第164回通常国会

2006年3月3日 決算委員会



(1)毎年数兆円規模の利益を上げる外為特別会計
(2)従来通りで十分達成できる偽装の「改革」目標
(3)当面全く使われない13兆4千億円もの積立金
(4)特別会計の不用額を一般会計に繰り入れ、国民の暮らしに還元せよ
(5)国債30兆円以下という公約の下で作られる隠れ借金
(6)偽装や粉飾だらけの予算編成ではなく抜本的な改革を
(7)余剰資金は国債償還より、増税・負担増の回避に充てよ
(8)景気回復を下支えし、国民の暮らしを豊かにし、増収を図る道を優先せよ


○又市征治君
 社民党の又市です。
 参議院ではなぜ予算に先立って決算委員会を開くか。これは冒頭にも出ましたが、それは参議院が決算審査を重視をして、その結果が直ちに来年度の予算に反映できるように全党派が一致協力して努力をしているがゆえです。
 そこで、今日、私は、昨年六月の参議院の警告決議が政府予算案にどう反映をしたのか、特別会計に絞って質問をいたしたいと思います。
 政府は、二〇〇六年度の予算案で十三兆八千億円を特別会計の積立金から活用する、そしてまたそれを含めて今後五年間で二十兆円を活用するとしているわけですが、これは従来の姿勢から見るとそれなりきに努力をされたものと評価をいたしますけれども、しかし、今日はその中身について突っ込んで議論をさせていただきたいと、こう思います。

 まず、財務大臣、十九年度以降の四年間で特会から六兆二千億円、年平均で一兆五千五百億円の活用ということですね。じゃ、従来はどうだったか。まずパネルを見ていただきたいと思います。(資料提示)この一般会計への繰入れは、この右側の斜線の棒グラフですね。毎年、外国為替特会から一兆五千億円前後繰り入れているわけですね。この点、財務大臣、この外為特会から過去五年間、一般会計に幾ら繰り入れられたのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君=財務大臣)
 外為特会から一般会計への繰入れは、平成十三年度から平成十七年度までの過去五年間で合計約七・八兆円です。毎年平均で約一・六兆円繰り入れております。累計で約十八兆円の繰入れを行ってまいりました。ただ、外為特会からの剰余金の繰入れは、それは市場の動向とかそれからそのときの為替介入の方向等によりまして常に変動するものであるということは御理解いただきたいと思います。

○又市征治君
 そんなことはないですよ。だから私このグラフをわざわざ左側の分のこれを見せたのであって、毎年コンスタントに二兆円から三兆円そういう意味では利益が上がっているわけですよね。そういう点で、一般会計に繰り入れていたのはその一部にすぎないわけであって、今あなたがおっしゃった七兆余りですよね、そんなわけであって、ちょっとそういうごまかしはいかぬですね。つまり、この六兆二千億円あと四年間でやりますよと、こう言うけれども、従来どおりの繰入れをやっていけば十分に達成できる額だということは、このグラフでもあなたの今の五年間の過去の例をおっしゃっても証明されているわけですよ。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、毎年既にやってきたこの繰入れ額を、ましてこういう格好でずっと利益が上がっているわけでありますから、これまで今後の改革目標だと言って数え上げて、これを含めて二十兆円の活用だ、特別会計の改革だと、こう言ったって、これは今はやりの偽装改革じゃありませんか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 いや、それは又市先生、余りにも辛い評価でございまして、いや、それは為替の水準というのは常に変わりますから、日本の介入はやはり円ドル関係の場合が多いですけれども、今後円ドル関係がどういうふうになっていくか、為替介入の水準がどうなのか、それから日米の金利差がどうなのか、まあ五、六年先まで予想しろったってなかなかこれは予想できるものじゃありません。その点は御理解をいただきたいと思います。

○又市征治君
 それは大臣、大臣のお言葉とも思えませんね。逆に言えば、今おっしゃっている点については外為特会の資金の方でしょう、それは。じゃ、資金ではちゃんと別に百四十二兆円準備されているじゃありませんか。そういう問題があるから、問題はこの点でいうならば、利益の中からの繰入れの問題を私申し上げているのであって、これは困りますよ。それは答弁要りません。

