込んだ科学的な答弁を求めたいと思うんです。

○副大臣(小林興起君=財務副大臣)
 お答えさせていただきたいと思います。
 とにかく世界の同時多発テロ、アメリカのテロ事件は予想を超えるすさまじい経済に対するダメージを与えた件でございまして、人の国のことを言うのもなんでございますが、アメリカでも当初から見まして九・六%も税収が落ち込んだということでございまして、人がどうだからうちがどうだというわけではございませんが、非常にまず大きい事件であったという御認識をいただきたいと思います。
 そういう中で秋に補正を組みまして、一・一兆円これはもう税収が下がるという見込みも立てたわけでございますが、その後、それはもう秋のことでございますから、十一月でございますから、その後、結果として、三月、締めたとき、その後正式に締めた結果、今お話がありましたとおり二・七兆円になってしまったということでございまして、誠に残念だと思っております。

○又市征治君
 やっぱり予想したとおりの、そんな予想のせいになっているわけですが、そこで総理にちょっと伺いたいと思うんですけれども、当初予算と決算の税収の乖離率は、過去十年度のうちマイナスが七回、そして最大ではマイナス一五・五%で終わった年も、平成十年度ですけれども、ありました。一方で、プラスの年度は三回しかなくて、幅も大きくて四・二%なわけです。つまりマイナス方向の乖離が常態化していると言っていいんではないかと、こう思うんです。
 これは、どうやら予測の当事者の実務的な責任というよりも、それを超えた政治的に意図的な過大見積りの作為が絡んでいるのではないか、こう思えてなりません。つまり、低めに見積もったんでは予算の見栄えが良くないから当初予算の税収は高めに見積もっておけという作為が与党なり政府首脳の中に根強くあるんじゃないですか、これは。総理、どうです。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 この税収見積りにつきましても、政府だけでなく民間の研究調査機関も盛んに行われております。政府が意図的に不可能な税収を見積もるというのは、しようとしても私はできるものではないと思いますが、今までの実績を考えますと、確かに見通しを外れている。この状況をよく反省して、よりしっかりとした見通しを立てる必要があると思っております。

○又市征治君
 作為はないと、今後しっかりと精密にやっていきたいという答えですが、二〇〇一年度予算案の論議のときは、小泉さんは森総理を支える立場の森派の会長だったわけですよね。ちょっと調べてみましたら、二月十九日の森派の会合では、二〇〇一年度予算成立に向けしっかり森政権を支えてほしい、こう檄を飛ばされているわけですね。
 総理に四月になられたわけですが、その直後の七月十九日には、逆に、その森前総理が愛知県の演説でこう言っているわけです。景気回復に常に軸足を置くべきだ、本年度予算には三千億円の公共事業の予備費が作ってある、すぐに使える、こうおっしゃっているわけで、これでは、あなたの生みの親である森前総理がこんなふうに言っているわけで、それで、あなたはその後、補正予算で四千七百億円の公共事業を追加をされている。
 だから、とても税収見込みを下方修正する余地はなかったんだと思うんですね。これがやっぱり巨額の乖離の政治的な原因の一つじゃないんでしょうかね。どうですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 これは、経済というのは国内だけの状況でうまくいったり悪くいったりするものではないと思います。これほど相互依存的な国際関係の中で、近隣諸国の経済状況あるいは世界的な経済状況のみならず、政治的な状況もあると思います。総合的なやっぱり要因がこういう予測できない結果になったんだと思いまして、だからこそ経済は生き物だと言われるんだと思いますが、今後とも、予測不能の状況が起こった場合には柔軟に対応する必要があると思います。

○又市征治君
 じゃ、観点を変えて少しお伺いしますが、四月にもあなたは、この年のですね、四月にあなたは総理にお就きになって、聖域なき構造改革を唱えられたわけですけれども、税収の見積り方についても、さっき述べましたように、政治的な歳出優先で税収を高めておく、こういう悪弊があったんではないかと私は思うんですが、それはないとおっしゃる。
 だとすると、非常に優秀だと言われる財務省官僚の皆さんの大きな予測が間違っている、こういうことになるわけで、小泉さん流に言うと、大したことではないということになるかもしれませんが、このこともやっぱり改革の対象にすべきだと思うんですよね。今、精密にもっとやらにゃいかぬと、こうおっしゃっているわけですが、この面で何か改革を指摘、指示されたことはあるんですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 私は、予測がどのように行われるかというのは、専門家でありませんので、随分難しい仕事をしているなと思って、やっている人を感心していますよ。
 これは一時期、決算、税収の見込みの基準をかなり前に変えたことがあるんですね。恐らく財務省はよく御存じだと思うんですが、かなり先に延ばしたんですよ。税収を五月か六月まで取り込むような方向をしたから、ますます先の見通しをしなきゃならなくなった。そういう点も、私は影響なしとはないと思うんであります。
 しかし、これを元に、そういう先の税収まで見込んでしまうというような状態を元に戻すとなると、今度はもう大幅な税収見込みを前提に、その改定した後の予算というのはとてつもない税収減になるわけですね。そういうことから、一度見直した、かなり先の税収を取り込んで見直すという方法を元に戻すというのは、これは多くの方々の御理解と御協力がなきゃできないと思いますが、ともかくかなり先の、かつての税収見込みよりもかなり先の税収まで取り込んだということにも一つの原因があるんじゃないかと思いますが、いずれにしてもこういう予測が外れているわけです。この点についてはより一層厳しく、正確な予測ができるような対応をよく財務省もあるいは内閣府も研究する必要があると思っております。

