第161回臨時国会

2004年11月18日 総務委員会



(1)公務災害補償の決定をもっと迅速に
(2)公務職場で増えるメンタル疾患からの自殺や長期入院
(3)お手盛りで格差が開いていく公務員給与


○又市征治君
 議題となっています両改正案(障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案)には賛成であることをまず申し上げた上で、幾つか見解を求めておきたいと思います。
 今日は基金の杉原理事長にもお見えいただいていますから、まずその点からお伺いをいたしますが、この災害補償について、補償の決定に至るまで一年を超える例が大変散見される、こういうふうに思います。地方公務員でいうと、毎年二百件から二百九十件もあるわけでありまして、また、二か月以上一年未満を含めますと、五年前は全体の七%だったのが一〇%にと、じりじり増えてきていますね。例えば、既往症があったりで慎重な審査ももちろん必要なんでしょうが、当事者の立場も考えてもっと早くすべきだろう、こんなふうに思います。どのようにその点については努力をされているのか、まず伺いたいと思います。
 同時に、拘束時間の多い消防職員などは、既往症があっても全部又は一部を災害と認めるような柔軟な運用も必要ではないかと思いますが、その点についてはいかがですか。

○参考人(杉原正純君=地方公務員災害補償基金理事長)
 ただいま御指摘がございましたように、基金全体として見ますと年間三万二、三千件の請求がございまして、認定をいたしておるわけでございますが、お示しいただきましたように、一年以内に九九%は処理をしておるわけでございます。
 ただ、逆に申しますと、一%弱でございますけれども一年を超えるものがあると、こういうことで、これはやはり問題であろうと私どもも認識いたしておりまして、できるだけこの期間を短縮するということが必要であろうと思って、いろいろ努力いたしております。
 ただ、委員も御指摘ございましたように、この請求事案の中には、例えば脳、心臓、精神関係の疾病事案のように、もちろん十分な医学的見解といったものを聴取することはもとよりでございますけれども、請求人の方の個別具体的な職務内容でございますとか職場環境でございますとか、あるいはさらには私的な生活状況とかいったようなこともいろいろ調査を要するという部分がございますので、どうしてもある程度の時間が掛かるということは御理解いただきたいと思っております。
 さはさりながら、申し上げましたように、迅速に処理するということはこれは大変大事なことでございます。基金なり、この災害補償法の目的規定にも「迅速かつ公正に」とうたわれているわけでございますので、できるだけ迅速にいたしたいということで、まずは具体的には、この認定請求が各支部に出ました段階からもう本部に報告をしていただきまして、その後のこの事務処理に当たりましての適切な進行管理といったことを努めております。
 また、当然のことでございますけれども、基金の支部の担当者あるいは任命権者側の補償担当者に対しまして、いろいろ専門的な研修あるいは事例等を踏まえた研修などを行いまして、担当者のやっぱり人的なパワーアップといいますか、それを、これは従来からもやっておりますが、更に本年度は、私どもも迅速な処理というのを第一の重点目標ということに掲げましたために、本部自身でも基金内部の人材の重点配置でありますとか、あるいは長年にわたりまして大変豊富な知識、経験を持っておられたOB職員もおられるわけですが、そういう人たちを今積極的に活用しておりまして、迅速な処理に鋭意努力いたしております。
 いずれにしましても、今、正に御指摘ございましたような迅速な処理のために、更に本部、支部一体となって努力を進めてまいりたいと、かように考えております。
 それから、第二点で、消防職員、警察職員の、拘束時間の長い職務を行っている職員についてと、こういう御指摘がございました。
 これ御案内のとおり、現行のこの災害補償制度の下におきましては、認定の基本原則はあくまでも公務と災害との間の相当因果関係ということが認められることが必要であるわけでございまして、そこをいろんなデータその他で調べ上げるわけでございます。拘束時間が長いということでございました場合に、ただ長いというだけでなくて、それによって勤務時間が、超過勤務時間が実際に長くなる、あるいは拘束時間中の勤務形態が非常に過密な状態が例えばあったというようなことがございますと、こういったことを全体的に公務過重というときの評価に加えまして、それと災害との間の相当因果関係ありやなしやというようなことで取り入れて対応していくと、こんなスタンスで臨んでおるところでございます。

○又市征治君
 是非しっかりと取組みをお願いしたいと思います。
 次に、総務省の方にお伺いをしますが、地方公務員の在職中の死亡原因は、自殺が、癌に次いで第二位で、全体の一三%という数値が出ていますね。また同じく、地方公務員の長期病休者のうちでは、今ほども出ましたが、メンタル疾患によるものが二六%でワーストワンと、こうなっています。
 民間職場でも、企業の過酷な労働強化やリストラによってメンタルヘルス問題が広く生み出されているというのはお聞きをいたしますけれども、公務職場でも、市町村合併に伴う定員削減やあるいは非公務員化の問題、民間委託などの嵐が吹き荒れる、こう言われ、その中でメンタル疾患による自殺や長期病休者が増えているわけですね。
 そこで、このメンタルヘルスの実態と対策は、先ほども出ましたけれども、どのようにされようとしていくのか、あるいはしているのか、公務災害補償でカバーしている部分、また、していない部分も含めて紹介を願いたいと思います。

