第163回特別国会

2005年10月13日 郵政民営化に関する特別委員会



(1)貯金・保険事業の現行水準を維持する約束を避ける政府
(2)ユニバーサルサービス確保のために代理店契約の指導を
(3)郵政職員の労働条件の低下がないよう十分配慮すべき
(4)とりわけ民営化後の職員の雇用の安定化に万全を期すべき
(5)批判・懸念の集約である附帯決議を取り入れ修正提案すべき
(6)小泉総理の言う「民」とは、国民ではなく営利事業者
(7)公務員バッシングは国民の不満を公務員に押し付けるもの
(8)公共サービスを削減して、どういう社会を目指すのか
(9)公務員人件費を2割削って年1兆円。小泉首相が作った借金は2百兆円
(10)特権官僚の利権の温床である特別会計の見直しを

○又市征治君
 社民党の又市です。
 最後になりましたが、これまでの、そして今日現在の審議でも最も危惧をされ、しかしどうも政府から明確な約束がされていないのが郵便事業以外の貯金、保険のサービスが確実に提供され、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう万全を期す、この点がどうもあいまいなままということであります。過疎地はもとよりですが、簡易郵便局を含め郵便局のネットワークの重要な一翼を構成するわけでありますから、これはまあ簡易郵便局も同じです。この点についての竹中大臣の答弁は、十年間の移行期間中の委託契約での保証と、その後は貯金銀行及び保険会社の経営者の判断でネットワークの価値が重視されるから維持されるはずだ、こういうことを、簡単に言えばそんな格好でお聞きをいたしてまいりましたが、何らこれは法的な保証はないということははっきりしているわけですね。
 で、十年後の民営化以降のこの貯金、保険のサービスのユニバーサルな提供をどのように確保するのかというのが国民の関心なわけで、基金の件はもう分かり切っていますからもういいんですが、会社間の代理店契約を政府はどう規制をするなり指導するなり、できるのかできないのかを含めて簡潔に改めて御答弁願いたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君=経済財政郵政民営化担当大臣)
 前国会から又市委員がこの点について大変御懸念しておられるというのは承知をしておるところでございます。
 基金等々のもう御説明は要らないということでありますので、代理店契約に関して政府がどのように関与できるのかという御質問でございましたならば、これはみなし免許を出すに当たっての条件として、長期安定的な代理店契約の存在を義務付けるということになります。これに関しましては、基本計画を作って、承継計画の中でしっかりと明記をしていただいて、その承継計画、これは主務大臣の認可が必要になりますので、その中において、政府としてはしっかりと関与をしていきたいと思っております。

○又市征治君
 それでは保証にならないわけで、先ほどこの点については細田さん、えらいすっきりとお答えになって、民間に介入やそんなことはできないから政治の判断でそれはちゃんと残させるようにするんだと、こういうお話が一番分かりやすかったと、私もそう聞きましたが、しかしそれでは本当の保証にならないわけですね。政治家たちがそれは頑張るんだなんておっしゃったって、そこには政治家はいないかもしれない。そういう地域もあるわけでありまして、そういう過疎地なんてのは、えてしてそういうことになるわけです。
 そこで、少し具体的な中身で申し上げると、十年を超える長期の、例えば二十年とか三十年とか、こうした代理店契約を結ぶように政府が強く指導することしかないんじゃないのか、こういうふうに私は思います。特に、クリームスキミングされて、過疎地や都市部でも所得の低い地区の郵便局が切り捨てられないような、そういう意味では全国一括とすることがポイントじゃないんだろうか、こんなふうに思います。
 長期の代理店契約あるいは基金の活用等によって、郵便局が長年提供してきた貯金、保険のサービスが民営化後も引き続き提供されるよう、郵便局会社と郵貯会社、郵貯銀行ですね、それから保険会社の間で長期、全国一括の代理店契約の締結が行われるように、政府の方針としてこのことをむしろ求めていくということをはっきりさせた方がいいんじゃないんですか。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 移行期間を上回る長期というのと全国一括と、その二点を又市委員は指摘しておられるんだと思います。
 まず、全国一括につきましては、これは繰り返しになりますけれども、みなし免許を出すときの条件になります。みなし免許というのはなぜ出すかといいますと、民営化の前日までずっと営業を行っているわけです。翌日新しい銀行になると。そのときに、わざわざまた銀行業の申請などできませんので、そこでみなしで免許を出す。
 つまり、正にこういうサービスを切れ目なく、公社から新しい銀行に切れ目なくサービスを提供していただくために行うということでありますので、当然のことながら、それまで全国で津々浦々で展開、事業を展開して、それが基本的なビジネスモデルになっているこの郵政の銀行、郵貯の銀行でございますから、当然のことながら、全国一括でそうした契約が結ばれるということは、これはそのようになるというふうに我々は考えております。
 そして、長期でありますけれども、これは、我々が条件として求めているのは、移行期間を十分にカバーするということでありますから十年を超えていただかなければいけないということでありますが、それが、それを超えてどのぐらい長くするか。それが長くなるということを我々は制限を加えておりません。しかし、無理やり政府の力でそれを二十年、三十年というふうにするのがよいというふうには、やはりそこは考えないわけでございます。あくまで民間のこれは銀行としてやっていただくわけで、今後やっていただくわけでありますから、経営者の判断でしっかりとやっていただきたい。
 ちょっと極端な例で言いますと、じゃ百年だったら安心なのかということになると、ちょっと極端な例で申し上げておりますが、そうするとやはり事業の非常に硬直性をもたらすわけでありますので、そこは経営者にしっかりと判断をしていただいて、十年を超えて長期になることは妨げない、その中でしっかりと判断をしていただきたいと思います。

