| 第156回通常国会 |
| 2003年4月21日 決算委員会 |
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| (1) 一般会計の4倍を超える特別会計 (2)自治体財政を悪化させる国の公共事業 (3)ダム排砂による環境破壊・漁業被害 |
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| ○又市征治君 社民党の又市です。 特別会計の肥大化とその不透明さというのは、今や大変大きな問題でありまして、三月十日のこの委員会でも私、取り上げさせていただきました。二〇〇一年度でいえば、三十六会計、歳出で三百六十三兆円もありまして、歳出八十四兆円の一般会計だけを議論しておっても意味がないほど巨額の収支が扱われています。 特別会計で直接公共事業をやっているのは五本ありますけれども、そのうち、道路整備特別会計で三兆四千億円余り、治水特別会計で一兆四千二百億円余りが一般会計から移転を受けてやっているわけですね。 今日は、治水特別会計について少し検討させていただきたいと思います。 治水特別会計のうち治水勘定は、会計検査院の指摘では多額の繰越しが累積をしているわけでして、特に九六年度以降は毎年一千億円台になり、九六年度以降は毎年二千億円台となって増え続けている、こういう実態にあります。もう一つの特定多目的ダム建設工事勘定の方も同様で、九九年度以降、繰越しは毎年五百億円を超えておりまして、二〇〇一年度は二つの勘定を合わせますと三千七億円にも上っている、こういう実は状況にある。検査院も指摘するように、このような多額の未執行、繰越しは問題だということですね。 この原因は、いろいろとあるんでしょうけれども、景気対策という理由で大規模な土木事業を年度途中の補正などで積み増しをして、消化し切れなくなってきている、こんなことにあるんじゃないですか。国土交通省、財務省から見解を伺いたいと思います。 ○政府参考人(鈴木藤一郎君=国土交通省河川局長) 治水事業は、国民の生命と財産を守る基幹的な事業であり、安全で快適な生活環境を創造することを使命としておりますが、その使命達成のために、真に必要な予算を編成し、その円滑な、かつ効率的な執行に努めることが必要だと承知しております。 しかしながら、事業によりましては、その計画又は設計に関する諸条件、気象又は用地の関係あるいは補償処理の困難等、突発的な事情等も含めまして年度内に支出を完了することが期し難くなるというものもあるのも事実でございまして、このような場合には、治水特別会計法の規定に基づきまして歳入の一部を剰余金として翌年度の歳入に繰り入れて使用しているというところでございます。 その剰余金受入額が増加しているのではないかという御指摘でございますが、例えば平成十年の栃木、福島県の豪雨というのもございました。十一年には岐阜、広島県の豪雨というのもございました。十二年には東海豪雨、有珠山噴火、三宅島噴火等々ございました。こういった異常な気象現象等により災害が多発するということもございまして、これに、これにはこれで機動的に、しかも弾力的に対応しなきゃいけないというような事情もございまして、結果的に、全体として工事期間が限られたり、あるいは用地補償の調整に時間を要するというふうな事例がございまして、事業の進捗に影響を受けているものもございまして、結果として翌年度繰越しとなっている工事が増加したものと考えております。 いずれにしましても、今後とも治水事業の、最初申しましたように、円滑かつ効率的な執行に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ○政府参考人(勝栄二郎君=財務省主計局次長) お答えいたします。 経済対策の一環としまして補正予算を編成する場合には、景気の下支えに即効性のある事業をその内容とするものが通例でございます。例えば、十三年度補正予算第二号ですけれども、におきましては、民間投資の創出や就業機会の増大に資し、かつ事業の早期執行が可能であり経済への即効性が高い施策でありまして、緊急に実施する必要があるものを厳選いたしております。 これは一般論でございますけれども、治水事業について申し上げますと、十三年度補正予算におきましては、災害に強い都市の再構築、高齢者等の災害弱者対策の推進、また防災分野のIT化など、その事業の早期執行が可能と思われるものを厳選したところでございます。 ○又市征治君 この河川事業、すなわち治水勘定の最近のもう一つの特徴は、地方自治体からの負担金が当然増えているという状況があります。