 そこで、次のパネルを見てください。
 まず、青い折れ線グラフの点ですけれども、外為特会は今二兆二千二百五十億ですね、これの剰余金のほかに当面全く使われない積立金があるわけですね。過去十年で五兆九千億円増えまして、現在は十三兆四千億円あるわけですね。とすれば、財務大臣、この積立金を活用して、毎年一兆円以上を従来の約一兆五千億円にプラスをして、今言った一兆五千億円、一般会計に繰り入れる、つまり国民の生活向上のために、あるいは景気下支えのために使えるんじゃないですか。そのことがまず一点。
 あわせて、外為特会が積立金を取り崩さなければならなかったそういう年というのは過去五十年の間に何回、いつあったのか、ちょっと教えていただきたい。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 今の積立金、これは運用益ですね。要するに、それぞれの金利差の差等から生ずる運用益で累積三十二兆、今まで運用益があるわけです。そのうち十八兆を今まで組み入れてまいりまして、それが今おっしゃった、最近何兆入れたというのが、うち十八兆になるわけですね。それで、残額の十四兆を積立金として残しているわけであります。しかし、これは将来における歳入不足の可能性に設けて備えられているんでございまして、現在時点でその積立金を全部取り崩してしまうということは、私は、これは外為特会の健全性からいって、ああ、そうですかと言うわけには申し上げられないと思います。

○又市征治君
 外為特会で、過去五十年の。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 基本的に取り崩したことはありません。

○又市征治君
 取崩しは、私が調べたところによると、昭和三十三年と三十四年、二か年、若干取り崩したということがありますけれども、しかしまあ大変にたまりにたまってきている、こういうことなんでありまして、ここらのところはもう少し、今日はまあ総論的でありますからそれ以上突っ込みません。
 いずれにしても、この外為の積立金のやっぱり取崩しという問題について、さらに検討課題としてしっかり議論いただきたい。何か将来のために、将来のためと言いながら五十年間やってきたけれども、何のことはない、過去、昭和三十三年、三十四年ですよ。今どんどん、グラフ見てください、上がっているだけなんであって。だから、そこらのところは是非論議をしていきたいと、こう思います。

 ついでに、この赤い折れ線グラフも見てください。財政融資特会の積立金ですよ。
 今回初めて十二兆円を取り崩すと、こうおっしゃる。その問題点は後で質問しますけれども、それでもなお残高見込みは十八兆七千七百億あるわけですよね。先ほど直嶋委員からもこの点については追及がありました。全く同意見です。ここからも毎年一兆円ぐらいは一般会計に繰り入れて、そういう意味では景気の後押しであるとか国民の暮らしに還元できるんだと、私どもはそういう考え方、これは民主党さんも同じ考え方、是非ともこの点は、これはきちっと指摘を申し上げておきたい。今後の中でしっかりと論議をさせてもらいたいと、こう思います。

 次に資料の二枚目、お配りした資料の二枚目を見ていただきたいんですが、二〇〇六年度予算のこの特別会計からの資金の活用で、もう一つ疑念が私はあるわけです。電源開発特別会計から一般会計への繰入れ五百九十五億円の問題です。
 これは財務大臣、現実は借入れでしょう、これは。借り入れて後で返すわけですね。そうすると、これがいわゆる昔から言った隠れ借金とか隠れ国債というものじゃないんですか。
 ちなみに、この五百九十五億円を他のところから収入がないということでこれ国債で調達をしたら、国債の総額は幾らになりますか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 仮に電源特会から一般会計への繰入れを行わないでその分を国債で調達したとして機械的に計算した場合、これは、国債発行額は、平成十八年度予算では二十九兆九千七百三十億円ですが、五百九十五億円を合計して三十兆三百二十五億円ということであります。

○又市征治君
 ですから、そういう意味では、国債だと三十兆円以下だという公約を突破してしまう、だから隠れ借金を加えて公約を守ったように見せている。これもさっき申し上げたように偽装、あるいは粉飾決算ならぬ、粉飾予算だというふうにこれはやっぱり見られるんじゃないですか。

