第156回通常国会

2003年4月17日 総務委員会


(1)今後の郵政公社の役割
(2)国民の郵貯・簡保をリスクにさらすな
(3)公社経営にあたり良好な労使関係を


○又市征治君
 社民党の又市です。
 初代総裁になられた生田さんの紹介記事を見ていますと、雪深い山間部、私、富山県出身ですが、細入村にも入られて第一線の郵便局員と話をされたりしている。ユニバーサルサービスの確保に深く留意されているなという、こういう印象を持ちました。
 ここにあるのもその一つですが、政府の広報誌である「キャビネット」という雑誌の二十ページで、総裁はユニバーサルサービスについて、これは郵政事業の問題であるのみならず、本来は国の問題あるいは地方自治体の問題でもあると述べられて、また、市町村合併や地方自治の構造変化で事務所を閉鎖しているところがある、農協なども同じように合理化している、民間金融機関も再編しています、でも、なおかつその地域に住む生活者にとって重要な行政絡みのことを誰かがやらねばならないと述べておられますね。
 そこで、地域社会における郵政公社の役割について、端的に総裁の抱負や展望をお伺いしたいと思います。

○参考人(生田正治君=日本郵政公社総裁)
 地方の特定局、山奥の方へ入っていって見ていますと、やはり村役場なら村役場へ行くのに、それは車に乗れば十五分かもしらないけれども、どうしてこの年で私が乗っていけるんでしょうというふうなたぐいのやっぱり生活者の方は随分いらっしゃいますよね。
 だから、そういった方々がやはりどこに住んでいても、日本の、安定したあるいは利便性のあるそういう行政サービスが得られるということは重要だと思います。その度合いはますます進むだろうと思います。市町村合併が進めばそうなるはずですね。だから、これは公社の問題では本当はないと思いますけれども、主として地方自治体の問題だと思うけれども、利便性をどうやって確保していくのかということを考えていただいて、その間においてお役に立つことがあればどんどんお引受けしていく。
 ただ、その場合は、紙一枚出したら百円というふうな発想ではなくて、多少の維持費的な、固定費的な御協力も仰がなきゃならないかも分かりませんが、そういうふうなことも含めながら何とか利便性を保つ役割を果たしたい。そのための特別の部門も作りました。そういうことをやる、地域の問題を見る部門を作り、地方対策を考える理事も、西村さんという元自治省の方を片山大臣からいただきまして据えました。それで、日ごろから地方を回ってもらって、どういうことが必要が出てくるのか見てもらおうと、こう思っております。
 加えて、一言だけ加えれば、そういった行政だけじゃなくて、生活インフラの方でも、普通のショッピングといいますか、簡単に言えば、そういうふうなことでもお助けする面があるんだろうと思います。ただし、この辺はまた民業圧迫というそしりも受けちゃいけませんから十分配慮しながら、できたら一種の行政及び生活インフラの、コンビニエンスショップじゃなくてコンビニエンスオフィスみたいなものがイメージできて、これがコストも値段の中からちょうだいできるということになれば郵便局の存立のためにもいいなと、こんな感じでおります。

○又市征治君
 それじゃ、法案に関係して具体的に伺いたいと思いますが、現在、信託銀行の数は二十八行、このうち郵貯が単独運用指定金銭信託、いわゆる指定単を委託しているのは十二行、また、簡保では同じく十四行なわけですね。委託先を多様化することが必要だと言うならば、まず信託銀行の中から追加するのが最も堅実な方法ではないかと思うんですけれども、それとも新設の信託銀行や外資系は余り安心できないという、こういう事情でもあるのかどうか、少し例を挙げて簡潔にお答えいただきたいと思います。

○参考人(伊藤高夫君=日本郵政公社理事)
 日本郵政公社の簡易保険の担当をしております理事の伊藤です。お答えをさせていただきます。
 先生おっしゃったとおり、今、貯金の方は十二社、それから保険の方は十四社でありますけれども、やはり二十七社あるいは二十八社という限定をされておりまして、これまでも委託先は競争の観点から増やしてきておるんですけれども、投資顧問会社ということになると、もう数が百三十三ほどありまして、有価証券運用の専門の会社ということで、特定の資産に特化したり、あるいはスタイル、そういったことが非常に、運用、そういった得意としているところがありまして、そういったことから数的にも多様になって、それから質的にも特色を生かすことができる、そういったところから競争を促進していけば効率的な運用ができ、結果として受託手数料の削減であるとかあるいは運用の成績の向上が図られるんじゃないかというふうに思っているところであります。

