第161回臨時国会

2004年12月1日 総務委員会



(1)郵便局職員が自腹を切らされる「自爆」の実態
(2)郵政公社の独立採算制を理解していない自民党幹部
(3)四事業の劣化を暗示する民営会準備室の試算
(4)郵貯の役割は高リスクの金融ではなく庶民の決済手段
(5)窓口会社がもうけ主義から郵貯・簡保を扱わない可能性もある
(6)郵便局の庶民の決済機能の切捨ては国の責任として許されない


○又市征治君
 法案に入る前に、生田総裁に前回の宿題について伺いたいと思います。
 職員が商品売上げの自腹を切らされる、いわゆる自爆商法について、総裁はなくなったと、しかし地方の熱心な幹部がやっているかもしれないというお話でありましたけれども、最後は帰って調査する、こういうお返事でございました。
 調査結果はいかがだったか、まずお伺いしたいと思います。

○参考人(生田正治君=郵政公社総裁)
 前回、そういう情報を、御意見いただきまして、早速二十六日、十一月二十六日に、全国の支社の郵便事業部長を集めまして、実態の調査と、それから実需のない無理な買取り、これにつながるような職員指導をしてはならないということを再度強く徹底したところでございます。
 まず、実態なんですが、指揮命令、組織としては、完全に禁止するというのはこれは徹底しているんですけれども、本当のその第一線において本当にどうなのかというところを僕は焦点を当てて聞いたわけなんですが、大変率直な話しますと微妙な点もあるわけです。
 とにかく業務熱心で一生懸命売上げ上げたいという気持ちと、それが行き過ぎてしまう、指示はされていないんだけれども行き過ぎになってしまうという、大変、ずばっと仕分のできない難しい点があるというのは私も認識いたしました。
 無理な買取りか実需かということで、判断の微妙な点もある
わけでありますけれども、ただし、いろいろ聞きますと、まずまずはうまくいっているんだけれども、改善すべきが余地はあるというのは、私もそのように今認識いたしておりますので、そういう部長会とかあらゆるチャンスをとらえまして、管理者の方に実需のない買取りを誘発するような行いがないように、言動がないようにというのを趣旨徹底いたしております。あらゆる機会をとらえて文書、それから会議等でやっているところなんで、良くなるというふうに確信しております。

○又市征治君
 営業努力といってもサービスの内容で勝負をすべきだ、これは総裁も前回申されているわけですが、ノルマまで課して年賀はがきやゆうパックなどで見掛けの売上げを増やすというのは邪道でありますから、今おっしゃったように、なくすように努力をしてもらいたい。私も多少調査をいたしておりまして、いろいろと物を持っています。今日はそれ以上申し上げませんが、引き続き注視をしてまいりますので、公社側の努力もお願いをしておきたいと、こう思います。

 次に、大臣に一問お伺いをいたします。
 とんでもない誤解の発言が、これは私は誤解だと思っているんですが、テレビ番組で自民党の幹部からございました。郵政を民営化すれば公務員が民間人になり、国の負担が浮くんだという発言ですね。まるで今の郵政職員、非正規身分も含めて三十八万人の人件費が税金で賄われているような、こういう言い方で、これがもし民営化の理由の一つだとすれば、これは大変な間違いですし、国民に誤解を与えるということだと思うんです。
 そこで総務大臣、自民党の幹部の発言ですから、担当の大臣として、もちろんこれは否定されると思いますが、御返答をいただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 御存じのように、郵政公社というのは独立採算制でやっておりますんで、少なくとも公社の職員の給与に税金が使われておることはありません。

○又市征治君
 中にはそういうことをテレビで言われるものですから、誤解を生じますので、是非自民党の中でもこれは徹底方をいただきたいと、こう思います。
 さて、本日の法案は、庶民にとって安全と思っていた郵便局で買った証券が、先ほど来から出ておりますように、元本割れを起こしたり、あるいは下手をすると紙くずになるかもしれないという、郵便局の信頼性を損ないかねない重大な変化を通じる、変化を起こすものでありまして、民営化に通ずる政策だというふうに私は思います。

 そこで、総裁にお伺いをいたしますけれども、先日、民営化準備室が出した民営化後の収支試算というものに対して、総裁は全面的に批判されたというふうに私は理解をしています。対案は二つあって、一つは国からの移行条件を良くしてくれということ、もう一つはもっと自由にやらせてくれというように読めるわけですが、前者の方はいいとして、自由にという意味が、今銀行が露骨にやっているように、利用者、特に地方などの零細な預金者等を切り捨てる、あるいはそれと同じことを郵政もやりたいというのであれば、私はもう、これは断固反対であります。
 総裁は公的役割をどういうふうにお考えになっているのか、その真意をお伺いしておきたいと思います。