 そこで、総理、私はこれはずっとこの決算委員会でこのことを申し上げてきたんだけれども、特に今申し上げたいのは、特別会計を改革しようという矢先ですよ。こんな姑息な粉飾というのはやっぱりやめましょうや、これ。電源特会は、再三私は指摘してまいりましたように、剰余金と資金だけで三千三百二十億円もあるわけですよ。これ堂々と一般会計に回収すりゃいいじゃないですか。それで済むんじゃありませんか。そういう会計が幾つも幾つも幾つもある。そういう問題をずっとこの決算委員会で、だから特別会計の警告決議が上げられているわけですよ。
 だから、その点、いや、そんなこと言ったって一挙に今年はそんなことできぬわと、こうおっしゃるのかもしれぬが、逆にさっきの、私は申し上げたような粉飾決算ならぬ粉飾予算とは言われるようなこんなことはやめて、それこそ先ほど総理が直嶋委員に、いや、いい提案があったらそれはどんどん乗りましょうと、これは是非検討しましょうと、こうおっしゃったわけですから、今のようなこうした五百九十五億円をちょこっと借りてきて、また後で返して、国債は三十兆の枠で抑えましたなんて、こんなことをやめて、ここのところを抜本的に改革したらどうですか。その点についての総理の御見解をお伺いしたい。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 特別会計と一般会計についての問題、先ほど直嶋議員にもお話ししたんですが、直嶋議員の提案というもの、これはもっと特別会計から一般会計へ繰り入れる額があっていいのではないかと、十二兆円では少な過ぎると、もっとできるという考え方でありますので、そういう点については、具体的な提案ですので、今後真剣に検討していくべき問題だと。
 今、また一般会計から特別会計へ繰り入れる、そういう問題もありますのでですね。両方あるんですよ。これはよく両方点検していかなきゃならない問題だと認識しております。これもやっぱり改革すべき課題だと思いますので、具体的な提案がそれぞれ出てきておりますので、そういう点も踏まえて今後改革していきたいと思っております。

○又市征治君
 ちなみに、私もずっとこれ、特別会計一本でと言っていいぐらいに、これはもう財務大臣と随分と議論させていただきまして、それなりきに改善をされたりなんかしたものについては、それは評価をするというのは冒頭申し上げたとおりです。
 しかし、今申し上げた点で少しだけ補足して申し上げておきますと、これ、積立金、資金、剰余金、繰越金などなど、こういろいろとたくさんあって、この中で改革をやる場合に私は一つ必要なことがあると思っているんですよ。例えば、こうした剰余金などで取崩しをやる場合に、一本ちょっと法律作りゃいいだけなんですよ。
 その中身、例えば登記特別会計、財政融資資金特別会計、外国為替資金特別会計、産業投資特別会計、電源開発特別会計、石油及びエネルギー特別会計、特定国有財産整備特別会計、農業経営基盤強化措置特別会計、国営土地改良事業特別会計、特許、道路。もう特会と言うのをやめましょう。特許、道路整備、治水、港湾整備、自動車検査登録、それから都市開発資金融通、それから空港整備。これだけの特会なんかは、この剰余金は八兆円強あるわけですよ、単年度でね。これらは、当分の間、一般会計の財務状況が改善するまでの間、一般会計に繰り入れると、これだけのことを条文作ってやればこの金は入れられるわけですね。
 こんなことを国民に、さっきからずっと、今日も朝から出ているように、国民に負担で、医療費を、お年寄りが医療費上がって、そのために自己抑制をして、また今度は気付いたころには大きな医療費が掛かると、こういう問題になったり、定率減税の縮小だ、廃止だなんということで増税に行くんじゃなくて、こんなところには八兆円も毎年出ているわけですよ。それは、いつもかも八兆円とは言いませんよ。だから、こういうことを、正に小泉さん、それこそ改革をやる、その改革は国民生活を、経済活性化されて国民生活を豊かにするんだと、今日冒頭におっしゃいました。そういう立場に立って、この点については是非今後、更に個別の問題はこれからの省庁審議の中でやってまいりますから、そういう点で、また財務大臣ともやらせていただきますけれども、本格的にやっぱり今やらないと、今の会計全体を見ますと、私は、やっぱり前は、塩川さんは離れですき焼きと言ったけれども、私に言わせたらこんなの地下室でステーキ食っているようなものでね、大変なやっぱり、省庁はやっぱり囲い込みで大変ですよ。この点は、党派問わずにみんな特別会計問題大変だということでやってきたわけですから、是非この点はしっかりと取り組んでいただきたい、この点を申し上げておきたいと思います。

