第156回通常国会

2003年3月27日 総務委員会(1)
(1) 寡婦加算分のみ減額する恩給法改正案



○又市征治君
 社民党の又市です。
 今回の改正案が恩給の寡婦加算分だけを減額するという大変おかしな内容でありますから、どうも納得できないわけです。その論議の前に一つだけ伺いますが、これを正当だとする理由として、寡婦加算は従来厚生年金のそれに準拠してきたからと、こう説明をされているわけですが、その点についてお伺いをしていきたいと思うんですが。
 今資料を、お配りをさせていただいていますが、これは総務省が出された資料です。
 〔資料配付〕

○又市征治君
 これによれば、毎年の改定は、平成六年が二回改定をしておりますので、これも含めて十一回改定がされておる。その実際の結果が厚生年金との関係でどうなっているか比べてみますと、十一回のうち同額になったのは五回しかないわけですね。あとの六回は額が違っていて、うち恩給が厚生年金より百円高くなっていたのは三回、二百円高くなったのが二回、残り一回は、これは平成元年のところですけれども、千七百円そういう意味ではマイナス、こういう格好になっているわけで、この千七百円の、どうしてこういう数値が出てくるのか、ここのところの理由をまず先に聞かしていただきたいと思います。簡潔に。

○政府参考人(久山慎一君=総務省人事・恩給局長)
 寡婦加算額でございますが、寡婦加算の導入の経緯などからしまして、公的年金における寡婦加算額と同額になるということが望ましいことではございますけれども、公的年金におきます寡婦加算額は消費者物価変動実績値に基づきまして改定されるのに対しまして、恩給の場合には予算編成時におきます消費者物価変動見込み値によりまして改定を行うこととしておるところでございます。したがいまして、結果として寡婦加算額に差が生じることもございますけれども、やむを得ないものではないかというふうに考えておるところでございます。
 平成三年度、四年度、五年度、九年度及び十年度におきまして公的年金におきます寡婦加算額と恩給における寡婦加算額が相違した理由につきましては、いずれも予算編成時における消費者物価変動見込み値が確定値よりも〇・一ポイント高かったことにより恩給の方が百円ないし二百円高くなっているということによるものでございます。
 また、平成元年度におきまして厚生年金の寡婦加算額が恩給よりも千七百円高くなった理由は、同年が公的年金の財政再計算期に当たりまして、予算編成過程において、恩給については消費者物価変動見込み値により額を設定したわけでございますが、公的年金におきましては障害基礎年金等の加算額の改定率による改定を行ったことによるものでございます。

○又市征治君
 今いろいろと説明がございましたが、それらはいずれも技術的なことであって、違いが生ずる根拠としてはちょっと私は薄弱だと思うんですね。
 現に、わざわざこの表をお出ししたのは、見やすく申し上げるために言ったんですが、どうやって恩給を年金に合わせてきたかと、こう見ますと、昭和六十年以前は両者とも定額、十二万円で固定をしていたわけですね。その後だんだん差が、さっき申し上げた千七百円まで広がった後、平成二年に年金額に合わせたわけですよね。その理屈は恩給の過去の動きとは関係なく、この二つの欄があって、左側の斜めの上の欄、上欄にある前の年の年金の額、例えば、これで言うと十二万八千円を引っ張ってきて物価を掛けた、つまり強制一致させた、こういう格好になっているわけですね。同じことを平成六年十月にもやっている。説明は、このときの恩給の欄を見ると、ずばり厚生年金との均衡を考慮してと書いているわけで、過去の恩給額も物価の率とも関係なく、こういうわけですよね。
 そもそも厚生年金に準拠させるというのなら、毎年この横引きにすればいいわけで、そのように法律で定めたらどうかと、こう思うんですが、実際の給付は年度の途中で調整すれば、給付はですよ、調整すればそれはできるんじゃないですか、そこは。

○政府参考人(久山慎一君)
 恩給費は一般会計予算でございまして、年末の予算編成時に額を確定いたしまして、年明けには予算案を提出する必要がございます。一方、消費者物価指数でございますが、これは毎月二十六日を含みます週の金曜日に前月分が公表されることとなっておりまして、年平均の指数が確定するのは一月末でございます。こういうことから、年末の予算編成時点におきましては、いまだ確定値を用いることはできないということがございます。そのため、恩給予算につきましては、従来から予算編成時の見込み値を用いまして予算案の額を決定しているところでございます。
 恩給の改定に当たりましては、従来からその時々における社会経済事情等を勘案しながら最も適切な改善指標を採用してきたところでございますが、現在の諸情勢の下では、公務員給与の改定、物価の変動その他の諸事情を総合勘案する、いわゆる総合勘案方式によりまして恩給の実質価値の維持等を図ることが最も適当であると考えておりまして、寡婦加算に係る経費のみを取り出して他の恩給費とは別の時期に額を決定するということは恩給受給者にとっても混乱を招くなど、余り好ましくないものではないかというふうに考えております。