○又市征治君
 そこで、先ほども出たんですが、元々、今の指定単ですら元本保証はないわけで、十三年度末現在で一兆四千八百六十五億円の評価損が発生をしているわけですね。元本が九兆円ですから、一六%ぐらいの損が出ている。だからこそ慎重に相手を選ばなきゃならぬのだと思います。
 今回新たに相手にしようという投資顧問業者、こちらは、今出ましたけれども、百三十三社ですかもあるわけですね。外資系が過半数だし、開業して間もない、言い方が適切かどうか分かりませんが、素性も分からぬ企業が雨後のタケノコのように名を連ねていると言っても過言じゃないんじゃないか。この中からどのような基準でこれを選んでいくのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(野村卓君=総務省郵政行政局長)
 先生おっしゃるように百三十三ありまして、信託銀行に比べるとかなり小さい規模の会社もございます。
 ただ、先ほど伊藤理事から話ございましたように、外債を得意とするとか、そういった一定の得意分野がある会社が多うございます。そういった意味で、今回そういったものを投資、運用の対象にしたいということでございますけれども、実際の委託先の選定につきましては、法案成立後に日本郵政公社において検討されると考えておりますけれども、一般的には、契約資産残高等一定の基準を満たすそういった投資顧問会社の中から、投資方針とか運用体制とか過去の運用実績、こういったことを総合的に勘案の上、選定されるものと考えているところでございます。

○又市征治君
 私は、小泉総理が郵政の民営化を主張されてきましたけれども、これは批判をしてまいりました。どうも本当のねらいは、この先、つまり、郵貯や簡保の資金三百六十兆円弱、これを株式購入などで民間資本に無制限に利用させることにあるんじゃないか、こういう立場で批判をしてきたんですが。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、国民の零細な資金が、それこそとらの子というお話が先ほどございましたが、大臣の名前から取ったわけじゃないと思いますが、保証のないマネーゲームに投入されて元本割れなどのリスクにさらされることのないように慎重な運用が当然必要だと。そこで、安全にして確実な資金運用が、郵政公社になったことによって変わってはならない、これは当然だと思いますが、御確認を願いたいと思います。

○国務大臣(片山虎之助君=総務大臣)
 私が預けたら本当にとらの子資金ですね。
 今、又市委員も言われましたが、国民の皆さんから預かった金ですね。しかも、小口、個人の生活保証の、セーフティーネットの金ですから、それはもう安全確実が第一だと、こういうように思いますよ。
 ただ、かつては資金運用の多様化ということで、リターンが、期待して指定単等の運用もやったんですね。しかし、これは全部やったんですね。郵貯、簡保はいい方なんですよ、またそんなことは言っちゃいけませんけれども。これはもう全部、そういう意味でのみんなダメージは受けたんですけれども、今後とも、公社に変わりましたし、生田総裁以下、国民の貴重なとらの子の金である、こういう認識で運用もしっかりやっていただけるものだと思っております。

○又市征治君
 そこで、総裁にもう一遍お伺いしますが、このリスクの高い投資顧問会社への委託を新設しなくても、これは私も前にも公社法のときに議論したんですが、郵貯、簡保にふさわしい、より安全確実な運用先として地方債という選択もあるんじゃないかと。地方債での運用は、郵貯、簡保の合計四・六%ですけれども、財政投融資が一二・五%も減らしたわけですから、その一部を地方債で増やすという考えもあるんじゃないのか、こう思います。
 総裁から先ほど、郵政事業が地方自治体の役割の一部を代行するようになっている、こういう趣旨の話もございました。そこで、地方債を保有することによって、地方の経済社会の活性化に協力をする、また地方の国民の郵貯、簡保への預け入れ資金を還元する意味もあるんではないか、この点について総裁はどうお考えですか。

○参考人(生田正治君)
 突如、とらの子と言いにくくなったんですけれども、本当に多くの個人の方々の、とらの子のお金をお預かりしているという認識でありますから、安全確実な運用に徹したいと思います。
 今、先生御指摘のように、財投の方は十三年度で七六・五%から六四%に一二%強減りましたね。他方、地方に対する資金運用の方は九・八兆円から九・九兆円に、額的には一千億しか増えていませんが、パーセントでも四%から四・一%、逆に伸びておりましてね、決してプロラタで、右へ倣えで減してないで維持しているわけです。
 今後とも、地方のことも十分重視しながら、なおかつ安全確実という原則は守りながら運用させていただきたいと考えております。

○又市征治君
 時間が参りましたので、本当はもう一問言いたかったんですが、要望だけにしておきたいと思います。
 私も、せんだって幾つか郵便局を回って視察もしてまいりました。ちょっと問題点があると思う点を申し上げて、善処方をお願いしておきたいと思うんですが、収益にやっぱり走る余り、切手だとかグルメ商品の押し売りまがいの、そうした公社のイメージダウンにつながるようなことが現実にやっぱりある。
 さらに、先ほども出ましたサービス残業の実態。労働基準法や、ユニバーサルサービスを守るといいながら、労基法だとか国際労働基準を守らないというんじゃ、これは笑い話にもならない、こういう問題があります。
 やはり経営に当たって、トップダウンだけではなくてボトムアップ、つまり緊張感ある良好な労使関係を作っていただく、こんなことについても是非重要だと思いますから、また改めてこれは質問をする機会があると思いますが、以上申し上げて、私の質問を終わります。