第157回臨時国会

2003年10月7日 総務委員会


(1)地方財政改革は先ず地方への税源移譲を
(2)ILO勧告に基づく公務員の労働基本権制約の見直し
(3)天下りを助長する政府の「大臣承認制」案


○又市征治君
 社民党の又市です。今日は、麻生新大臣の所信を中心にお伺いをしてまいりたいと思います。
 大臣は、地方財政改革について、三日の衆議院の総務委員会や、あるいはこれまでの就任会見等で、例えば義務教育費等の削減は地方の教育水準の低下になる、住民も首長さんも賛成しないだろう、こんなふうに述べられていますね。これは、分権推進会議の持ち出した補助金削減先行論の内容面の軽率さを批判されているんだろうと思います。
 もう一つの問題点は、卑近な台所事情ということになりますが、補助金削減と税源移譲との間にタイムラグがあったら、これは日々の財政運用がショートして自治体はとんでもないことになる、こういうことだろうと思います。
 ところが、政府は麻生大臣の就任前から、どうも「悪知恵を働かせて」と言った方がいいと思うんですが、税源は移譲せずに、地方特例交付金の役割を変質させて、これを補助金の穴埋めに使おうとしている。これは財政ルールの逸脱ではないかと私は思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(林省吾君=総務相自治財政局長)
 お答えを申し上げます。
 お触れになりました平成十五年度予算における三位一体改革の芽出しの財源措置についてでありますが、御案内のように、義務教育費国庫負担金等の一部につきまして、その縮減を図ることといたしました。それに対する地方財源措置といたしまして、二分の一は地方特例交付金で、また二分の一は地方交付税の増額によりまして財源措置を講ずることといたしたわけでありますが、これは三位一体の改革に向けた暫定措置と私ども考えているものでございます。
 補助金削減と税源移譲は同時に行うべきではないかと、こういう御意見かと思いますけれども、この十五年度の、芽出しの義務教育費国庫負担金等の一般財源化は、当初私ども考えておりました規模に比べますと、芽出しでもありましたので二千三百四十四億円という規模にとどまる極めて少額のものでございました。
 このため、税制の安定性の要請にも配慮する必要があることから、当面の措置といたしまして、地方特例交付金及び地方交付税の増額により暫定措置を講ずることといたしたものでございまして、私どもといたしましては、この措置によるものにつきましては、当然将来、地方への税源移譲によりまして措置されるべきものと考えているところでございます。
 このため、地方特例交付金につきましては、従来の、平成十一年度から実施されております恒久的な減税に伴う地方税の減収の一部を補てんするために創設されましたものと区別をいたしまして、今回の補助負担金の見直しに伴う地方財源を確保するための第二種交付金と、こういう位置付けをいたしまして所要の法律改正をお願いをいたしたところでございます。

○又市征治君
 大臣、今、話がありましたように、やはりこう便法が使われてこんな格好になっているわけで、麻生さん大臣になられた以上は、就任最初の方針としてこういう本末転倒はやめてもらって、やはりまずは税源の移譲だと。その税目とやっぱり年次別の金額をきちっと決めて、その間にじっくり議論をして、そして移譲する金額の範囲内で補助金を自主財源に置き換えていく、こういう基本方針を立てて、こういう基本方針に立ってこれを直していくべきだろうと、こう思うんです。
 その点については、大臣、いかがですか。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 今御指摘がありましたように、やっぱり三位一体という、三つ一緒にというように理解しなくちゃいかぬのだと思いますが、税源移譲という点は確かなんですが、これも大事なところですが、税源移譲されても過疎地とか大都市とでは、もう税源移譲されても、税金を取る相手の人口もなければ企業もないというところに税源移譲されても、その税源の使いようがないというところも、地域間は結構格差がございますので、その意味では交付税というものによってそのバランスを取るというのは大変大事なところだと思っております。したがって、補助金の削減等々みんな、三つ含めにゃいかぬというところが第一点。三つ一緒に考えにゃいかぬというところが第一点。
 もう一点は、先ほど、今教育の話をされましたけれども、これは、その教育費を仮に渡すならその教育費にある程度枠を掛けていただかないと、教育費削って橋に化けたり道路に化けたりしたんじゃそれはとてもじゃないんで、それはその首長さんの、「おれの権限だから余計なことを言うな」なんて言われたんじゃ、それはちょっと、地方は甚だ具合の悪いことになるというか、その地方にいる人が、その子供を抱えている親が、若しくは子供が迷惑することになりますし、また首長さんできちんと見識を持ってやっていただけりゃいいですが、何となくいろいろな、これまでの人にわんわん言われてちょっと、おれのところの橋の方にちょっと回せなんというようなことになりかねぬという点もやっぱり心配しておかにゃいかぬところだと思います。
 ある程度きちんとした枠を掛けた上でないとこの話はなかなか乗れる話じゃないんじゃないかなと私どもは思っておりますので、この補助金の削減等につきましても、いろいろ、何というか全く渡し切りで後は知らないというようなわけにはいかぬのじゃないかというのが私が最初に申し上げた趣旨のところでありまして、ほとんど御趣旨を体していると思っております。