ざっと調べてみますと、一九八七年から九一年度までは毎年二千億円台すれすれであったんですが、九二年度から九七年度は二千億円台の後半になって、九八年度から現在までは三千億円台に増えてこれが続いている、こういう状況にあります。 早い話、この治水勘定は、財政的には国の事業を、地方から強制的に約三〇%分吸い上げて約七〇%の自腹で一〇〇%のものを作り出すというこんな仕組み、こういうことになっているわけですね。したがって、国が事業を増やせば増やすほど地方の負担も増える、地方財政悪化の一因にもなっているわけです。治水特会に限らずに、国直轄事業に対する地方負担金というこの制度は、まるで江戸時代の幕府の普請のお手伝い金の制度みたいなものでありまして、自治体からは大変評判が悪い。 ちなみに、二〇〇一年度は、府県は土木費の一二%を国に吸い上げられている、河川費でいえば府県の一八・一%、府県は一八・一%を国に取られている、こういう勘定になるわけで、この点について、総務省はどういうお考えですか。 ○政府参考人(林省吾君=総務省自治財政局長) お答えを申し上げます。 国直轄事業の負担金という制度でございますが、この制度は、事業から地域が受ける受益に着目をしながら地方団体間の公平を図る見地から制度化されているものでございまして、私どもといたしましては、必ずしも不合理というものではないだろうと、こういうふうに考えております。 しかしながら、地方公共団体の理解を得て円滑に事業を推進してまいりますためには、事前に関係団体に対して十分説明責任を果たすことが必要であると考えられますが、この国直轄事業負担金の内容につきましては積極的な公開を進めるべきだと、こういう意見がさきの地方分権推進委員会における勧告にも盛り込まれておりまして、政府においても、平成十年には地方分権推進計画として閣議決定がされているところでございます。 このため、私どもといたしましても、毎年度関係省庁に対しまして、地方公共団体に対する説明責任を果たすと、こういう観点から、直轄事業の実施につきましては地方公共団体との事前協議のルール化を図りますとともに、現に事前協議が行われているものにつきましても、その内容の充実を図られたい旨、またその負担金の積算内容を十分に公開されたい旨を申入れをいたしているところでございます。 ○又市征治君 それだけではなくて、国が公共事業を増やしたことのしわ寄せが、地方独自の治水事業の遅れにもなって出てきていますね。 さっき、これだけ執行残額がたまったという理由を何かいろいろと述べられましたけれども、現行の第九次治水七か年計画では(国の)公共事業の進捗率一一八%なのに、地方単独事業は六五・四%と非常に大きな格差が出ている。倍近い格差ですよ。治水だけじゃなくて、同じような公共と地方単独の差は、急傾斜地事業、あるいは治山事業、海岸事業でもこういう格差が出ている。この結果、遅れている地方単独事業の中には、国のめがねにはかなわなかったかもしらぬけれども、地域住民の生命、財産にかかわる河川事業などもあるわけです。地方の事業を圧迫しないためにも、国はやっぱり公共事業の乱発というのはやっぱりやめて、過大なこんな繰越しについても、ダム建設など、後でもう少し具体的に触れますけれども、事業自体を見直して繰越しの解消、整理をやっぱり図るべきだろうと思うんです。これは時間がありませんから指摘にとどめておきますが。 今、総務省からも話があったように、二〇〇二年十月の分権推進会議の意見でも、直轄事業を限定しなさい、あるいは自治体に財政判断の余地を与えなさい、こんなこともちゃんと指摘しているわけですね。是非そういう立場でしっかりこの見直しをやっていただくように求めておきたいと思うんです。 そこで、治水特別会計は、今も申し上げてきましたけれども、約二〇%の自治体負担金を別にすれば実質的には一般会計で賄っているわけですね。三月十日のこの委員会で塩川財務大臣は、そういう会計は一般会計に整理をすると、こう述べておられるわけですね。実際、税金の直接の投入、はっきりさせるためにむしろそうすべきなんだろうと思います。 改めて、財務省のこの件に対して、大臣そういうふうに答えていますけれども、見解を伺いたいと思います。 ○政府参考人(勝栄二郎君) まず一般論でございますけれども、特別会計についての規定は財政法十三条に規定されております。それによりますと、特別会計は、一、国が特定の事業を行う場合、これ事業特会と言っていますけれども、二番目は、特定の資産を保有してその運用を行う場合、いわゆる資金運用特会、三番目としましては、その他特定の歳入をもって特定の歳出に充て一般の歳入歳出を区分して経理する必要がある場合、これが整理資金特会ですけれども、この三つに限りまして法律をもって特別会計を設置することができることになっております。 