○又市征治君
 今おっしゃったように、このように歳入、過大な見積りが年度中の赤字国債の増発になっていく。当初予算での歳出削減の論議そのものは全く無意味になってしまうわけですよね。

 そういう点を踏まえて、やはりしっかりと取り組んでいただきたいということをまず申し上げておきながら、次に財務大臣にお伺いをしますけれども、今も総理からお話ございましたけれども、今の予算編成は翌年五月の税収まで取り込んでいる。これも乖離の大きな原因だと思うんですね。この法律が作られたのが一九七八年ですね。五月という月は年間で最も税収が多い、こういう月だと思うんですよ。法人税では、何と調べてみますと、年間税収の三六%を占めている。
 こういう実は状況にあるわけで、このことについて今、総理、先に御答弁なさいましたけれども、財政制度審議会が一九九〇年に、こういうやり方改めなさいということで報告を出しているわけですよね。この措置、つまり五月分の先食いが見積りを非常に難しくしているというふうに指摘しているわけですよ。財政秩序がそういう意味で一層乱脈になっている現在、正にこの報告に立ち戻って決算を改革すべきでないか、こういうふうに思うんですが、総理は、いやそれは難しいんだと今お話しになっているが、財務大臣、責任者としてお答えください。

○国務大臣(塩川正十郎君=財務大臣)
 どうも総理の言うように、非常に難しいです、二つの点で。一つは、企業の決算の報告がどうしても、三月でやるということになっていますけれども、それの数字が上がってくるのが遅れてくるということが一つございますこと。
 それから、いみじくもおっしゃいましたように、四月、五月の分のもずれ込んでやっておりますから、この分が、例えば最近の例でいきまして、六兆円ぐらいになるだろうと思うんですね。そうしますと、この分を先食いしないで三月に戻すようになったら、その分だけ一応国債発行で賄うか何かしなけりゃ、その代わり翌年度からはずっと変わりますからね、初年度、一年だけこれやらないかぬ。これはもうしんどい話になってもしようがない。とてもじゃないけど、財政上難しいだろうと。
 といって、これを何とかやっぱり調整をして、ここらが分かりにくい話なんですから、ですから、これをすかっとしたものに、企業会計にして、そういうものを明確にするような方法を取ったらいいだろうと思って、これは財政制度審議会等でも問題になっておる部分でございますので、十分研究いたします。

○又市征治君
 難しい難しいと言っていると同じことが続いていくわけで、決算で税収二兆円あるいは三兆円もの大きな乖離が今後も続くことになってしまうわけですね。
 ですから、やはり、せっかくこの参議院改革の中で、こうやって決算審査を重視をして早めていくことそのものも、財務大臣、先ほどはこれは快挙だと、こういうふうにおっしゃった。そういうものを受け、あるいはそうした財政制度審議会の答申出されておる、報告出されておる、厳しく指摘されておることを含めて、やはり財務省自らも本格的にこれをどうするかということを改革を是非してもらいたい。そうしていかなければ次の予算に本当の意味で反映できていかないわけですから、財務省側のその努力しっかり求めておきたいと思うんです。特に今年度、二〇〇二年度も、見込みでは五・四%マイナスになると、こう言っているわけでしょう。こういう数字まで出ているわけですから、ここのところをやっぱりしっかりやらないと、我々はいろんな議論したって無意味になってしまう。この点を是非しっかりやってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。

 本当はこの後、決算調整資金の問題もお聞きしたいと思ったんですが、ちょっと時間がございませんので次回に回さしていただきたいと思いますが、今までのところ、今日は初回で、決算審査の根幹にかかわる問題について論議をさしていただいたわけですけれども、各大臣におかれても、この参議院改革協議会の決算審議重視の真意を酌んでいただいて、国民のやっぱり疑問にこたえる改革に一層心掛けていただくように申し上げておきたいと思うんです。