○又市征治君
 今お話しになりましたけれども、税源となるべき資金は人口を探しても区域内に乏しい自治体がある、これは合併しても同じだと。したがって、地方交付税の財源保障機能は不可欠だと、こういうふうに主張されているわけですね。だとすれば、交付税も、国の都合によって地方の需要額を削るんではなくて、見直すとすればやっぱり財政力の弱い自治体に重点配分をしていく、こういうことが大変重要ですね。
 ましてや、交付税削減のための合併推進なんというのは、これは全くの論外だろうと思うんで、この点は御確認いただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 基本的に、地方の時代というのは、多分地方自治体間でこれは競争するということを意味するんだと思っております。したがって、地方自治を経営する能力の悪いところ、あるところにはこれは差が付いてくるということになりますので、そこのところは選んだ住民が、そんな経営能力のない自治体の長を選んだおたくらが悪いんですといって開き直っただけで済むかという問題は、これは今後の問題として考えておかにゃいかぬところであって、やっぱりこれまでそこらのところはいろんな形で、補助金やら交付金やら何やらの形で、特別交付税等々でいろいろなそういった差が付いてきたところはある程度埋めてきたという長い間の歴史なんだと思いますが、そういったところは、対応としてはこれは意識の問題としてもなかなか難しい問題をはらんでいるなと思う。
 そういった意味では、ここは教育費の分は、ここは教育費削っているんだからここは義務教育水準は低くてもしようがないじゃないかというので通るかといえば、なかなかそれも日本人の意識としては難しいと思いますので、私どもとしてはこの交付金とか補助金とかそういったものは実にバランスよくこれはやらにゃいかぬところでありまして、何となく財務省と総務省が両方で突っ張り合って話しするような種類の話ではないんで、やっぱりそこの国民、住民にとりましてどうあるべきかというところは率直に財務省・総務省ともに話し合わにゃいかぬ大事なポイントだと私もそう思います。

○又市征治君
 時間ありませんからこれ以上やめますが、いずれにしても、今、大臣おっしゃったように、三位一体といっても、やっぱり税源移譲が先にあって、もっと言うならば補助金削減が先行論なんというのは政府内部から出ていますから、その点のないように是非しっかりとお取り組みいただくように要請をして次に移りたいと思います。

 公務員制度改革について若干伺ってまいりたいと思いますが、関係者間の協議が全然できていないのに政府の一部が法案を前の国会に出すんだと大騒ぎをして結局出せなかった、そのことは正解だったろうと思います。政府の陣立ても大幅に更迭されたのはその反省だったんだと私は理解をいたします。
 何が欠けていたか、それは先ほど来論議があります能力等級制の問題等もありますけれども、もう一方で世界の常識、公務員にも労働基本権が保障されるべきだというこの理解が不足をしていたという点だろうと思います。それを棚に上げて、ILOに対してまで、あっちが理解が足りないんだなどという、こういうことさえも言われておった。そして、関係者間の協議や合意がないがしろにされてきた。こんな姿勢で一体全体、これ通るわけはないんですね。
 そこで、労働基本権の制約の見直しについて、今のところどういう認識でおられるのか、この点について副大臣の方からお伺いをしたいと思います。

○副大臣(佐藤剛男君=総務副大臣)
 本件の問題につきまして、いわゆるILOからも中間......