○又市征治君
 今、後段おっしゃったように、全国一律は、一括は分かったと、こういうことなんですが、しかし最終的には、やっぱりそこの民間会社になったところの経営者の判断なんだということでありますから、したがってそれは長期のことはそれは想定できないと。百年というのはオーバーだろうけれども。
 しかし、いずれにしても経営者の判断、利潤が上がるかどうかという判断による。だから、ここのところは、結果的にはやっぱりユニバーサルサービスが本当に保証されるかどうかというのは、やっぱり懸念は全く払拭されないではないかと。こういう格好で、我々はだから反対だという大きな理由の一つなんですね。(発言する者あり)埋まらないんですよね、本当にね、ここは。
 そこで、もう一つ。そういう意味では、最大の利用者である国民の、一般国民の利便性がやっぱり軽視されているではないか、こういう議論が根強くやっぱりあるということですよ。それからもう一つ、これ以上それは突っ込みません。

 もう一つ。この郵政に働く二十六万人のこの職員の働く権利の問題について若干申し上げておきたいと思うんです。
 私、総務委員会にも所属していまして、これ何回かやりました。この二年半の公社の下でも収益本位の運営、非常に強くやられてきている。
 その結果、極度に連続した深夜労働であるとか、依然これは、改めたというふうに言われているんだが、依然として自爆と呼ばれる営業ノルマの押し付けなどというのがまだ見られるんですね。この民営化でそれこそ解雇などという、そういう問題が起きるならば、これは極めて、あの国鉄問題と同様、大変大きな社会問題になるんだろうと思うんです。
 そこで、職員が安心して働ける職場環境づくりのために、現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく、職員の労働意欲が高まるよう十分配慮すべきであるというのは当然でありますし、とりわけ民営化後の職員の雇用の安定化に万全を期すべきだというふうに考えますが、この点について改めて確認を願います。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 職員の処遇の問題、雇用の問題、そして働く方々の意欲の問題、極めて重要であると認識をしております。であるからこそ郵政民営化の五原則の一つとしてこの配慮の原則というのを入れておりますし、また前通常国会における附帯決議でもこの点十分配慮をするというような条文が含まれていたというふうに認識をしております。
 新会社の職員の賃金とか、それとか勤務時間等の労働条件につきましては、正に円滑な移行と職員の保護という観点から、これ準備企画会社を設立しますけれども、準備企画会社であるところの日本郵政株式会社と公社の労働組合との間におきまして、事前の交渉及び労働協約の締結を可能としております。その際、新会社の労働条件については公社での勤務条件に対する配慮を義務付けると、そういう義務付けを、配慮の義務付けを行っております。職員に不利益が生じることがないよう十分に配慮することとしているところでございます。
 また、これは民営化後の新会社のこともあろうかと思いますけれども、給与制度でありますとか評価制度に関しまして、これ民間のガバナンスを導入するということになるわけでございますから、その導入をしっかりしていただいて、職員が自らの創意工夫や意欲、可能性などを最大限に発揮することが可能であるし、是非そのように運営をしていただきたいと思っております。

