| 第163回特別国会 |
| 2005年10月27日 総務委員会 |
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(1)人事院勧告の影響は公務員だけでなく6千万人に及ぶ (2)労働基本権制約の代償機能が揺さぶられている (3)人事院勧告は翌年の民間賃金に強く影響する (4)特にマイナス勧告ならば、民間の経営者は喜んで引用する (5)非正規・パートタイム労働者などが含まれる厚労省・国税庁のデータ (6)従業員の賃金を下げるために人勧を敵視する企業経営者 (7)民間での女性の賃金水準は、男性の約57% (8)人事院の公平中立性・独立性が揺らぐなら、労働基本権を返すべき |
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| ○又市征治君 社民党の又市です。 最近、社会経済の冷静な把握を抜きに、国会内外でセンセーショナルに公務員の賃金を一割、二割削れ、公務員バッシングが非常に大きな声で騒がれている。私に言わせていただけば、誤った改革競争がなされていることについて大変危惧するものであります。こうした動きが先輩議員たちの年金から現職議員の歳費まで及んでおりますけれども、議員は別としても、民間と公務を含めた六千万人の勤労者とその家族、また人勧に連動する福祉の諸手当を受けている人々にまでこれは及んでくるわけでありまして、喜んでいるのは一握りの企業経営者だけじゃないのか、このように思うわけです。 そこで、まず人事院にお伺いをしますが、元来、人事院勧告は民間企業との比較、後追い調整という仕組みでありますね。ところが今回、あの勧告は、先ほど来から出ていますように、地域給への切替えということにかこつけていますけれども、実際は民間準拠という仕組みを逸脱をしたと。政府がこの秋にも出すといういわゆる総人件費抑制方針を先取りしたんではないのか。あしき政治主導、実は総理の諮問会議などに座を占める大企業経営者に屈したんではないのかと、多くの人々がそう言っている。私もそのように思う。このように、今私は労働基本権剥奪の代償機能としての人勧制度が揺さぶられているんではないのかと、こう思います。 そこで、まず総論としてお伺いしますが、人事院のこうした労働基本権代償措置としての、言い換えれば、中立公正、独立した給与勧告機能というものをどう守っていくおつもりなのか、この点の決意を含めてお伺いしたいと思います。 ○政府特別補佐人(佐藤壮郎君=人事院総裁) まず申し上げておきたいのは、今回の勧告の内容は、決して諮問会議の内容を先取りした、あるいは圧力を受けたということは決してございませんで、例えば地域給与の見直しにつきましては、既に平成十三年度から私ども問題意識を持っておりまして、研究会を立ち上げる等して検討してまいった経緯がございます。 それから、四・八%の俸給表の下げが従来の官民比較のやり方と違っているのではないかという御指摘でございましたけれども、これにつきましても、私どもが取った方法は、全国の各ブロックごとに、私どもの民間調査の、ラスパイレス方式による民間調査の結果を使ってブロックごとに民間賃金の水準を出し、その結果が最も低いブロックが四・八%であったので、四・八%の給与の引下げということを勧告させていただいたわけで、決して従来の方法を逸脱しているとは私ども思っておりません。 それから、人事院の独立、中立性を守るべきというお話、これは私どもも肝に銘じてその役割の重要性を認識しておる次第でございまして、今後とも中立、第三者機関あるいは基本権制約の代償機関としての任務はしっかりと果たしていきたいと思っております。 ○又市征治君 それは議論になりますからこれ以上言いませんが、是非しっかりと守っていく立場で頑張っていただきたいと思います。 よく国民の批判という言葉をよく言われるんですけれども、実際、大多数を占める勤労者、何も公務員の賃下げを望んでいるというわけじゃ私はないと思うんですね、論理的に言うと。自分がリストラされたり派遣だ契約だという、そういう地位に落とされたり、あるいは税金を取られている。こういう中で、どうも騒がれるのは一部の、ごく一部の厚遇公務員あるいは高級官僚の天下り問題など、こういったことが宣伝をされると、公務員だけが高い給料をもらっているんじゃないのかと、こういう格好で疑問を持ち、そういう点に比較するならば、おれは低過ぎるじゃないかという、こういう思いをお持ちになっているんだと思うんですね。