御指摘の治水事業につきましては、何で特会で管理しているかという理由でございますけれども、二つありまして、一つは、国自らが多数の直轄工事を長時間にわたって実施しているところであり、一般会計と区分して経理することにより、多額の費用を掛けて行われる同事業の長期的な成果を明らかにするということが一つでございます。それで二つ目は、治水事業におきましては、個々の工事について、先ほどありましたように、地方公共団体や電気事業者など国以外の者が財源を負担する枠組みが設けられております。これらの負担金は特定の工事の費用に充てるために徴収されるものでありまして、他の用途に使用されるものではないため、治水工事に係る受益と負担の関係を明確にするために一般会計と区分して経理することとされております。 以上が一般論でございますけれども、当然ながら、特別会計についても、大臣が申しましたように、一般会計と同様、事業の在り方について不断の見直しを行う必要があると思っております。 それで、具体的には、今般、財政制度審議会に特別会計小委員会を設置したところでありまして、こうした場を活用しまして、経済財政事情の推移や国民のニーズ等を踏まえて特別会計の事業の見直し及び特別会計の歳出の効率化、合理化等について検討を進めてまいりたいと思っています。 また、実は特別会計のディスクロージャーについても検討を行っておりまして、これも、財政制度審議会公企業会計小委員会におきまして、現行の予算、決算等に加えまして、企業会計の考え方を導入した新たな財務書類を作成するための取組を進めておりまして、その作成基準を本年六月に取りまとめる予定でございます。 ○又市征治君 具体的な、今度は事業の問題点について触れたいと思います。 執行残だけたまったんじゃこれは困るんですが、ダムにもう土砂がたまり過ぎて、一定時期にはこのダムの湖底にたまった土砂を放出をする排砂という作業が行われております。これによるヘドロが、下流はもとより遠く離れた海底まで堆積をして、漁業に広域的な被害を与えて係争になっている例があります。 私の出身の、富山県の黒部川宇奈月ダム及び出し平ダムの排砂について、昨年六月に地元漁業者から富山県公害審査会に提訴をされて、国土交通省は関西電力と並んで調停の場に出たわけですが、国はこれを拒否をした。なぜこれは拒否されたのか、伺いたいと思います。 ○政府参考人(鈴木藤一郎君) 富山県公害審査会におきまして、御指摘のように、この審査会に先ほど言われた案件が提訴されたわけでございます。 この公害紛争調停の内容につきましては、公害紛争処理法第三十七条により非公開で行われておりまして、調停の場での内容について公表しないということになっておりますので、ただいまの委員の御質問に直接お答えすることは差し控えていただきますが、ただ、調停の内容ということについては今申し上げたようなことでございますが、この問題についての私どもの基本的な考え方をこの場で御説明しておきたいと存じます。 それは、まず、この御指摘のような出し平ダムの土砂を関西電力が、平成三年だったと思いますが、排砂して、それに伴って下流の方で被害が起きてというような一連の流れの中でこの問題が起こったわけでございます。 国土交通省といたしましては、その後ずっと時間がたっておりますが、平成十年度から毎年、その前に、平成十三年からは宇奈月ダムというものが完成したわけでございます。その宇奈月ダムと上流の関西電力が設置した出し平ダムの排砂という問題を両者がちゃんと連携を取って上手にやっていく必要がある、これがまず基本的な認識でございまして、それを有効にやる、実施するために、次のとおり地域の皆様の意見を反映させながら毎年度、排砂計画、環境調査計画を策定し、それに基づいて調査も実施しながら実際の排砂ということを行っているわけでございます。 具体的にもう少し申し上げますと、まず排砂計画、環境調査計画の原案を作成いたします。この原案を申請人の皆様も含む海面漁業関係者で構成されるところの黒部川汚濁対策現地協議会に説明させていただき、そして御意見を伺い、排砂計画、調査計画の策定に反映させてまいります。 そして、このようにして、まあ反映されたと申しましょうか、修正された、場合によっては修正されたその案を、この案を学識経験者から成ります黒部川ダム排砂評価委員会というのを組織しておりまして、ここに諮って評価していただき、そして更にその案を流域の一市三町の代表である市町村及び県の農林水産部局等の関係部長等で構成する黒部川土砂管理協議会、こういうところで協議していただいて、その上で実際に毎年度、排砂計画、調査計画というものを作って、それに基づいて実施しているというところでございます。 なお、最終的に、その協議会におきまして最終的な調査結果を作る前段で、再度、先ほど申し上げました海面漁業関係団体の意見をもお聴きした上で協議会に報告をしていただいて、そして最終的な案を作ると、このようなことをやっているわけでございます。 