 最後に、総理に一つ、この特別会計の活用方法の問題について、これ意見、問題提起をしたいと思うんです。つまり、今申し上げたような余剰資金などの使い道についてですね。で、使い道は大きく分けて私は二つあると思うんです。先ほども申し上げました。総理は、改革なくして成長なしだと、その改革は、やはり経済を活性化をさせて国民生活を豊かにすることが、それが目的だと、こうおっしゃった。だとすれば、この使い道、国民の暮らしの改善策をやっぱり優先をする、GDPの六割を占める個人消費の拡大から、そこを拡大すれば逆に増収も上がってくる、こういう道を取っていくというのは、私は今の情勢に対しては一番的確な道ではないかと、こう思う。

 しかし、今政府案が示しているのは、大部分の十二兆円を国債償還の前倒しに使う、こんな格好ですよね。むしろ、私に言わせるならばこれは後ろ向きの財政政策ではないか、こう言わざるを得ません。
 景気は回復した、回復したと言うけれども、しかしメガバンクや大企業ばかりで、じゃ地方の方はどうか。やっぱり一進一退というかいまだしというか、そういう状況にあるし、今日も出ましたように、所得や資産の格差が拡大をしている。それは、総理と私とは認識が違うのかもしらぬけれども。京都大学の橘木教授も言うように、日本は平均所得の半分以下の貧困層が一五・三%に増えて、OECD加盟先進国のうちアメリカ、アイルランドに次いで三番目になったと、こう言っています。

 各種世論調査、この間から出ています。格差が拡大をしているというのは七割以上だと、こういうふうに、こんなことを裏付けをしているという状況に今あります。そのときに定率減税の廃止を行います。それで増税に転じたりすれば、景気回復がやっぱり底支えになっていくのか、大変私は難しい、地域格差もいろいろとあるけれども、大変難しいんではないのかと、格差は更に拡大するんではないかと、こう思います。
 また、先ほど申し上げたように、高齢者の医療負担増というのは受診抑制をもたらして、結局はイギリスの例で明らかなように、その後に大変な医療費が掛かった、より支出増がもたらされたと、こういうことはやっぱり学ぶべきだと思うんです。

 小渕内閣時代に十年物国債を大量に発行したと、だからこれを返すために平成二十年問題があるということはそのとおりですけれども、一挙に十二兆円もの償還の繰上げではなくて、さきに述べたような景気回復策というものを優先すべきであり、それが今国民が求めている生活実感だろうと私は思います。
 そういう意味で、総理に最後にお伺いをするんですが、特別会計の余剰金の活用については、まず増税や医療費などの負担増をやめて消費を拡大して景気の下支えに充てるべきだと、こういうふうに私は思うんですが、総理のこの辺の基本的な認識についてお伺いをしたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 国債費の償還に充てるよりも税負担の軽減に充てるべきではないかということだと思うんですが、国債発行、これも国民負担なんですよ、これは将来に対する増税と同じですから。こういうことを考えると、この国債発行をいかに減らしていくことということは国民の税負担の軽減にもつながることなんです。今は見えませんよ、今はもう景気対策というと、今まで国債を発行して公共事業やれなんというのはどんどん言われたけれども、それは将来に対する増税ですから。
 こういう問題を考えると、現在の税負担と将来の子の世代あるいは孫の世代に対して税金払ってくれという、これが国債発行ですから、そういうことを考えると、やっぱり税負担の軽減と国債発行をいかに減らすかというための改革は必要であって、これは両方やっていかなきゃならない問題であります。
 特に、社民党も前々からの議論で国債発行をできるだけ減らせという主張は展開しているわけでありますので、そういう点に関しても、国債発行を減らすような、これは税負担の軽減にもつながるという点については御理解をいただきたいと。
 それと同時に、今言った特別会計大事ですよ。この剰余金の問題、この点で十分なのかと、もっと剰余金を一般会計に繰り入れることできるんじゃないかという点は、具体的な提案もありますので、この点については今後真剣に検討していきたいと思っております。

○又市征治君
 時間が来ましたから終わりますが、私が申し上げているのは、国債発行を減らしていくというのはそれは当たり前のことなんで、一挙に前倒してそこまで今やらなくて、もう少し景気回復というものの下支えをしっかりやる時期じゃないのかと。国民の暮らしを、総理が言うように、やるんならばやっぱり豊かになることを通じながら増収を図られていく、そこから返していくという、そういう道をもっと今優先をすべきではないかと、こう申し上げているわけでありまして、まあこの点は大変小泉さんはやっぱり国民生活に冷たいなと、こういう感じがいたしますが。
 まあ時間が参りましたから、今後は更にこの委員会で引き続き特別会計問題については論議をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 終わります。