ここのところをやっぱりしっかり着目しておくべきだと。もっとやはり公務員の賃金の実態ということについて、これはやっぱり人事院も、あるいは全公務員を所管をする総務省としても、こうした正確なことはできるだけ国民に理解がされるように是非努力もしてもらいたいと、こう思うんです。 そこで、人勧の隠れた機能というか、影響力といいますか、夏の人勧を過ぎてもまだ賃金決定がされていない中小企業、あるいは人勧連動で福祉の諸手当を受けている人々など、かなり広範に人勧というのは影響を及ぼしていますね。 さらには、翌年の民間賃金にも影響する。これは過去の歴史見れば一発で分かる。特にマイナス勧告であれば、経営者側は喜んで前年度の人勧を引用するわけですよ。こういう中で、人事院が今年の民間準拠から逸脱した、私はそう思うんですが、来年度以降、一律四・八%の引下げと。こんなものは全体のトータルを出すべきなのに、ブロック別になんてこんなばかな話はないと思うんですが、こうした点について言うならば、経営者側は理屈抜きに次のサイクルにこれは利用させていただくということになるんだろうと思うんです。 このように、人事院が政府や経営者の思惑を私は先取りをしたと、こう思うんですが、そういう格好で社会全体の賃金サイクルに負の役割を果たす、この点については私は明らかだと思うんですが、それはやむを得ないんだと、こういうふうに総裁お考えですか。 ○政府特別補佐人(佐藤壮郎君) 公務員の給与、先ほど来お話ししているように、民間準拠で決めているわけでございまして、今御指摘があったように、逆にこれが民間の企業に影響する、あるいは地方経済に影響する、これ私ども決して否定いたしません。十分にあり得ることだと思います。 ただ、私どもが勧告を行う際に、そういう影響、特に地方経済に及ぼす悪影響について考慮して勧告の内容を決めるということは、私どもとしてはできかねるというふうに思います。地域経済については、やはり政府全体で施策をお考えになって対処をされるのが本来の在り方ではないかというふうに思っております。 ○又市征治君 私は、トータルの水準を出すべきだと言っておるのであって、そのことをブロック別だとか何かというそういう格好でやっていくことが、結果として、全体的には、そういうさっき出た、地場という言葉が出ましたけれども、そういう点でいうならば、みんな負の役割しか果たさない、このことははっきりしているわけです。それはあなた方は専門家だから一番よく分かっているはずなんです。 時間がありませんから、次に進みますが。 企業経営者を代表するあるいは代理する諮問会議の人たちは、国税庁や厚生労働省の調査では民間水準を四百五十万円だ、公務員はもっと下げろと、こう言っているわけですが、これは私は正しくないと思うが、この点について後でお伺いします。 私は、人事院の民調というのは、規模といい、歴史の試練を経てきた、そういう意味では精密かつ的確という意味でも正確なものだというふうに思いますけれども、厚生労働省や国税庁の調査は目的も違うし、そういう意味で横に並べる性格の数字ではないと思いますけれども、どこがなぜ違うか、類似職種という点、規模及び労働者の身分の違いなど含めて、簡潔にひとつ説明をいただきたい。 ○政府参考人(山野岳義君=人事院給与局長) 厚生労働省と国税庁の調査につきましては、広く民間企業の賃金実態を明らかにするというのを目的にしております。それに対しまして、私どもでは、官民比較のために公務と類似した職種について民間給与の実態を調査しておるわけでございます。 具体的には、厚生労働省の調査、賃金センサスには短期間雇用されています非正規職員が含まれております。 それから、国税庁の調査には勤務時間の少ないパートタイム労働者が含まれております。 その点が大きな違いでございますが、さらに、両調査ともに公務と類似の職種ではない生産労働者、いわゆるブルーカラーの方々でございますとか、あるいはいろいろな小売業の販売員等の様々な公務にない種類の従業員が含まれておりますので、その結果、私どもの調査と大きく食い違うわけでございます。 ○又市征治君 せっかくですから、この厚生労働省のデータとの違いを解くためにもう一点伺っておきたいと思うんですが。 