○政府参考人(須田和博君=総務省自治行政局公務員部長)
 メンタルヘルスの関係の実態でございますけれども、この実態把握につきましては、地方公務員安全衛生推進協会というところで地方公務員健康状況等の現況という調査を行っております。
 この調査によりますと、地方公務員の長期病休者の状況では、平成十年度に調査対象の職員約八十万人、地方公務員全体は三百万人超えてございますけれども、調査対象は八十万人でございまして、そのうち長期病休者が約一万四千人、そのうち精神及び行動の障害によるものが一五・一%という数字になっておりました。
 ところが、直近の、直近といいましても、これは最新のが平成十四年度の数字でございますけれども、平成十四年度の調査によりますと、長期病休者が約一万六千人、そのうち精神及び行動の障害によるものが二六・一%となっておりますので、全体として精神及び行動の障害による長期病休者の割合が増加しているところと考えております。
 また、公務災害の方の関係では、精神及び行動、こういったメンタル面からの認定したものが最近のものでは五人という数字がございます。と言いますのは、精神を原因としたものについての公務災害の認定というのは、いわゆる因果関係の認定というのは非常に難しいところがございますので、こういったものにつきましては、本部の方で専門家の方を集めた上で詳細に調査した上で判断しているものでございますが、その中で、この原因がこういったメンタル的なものであるというのがただいま申し上げた数字でございます。
 こうしたメンタルヘルスの関係での対策として私どもが講じておりますのは、基本的には、厚生労働省の方が策定しました事業場における労働者の心の健康づくりのための指針、あるいは人事院が策定されました職員の心の健康づくりのための指針、こういったものを情報提供ということで関係機関とも連携しまして、会議等の場を通じまして助言などを行っているところでございます。
 さらに、先ほど触れさせていただきました地方公務員安全衛生推進協会とも連携しまして、研究会、メンタルヘルスに関する研究会を開催しておりまして、こうしたメンタルヘルス対策の促進というのを図っているところでございます。
 なお、地方公務員災害補償基金におかれましても、地方公務員災害補償法の規定に基づきます公務災害防止事業の一環といたしまして、メンタルヘルスに関するQアンドA集あるいは対策事例集、あるいは関連ビデオの作成配付、さらには管理監督者のための研修会の開催などを行っているものと承知しております。

○又市征治君
 いずれにしましても、他の疾患や災害に比べてメンタル面は大変増えているわけでありまして、改めてその対策を強化いただくように、これは強く求めておきたいと思います。

 時間がだんだんなくなってしまったんですが、特別職給与法の改正案の件について若干お伺いし、通告した方々に全部御返答いただく時間がないかもしれませんが。
 今回の改正そのものはそれでいいんですけれども、改正に含まれておりませんけれども、総理や各大臣、その他最高幹部の給与についての有識者懇談会のこの報告書、その中で、総理の給与について、国を代表する官職であるなどを理由に低過ぎるという意見があったと書いてあるわけですね。そして、事務次官給与の一定倍数、例えば二倍と明記した案を盛り込んで現行より高くなることも考えられる、将来的には望ましい給与水準に近づけるように、こういう報告が出ているわけですが、つまり引上げを求めている、こういうふうに私は読むわけですけれども。
 そこでまず伺いますが、一般職の給与は、この報告書の中にも、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度に基づいて一般職給与法及び人事院規則により定められている、こういうふうに報告書にも書かれています。
 人事院総裁、この一般職の給与の決まり方、これで間違いございませんね。なお、あわせて、この勧告で、一般職は過去五年間どういう結果だったか、この累計も含めてお答えをいただきたいと思います。

○政府特別補佐人(佐藤壮郎君=人事院総裁)
 一般職の国家公務員につきましては、労働基本権制約の代償機関である人事院が、第三者機関として官民の比較を精密に行って、その結果を内閣、それから国会に勧告をし、あるいは法律の委任の下で規則を制定しているわけでございます。この代償機能の発揮というのは人事院にとって大変大きな役割でございまして、私ども、誠心誠意その責務を果たしていきたいというふうに思っております。
 それから、後半の御質問につきましては担当局長にお答えをさせます。

○政府参考人(山野岳義君=人事院事務総局給与局長)
 平成十一年から十五年までの五年間の人事院勧告による年間給与でございますが、行政職の平均で、額の累計ではマイナス四十九万三千円、率ではマイナス七・七%となっているところでございます。

○又市征治君
 一般職で七・七%のマイナス。なお、調べてみますと、一般職の最高位である事務次官はマイナス九・一%、こういう格好で更に低くなっているわけですが、これと比較をしろと、こう一方で言いながら、バランスを取れと、こう言いながら、一方では上げろと、こういう形になっているわけでありまして、どうも、言ってみれば雇用労働全体にわたる弱肉強食主義の方向が構造改革の中で取られながら、どうもここで言われていることそのものは、大企業の社長クラスに見合うように総理大臣などはもっとベースアップをやろうと。しかし、一方で一般職とちゃんと比較をしなさいよ、だけれども、一方で上げろと。これは何を言っているのかよく分からぬのですが、どうもお手盛りで、ますます格差は開いていく、公務員の中にも格差がどんどん開いていく、こういう傾向がどうもここには述べられているんではないか。今日はそのことについてもう少し論議したかったんですが、時間がありませんから、そうした印象を強く持つということだけ申し上げて、この点はまた今後の中で議論をさせていただきたいと思います。
 これで終わりたいと思います。