○又市征治君 二遍も勧告出ているんですよ。

○副大臣(佐藤剛男君)
 ものもございまして、中間報告といいますか、中間勧告といいますか、そういうものがございます。そしてまた、今年の十一月ごろにはまた自由委員会からの話が出てまいります。
 御承知のように、ILOにつきましては、現行の日本の基本権の維持について、英語で、リコンシダーと。シュッド・リコンシダー・イッツ・ステーツ・リカレンション、こういう言い方をしておりますが、これについて十分理解の上、できるだけ関係のところとも協議の方向へ話合いということを続けていくということが先ほど来のお話、私も御説明いたしておりますが、法律の問題とも関連いたしますので、そういうことの努力をいたしたいということでございます。

○又市征治君
 全く中身がないというか、分からぬ答えですね。
 実際は、政府・与党内でも基本権の問題でもめていることは実情だろうと思うんです。
 厚生労働大臣がメーデーの場へ行って、労働側との慎重な協議を約束されたし、あるいは前の行革石原大臣は「労働基本権制約論では労働側とは交渉ができない」といって投げ出してしまった、こういう面もあるわけです。つまり、官僚の一部が非常に固執をしている、こういう実態がありますね。経済産業省の一部官僚が一部政治家と結び付いて暴走した、こういうふうに日本経済新聞の編集委員の署名論文が載っていますよね。
 その事務方の責任者である春田室長にちょっとお伺いをいたしますが、あなたは四月九日の衆議院決算行政監視委員会で我が党の山口議員の質問に対して、労働基本権の制約を前提として、どういう制度設計ができるか考えているんだと、こういうふうに答えられていますよね。こうした認識で一体全体、物は進んでいくのか。既にILO勧告、これでもう二回目。ILOへ行ってまいりましたが、毎年、日本の、この先進国日本がこんな状況を続ける限りは毎年勧告出します、こう明確に言い切っているわけですね。
 そういうILOの勧告も踏まえて、労働側と協議を再開するには、まず基本権の問題から話し合うべきだろうと私は思います。そのように新大臣に意見具申されるべきじゃないんですか。その点について認識をお伺いします。

○政府参考人(春田謙君=内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室長)
 お答え申し上げます。
 四月の九日の衆議院の決算委員会の方で御質問いただきまして、私の方からお答え申し上げたことについて御質問いただきました。その御質問のお答えといたしまして、私の方から、この公務員制度改革検討するに当たりましては、労働基本権の取扱いというのは非常に重要である、こういう認識を持ちまして検討を進めてきたものでございます。
 その検討を進める中で、私ども政府部内あるいは内閣官房という立場での取組をしてまいったわけでございますが、もう一つ、与党における御議論もございました。また、与党の御議論の中では、今の労働基本権の関係では、制約を維持したときに一体どこまでできるのかというようなことについてもぎりぎり考えるようにという御指摘もございました。そういう点も含めまして、また与党での御議論も踏まえまして、平成十三年の十二月の閣議決定におきまして現行の制約の維持ということの方針をまとめさせていただいたものでございます。
 ILOの御指摘、中間報告等ございますので、そういうものも踏まえた形でのまた御議論ということで、私ども、大綱で、今申しましたように基本権の制約に代わる相応の措置、これを確保しながら制約を維持するということにしておるわけでございますけれども、基本権の問題も含めまして、職員団体の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいというように考えております。