すべての、これは私はとりわけ女性の勤労者に是非聞いておいていただきたいというふうに思うんですけれども、実は公務員と民間労働者との大きな違いは男女間の賃金差別、これがありますね。大変大きなものがある。民間では圧倒的に男女の賃金差別が今も強く残ると思うんですが、この点についてもう少しこの厚生労働省の資料などと比較をして説明をしてくれますか。 ○政府参考人(山野岳義君) 賃金センサスの中で公務と同様の職種でございます製造業の管理、事務、技術、いわゆるデスクワークをしている方々でございますが、それの従業員の企業規模百人以上の十五年度年間給与でございますが、男性が六百四十八万円、女性が三百七十一万円ということで、女性の賃金水準は男性の約五七%でございます。一方、公務でございますけれども、公務の場合には、男性が六百四十一万円、女性が五百十五万円で、女性の賃金水準は男性の約八〇%でございます。 民間企業における男女別の賃金水準差が大きいのは、やはり公務の女性職員と比べまして、平均年齢の問題もございますが、民間の女子社員では上位の役職に就いておられる方が少ないことが影響しているのではないかと推測されるところでございます。 ○又市征治君 お聞きのとおりで、つまりは厚生労働省などのトータルでいえば四百五十一万七千円と、こういう平均が出てくる。人事院の比較対照でいえば六百二十一万と出てくる。しかし、その中身をよくよく見て比較対照すると、ほぼ、これは厚生労働省の調べた数字も人事院が調べた数字も対象職種でいうとほぼ同じだと、これは当たり前のことなんですが、出てくる。非常にひどいのはやっぱり男女の賃金格差だと。五七%、こういう格好になっている。 したがって、ここへ下げろということであるならば、もっと極端に言えば民間並みに公務員も男女差別をしなさいよと。まさかこんなばかなことを言う人はいるわけじゃないんだろうけれども。しかし、だけれども本音はそこにあって、下げなさい、下げなさいという話になっている。だから、さっき申し上げたように、もっとこういうのをしっかりと国民の人に分かるように努力をしてもらわないと、公務員は高い、高い、高いと、こう言われている。そういう点ではあなた方も御苦労なさるわけで、しっかりと宣伝もしてもらいたい。 厚生労働省のデータは、確かに非正規労働者の多い国民全体の賃金を反映して低く出ているわけでありまして、ただ、公務員とほぼ同職種の製造業、事務職等では人事院調査と今申し上げたようにほぼ同じだと。そうすると、この比較方法、これそのものはこれからも守っていく、ずっと長年にわたって積み重ねてきて、そういう意味では労働基本権の代償措置でもある、一定の規模がある、こういう立場でこれを踏襲されてきたんですが、このことは守っていくおつもりですね。 ○政府特別補佐人(佐藤壮郎君) 今までの官民比較方法の中で、私どもは原則として守りたいというふうに思っておりますのは、まず対象として正規社員であるということ、それから同種の職種で同じような仕事内容の従業員と公務員とを比較すると、この二つのことは今後とも守っていきたいというふうに思っております。 ○又市征治君 時間が参りましたから、本当はまだ評価制度の問題等々幾つかお伺いしたいと思ったんですが、これは、今日はこれでやめますけれども。 是非、先ほども申し上げましたように、人事院は時々、時々聞こえている声は、様々な攻撃がありましてという話は聞こえる。人事院に攻撃なんかあるわけないんだ。いろんな話はそれはあるでしょう、出るでしょう。 しかし、人事院はやはり労働基本権の代償措置であり、公平中立、独立した機関として、しっかりとやっぱり政府や国会に対して勧告をする、この機能をやっぱり果たしていく。その機能が果たされなければ、そういう意味では、麻生大臣おっしゃったように、それは果たされていることを前提の上で、労働基本権問題はちょっとそこはというふうに大臣がおっしゃったわけですが、そこが揺らいでくるならば、はっきりもう自ら労働基本権はお返しいただいて、もう人事院は少し調査機関だけで残りますということになってしまうと思う。そうならないように、逆の意味で、しっかりとその使命を果たしていただくことを改めて申し上げて、今日の質問を終わりたいと思います。 |
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