私どもといたしましては、これまでも申請人の皆様が所属する海面漁協等で構成されております黒部川汚濁対策現地協議会の場を通じて御説明を行い、御意見、御提案を伺ってきたところであり、今後とも多様な意見を聴くように努めるとともに、要望や提案につきましても引き続き誠実かつ適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。 ○又市征治君 長々御説明いただきましたが、現実に、この調停に応じないために訴訟になったわけですよね。去年の年末でしたね。訴訟が起こっているわけです。そして、二件の訴訟が起こされているわけですね。現実に、何か影響がないみたいなことをあなた方はおっしゃっているんですが、じゃなぜ一体全体、漁獲量が減り、廃業に追い込まれている定置網が二つも出ておるとか、あるいは黒部川沿岸に堆積しているヘドロは一体どこから来たのか、排砂にした土砂は一体どこに堆積したのか、こんなことをやっぱりそこにいる漁民の皆さんと一緒に相談しなきゃいかぬので。 全く、あなたがさっきおっしゃった九一年の出し平ダムの排砂に伴って、関西電力が富山県漁連に、三十九億円もの多額の根拠不明な補償金だとか漁業振興費を出したわけですね。ところが、そのうち八億円は周辺の自治体に寄附している、そして漁民には三億五千万しか行っていない。だから、大変にこの金の支払が不明瞭だということで問題になっておるし、そして、まして電力会社が漁業振興費を支出するというのは、これは違法でしょう、明確に。これ、電気事業法からいっても、もう違法だと思うんです。これは昨年の同じ農水委員会で、これ質疑で明確に違法性は明らかになっていますよ。 そういう格好で来ておって、今訴訟中という格好になっているわけですが、時間がなくなりましたから簡潔にいたしますが、一千七百四十億円も掛けてこの宇奈月ダムというものを造りましたけれども、始めの当初の目的であった、一つは利水です、それからもう一つは洪水調整です、もう一つは発電ですと、こう言っておる。利水、やっていないんでしょう。発電はごくわずか。そして、洪水調整効果、何のことはない、四十センチだけ水位が低減効果があった。四十センチですよ。だとすれば、こんなもの、護岸堤防を少しかさ上げして補強すれば十分にできた話。これに一千七百四十億円も掛けて、そして環境破壊は進むわ、漁業被害は進んでいるわ、観光のイメージダウンはなるわ、流れる水はなくなったわ。正にダム、言葉を逆さにしたら「無駄」なんですが、本当にこんな浪費としか言いようのない、こんな格好なんですよ。 だから、そういう意味でこのような、今こそダムの問題がいろいろと問題になっているわけでありまして、こんなところを、これ大臣、ぱっと、先ほどもおっしゃいました公共事業の一面、必要性は私も十分知った上で申し上げますけれども、こういう状況というものについて、率直にやっぱり見直すところは見直し、とりわけ今実際に被害を受けておる住民がいるわけで、訴えられているわけですね。だから、漁業やあるいは環境と両立できる、排砂ゲートの常時開放、こういった問題も含めた河川の運営の検討もしてほしいし、ダムの全体的な見直しもしてほしい、こんなふうに思うんで、是非、先ほどから聞いておられての感想を含めて大臣からの御検討をいただきたい、御回答をいただきたいと思います。 ○国務大臣(扇千景君=国土交通大臣) 又市委員が期せずおっしゃいました、ダムを反対に言ったら無駄と。無駄であるなら私は巨額な費用を掛けてまでする必要はないと思いますけれども、下流の人命あるいは治水の問題等々、先ほどからも環境の話が出てまいりまして、岩本議員が、環境とは何だろう、下流の人たちの治水のあるいは利水の皆さん方の環境保全はどうあるべきかと。ただ自然に置いておけば全部いいというのではなくて、私は、あらゆるところでダムの必要性とダムの無駄と両方あると思うんですね。 ですから、私たちはその意味で、あるものを排砂する、その砂を取ってきれいにするだけで済むならいいですけれども、もっと私たちは根本的に、日本は無駄無駄とおっしゃいますけれども、アメリカのフーバー・ダム一つに比べて、日本じゅうのダムとフーバー・ダムと同じ大きさなんです。それくらい日本は細かくそれぞれの地域に合った対応というものを私たちしておりますので、今お話出ましたように、その地域の皆さんの、上下中流、下流、多くの皆さんの意見を聞いて私はするべきであるという方針だけは間違いなく徹底しております。 ○又市征治君 終わります。 |
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