○又市征治君
 ILOはその話合いの経過そして法案の内容を早く見せてくださいと、こう言っているんですよね。とてもじゃないけれども、前回のああいう中身では、ILOへ持っていって国際労働基準に照らして見せられるような代物じゃない、こんな格好になっているんですよね。
 問題は、あなた方がそういう現実をちゃんとしっかりと与党の皆さん方にも、あるいは内閣の中でもしっかりと物を言うべきなんですよ。ところが、今あなたもおっしゃったけれども、この四月の九日の衆議院の中であなたはこんなふうに言っている。「与党での論議も踏まえて、労働基本権制約を維持したときにどういう形になるのか検討した」と。一体、あなたたち行革事務局は与党の事務局なんですか。一体どこを向いて仕事をしているのか。結局、内閣官房というのはまるで与党のことしか頭にないということを自ら暴露したようなとんでもない発言なんですよ。しっかりともう少しそうした国際的な状況を踏まえてやってもらわないと話にならない。この点は強く申し上げておかなきゃならぬと思います。

 ところで、次に移ります。
 人事院総裁に来ていただいていますが、公務員制度といえば、霞が関ではどうも能力等級制の導入ばかり言われているんですけれども、国民の批判は、先ほど来もありますように極めて天下り批判が強い、こういう問題がありますね。今度の人事院報告でも、世論を踏まえて厳しく臨むように重ねて主張されておるわけですが、総裁から手短にこの要点を御説明願いたいと思います。

○政府特別補佐人(中島忠能君=人事院総裁)
 退職公務員の再就職、いわゆる天下りと言われるものですが、これについてなぜ国民を始め各方面から批判されているかということなんですが、一つは、五十代前半で勧奨退職させられる、そして勧奨退職した公務員が契約締結権とか、あるいは許認可権の主体である大臣のあっせんで民間企業に天下りすると。そこに癒着が生ずるから国民はけしからぬといって怒っているんだと思います。
 その怒っていることに加えて、その天下りの正当性を今度また大臣が承認するという制度は、これはやっぱりとても容認できないというのがすべてのマスメディアの私は批判の根拠だというふうに思います。
 この制度を改革するに当たりましては、各方面の意見を聞いていただきまして、そして公務員制度というものが正しい方向で改革されるようにお願いしたいというふうに思います。

○又市征治君
 この件について読売新聞の社説は、自民党が政府案の中で特に問題としたのはとあって、一つは能力評価について、二つ目は天下りが野放しになることだというふうに指摘をしながら、読売はまた天下りについて、内閣に調査能力があるわけでもないと。閣僚の許可制と実態は変わらないとした自民党の判断は妥当である、こういうふうに書いていますね。また、産経新聞も、ほとんど役所の言いなりになって天下りが認められるケースが多くなるだろうと述べて、逆提案として、これまでどおり人事院が判断するか、人事院が有識者の委員会を設置するなどした方が良い、こんなふうに主張しています。
 この点を最後に麻生大臣にお伺いしたいんですが、担当でないなどと言わずに、極めて重大なこういう問題ですから、極めて有力な閣僚として、この天下りの規制問題についての見解をひとつ述べていただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 いわゆる天下りにつきましては、先ほど中島総裁の御認識のように、やっぱり国民の間に厳しい批判があるということは確かなんだと思っております。今まではなかった、ところが急になったという部分と、今までもあったけれどもなかなかそれが表に出てこなかったというところと、これはいろいろな面があるんだと私どもはそう思っております。
 ただ、このときに私どもとしては、今言われる御指摘の点は当然中島総裁の認識で私自身も正しいと思っておりますが、一つだけ、勧奨退職が今どき五十歳でちょっとといって出されていくというのが今残っておる形、表向きにはなっていませんけれども、実態はそうなっておるという事実を踏まえますと、五十歳で職がなくなるという情勢を、そこから先は勝手にせいというわけにもなかなかいかない。そうすると、これはある程度そこらのところの対応も含めて、これはいろんなことを考えなきゃいかぬ問題が実は長い間の慣例として残っている部分も含めましてこれはきっちり対応せにゃいかぬところで、今すぐばんとやめるというような簡単な話じゃないんじゃないかなという感じだけが私の率直な感想でして、そういった意味では、それこそ担当ではありませんけれども、この問題は大いに論議を深められてしかるべき問題だと思っております。

○又市征治君
 時間がなくなってしまいましたので今日はこの程度にしたいと思いますが、給与問題も触れられませんでしたが、後ほどの討論でやりたいと思います。
 どうもありがとうございました。