○又市征治君
 大臣、大体全部お分かりのとおりですが、私が今質問した各項目は、実はいずれも八月五日のこの参議院の特別委員会で与党側が提案をされて採択をされた附帯決議、異例の附帯決議、この中身を、文言をほぼ忠実に繰り返して私は申し上げた、こういうことなんです。
 これに対して竹中大臣は、この八月五日の最終の場面に当たって、民営化に伴う国民の懸念や不安を払拭したいとの皆さん方の強い御意思であり、その趣旨を十分に尊重し、最大限努力してまいりますと、こう答弁されたわけですね。
 だけど、本来ですね、これ一度法案が否決されたわけですから、こうした通常国会で出された様々な批判的な意見であるとか懸念であるとか、例えて言えば一つの集約でもあるのがこの附帯決議だと思うんですけれども、この与党の附帯決議を最低限取り入れて、そして修正提案をされるというのがやっぱり当然なんだろうと思うんですね。
 いまだに、だけれども、これはもう全く不磨の大典みたいなことをおっしゃっているんだけれども、これが一番最善の法案だと、こうおっしゃっているんですが、しかし、それはやっぱり余りにも傲慢だと、こう言わざるを得ない。その点だけ私は、この法案の、与党の皆さんはこの法案に不安だったから十五項目からの、それも普通野党が出す附帯決議を与党だけで出しておられる。ここにやっぱり大きな問題があるということを言っているわけで、そのくらいの謙虚さがむしろあるべきではないかと。
 選挙勝ったら何でもいいということじゃないんじゃないのかということだけ一応ここでは御指摘を申し上げておきたいと思います。

 そこで、次に総理に伺ってまいりたいと思いますが、総理は今度の選挙でも民営化の国民へのデメリットは何もお示しにならなかった。まあ自分のところの悪いことは言わないんだろうと思いますが、官から民へと叫んで選挙で大変に大勝なさったということなんですが、最大のポイントにされたのは、さっきからも出ていますけれども、公務員二十六万人を減らすと、こういう格好でおっしゃったんだが、ほとんどデマ宣伝に等しいと、こう言わざるを得ない。
 郵政は独立採算で、正に職員の賃金は税金ではなくて郵政事業から出ているということはもう総理自身が一番よく熟知されているのに、そのことを言うことによって国民に、いかにも国民負担が減るような、こういう幻想を与えたわけですから大変に問題だと、この点だけ冒頭御指摘を申し上げて、少し次の質問に入りたいと思うんですが。
 選挙後、今日もおっしゃっていますけれども、次の今後の改革の課題として、三位一体改革であるとか社会保障制度の改革であるとか、あるいは政府系金融機関の改革であるとかいうことと同時に、公務員制度改革ということもおっしゃった。そういう格好にやっているんですが、総理が言われるこの官から民への民というのは、これはもう言うまでもなく、国民とか民主主義の民ということではなくて、利益を目的とした営利事業者ということにほかならないわけでしょうけれども、公共サービスは、そういう意味では利潤を目的にしない、だけども社会に必要な仕事だから税金で賄われているわけですね。これをどんどん民営化するということは、郵政にとどまらずに、政府の今行っている公共サービスも大幅に縮小していくということになるんではないか、こういう懸念がやっぱり広がっています。

 現実に小泉内閣の下でこの四年半の間に行われてきた構造改革の下で、日本の社会はこれまでになく貧富の差が拡大をした、格差拡大社会になっている、こういう批判が非常に強まってきています。具体例で言えば、依然として三百万近い完全失業者、一千六百万人の低賃金、劣悪な労働条件の非正規労働者、考えられもしなかった事態が起こっている。六年連続で勤労世帯の所得は下がり続けているし、六世帯に一世帯が生活保護基準以下だと言われる二百万円以下の年収しかない、こういう状況。
 にもかかわらず、残念ながらこの間の医療制度あるいは年金制度、介護制度の改革と称してやられてきたのが負担増と給付減、こんな格好だった。

 こういう状況だけに、さっきどなたかがおっしゃったけれども、国民、直観的に、どうも今度の公務員バッシングというのはこうした立場の勤労者や国民のやり場のない不満を公務員に押し付けて、むしろ社会の分裂をあおるものでないのか、こういう声が強まってきています。
 あなたは、公共サービスと公務員を減らして目指すのは、一体どういう日本社会を目指そうとするのか。こんな格好で格差拡大社会が進んでいるわけですけれども、どうも福祉社会とは無縁のように思えてならないわけですが、その点の見解をお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 公共サービスというのが果たして公務員じゃなきゃできないのかということを私は言っているんです。公共サービスというのは公務員じゃなくてもできるんです。そう思いませんか。(発言する者あり)そう思わない。電気にしてもガスにしても鉄道にしても、これは公共サービスじゃないんですか。電話にしても正に公共サービスですよ。
 こういうものでも私は公務員じゃなくてもできる、公共企業体じゃなくても民間会社もできるというんだったらば、どんどん任してゆだねていきましょうと。そして、公共サービスというものは今まで役所がやるんだと思っていた考え方も、民間人でも公共サービスできるんだったらどんどん参入してもらおうと。これからいわゆる役所の仕事を改革していこうという際にも、市場化テスト法というものを今準備していますけれども、役所、公務員でやった方がコストは削減できるのか、サービスが良くなるのか。あるいは、公共的なサービスなんだけれども、民間人に任して果たしてその仕事が可能なのか、公務員よりもいいのか、良いものなのかどうか、よく競争してもらう、そして役所の仕事も民間でできるんだったら民間にゆだねていこうと、そういうことも考えているんです。
 ですから、私は、公共サービスというものを公務員だけ、役所だけで考えていいというものじゃないと、民間にもできるものは公共サービスでもゆだねていこうと。そうすることによって私は、民間人の活躍できる分野が増えていくだろう、民間企業の創意工夫を発揮できる分野が増えていくだろう。そういうことによって、民間企業がやれば利益を上げなければ倒産しますから、倒産しないように一生懸命努力する、そして利益を上げてこられる、それが結果的には法人税なり、人を雇うことによって所得税なり固定資産税になって税収として跳ね返ってくる。現に国鉄でも電電公社でも専売公社でも、民営化して三十兆円以上の売却益が出ている。税金も納めてくれている。国民は、電話一つ取ってみてもどれだけの進歩か、料金にしてもどれだけ安くなったか、恩恵を受けている。そういう方向に私は間違いはないと思うんであります。