○又市征治君
 どうも何か言っていること、擦れ違いがあるようなんですが、私は、これ、ずっと見てみたら、厚生年金と合わせていこうとこう言っているわけだから、横引きにして同じにしたらどうですかと、こう言っているので、もう少し検討をしていただきたいと思います。

 余り時間がありませんから、そこで、今日一番言いたいのは、そもそも今回実施される年金の引下げ自体が、これ、社会的、政治的に私はもう誤りだというふうに言わざるを得ぬと思うんです。小泉内閣はデフレ対策どころかむしろデフレ促進政策、こんな格好になっているんじゃないのか。こういう経済状況なのに、年金もそうだし医療費も、むしろ年金は下げる、医療費は負担増と、こういう格好になっていって経済をおかしくしていく、こういうことなのでありまして、その象徴的な一つが、寡婦だけをターゲットに当てたこの恩給の切下げ案もこれは問題だと。私は元々、恩給切り下げろなんて言っているんじゃなくて、なぜそういう意味で寡婦だけをここで下げるのかと、こう申し上げているわけですね。国民、特に経済的弱者の暮らしの意欲を一層落ち込ませる、こういう政治的な決定というのは納得できないと、こう申し上げたいところであります。
 最後に、時間がございませんから、恩給制度全般のことについて、昨年の審議でも私は、軍人の階級によっていまだに大きな恩給の額が差が付いているというのはおかしいんじゃないか、召集をされ、生活を奪われて死線をさまよわされた兵卒こそが犠牲者であって、恩給算定上の勤続年数も短いのが当たり前なわけですけれども、戦後五十年余りもたっているんですから、もう階級ではなくて、生活保障という観点からフラットな給付にすべきじゃないかということも去年申し上げました。その後、何らかの、このことについて改善の検討などがなされたのかどうか、この点についてまず一つはお伺いしておきたい。
 あわせて、この百三十万人の階級別の内訳、そして将官と兵卒の給付額の差も説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(久山慎一君)
 最初に、後者の方の御指摘の点についてお答え申し上げます。
 平成十四年三月末現在の恩給統計によりますれば、旧軍人恩給受給者のうち、階級が兵の者が約六十三万人、下士官が約六十万三千人、将校のうち、尉官が約十一万二千人、佐官以上が約九千人ということになっております。
 将校と兵の恩給年額につきましては、現在、普通恩給年額におきまして、兵の最低保障額が五十六万八千四百円、少将の年額が三百三十一万三千五百円となっておりまして、少将の年額は兵の年額の約五・八倍というふうになっておるところでございます。
 最初のお尋ねの点でございますが、今年度におきます恩給改定につきましては、公的年金と横並びで金額が設定されている寡婦加算につきまして、公的年金と同様、平成十四年の対前年物価変動値〇・九%を引き下げるものでございます。厳しい社会経済情勢の下におきまして、寡婦加算以外の恩給年額については、これを据え置きまして、また個別事項の改定についても、これを行わないというふうにしたものでございます。
 恩給は公務員の退職当時の俸給を基礎として算定することとされておりまして、旧軍人の場合は、従来から、階級ごとに仮定俸給を設けまして、恩給年額計算の基礎としているところでございます。このようにいたしまして、恩給の年額は公務員の退職時の条件に応じて決定されるものでございまして、これは文官恩給にも共通する原則でございますことから、従来からお答えしておりますとおり、旧軍人恩給についても相応の階級差はやむを得ないものというふうに考えているところでございます。
 しかしながら、旧軍人恩給における著しい階級差は必ずしも望ましいものではないということから、昭和二十八年の旧軍人恩給再出発に当たりまして兵の階級の仮定俸給を兵長の階級に一本化したほか、その後の仮定俸給の格差是正におきましてもできるだけ下に厚く改善するよう努めてきたところでございまして、過去においてベースアップにおける回帰分析の採用あるいは最低保障制度の導入等の措置も講ぜられておりまして、終戦時に比較すると階級による差は大幅に縮小されてきているのではないかというふうに考えております。
 現在では、旧軍人の普通恩給受給者の八〇・六%が最低保障制度の適用を受けておりまして、同一実在職年におきます階級差は実質的にほとんどなくなっておるのではないかと考えております。
 なお、恩給受給者の処遇につきましては、今後の社会経済を十分勘案するとともに、受給者の御要望等を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

○又市征治君
 引き続き、もう時間がなくなってしまう、答弁が長いものだから、この点の引き続きの改善を求めて、今日は終わりたいと思います。