第162回通常国会

2005年4月25日 決算委員会



(1)法律に違反して行なわれた自衛艦から米軍艦船への給油
(2)防衛庁の談合による損害は賠償を求めよ


○又市征治君
 社民党の又市です。
 初めに防衛庁の関係からお伺いをしたいと思います。
 自衛隊の補給艦「ましゅう」がオマーン湾の洋上で米軍の揚陸艦ジュノーに二度にわたり給油をしていますね。これはイラク特措法に基づく米軍への支援なのかどうか。また、この無償提供はいつといつで幾らぐらいになっているのか、まずお答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(飯原一樹君=防衛庁防衛局長)
 まず、事実の確認……

○委員長(鴻池祥肇君)
 起立してください。

○政府参考人(飯原一樹君)
 はい、済みません。
 事実の確認からでございますが、テロ対策特措法に基づきましてインド洋に派遣中の海上自衛隊補給艦「ましゅう」が米揚陸艦ジュノーに対し燃料補給を本年一月十七日と二月二十三日の二回にわたり実施をいたしました。
 これにつきましては、従来から交換公文におきまして、テロ特措法に基づく目的について周知をするとともに、今回、特に、外交ルート及び部隊の命令系統を通じまして、テロ特措法の趣旨にのっとった補給であるということを確認いたしております。

○政府参考人(大古和雄君=防衛庁運用局長)
 金額のところでお答えさせていただきます。
 この二回の給油につきましては無償で行っておりますけれども、金額については二回分合わせて約七千三百万円に相当いたします。

○又市征治君
 防衛局長、ちょっとそれは違うんじゃないですか。ジュノーというこの艦船は、佐世保を母港にしておって、イラクの自由作戦に参加をして、普天間基地の米海兵隊をイラクに送り込んだわけで、その後もイラク近海にいたはずですよね。
 イラク特措法上の事業としては不都合だから、テロ特措法を持ち出して、その事業費として計上しているにすぎないんじゃありませんか。これは大野長官にお聞きをいたしますけれども、ここらは大変重要な問題ですよ。ここのところをはっきりさせてください。

 あわせて、二〇〇三年度から現在までの対米軍の給油の回数と金額をお示ししてください。

○国務大臣(大野功統君=防衛庁長官)
 まず、我々がやっておりますテロ対策特措法に基づく艦船の油、あるいは艦船搭載用のヘリコプターの油、そして水でございますけど、これは、テロ特措法というか、テロとの戦いで各国が活動しております、その各国の活動に対して支援をしているものであります。このことは明確に申し上げたいと思います。
 ところで、お尋ねのポイントでございますけれども、そういう活動を我々はやる場合には必ず、一つは交換公文を相手国と交わすわけであります。そしてまた、問題点を、つまりテロ対策特措法に基づいてこれはやるんだという趣旨をきちっと相手側に説明しているわけでございます。したがいまして、今回の御指摘の点につきましては、テロ対策特別措置法に基づく活動である、そしてその相手先はテロとの戦いで活動している各国に対して行うものである、このことは明快に、明確に申し上げたいと思います。
 したがいまして、私は、この活動、日本の海上自衛隊の活動が、つまり我が国が提供した物品についても、テロ対策特措法の目的に合致している、適切に使用されている、このように思っております。信じております。このテロ対策特措法の目的に合致した給油支援がテロ特措法の事業として計上されていることはもう当然のことである、このように考えております。
 さらに、お尋ねの平成十五年度から十七年度における自衛隊による米軍への給油の回数及び金額でございますけれども、各年度ごとの資料ございますが割愛さしていただきまして、全体で百十四回、約二十八億円を提供しているところでございます。

○又市征治君
 このジュノーの件はたまたま米軍の記者会見で分かったわけですが、この給油は、それは交換公文があると言うけども、イラクの戦闘にこのジュノーは参加をしているわけであって、それに支援をするということですから、だから問題にしているわけですよね。戦闘地域の活動を禁じたイラク特措法にはこれは明らかに違反をするから、だから、逆に言うと、結局、テロ特措法の範囲を広げてと言うべきか、アメリカとの間ではこの交換公文だけ取り交わしておけば、これはイラクの問題にはならないと、こんな格好で拡大解釈が行われているんじゃないですか。これ大変重大な問題ですから、引き続きこの点については監視をしていかなきゃいかぬと、こういうふうに思います。その点だけ申し上げておきます。

