| 第156回通常国会 |
| 2003年5月29日 総務委員会 |
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| (1)国民に出費を強いる地上波デジタル化 (2)マンションなど協聴設備も追加負担 (3)メーカー主導・利用者無視のIT政策 |
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| ○又市征治君 社民党の又市です。 この(電波法改正による地上波の)デジタル化で負担増になるのは、どうも電波事業者だけではなくて、電波利用者、つまり一般国民が不要不急の出費が強いられる構造になっている、こんなふうに思います。利用者、視聴者の負担増は、費用分担がまだ未解決の部分も含めて三点ほどあるんではないかと、こう思います。 そこで、まず、このビル陰などの新たな難視聴問題が生じてくるんではないか。デジタル波は直進性が強いので、東京タワーの新しいアンテナからは届かないところがあるということが分かってきたということですね。今までビルが後から建ってきたわけで、ですからビル側が難視聴対策というのを払ってくれたわけですが、今度は逆になる。一体、この対策費というのはだれが払うのか、この問題が一つあると思うんですね。 同じことは全国で起こっているわけで、例えば名古屋では、名古屋のテレビ塔が使えずに新たに瀬戸市にテレビ塔を建てなきゃならぬ、こんなことになっている。 責任分担にしても、従来はビルが建ち上がって難視聴になったわけだから責任はビル側にあったわけで、ところが今度は、ビルは初めからあるわけですから、後から家庭などに新しいデジタルテレビを入れる、こうなるわけで、その時点で難視聴が生じてくる、こういうことになるわけですね。 そうすると、ビル陰などの難視聴対策について、今年三月号の雑誌、「ニューメディア」で総務省の田中放送政策局、課長ですか、この方がデータを整備中だと、こう言っているわけで、全国で一体全体何世帯ぐらい、幾らぐらいというふうに見込んでいるのか、この点、ちょっとお聞きしておきたいと思うんです。同時に、この対策費の自己負担割合というのはどうするつもりなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。 ○政府参考人(高原耕三君=総務省情報通信政策局長) 最初に、共聴施設の...... ○又市征治君 ビル陰。 ○政府参考人(高原耕三君) 共聴じゃない。 ○又市征治君 ビル陰、ビル陰。 ○政府参考人(高原耕三君) ビル陰。 今、ビル陰につきましては、デジタル化に伴いまして電波の反射障害とそれから遮へい障害ございますが、この反射障害は非常に改善される見込みがございます。遮へい障害につきましても、いろいろ先生おっしゃいました電波の発射地点におきましてかなり変わってきます。 正確な把握は、要するに今、電波が出ておりませんので困難でございますけれども、平成十四年からその予算を取っておりまして、デジタル放送における都市受信障害対策に関する調査研究ということで、既存の受信障害解消施設がデジタル化対応する場合の課題の調査検討を行っております。 また、十五年度におきましても、デジタル放送におけるビル等による受信障害の発生メカニズムの調査研究を行うとともに、地上デジタル放送の試験電波の発射を受けて実測調査などを行うということにいたしております。 この調査結果を得まして、原因あるいは規模を分析いたしまして、関係者を交えながら費用負担を含めて、どういうふうに対応していくべきか、早急に検討してまいる所存でございます。 いずれにしましても、デジタルの電波を受けませんと、非常に複雑な構造になっておりますので、具体的な数値は今のところは出ておりません。 ○又市征治君 こういう計画を進めるというわけですから、そういう意味では、最大限予測をしてその費用をどうするのか、このことはやっぱりしっかりやってもらわにゃいかぬと思うんですね。 二つ目に、今、局長、先に言い掛けたんですが、マンションなどのいわゆる共同視聴設備についても追加負担が必要になってくる、こう言われています。自宅にデジタル受信機を入れても駄目なわけで、共同視聴設備に取り替えなきゃならぬ、こういうことになるんだろうと思います。集合住宅以外にも、電波障害のために共同視聴設備に頼っている世帯やケーブルテレビ経由で視聴しているこういう世帯を含めると二千六百万世帯、全国の過半数になる、こういうふうに言われています。そのうち一千万世帯で設備の更新が必要で、その金額がおよそ一兆円とも言われるわけですけれども。 