○参考人(生田正治君)
 まず、骨格経営試算でしたか、批判したんじゃないんですよ。あれはあれで、その数字は見て、問題点を指摘したわけであります。準備室の骨格経営試算というのは、今後皆さんが政策審議、いろいろ検討されるベースとして、事務局側でおおよそ現状である枠組みの中で一定の前提を置いて試算されたものであると理解しています。それ、何か前提を置かなきゃ計算できませんから。そういった意味じゃ批判をすべきものでもないし、何ら問題はないと思うし、重要な今後のプロセスだと思っております。
 そういう認識の下であの数字を見ていくと、仮の前提として、この間の前提は民間企業として税金と保険料はちゃんと払うことになっているわけですね。だから、それで前提で構わないと思いますよ。それで、それで民間とイコールフッティングになると、同じになると、そういう議論が今あるわけですから。今後、政策審議となるであろうコインのもう片面であるビジネスモデルの方については今いろんな議論があるわけですから、ここは今のまま一応凍結するという前提でやられたわけですね。だから、これは事務的に計算されるものとしては、通常のやり方で何ら問題はないというふうに思います。
 ところが問題は、それから出てきた結果がどうかということですよね。コインの片面のビジネスモデルの方で新しいものは全部ないという前提に立って見ると、その結果として四社とも先行きはどんどんどんどん縮小してしまうということをあれは示しているわけで、四事業とも劣化するということになると。それで、あのネットワーク会社は、採算が取れるように多分逆算したんでしょうけれども、料金は払うようになっていますから、もつんだけれども、四つとも実際上は縮小と劣化をすると、大変暗い将来だということがあれで出てくると。それからさらに、あれを更に伸ばしますと、多分もっともっと悪い状況が出てくるんだろうと思います。

 したがって、今後の審議のたたき台としては大変役立つ数字でありまして、だからこれは、今後の政策論議におきましては、租税と保険料といったような支払のコインの一面ともう片面のビジネスモデルの自由化というものを、両面をしっかり見ながら、片っ方だけイコールで片っ方はアンイコールだとこうなりますよってあの数字が示しているわけですから、その両面のバランスを考えながらイコールに、両面を同じ扱いをしながらどういうふうにバーを上げ下げするのかというふうなことを検討するのが大変重要であるということを示している、そういったことを言いたかったわけであります。
 コインの片面だけではやっぱり無理ですねと、やはりもう片面も応分に自由化していかないとこのように劣化してしまいますよということを申し上げてありまして、私としては、新会社が努力次第で成長発展できるような制度設計、これはもう絶対必要である、必要だし、お願いしたいと思っておりますし、国民の利便性、経済の活性化、雇用の維持のためにも、そういったやはり先行き成長して伸びていくという夢のある格好に是非していただきたいという思いを込めたわけであります。

○又市征治君
 今日お聞きしたのは公的役割の問題ですが、この点は更にまた引き続き論議をさせていただきたいと思います。
 ところで、この株や投資信託と預貯金、特に郵便貯金とではリスクもリターンも全然違うわけでありまして、したがって持ち主の所有階層も大きく違うと思いますが、金融庁、ここら辺のところはどういうふうに見ていますか。

○政府参考人(中江公人君=金融庁総務企画局審議官)
 お答えをいたします。
 先生お尋ねの点につきまして、金融広報中央委員会による家計の金融資産に関する世論調査というのがございますけれども......

○又市征治君
 簡潔に。簡潔でいいんです。

○政府参考人(中江公人君)
 そうですか。
 この調査によりますと、まず郵便貯金でございますけれども、所得階層別の平均保有額でございますが、年間の収入額が三百万円未満の層ですと二百三十五万円、それから順次、三百万から五百万未満の層ですと二百四十五万円、これが五百万円から七百五十万円未満では二百五十三万円、それから七百五十から一千万円未満では二百九十万円、それから一千万円から一千二百万円未満では二百六十三万円、それから一千二百万円以上では四百十三万円となっております。
 それから、株式の方でございますが、これも所得階層別に申し上げますと、三百万円未満では五十八万円、それから順次、七十五万円、八十六万円、百七万円、百三十九万円と、先ほどと同じ階層でございますが、なっておりまして、千二百万円以上では三百二十八万円となっております。

○又市征治君
 今おっしゃったように、郵貯の役割はリスクの高い金融資産としてではなくて、庶民の日常の小口の決済手段なわけですね。対して、投資信託は元本の保証がなくて、普通は証券会社へ行って買う商品なわけですよ。そういう意味で、公益性を守る郵便局で私はそういう点で扱う商品ではないということを申し上げておかなきゃいかぬと、こう思います。
 そこで、郵貯、簡保という小口サービスが窓口レベルで維持されるのかという疑問というのは、前回も質問いたしましたが、これ、解消しません。窓口会社がもうけ主義から郵貯銀行あるいは簡保会社に対して高い委託料を要求して交渉が物別れになれば、窓口の数だけあってもそこで郵貯、簡保は扱われずに、住民が利用できないことになるわけですね。
 もう一つの危惧は、銀行改革の中で銀行の代理店をもっと簡単に開けるようにするという一項目があるわけです。そこで、窓口会社の営業所、つまり今の特定局などが、郵貯、簡保を受託するのはもうからないから嫌だ、うちは民間の何々銀行の代理店となろうと決めたら一体これどうなるのか。この点、金融庁、どういうふうに見ているんですか。