 予算、決算のかかわる最後にしたいと思うんですが、この予算の無駄遣いの温床と言われる三十二の特別会計、これ、この間、二月の二十五日ですか、財務大臣、他の委員会、衆議院の委員会で、本家が、母屋がおかゆをすすっているのに、特別会計、そのどうも離れ座敷はすき焼きを食っておると、こうおっしゃった。こういう話が、うまい表現だと思う、私も。で、この改革について総理も何か御発言なさっているわけですから、総理、このことについて、特別会計、どう改革していくのか、その決意をちょっと伺っておきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 この特別会計の現状を正さなきゃいかぬということについては、かねてから塩川財務大臣から私の方にも相談がありまして、これはやっぱり本格的にやろうということで、今、財務大臣と相談しているところでございます。
 どういうふうにやるかというのは、今後、財務大臣に、財務省が一番よく知っているはずだからよく協議してやるようにと、丸投げと言われますけれども、これは専門家に任した方がいいなと。どういう状況かというものを専門家の意見を聞いてしっかりと特別会計の改善策をやっていこうということで、塩川大臣も意欲を持ってやろうということでありますので、私も期待しております。

○又市征治君
 じゃ、改めて財務大臣、今そういう御答弁なんですが、いつからどういうふうに着手するんですか。

○国務大臣(塩川正十郎君)
 これは、既に財務省の中でその検討の委員会みたいなのを作っております。しかし、これは公式なものにしなきゃなりませんので、財政制度審議会の中に今小委員会ございまして、その中で分解をきちっとしてもらって、制度的に特別会計を検討するような、作ってもらいたいと思い、まずシステムを作りたいと思っております。
 中身をどうするかということでございますが、特別会計の中でもいろんな種類がございまして、自ら財源を持っておって、その財源を使って事業の収支を計算しておるところがあるし、そうではなくして、国から、一般歳出会計から渡して、その事業の特殊性で独立させたりして収支計算取らせているというものがありますし、いろいろな種類ありますので、それ分けて、取りあえずまず第一の着手として、特別会計でやらなきゃならないのかどうかということの選別をやってもらって、もしできるのならばできるだけ一般歳出予算の中で組み込んでもらってやってもらうのでいいじゃないかと。それは、しかし特別会計でないと収支が明確に出てこないし、その事業の目的が達せられない、明確に判断できないという場合は、そこで税源の持っているものと持っていないものと、つまり一般会計から丸出しで出さにゃいかぬと。そこの区別をして考えてもらおうという大ざっぱなことを、大ざっぱなことなんです。
 そこをこれ各省、それぞれ非常に大きい問題でございますから、各省と相談しながらやっていかなきゃなりませんので、ちょっとそういうシステムをきちっと作っていきたいと思っております。

○又市征治君
 それじゃ、今日の財政問題についてはこの程度にさせていただいて、ちょっと若干時間がございますから、重ねてイラクの問題について総理の見解を最後に求めておきたいと思います。
 あしたにも何か決議の採決というお話があったり、今週末にも米国のイラク攻撃が始まるんではないかという報道がなされています。そういう意味では、国連では国連憲章で、自衛の場合と国連として決定した場合以外の戦争は一切禁止をしているわけですけれども、今、米国への攻撃の危険性もなければ他の国への侵略もしていないイラクを、米国が、国連決議がなくても一方的に攻撃するということは、どのように言い繕おうともこれは国連憲章違反、ルール違反、こういう暴挙だということは小学生にも分かることだと思うんです。だとすれば、ですからそういう意味では、世界で過去最大規模の反戦行動が起こっておる、こういうことだろうと思います。
 国連憲章を踏みにじり、あるいは国連の権威をおとしめようとしている、こういう米国に対して、日米同盟だからこそ、そういう意味では友人としてこのことについて、しっかりと諌めるぐらいの努力が今求められるんではないか。世界において名誉ある地位を占めたいと、こう言っておる、この憲法をうたっているわけですから、そういう意味でその努力をされるべきじゃないかと。このことを国民にしっかりとお答えをいただきたいと思います。

○委員長(中原爽君)

 時間でございます。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 ルール違反をしているのはまずイラクだということを皆さん分からなきゃいけないんです。昨年十一月の一四四一国連決議、そして国連の権威を傷付けているのもイラクなんです。国際社会一致してこの決議を守りなさいと言って圧力を掛けないと協力しない。即時完全無条件でイラクは協力すべきだったんです、今まで、四か月もあるんですから。それをいまだに国連決議を守っていないのはイラクだと。そこに対して、どうして守らせようかということを今、我々努力している。
 ですから、私は、国連の権威を傷付けないためにも、そして平和的に解決するためにも直ちに、まだ時間があります、イラクがこの決議を完全に履行するよう働き掛けていきたいと思います。

○又市征治君
 終わります。