 次いで、防衛庁関係の問題で、石油談合については先ほど榛葉委員からも出ましたからはしょりますけれども、石油製品の納入をめぐる談合に関して、防衛庁は今年の一月、不当利得分、約百四十一億円の返還請求を出光興産始め十一社に行ったけれども、先ほどの御答弁では、全く返されてないと、こういう話ですね。ですから、これは速やかに私は不当利得として提訴をされるべきだということを榛葉さんも話をされましたが、私もそのことを求めておきたいと思います。
 ただ一方で、問題なのは、防衛庁の調達実施本部が主導的にこれに関わっているわけでありまして、今年二月の公取委の審決にも、担当官がこの価格でよろしくお願いします、こう述べておって、入札価格を拘束していたと、こう書かれているわけですね。要するに、防衛庁の調達本部の係官がそういうふうに、この価格でお願いしますと言った。
 事件が二〇〇二年の官製談合防止法の成立以前とはいえ、この法律そのものが作られるこれはきっかけになった事件ですね。そういう意味では明らかに官製談合なわけです。
 長官ね、この法律では、発注機関は自ら調査をして具体的な改善措置をとると、こう書いてあるわけでありまして、長年にわたる談合を主導してきたこの調達本部の副本部長らは損害賠償の要件である故意又は重過失に該当するんじゃありませんか。この職員の処分をどのようになさるおつもりなのか、改めてお聞きをいたします。

○国務大臣(大野功統君)
 まず、関係した職員の問題でございます。
 このことは、又市委員よく御存じのとおり、まず最低価格というのを決定させていただきます。そして、最低価格以下でない場合、この場合はやっぱり個々に話し合うという機会があろうかと思います。しかしながら、それが必ずしも最低価格である、どこが最低価格になるか、これは全く分かっておりません。一般的に言うと、分かりません。したがいまして、個々には話し合いますけれども、それが新しい最低価格として公表されるとか、あるいは入札者全部が分かるような仕組みではありません。したがいまして、この最低価格が、言わば二回目、三回目以降の話になりますけれども、事前に開示されたとか、事前に提示されたとか、こういう問題では私はないと思っております。
 そういう意味で、関与した職員の問題云々とおっしゃいますけれども、この問題は今、公正委員会の審判でも、あるいは裁判所の公判でも対象にはなってないわけでございます。しかしながら、今後いろいろな動向を見まして、動向を見まして、もしそういうことが問題であれば、これはやっぱり懲戒処分権者としての問題、私の問題は発生してくると思います。しかし、今申し上げましたように、法的な談合という観点から見ますと、最低価格をお示ししたわけじゃありませんから、そういう意味では私はそういう角度の問題の取扱いというのは当面ない、このように存じております。
 もう一言だけ、長くなって恐縮ですが、そういう問題がありましたので、内部におきまして、先ほど申し上げましたけれども、御説明申し上げましたような対応策をきちっとしまして、最低価格とか、あるいはこの関与する人間、相手方の会社の入札者の調査とか、こういうことをしっかりしていこう、こういうことにしてあるわけでございます。

○又市征治君
 そうおっしゃいますけれども、さっき私読み上げましたけれども、担当官が、この価格でと具体的に金額で言って、よろしくお願いしますと述べて入札価格を拘束していたと、これは審判で出ているわけですよね、審決で。だから、最低価格を言ったとか言わないの問題じゃないんですよ。具体的に高めにこれは結局は金額を上げてしまった。だから、故意又は重過失じゃありませんかというふうに私申し上げている。したがって、それ以上のことは言いませんが、ちょっと正直言ってやっぱり生ぬるいんじゃないかという私は思いがありますから、そのことを率直に申し上げておかにゃいかぬ。
 と同時に、コスモ石油はこの判決に対して、国防用燃料の調達に協力したのに残念であると、開き直っているわけですね、これ。
 こういう国民を愚弄したコメントを出して、なおかついまだに返さないと、こういうことであるわけでありまして、どうもこの防衛庁にまつわる、防衛費にまつわる談合や官製談合というのは、国防というにしきの御旗を使っていろいろとあるんではないかと。もちろんのこと、巨額に上るとか、そういう業者が特定をされてくるとかということがあるだけに、なおのことそういう要素を持っている。だから私は、やはり氷山の一角としか思いようがない。それだけに、より一層防衛庁は調達に関して厳正に臨むべきであろうと、こう思うんで、大臣のそこら辺の決意を改めてお聞きします。

