第156回通常国会

2003年3月17日 予算委員会


(1)ILO勧告と公務員制度

○又市征治君

 社民党の又市です。
 今日は、公務員制度問題について御質問したいと思います。
 まず、官房長官、ILOの八十七号及び九十八号条約は憲法に規定された条約であり、当然遵守しなきゃならぬと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(福田康夫君=内閣官房長官)
 これは、この両条約については批准した条約につき、批准しておるわけでございます。憲法の規定にのっとり、すべてこれを誠実に遵守してまいったところでございます。

○又市征治君
 どうもお忙しいようですから、もう御退席いただいて結構です。
 そこで、坂口大臣、遵守すると、こう官房長官おっしゃったわけですが、どうもこれをILOの側が勧告で誤解をしているんじゃないかと、こういう格好でですね、政府の見解全体が固まったようではないですけれども、総務省が発表した見解はそんなことになっています。
 そこで、二月にもこのILOに調査官を派遣をして、今開かれておるILOの理事会にももう出席をしているんだろうと思いますが、ここで政府見解をILO側にどういうふうにお伝えになったのか、ILOの側は日本の政府が言っていることを理解したのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○国務大臣(坂口力君=厚生労働大臣)
 まだこれからでございますけれども、我々と考え方の違うところがある、そこの考え方の違うところについて理解を得るようにこちらからも説明をしたい、そういうふうに思っているところでございます。

○又市征治君
 どうも政府が、このILOの側が誤解をしているんだという、こういう話なんですが、十二月に野党三党の調査団がILOへ行きました。私もその一員で行ってまいりましたが、日本政府は八十七号、九十八号条約を批准をしており、この結社の自由原則を遵守することはもう当然の義務だ、たとえ閣議決定といえども批准した条約に適合しているかどうかを法的に検証し、勧告することは結社の自由委員会の任務だ、こういうふうに言っていますね。
 それから、十一月の審査時点で、労働側と政府側から提出された論点に基づいて、結社の自由委員会の原則に基づく十分な分析を行った上で下した最終的な判断であり、この勧告は決して中間的、暫定的なものでない、法案作成途中だから中間報告としているにすぎないんだと、こういうことなどを明言しているわけです。
 どうも国内ではILOは誤解していると、こう言われながら、実はILOは今やられているのに、出されてから随分たっているのに、どうもまともに何もない、言っていない、これからでございますという答弁、どうも納得できない。
 したがって、これだけ私どもが聞いてきたことと政府側がおっしゃっていることが違うんですから、ILOのやっぱりミッションを招いて真意を確かめるべきだろうと思うんです、国会も。
 したがって、委員長、是非、委員会として、その措置を取られるように要請をしたいと思います。

○委員長(陣内孝雄君)
 ただいまの又市征治君の発言につきましては、後刻理事会で協議いたします。

○又市征治君
 そこで大臣、私どもILOへ行きましたときに、OECD三十か国のうち消防職員に組合の結成を認めていないのは日本だけだと、こういうふうに言われておるわけですね。つまり、いかに日本がそういう意味では権利後進国であるかということが国際的には通説になっている、こういうことなわけで、そういう意味では、やはりこの点しっかりと今見直すような努力をしてほしいと、こんなことをまず今日のところは申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、石原大臣にお伺いをいたしますが、大臣は先ごろ、これは衆議院だったと思いますが、東京都の、参議院か、東京都の職員労働組合がストをした、そのとき、国民が支持していないからスト権を与えるのはどうかと思うというように発言をされました。御記憶だと思います。
 で、このストは人勧のマイナス勧告を受けて云々というように言っておられるので昨年の秋のことだろうと思うんですが、これはいつのことですか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(石原伸晃君=行政改革・規制改革担当大臣)
 平成十一年のストのことを念頭に置いて発言をさせていただきました。