○政府参考人(中江公人君)
 現行の代理店、銀行代理店規制につきましては、これはより柔軟な制度に改めまして、金融サービスの新しいビジネスモデルに資するようなものにしていきたいということで今検討しているところでございます。具体的には、出資規制、現行の出資規制、兼業規制というものを撤廃をすると、他方で、銀行の経営の健全性ですとかあるいは利用者保護というような観点から必要な参入規制とか行為規制を掛けていくということを考えております。
 今先生の御指摘の点でございますけれども、これは制度の問題というよりは、やはり郵便貯金会社と窓口ネットワーク会社の関係というものをどう構築していくか、あるいは窓口ネットワーク会社のビジネスモデルというものをどう考えていくかといったようなことではないかというふうに思っておりまして、この点につきましては今準備室の方で詳細な制度設計を行っていると承知しておりますので、今の段階では私どもの方からコメントするのは差し控えたいと思います。

○又市征治君
 郵貯や簡保は銀行から見たらライバル商品なわけですよね。これは当然、それはもう排除されていくことになるんだろうと思うんです。
 銀行は、一九九八年以来、国、つまり税金から三十兆円余り、うち七大銀行だけで十兆七千八百億円の公的支援を引き出して、今もその大半、八兆円が未返済ということだと思います。その一方で、小口の利用者、低所得者層をないがしろにした経営は続けられていますね。まず、支店も削減が続いているわけです。
 過疎地で一店しかなくて公益的役割を担っている場合でも、この支店を閉鎖するには金融庁の許可すら必要ない、こんな格好になっていますよね。
 第二に、銀行の各種手数料はどんどん上がっていて零細な預金者に非常に厳しい、こういう実態があります。他方で、金持ちには手数料なども優遇、コンサルティングもするという選別がやられている、こういう状況です。郵便のときにクリームスキミングということで論議をいたしましたけれども、決済機能では以前からもっとひどい選別がされているわけですね。
 銀行の一連のサービスの低下、あるいは公益性を放棄している実態はどういうふうに見ているのか。今ほど銀行の問題ももう少し改革をしたいというふうにお話しでしたが、これらの問題についてどのようにお考えになっているのか、お伺いしておきます。

○政府参考人(鈴木勝康君=金融庁総務企画局審議官)
 各銀行の手数料、あるいは店舗の廃止につきましてのお尋ねでございましたけれども、各銀行がその経営判断に沿いまして、ビジネスモデルに基づきまして多様な金融サービスを提供して顧客の多様なニーズにこたえる中でそれぞれ独自の経営判断をされていると考えております。
 店舗の統廃合でございますが、一方でATM等の代替設備が進んでいることもありまして減少傾向にあることは事実でございますし、各種手数料につきまして、今御指摘ございましたけれども、これはコスト等も勘案して一部で引上げが実施されていることも事実でございますけれども、一方で、その預かり資産の残高が一定額以上のものなど、ある条件を満たすものなどはそのATMの時間外、これも手数料を無料にするなどのサービスも提供している銀行があるということで、選択の幅がいろいろ広がっていると、顧客が選べるようになっているということでございます。多様化しているということでございます。
 いずれにしましても、銀行が顧客への十分な説明やサービスの充実を図ることによって、その顧客ニーズに応じた形で各種サービスの提供を行っていくことが重要であろうというふうに考えております。

○又市征治君
 銀行の体質強化になるなら国民の要求に背いても値上げや支店の閉鎖もしようがないんだという、こんなような感じでお聞きをしました。だとすれば、郵貯、簡保は銀行法や保険業法の管轄下に入れば、自由化と称して今言われるような歯止めも全くなくなっていくというふうに思わざるを得ない、こんなことだと思います。
 銀行はこういう格好でどんどん合理化をやって利益追求に走るわけですが、それはもちろん銀行という民間ですから、そうですよね。その銀行のまねを郵便局がするということは、全国津々浦々で郵便局を維持している庶民的な小口資金の決済機能というナショナルミニマムを切り捨てることに必ずつながるわけで、そういう点では国の公的責任として許されないというふうに私は思います。

○委員長(木村仁君)
 結論をお急ぎください。

○又市征治君
 そして、今回の投資信託の販売という法案もその一環で、郵便局の国民向けサービスの冥途の旅の一里塚になりかねないんじゃないかと、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。