第164回通常国会

2006年3月22日 総務委員会



(1)債務償還を優先した政府に対し、自治体には逆の対応を強いる総務省
(2)政府が自治体の金の処分方法について強制してはならない
(3)本来、2年続けて1兆円以上の増収があった交付税原資
(4)増収分を自治体に渡さず、勝手に繰り越してきた総務省
(5)総務省は本来、自治体の財政自主権を擁護すべき立場だ
(6)見通しでは2006年度末の補正でも交付税原資の増収が出る
(7)増収分は地方に配分、あるいは処分方法は地方と事前協議せよ
(8)国のご都合主義の特例でごまかさず本則に基づいて地方自治体を守れ


○又市征治君
 社民党の又市です。
 来年度予算案において、政府は放漫運営の特別会計への厳しい指摘を受けて、その積立金から十二兆円を取り崩して国債の繰上償還に充てるとしているわけですが、私は、この取崩し自体は賛成だけれども繰上償還には反対だと、こういうことで主張をしてまいりました。
 それは、まだ景気の回復が労働者や中小企業あるいは年金生活者等に及んでいないばかりか、連年の賃金切下げであるとか医療や年金の負担増で庶民が生活苦を強いられている下で、政府がプライマリーバランスの前倒し達成というその目的のためだけに貴重な十二兆円の取崩し財源のすべてを使うのではなくて、当初予算に盛られた増税の回避であるとか、あるいは医療費の自己負担増の回避によって個人消費を拡大をして景気の底上げに資するべきだと、それが格差拡大が騒がれている下での政治の使命ではないかと、こんなふうに申し上げてきたわけです。なぜ今私がこの国債の繰上償還に反対だと総務委員会の場で言うかといいますと、この地方債の繰上償還については総務省は国と全く逆のことをおやりになっている、こういうことだからであります。

 そこで、順次伺ってまいりますが、地方財政法第四条の三では、第一項の終わりの部分で、自治体の財源が経費を著しく超えることとなるときに、年度間の調整として積立てなど三つの選択肢を定めているわけですが、災害の場合の箇所というのはこれは全くこれ関係ありませんから、これを除いて、積立て以下の三つの選択肢、これについてまず御説明をしてください。

○政府参考人(瀧野欣彌君=総務省自治財政局長)
 御指摘の地方財政法第四条の三におきましては、地方交付税の額と基準財政収入額、当該団体の税収でございますけれども、そういった合計額が基準財政需要額を著しく超える場合、例えば年度途中で特別交付税が増額配分になったような場合、そういった場合でありますとか、又は前年度に対する一般財源の増加額が義務的経費に係る一般財源の増加額を著しく超える場合、財源が非常に急増したというような場合でございますが、そういった場合には、今御指摘のように災害など必要やむを得ない理由によるほかは、積立てをするとか、あるいは長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得をするとか、あるいは地方債の繰上償還、こういった三つの財源に充てなければならない旨が規定されているところでございます。

○又市征治君
 わざわざ説明をいただきましたが、三つの、積立てであるとか財産の取得であるとか繰上償還、こういったことなどに充てなければならないと、こういうふうに最後を結んでいるわけですね。
 これは自治体に関する制限的な規定であるのは当然ですけれども、その三つの中から選ぶ限りにおいて自治体に完全な自主権がある、そういうふうに理解してよろしいですか。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 地方財政法第四条の三におきまして、御指摘のように積立てなど法を規定しているわけでございますけれども、その優先順位等については特に規定はございません。したがいまして、各団体それぞれの状況に応じまして、財産の健全な運営にとって最も適切な方法をそれぞれの団体で選択するということであるというふうに考えております。

○又市征治君
 それじゃ、改めて念のために確認をしておきたいと思いますが、仮にA、B、Cの三つの自治体において、ある年に同じ経済事情から一般財源の額が著しく超えることになった場合、A自治体は積立てを選んだ、B自治体は財産の取得を選んだ、C自治体は繰上償還の道を選んだ、こういう三つのケースが出てきたとする。これは何ら問題がないわけで、今御説明のとおり。そうすると、これについては総務省がこうしなさい、ああしなさい、こういう指図をする、あるいは介入をするというところではありませんね。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 そのとおりでございます。