○又市征治君
 全然聞いていないことをお話しになったりするんですね。
 私は、一体あなたの目指している社会は福祉型国家とは無縁でないのか、そこはどうなのかと聞いているのに全然違った話じゃないですか。だんだん時間だけが、そしてなくなっていくんです。本当にいかぬ、けしからぬ、本当にもう。そこで、そういうふうにあなた頭を抱えても駄目なんだよ、今。そこで総理、もう一つ聞きますよ。
(発言する者あり)確信犯だそうです。

 あなたがそうおっしゃるが、仮に、総理は、十年間、五年間で何、一〇%人員削減、あるいは総人件費、最近は二割削減とかと言われていますな。こういうものを仮にやってみても、ちょっとまあ本当は質問どんどん、あなたが長くしゃべるものだから質問時間なくなって飛ばさざるを得なくなったんだが、仮に国家公務員をこれ二割削減しても年間人件費にすると一兆円ですよね。これはもう十分御計算なさっていると思うけれども。だけれども、あなたがこしらえた二百兆からの借金から見たらこれは微々たるものですよ、財政効果は。
 そこで、さっきだれかがおっしゃっていたが、私はこの参議院の中で三年間、各省庁と特権官僚の既得権益化している特別会計、年間純計で二百五兆円も今年の場合ある。このことをやっぱり徹底的にメス入れるべきだとずっと言い続けてきました。
 最近、これは参議院の総意になりまして、この間の、総理御存じのとおり、本会議でも政府への警告決議と措置要求決議まで上げられた。こういう問題こそ今やっぱり国家として最も取り組まなきゃならぬ課題じゃないのか。我が党の試算によりますと、特別会計の剰余金だとか積立金の回収、例えば外為特会、財政融資資金特会などで毎年六兆五千億円程度は還元できるというふうに我々は試算を出しました。
 問題はこうした、さっき申し上げたような、額に汗して国民の福祉の増進のために日夜苦労している一般公務員、公務員全部とは言いませんよ、特権官僚は別だ、これはね。特権問題は別だ。そういう圧倒的な一般の公務員までおとしめるような、何かしら仕事していないみたいなことを言ったり何かで攻撃をするんじゃなくて、本当に政府内部の特権と財政のこうした乱脈にメスを入れるなり、天下りを本当にきちっと規制をする。やろうと思えばすぐできる話だと思う。そのことにこそ最優先課題として取り組むべきじゃないのかということなんですが、最後にこの点、お答えいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 公務員もまじめに熱心に仕事をされている方の方が多いですよ。それで、公務員の役割も十分大きいものがある。そういう中で、今公務員の仕事と民間の仕事をいかに仕分けしていくかということも大事だと思います。また、人件費におきましても、民間に準拠して公務員の給与を決めるという、その準拠の仕方によっても、どの企業を対象にするかという点についても都会と地方では違うだろうという意見もあります。そういう国民の意見にも真剣に耳を傾ける必要があると。
 これからの特別会計の問題も、これは私は賛成です。もう徹底的に見直していかなきゃならないし、計算では何兆円あると言っておりますが、今財務省でも本当にそれだけ出るのかということをよく調べていますので、そういう提案を受けながら真剣に協議をして無駄なところはやっていくと。これは、政府としても、与党としても、そのいい点は野党の点をどんどん取り入れて改革に進まなきゃいけないと思っております。

○又市征治君
 終わります。ありがとうございました。