○又市征治君
 そうすると、人勧のマイナス勧告を受けてというのはちょっと違うわけですね。
 そこで、今おっしゃったように、昨年は全くそんなことはないわけでありまして、一九九九年、あなたのお父さんが知事になられた年かな、これ、ということなんですが、そういう意味では、このストを国民は支持していないというように結論付けられたその根拠というのは一体何なのか。あなたの感覚なのか、それとも世論調査などの数字があるからそうおっしゃったのか、ちょっとお聞きしたいんです。

○国務大臣(石原伸晃君)
 私は東京都選出の国会議員でございますので、私の周りにいる方々の御意見やマスコミ等々の意見を勘案して、都民の皆様方がこのストを支持しなかったと発言をさせていただいたところでございます。

○又市征治君
 だとすると、私鉄のストライキなんて余りもろ手を挙げて賛成する国民なんていないんですよね。あなたの感覚からいいますと、それは私鉄のストライキも禁止すべきだという話になっていくんですか。そうじゃないでしょう。そこら辺のところを混同しちゃいかぬと思うんです。
 問題は、少なくともILO勧告は尊重せにゃいかぬ、この条約は守らにゃいかぬ、こう言いながら、一方で、この間からの御発言を聞いていますと、労働基本権は中長期の課題じゃないかと、事実上、棚上げに何か言及されているように思うんですが、そういう意味では、やはりそうしたあなたの感覚みたいな格好で、世論調査の数字で出ているわけでもないのに、おっしゃるのは不適切だと、こういうふうに言わざるを得ないわけで、そういう意味では、やはりこういう条約しっかり、あるいは本来ならば、この間も出ましたけれども、憲法二十八条、このことを書いているわけで、これを解除すべきだと。憲法二十八条に保障されていることを、途中でこれを国公法や地公法でこういうふうに書いて、禁止をしているから、制限をしているから、これを解除しなさいと。簡単じゃない、今のILO勧告とはそういうことなんですよね。
 ですから、そういうものをしっかりと、担当者であるあなたが自覚を持ってこれに当たっていただかないといかぬと思うんです。

 そこで次に、勧告は、法制度を改革して結社の自由原則にのっとったものにするという目的で、全面的で率直かつ有意義な協議が直ちに実施されるよう強く勧告する、随分とごつい勧告、中身なんですが、こういうふうに言っているわけですね。
 そこで、関係者との協議は一体どうなっているのか。あなたは、勧告で労働三権問題が出てきたのでこちらも協議をやらなきゃならぬと、こう述べられているわけですが、公務員法改正の諸課題の一つとして労働三権に関する労使協議のテーブルを新たに設けるという、こういう意味であなたはおっしゃったのか、ここのところを、真意を聞かせていただきたいと思います。

○国務大臣(石原伸晃君)
 職域団体の皆様とは、私自身が二月二十五日にお会いした際、先方より労使協議の設置を求める要請がなされ、それに対しまして、今後の交渉、協議については誠実に対応させていただきたいとお答えさせていただいたわけでございます。これは何度もお話をさせていただいておりますけれども、私といたしましては、要請があれば、可能な限り対応したいと考えております。
 また、公務員の労働基本権の問題については、官房長官や私自身も職員団体の皆様と直接会って申入れを受けており、その趣旨につきまして十分承知していると御理解をいただきたいと思います。
 私といたしましては、公務員の労働基本権の問題を議論することの重要性、これは十分に認識しておりますので、御党の日森委員であったと思いますけれども、そのときかなり踏み込んで発言をさせていただいたつもりでございますし、この問題につきまして議論することを否定するというようなことは全くございませんし、今後とも、職員団体との間でどのように交渉、協議を進めていくかを相談していく中で適切に対応していきたいと考えているところでございます。

○又市征治君
 時間が参りましたので、次回に引き続きこのことをやりたいと思いますが、要請があればではなくて、勧告に基づいてやはりしっかりと率直かつ大胆な協議をしろと、こう言っているわけですから、それに基づいてやっていただくことを要望して、今日は終わりたいと思います。
 ありがとうございました。