○又市征治君
 同時に、この地方財政法第四条の三は、政府に対しても反射的に、自治体がこの三つの選択肢のいずれかにできるよう支援しなければならない義務を課している、こんなふうに思います。それはまあ当然のことだろうと思います。ましてや、それ以外の処分方法を政府が自治体に強制することはあってはならない、こういうふうに考えるんですが、その点についての見解はどうですか。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 それぞれの団体におきまして、地方財政法四条の三の趣旨に沿いまして一番適切な方法をそれぞれの団体が取っていただくということでよろしいかというふうに思います。ただ、その場合に、全体として現在、地方財政、大幅な財源不足にあるわけでございますので、こういう状況の中で、地方財政全体としてどういう判断をしていくかということは、別途判断の余地のある部分はあるのかなというふうに考えております。

○又市征治君
 それはどういう意味でしょう。私が聞いているのは、政府が自治体にこの処分方法について、三つ以外の処分方法について、政府が自治体に強制することがあってはならないんではないのかと、こうお聞きしたので、一般論としてはそうだと、こう答えた。しかし、財源不足という、こういう状況の下で、それ以外の判断もというのは具体的にはどういう意味ですか。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 地方団体の方に実際にその財源の配分が行われ、地方団体の方がそれについてどういうような形でそれに対応していくかということについては、もう御指摘のように、我々の方でこういう方法を取るべきであると、ああいう方法を取るべきであるというふうな余地はないというふうに考えておりますが、配分する前の段階においてどういうふうに考えていくかということについては、十七年度の対応もございますし、現下の状況を踏まえた制度改正をする余地はあるということを申し上げておるわけでございます。

○又市征治君
 何かえらい含みが残された話ですけれども。
 本来、総務省は自治体の財政自主権というのを擁護すべき立場だと思うんですね。したがって、本則どおりにきちっとやるべきでないか。
 先ほど来から説明いただいたとおり、この条文をしっかり読めば、交付税が年度途中で大幅に増えてきた、したがってそれはどういうふうに配分するか。本来ならば、自治体に配分をされて、その自治体でその金が余れば、積み立てるのかあるいは長期のための財産の取得にするか、又は地方債の繰上償還に充てる、こういうふうにこの本則はうたっているわけですね。だから、その前の段階で総務省が勝手に配分するかどうかは別に考える、そういうこともあるんだと。そんなのは、特例法を勝手に作ったからそんなことをおっしゃるんで、これは実は大変問題なんだと私は思うんです。