この数字は、昨年の十二月の中央公論で、今日、その写し、取ってまいりましたが、自民党の平井衆議院議員が書いておられますね。平井さんは、御存じのとおり、四国テレビのオーナーでもあるわけで、業界サイドからの根拠ある数字だろうと、こう思います。 この点について、一世帯十万円ぐらいになるんではないかという、こういう負担が、試算も出ているわけですが、この点はどうなるのか。また、これは個人負担になっていくのか。 先ほどの田中課長が、共聴施設については今のところ国の支援スキームがないため、検討すると。今、局長おっしゃったように、検討する検討するばっかりなわけですよ。まだ、いまだに決めていないわけですから、これ、どうしていくつもりですか。 ○政府参考人(高原耕三君) 共聴施設でございますが、辺地の難視聴解消のための施設、それから都市の受信障害解消目的の施設というのを合わせて、今、六万六千施設で八百三十万世帯でございます。 先ほど、先生おっしゃいましたCATVの場合はこのほかにございますが、行動計画におきましては、CATV事業者がCATVの地上デジタル対応は二〇一一年までにやるということをあの行動計画で定めております。 このアナログ用の共聴施設でございますが、これは地上デジタル放送の伝送帯域に対応していないものが確かに多いわけでございまして、これらの施設を利用してデジタル放送を視聴する、使用する場合には、二〇一一年までには施設の改修、調整が必要となります。 しかし、地上デジタル放送は受信障害に強い伝送方式でございますから、アナログ放送の場合に比べましてビル陰等の受信障害は大幅に改善すると見込まれておりまして、また、受信障害が改善された地域におきましては既存の共聴施設によらずに直接受信が可能となります。 また、引き続き障害が残る施設におきましてはその改修が必要となりますが、例えば、既存の施設の空きチャンネルにデジタル放送電波を周波数変換して伝送する方式といったような方式などを用いまして極力低廉な費用で改修が可能となる。今現在、関係業界と検討を進めておる最中でございます。 このように、二〇一一年のアナログ放送終了までの間に共聴施設のデジタル化対応が円滑に進むように今、関係業界と取り組んでおるところでございますが、費用が、先生おっしゃいましたように、どの程度になるのかと。あるいは、受信障害の改善の程度、あるいは今申し上げましたような低廉な改修方法につきましても、今後の開発動向によって大きく左右されるところがございますので、今現在、一概にこれでというふうには申し上げられない状況でございます。 いずれにしましても、共聴施設のデジタル化に要する費用は、基本的には各家庭においてデジタルテレビを買い換えていただくのと同じように、個別に受信している世帯との公平性の観点から、基本的には自助努力でお願いしたいと考えておりますが、しかし、今後幅広く、先生の御指摘もございますので、幅広く検討いたしまして適切に対応してまいりたいと思っております。 ○又市征治君 受益者負担ですね、視聴者負担ということで、こういうことなんですね。 そこで、三つ目に、随分議論されてまいりましたが、受信機を買い換える、こういう負担が出てくると。先ほども話が出ていましたブロードバンド時代における放送の将来像に関する懇談会、今年の四月十五日ですね、これを見ますと、二〇〇一年には一億台、つまり一世帯二台強ともくろんでおるわけですが、今約三十万円ぐらいと、こう言われている。もちろん安くなるでしょうし、まだ安くなっていくんでしょうけれども、まだまだ使えるはずのアナログテレビを捨てて買い換える、こういうことになるわけですから、仮に十万円に落ちてきたとしても大変高いというふうに国民は感じるんじゃないかと思うんですね。 この中、見てみますと、御丁寧に何と書いてあるか。過去十年間のテレビ受信機の総需要一億台に匹敵する台数を七年半で普及させる、一・三倍という極めて高いハードルだと、こうこの中にも書いてあるわけですね。今日述べた設備費用などと合わせますと、利用者の無用な負担が非常に大きいんではないか。カラーテレビも携帯電話もパソコンも国策なしで急速に普及をしてきましたけれども、今回のは異例で、官主導の無理な国策だと、こう言って、非常に無理な計画ではないかと、こんなふうに思えてならぬわけです。 ですから、そういう意味で、先ほど来出ておりましたが、この自民党の平井衆議院議員も、全くこれはもう破綻をすると。だから、デジタル計画は破綻をする、勇気あるいったん停止をと、こういうふうにむしろおっしゃっているだろうと思うんですね。この点について、もう一度考えをお聞かせいただきたいと思います。 ○政府参考人(高原耕三君) ブロードバンド時代の放送の将来像に関する懇談会で、一億台のテレビの普及計画というのを作っております。これは、官が主導して、何といいますか、無理やり作ったというものではございませんで、放送事業者と主要メーカー等の責任者が合意をして策定したものでございます。それから、今のアナログ時代におきましても、毎年一千万台ずつ普及しておりますわけで、何か相当無理な計画を押し付けたということには、こういう懇談会の議論の中ではなっておらないわけでございます。 さらに、この五月の二十三日にも消費者団体あるいはメーカー、地方公共団体あるいは各種の経済団体、マスコミも含めて四百を超える各種団体が集まりまして、オールジャパンと言われるような組織で地上デジタル推進全国会議を発足させておりまして、関係者が一体となってこの地上デジタルを進める体制が整っておるというふうに理解をいたしております。 ○又市征治君 いや、官が押し付けたんじゃないんだと、こうおっしゃっていますが、田中放送政策課長に聞くというあれでは、地上波デジタル化は国のIT戦略の一環として国策として行っています、こういう格好で書かれて、国策国策と言っているわけですよ。余り言葉も良くないですね。 そこで、次に事業者にとっての電波使用料の値上げの問題についてお伺いをします。 例えば、NHKだとテレビ、ラジオ、FM含めて現在、年額二億円の使用料なわけですが、六倍強の十二億五千万円になる。これが八年間続くという案ですね。当然ながら、放送事業者から大小問わずに大変に反対が強い。 総務省の資料から拾ってみますと、まず、放送事業者の利益になるという総務省の言い分に対してNHKは、アナログ放送の継続は義務であり、事業者に新たな受益が発生するものではない、こうおっしゃっている。民放連の方は、サイマル、つまり同時並行放送は二重の設備投資を強いられ、重い負担となる、こう言っているわけですね。総務省のここのところの回答を読みますと、対策期間中、アナログ放送も継続して運用できるという受益があるというふうに書いてあるわけですが、これはどう見ても無理だし、答えになっていないんですね。 チャンネルの内容が倍になり、視聴率が倍になるわけがないでしょう。切替え対策期間中は、内容の三分の二までは同じ内容をアナログ波とデジタル波の両方で流すだけで視聴率は同じなわけですよ。送出費用は二倍になると、こんな格好じゃないですか。ここのところをどうお答えになりますか。 ○政府参考人(有冨寛一郎君=総務省総合通信基盤局長) 今回の利用料はあくまでも電波利用料の追加料額ということでございまして、先ほどから御説明申し上げておりますが、そもそも電波利用額というのは、電波監視等の、これは、今回はアナログ周波数の変更対策事務でございますが、そういった電波行政事務の実施によって無線局免許人が安定的に電波利用を継続できるという、こういった受益に着目をして、当該事務の実施に係る費用をその受益者である無線局免許人に御負担いただくという基本的な枠組みでございまして、今回の追加料額としましては、今、先生御指摘ありましたけれども、私どもとしては、デジタル放送が開始されてもアナログ停波までの期間、アナログ放送が円滑に継続できるという電波利用上の受益が放送局に発生するということで、負担の公平性を確保する観点から、アナログ周波数変更対策事務に係る、業務に係る費用、この一部について放送事業者に負担を求めるというものでございまして、ただ、この放送のデジタル化のための投資、あるいはサイマル放送の実施によるコスト増、こういったことにつきましては、こういう枠とは別に各放送事業者の経営努力によって対応していただきたいというふうに考えているところでございます。 ○又市征治君 どうも聞いていることが、かみ合わないんですが。 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。 今日、午後からずっと論議をしてまいりまして、随分と懸念が多く出されているわけですね。二〇〇一年七月にアナログ波の完全停止だと、こうおっしゃる。これは、言い換えれば、政府による個人の財産権の一面では侵害でもあるわけですよ。たくさんいろんな今の放送テレビを買っておって、ここへ来たらストップなんですよ、こういうことになるわけですから、そういう点では大変な問題をはらんでいると思います。 そこで、少し欧米諸国の状況はどうか、こういうことで見てみますと、デジタル先進国だと言われるイギリスでは、これは前にも御説明ございましたが、イギリスは二〇一〇年ごろに停止と一応決めている。