○国務大臣(大野功統君)
 又市委員おっしゃるとおりであります。これは税金を使ってやっている仕事でありますから、どんなことがあってもこれは厳正、公正、透明性を持ってやっていかなきゃいけない。
 先ほども議論が出ました、防衛調達というのは難しい点がある。それは入札者が限られているという問題があろうかと思います。仮にそういう問題があったとしてもやっぱり厳正にやっていくべきであって、入札者を場合によっちゃ、もし入札者がもっともっとたくさんおれば入札者を入替えするとか、そういうことも含めて今後考えていかなきゃいけない。
 本当にそういう面では厳格にやっていくべきだと思って、そういう指示をいたします。

○又市征治君
 次に外務省にお伺いをしたいと思いますが、この草の根無償援助は元来ODAの中でも最も小規模でありまして、NGOなどによって担われてきた活動ですね。そこで、資料をお配りをいたしましたけれども、この実績を見ますと一件平均三百万円から五百万円台でずっとやってきたわけですね。ところが、最近大幅に増えまして、単価も大きくなっています。それはなぜかとこう見てみますと、人間の安全保障と称する政府系の大型事業をどうもここに突っ込んだと、こういうことではないかと思うんですね。
 例えば、資料の右側見ていただきますと、ここ二年ほどの間に対イラクの関係が随分と増えているわけですが、こういう格好で見てみますと、給水だ、浄水だ、県の道路関係だ、こういう格好でかなり多額のものがどんどん増やされておって、左側の方のこの二〇〇三年、二〇〇四年の下段を見ていただくと分かるとおり、この草の根援助の全体額に対して、この二年間、二〇〇三年度、二〇〇四年度、二五%と四一%と増えてきている、こういう格好で金額も随分と増えてきていると、こういう格好になっているわけですね。
 そうすると、草の根というのはもう名ばかりで、日本政府の大型事業がすべてここにカウントされている。今申し上げたように、ムサンナ県の給水及び浄水では十二件、一件平均五千五百五万円、ムサンナ県の道路では十一件、一件平均六千八百二十五万円、巨額になっているわけですね。これらは、とてもじゃないけれども草の根だとはもう言えないんじゃないですか。
 本来の草の根協力事業というものを一体どういうふうにしていくつもりなのか、これについては外務大臣からしっかりとお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(町村信孝君)
 確かに、草の根・人間安全保障無償、原則として一千万円未満のプロジェクトということでございますが、プロジェクトの内容に応じては最大一億円まで認めるという運用をこれまでもやってまいりました。
 今、この委員の表が、本当にそのとおりかどうかちょっと私、今確認あれですけれども、例えば水というのは、給水車三十八台、給水タンク三百四台、浄水機六台等、正にムサンナ県水道局に資金供与をしているということで、正にこれは草の根レベルの住民の衛生とか安全な水の供給ということだろうし、道路も同じような理屈で、正に庶民の役に立つ支援というようなことでございます。このほか、教育問題等々、小学校の修理とかいろいろあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、全体の姿というのは、冒頭申し上げましたように原則一千万円未満ということでございますが、状況に応じてはこういったものもいいのではないかということで運用をしているということでございます。