 そこで、大臣に次にお伺いをしますが、今出た話は、二〇〇四年、二〇〇五年と、この二年度にわたって国税の増収による交付税原資が一兆一千六百億円と一兆三千五百億円増加をしたと、これらの処理は、まずは交付税の本則、すなわち第六条の三の第一項に沿って当年度の交付税として直ちに配付すべきだと、このことは前にも私、補正の段階で申し上げました。その上で、うちはもう今年は需要がないので積み立てるんだ、いや、財産を取得するんだ、あるいは地方債の償還に充てるんだというのはそれぞれあってもいいのではないのかと、それが本来的な筋ではないのかと、こうさっきからお聞きしているわけです。
 しかし、今局長が言ったように、実際の処理はどうされたか。財政赤字だと、だからといって、総務省としてコントロールすることで、この一兆数千億円、これを離さないで何とか翌年度に回しますと、こういう格好ですね。だとすると、そこで自治体の側からは、じゃ百歩譲って、せめて地方債の償還に回すことを認めるべきだ、是非そうすべきだと、こういう声があったことも事実だと思うんです。すべてだとは言いません。しかし、かなりの声があったはずです。
 つまり、先ほどの地方財政法で定められた三つの選択肢のうちの三番目の地方債の繰上償還というものを集団で処理をするという、こういうアイデアだろうと思うんですね。それを地方自治体の側が求めた。これはなぜ求めるか。
 それは、臨時財政対策債だけ取ってみても、二〇〇一年度から二〇〇六年度、来年度までですけれども、六年間に、いわゆる折半ルールによって地方全体としては将来の交付税財源の先食いを二十兆八千億円も押し付けられる、こういう格好になるわけですから、これは、地方の側からとってみれば当然じゃないかということだろうと思うんです。
 しかし、総務省は二年度ともこれを拒否をして、あたかも自分の裁量権のように、翌年度の普通交付税財源に使い回すという道を取ったと、こういうことですよね、簡単に言えば。
 このように、政府の、自分の特別会計の余剰金の処分だとか、処分をして国債の繰上償還に一方では使いますよ、こうやっているのと、地方交付税増収分の処分、つまり地方債の繰上償還に関する対応とは全く正反対じゃないのかと、こういうふうに、矛盾しているというふうに言わざるを得ない。
 そこで大臣にお聞きをするんですが、特に二〇〇五年度分については、昨年の経験もあって自治体の意見を聞く時間的な余裕が十分にあったんではないのか、そのときにここのところを余り地方の声を真剣に聞かないで一方的に決めた嫌いがある、そういう不満が地方自治体に強いわけで、この点について総務省としても反省すべき点があったんではないのかと、こういうふうに思うんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 又市委員とは、補正の段階以降、この議論をさせていただいております。又市委員の御見識は、我々なりには理解をしているつもりです。
 ただ、我々の立場というのは、もう局長が先ほど御答弁させていただいた実はとおりなんでございます。財源配分が行われた後では、それは地方自治体が三つの選択肢でいろいろやるのは自由であると。ところが、どのように配分するかということに関しては、これはやはり、現実に非常に大きな財源不足があるという中で一つの政策判断を私たちとしてはさせていただいたということでございます。
 もう一つの、繰り返しになって恐縮なんですが、もう一つの委員の御趣旨は、地方の声をもう少し反映する余地があったのではないのかと、そういう点であったかと思います。
 これは、我々としてはそういう、総務大臣、地方六団体との会合等々を行っておりますので、事情については説明をしてきたつもりでございます。また、今回の税法についても現実にそのような説明を行っておりまして、今回の繰越分も含めまして、平成十八年度の地方財政対策については、地方団体からも、もちろん委員おっしゃるようにいろんな声はありますが、団体としては一応の御評価をいただいているというふうに思っております。
 もう一点、委員がしっくりこないではないかとおっしゃるのは、国の扱いとこの地方の扱いということだと思います。
 これは一つの政策判断というふうに申し上げるしかないんでございますが、我々としては、これ、来年度も非常に深刻な地方の財源不足が予想される中で、たとえ地方債を返したとしてもまた同じような資金調達をしなければいけなくなるというふうに判断をいたしました。
 国は国として、これは、国庫について、全体について私は答弁する立場にはございませんが、国債の発行、返済の平準化とか、平準化というのは言わば資金繰りに相当しますが、そういうことを含めて総合的な判断をなしたものであるというふうに私は認識をしております。
 以上の申し上げたような枠組みの中で、是非御理解を賜りたいと思っております。