しかし、実は二つの基準があって、消費者の九五%がデジタルテレビを持っているということと、もう一つは、今アナログを見ている人はだれでもデジタルを見られる、つまりデジタル電波が全国に行き渡っていること、この二つを挙げていますから、必ずしも年限は絶対のものでなくて消費者本位に柔軟性を持っている、こういう格好でイギリスの場合は対応しているという、二〇一〇年というのは目安ということですね。 アメリカの場合は二〇〇六年と決めていますけれども、ケーブルと衛星利用が世帯の八五%も現在あるわけですから、地上デジタルは需要が少なくて、期限は守られないことがほぼ確実だろうというふうに業界では言われています。 日本ももっと余裕を持って、そういう意味では試行期間というべきか、サイマル放送の期間を長く設定をすべきではないか。その間にも新たなデジタル技術の革新があるかもしれませんし、まだ八年、こういう状況もあるわけですから、何よりもやっぱり国民の理解もそれまでにやっぱり求めていくという、こういう努力はもちろんやっておいでになるんでしょうけれども、余りにもそういう意味では、二〇一一年七月絶対と、こんな格好ではなくて、もう少し柔軟にお考えにならないと、またまた、先ほどから申し上げてまいりましたような国民の負担増の問題など出てきて、またこれがおかしな格好で信頼を失っていくということになりはしないのかと。この点について、大臣にもう一度お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(片山虎之助君=総務大臣) それじゃ、今のアナログでずっとやれということになるのかどうかなんですよ。世界の大勢ですし、ITがどんどん進んでいく中で、それはデジタルに行かにゃしようがないんですよ。だから、どうやってやるかということでみんなが議論して、二年前の国会で、国権の最高機関として意思を決めたわけですよね。だから、それは仮に一一年がどうもうまくいかない、また国会で御議論されて、場合によっては法律を変えるということもあるんですけれども、我々は一一年の七月に十分やれると思っているので、そのために知恵を出し、総力を合わせてみんなでやっていこうというので、まあ、いろんなそれは問題がありますよ、これだけの大きな仕事をやるんだから。問題を殊更拡大して全体をブレーキを掛けるのが本当に正しいのかどうかと、こういうことでありますし、国民の皆さんにこれから十分説明するんですよ。それは、買い換えていただかぬでも、チューナーを付けりゃいいんですよ。チューナーもどんどん安くなりますよ。 そういう総合的な努力の中で大きな国の方針としてやっていくので、それをやめたらいい、アナログでいい、何にも変えないでくださいと、これでは世の中の進歩も何もないと私は思っておりますので、是非国民の御理解を求めながら進めてまいりたい、こう思っております。 ○又市征治君 アナログでいいなんて私、一つも言っていませんよ。そういう極端な、大臣、もうちょっと丁寧に、国民がこういうことを聞いているわけですから、もう少し丁寧にお答えくださいよ。失礼ですよ、そういう物の決め付け方は。 いずれにしましても、今日ずっと私、申し上げてきたのは、いろんなこれからの国民の負担増が出てきたりなんかする、そういうことも懸念がされる、そういうことはどうかといろいろとただしているわけであって、そういう掛かる費用が、国から出しても、あるいは放送事業者から取っても、最終的にはやっぱり国民の負担が増えていくんではないか、こういう懸念を申し上げている。私は、このデジタル計画自体が、そういう意味では、余り期限を区切って、それ行けそれ行けどんどんという格好でやっていると逆に不経済性や無駄な出費を生み出す、そういう可能性があるんではないかと、こう申し上げているんです。 これだけではなくて、国の電波やIT政策全般がどうも利用者本位よりもメーカーなどの供給側主導で、むしろ、そういうふうに言われると、先物買いばかりしているんじゃないかと言いたくなってくる。そして、何年かたつとまたこの技術は陳腐化をして、それまでの国家的投資が無駄になったりしはしないか、そうした見通しもないまま新しい技術に飛び付いて、売り込みに乗せられているのではないかと、こう言わざるを得ません。 いろんな私、決算委員会などで取り上げているんですが、基盤技術センター、通信・放送機構、情報処理事業振興協会、みんないろいろと問題を持っています。やはり、先ほども出ていますし、あるいは本当に専門家的な平井さんもおっしゃるように、今ちょっと立ち止まって、そういう意味では再検討をし、そういう意味で国民の理解を得ながらやっていただく、そのことを強く求めて、終わりたいと思います。 |
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