○又市征治君
 重ねて申し上げますが、その理屈付けはいろいろと、大臣苦労して理屈付けなさっておりますが、やっぱり今大臣自身がおっしゃったように、一千万円以下のものをNGOの皆さんにやってもらう、とりわけ日本のNGOなんかが現地へ行ってやるというのは基本的にやっていたと思うんですよ。
 だけど、そういう意味で、ここに政府系の、水もそれは草の根でございます、道路も草の根でございます、それは全然違うじゃないですか。そういう点ではやはり、大臣も事実上お認めになっているけれども、草の根にこういう政府系の大型のプロジェクトを含める扱いはやっぱり必ずしも正しくない。ここはやっぱりきちっと整理をしてもらって、草の根は草の根でやっぱりしっかりやっていただく、このことにしてほしいと思うんです。
 元々、そんなことをやるから、こんなこと言いたくなかったんだけれども、イラクへは民間人は入れないんだというのが、我々に対して小泉総理始め政府の答弁だったわけでしょう。だから、自衛隊派遣を正当化をしたこの理由にされておったわけですよ。
 ところが、今こうなってきたら、草の根事業に名をかりてこんな格好をやっている、こんな矛盾した話ないじゃないですか。自衛隊しか入れないんだ。一体全体この草の根、みんな外国人にやらせたわけでしょう、日本人が入らないで。それで草の根と、こう称して、実際は今言ったように、自衛隊が現地へ行ってやったよりも、むしろこれで使った金の方が多くの給水や道路事業がやられている、こういう格好になっているわけで、随分と矛盾しているわけでありまして、日本人NGO自身が、また政府機関が、政府の非武装の援助機関がイラクで平和的に活動できるような姿が望ましいわけであって、そういうためにも我々は米軍に協力する自衛隊は早期に撤退をして、しっかりやれるような努力をすべきだということを主張してきたわけ。この点は主張だけにとどめておきたいと思います。
 そこで、大臣、先ほどの同僚議員の質問に対して、ちょっと重大な発言をなさっておりますから、この点、もちろんのこと、さっきの答弁に対してお聞きをするわけですから事前に通告してあるわけじゃありません。つまり、谷委員に対する答弁の中で、発展途上国の役人からの日本の業者に対する賄賂の要求は形を変えたODAなのかもしれないがたくさんある、こう先ほどおっしゃいましたね。これは大変な問題ですよ。これこのままで、あなたがおっしゃった、そういう形でこのまま終わっていきますと、いろんな取り方ができる。例えば、途上国への役人への賄賂も日本の業者にとってはやむを得ない、こういう受け止め方がされる……(発言する者あり)いやいや、され得る、一つは。はたまた日本が途上国にODAをやっていく上で、いろんな金の使い方がある。業者からの賄賂という形で先方に渡っても、相手の国が潤うのであればODAと同じようなものだと、こういうとらえ方があるかもしれない。三つ目に、こうした業者からの賄賂の費用は企業の行動様式から考えて、当然政府への請求になってくるわけでありますから、契約額の中に含まれてくると思うわけですが、それも、じゃ、ODAのための必要経費でやっていいのか、こういう考え方もあるかもしれない。
 もう一度改めて、これは外務大臣の、中途半端な答弁じゃ困りますから、改めてここのところは、おっしゃった意味、発展途上国の役人からの賄賂の要求は形を変えたODAかもしれないのでということについて明確にお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(町村信孝君)
 委員に細かく分析をしてまでいただきまして、誠に恐縮でございます。決して、日本のODAがそういう形で使われていいといったようなことを申し上げるつもりは毛頭ございませんので、そこだけはひとつ明確にさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げたかったことは、いろいろな国の外務大臣と、先進国、発展途上国を問わず、話しておりますと、しばしばそういう話が、表の席ではなくて、いやこの、困ったことというのはいろいろあるんだと。例えば何ですかと言うと、いや実は、某国の偉い人が来て我が国の役人にお金を渡していったりするケースがあって実は困っているんだというような話が、たまたま私今思い出したものですから、ちょっと一つの例が何か一般論のような話でしたことは誠に申し訳なかったと、誤解を呼んでしまったことは恐縮でございます。
 また、又市先生の御指摘を受けてしまったわけでございまして、決して日本のODAがそんな使われ方をして、もう融通無碍に何でもいいんだと、賄賂まがいのことをやってもいいなんということを正当化するとか、そんな意思は全くございませんので、そこだけはひとつ御理解を賜りたいと存じます。

○又市征治君
 私もそんなふうに、先ほどは例を挙げたようなことを思って言ったんじゃなくて、形を変えたODAなのかもしれないという、こういう発言だけがそのまま独り歩きすると、そんなことになりかねないということで申し上げたわけでありまして、今の説明で了解をするんですが。
 今日はそのほか、ODAのGDPの〇・七%基準の問題もお聞きしたかったんですが、ちょっとこの点を聞きましたら時間がなくなりましたので、改めてその点についてはまたお聞きすることにしまして、今日はこれで終わりたいと思います。