○又市征治君
 大変御苦労なさっていることは認めるんですけど、やっぱり交付税原資が足りない、あるいは財政が非常に厳しいということは何も今に始まった問題ではなくて、とりわけ交付税問題についていえば、現に、先般も申し上げましたけれども、交付税法の第六条の三、その第二項の規定する引き続き不足する状態が慢性的にあるわけですから、それの解決に当たっては、この条文にあるとおり、所得税などの交付税算入率を引き上げるのが本筋だと、私はそう思うんですね。このことはずっと一貫して私も主張してまいりました。
 それを残念ながらずっとやってこなかったわけですよ。その代わりに行ってきたのが交付税特会における借入れであったわけですが、これをやめて、この二〇〇一年度からはこの悪名高い折半方式にして半額を自治体に起債をさせる、こういう方式だったわけですね。しかし、残る半額は政府のキャッシュ払いです。そこで、償還か繰上げかでは政府の利害に大きな違いが出てくるんではないのか、だからこういう道を取っておられるんじゃないかという気がしてなりません。
 二月三日に、先般も大臣からお話がありました、私の質問に対して、来年も交付税原資が足りないことは確実なのだから、そこへ繰り入れる方が地方債償還よりも優先すべきだというふうに判断をした、こういう趣旨の下で答弁をされたわけですが、実は地方債も償還に充てると政府にメリットがない。しかし、来年度の交付税原資に一兆円使い回せば、不足額に対する政府の半額補てん、すなわち五千億円が浮いてくる。これがこういう道を選択された理由だったんじゃないんですか。私はそういうふうに読み取れてしようがない。これがまず第一点。

 あわせて、二〇〇六年度末補正においても、政府の景気見通しが正しければ、三年続きで交付税原資の増収が出るわけでしょうけれども、仏の顔も三度と言います。今度はきちんと地方に直接配分する、あるいは少なくとも処分方法について地方と事前に十分な協議をすべきではないか。
 政府は、竹中大臣も、前の担当大臣もお替わりになりましたけれども、その時期、景気は着実に回復の方向、そういうふうな趣旨のことをおっしゃっておったわけで、そういう状況にあるとすれば、同じこんなばかな愚を繰り返すことはないんではないのかということがあるわけで、是非地方ともこの点については十分協議をして対処方法を決めてほしい。
 できるなら、やっぱり我々は、国も法律によって動いているわけですから、法律本則どおりにやっぱりいくように努力をしていただくように求めたいと思うんですが、見解、いかがでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 委員がおっしゃるように、これだけ税収不足が続いているんだから地方の財源不足が続いているんだというのは我々ももちろん同じ気持ちを持っております。
 しかし、この議論を国と財務省との交渉で持ち出すと、財務省も財源、要するにこれだけ赤字を出して不足しているんだという議論に必ずなってしまう。そういう観点で、やはり国も地方もいましばらく歳出を削減するということで努力をいたしましょうと、そしてその中で、先ほどから、午前中からも答弁させていただきましたように、私自身も不交付団体を増やすような形でそれに必要な税源配分の見直しも是非行っていきたいと、それは強い気持ちとして持っております。
 したがって、今年の決定云々が決して何か一点、こそくなことを考えているわけではなくて、国も地方もやっぱり大変厳しい状況の中でやむを得ざる一種の調整機関としての選択をしているというふうに私は理解、自分自身を納得させているところでございます。
 もう一点、来年度予算、今からいうと再来年度ですかね、予算……

○又市征治君
 来年の今ごろということです。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 来年の交渉のときどうする、来年の交渉のときどうするかということについては、これは御承知のように三年ごとにこういうルールを見直しておりますけれども、そのルールの見直しには当たっております。そしてまた、私たちとしても自治体の予見可能性を高めるということもにらんで中期財政ビジョンの作成に取り掛かりますので、より今後、今後更に三年、それ以上の期間についての中期的な見通しを立てて、それで財務省とも折衝しなければなりません。
 そういう中で、ルールの見直しの年にも当たっておりますので、今までのことをどの程度総括できるか、是非前向きの議論を進めたいと考えております。

○又市征治君
 時間が参りましたから終わりたいと思いますが、地方の財政自主権というものをやっぱり法律に書かれたとおりに是非頑張っていただく。国も厳しいから、だからそれは何か特例特例ばかりを作っていくというやり方ではなくて、やはりきちっと、先ほど申し上げたような、本来ならば交付税算入率を上げなきゃならぬ、それを特会から借り入れてくる、今度は折半ルールを作っていく、そんなやりくり算段ではなくて、やっぱり本則に基づいて地方自治体を守っていく、そういう立場で頑張っていただくように要請を申し上げて、今日の質問を終わりたいと思います。