第164回通常国会

2006年3月23日 総務委員会



(1)無理に独立行政法人化させ、また政府直轄に戻す消防研究所
(2)消防のよう公共性の強い機関を独法化したこと自体、無理がある
(3)IT企業にばらまいた政府資金2800億円余を回収できず解散した基盤センター
(4)基盤センターと同じことを繰り返す民間基盤技術研究促進業務
(5)業務の委託先には基盤センターが債権放棄した企業も含まれている
(6)委託先企業に利益がなければ回収できないバイ・ドール方式
(7)欠損金368億円に対し、回収は3年間で僅か1社38万円
(8)ここに毎年100億円前後も出資して欠損金を増やす政府
(9)天下り官僚とIT企業幹部だけが役員の独立行政法人の弊害
(10)独法化・非公務員化は経営責任をあいまいにし、国費の浪費につながる


○又市征治君
 社民党の又市です。
 消防研究所問題、随分と与野党問わずに重要だという話が出ております。そもそもこうした公共的な性格の強い、そして防災や救助など極めて重要な機関を独立行政法人に変えたこと自体にむしろ無理があったのであって、再び政府の直轄に戻すということでありますから、このことそのものについては賛成であります。
 むしろ、あのときに、ばたばたと看板の掛け替えで独法化された他の多くの政府機関の中にも同じような問題点があるんではないかと、こういう懸念がありますし、そういう意味では大臣にも柔軟にここらのところは見直すべき、このことをまず申し上げておきたいと思います。

 そこで、この消防研究所の再統合に際しての問題ですが、今ほども出ておりましたが、定員がほぼ半分に減らされる、こういう格好で、ましてその統合先が消防大学校だということですけれども、大学校は元々自治体における消防幹部の養成機関であって、人の出入りも短期間で非常に多い場所ですから、この目的や予算の使い方など、必ずしもこの研究所としっくりいくとは私には思えないわけです。そういう点で、この無理なスリム化と統合によって消防研究の今までの成果が停滞をしたり、あるいは断絶したりすることがないように、くれぐれも十分この特性を生かした目配り、気配りというのがやられるべきだと思いますが、改めてそれに対する考え方を伺いたいと思います。

○政府参考人(板倉敏和君=消防庁長官)
 消防研究所の国への統合に当たりましては、国として必要な研究機能を維持確保しつつ行政の効率的実施を図る観点から、アウトソーシングですとか、そういうものを活用した職員が直接行う事務や事業量を軽減をし、消防大学校との総合部門の共通化ですとかマネジメント部門の簡素化などを行うことによりまして効率化を図ったところでございます。これに伴いまして、消防大学校の事務処理は従前に比較して大変厳しくなることは否定できませんけれども、総務省、消防庁から必要な支援を行うほか、工夫と努力で対応していきたいと考えております。
 また、研究につきましては、近年の災害の大規模化、多様化等を踏まえまして、国として災害時対応の強化が求められる研究分野に重点化をするということで、研究関連予算につきましても独立行政法人時と実質的に同程度を確保しております。消防庁の科学技術戦略の企画を担う組織として新たに消防技術政策室というものも設置をいたしますので、それとの連携によりまして災害時対応等に関する政策や消防機関の現場活動への反映などを可能とすることなどによりまして必要な研究機能を確保をできるものと考えております。

○又市征治君
 まあ消防問題は随分と出ましたからこの程度にしておきますが、是非長官はそこらの目配り、気配りをしっかり頑張ってもらいたいということを申し上げて、情報通信研究機構の問題に入りたいと思います。
 この問題に入る前に、どうしても思い出すのが基盤技術研究振興センター、以下基盤センターというふうに申し上げますが、このことを思い出すわけであります。この基盤センターは、この研究機構とよく似た事業、すなわち情報通信企業に対する支援、投資をやってきまして、ついに出資が回収できずに解散、つまり倒産したわけですね。結局、二千八百億円ほどの政府の出資金をIT企業に出資という形でばらまいて、回収できずに二〇〇三年三月末で解散をした、こういうことになっています。
 この基盤センターの解散のときの政府出資金の毀損の具体的な姿、すなわち基盤センターからの投資等の残高の主な出資先、金額、当初の出資目的を大まかに説明をしてください。

○政府参考人(竹田義行君=総務省情報通信政策局長)
 基盤技術研究促進センターは、基盤技術研究円滑化法に基づきまして民間における基盤技術に関する試験研究を支援するために、民間企業等が情報通信分野の基盤技術研究について研究開発会社を設立して実施する場合等に出資を行っていたものでございます。
 昭和六十年度から平成十三年度まで、総額二千八百八十五億円を百十二社に出資いたしております。そのうち平成十四年度末までに九十五社、出資額二千八百五十七億円の株式処分が行われまして、その間の回収金は九十一億円、欠損金の総額は二千七百六十五億円でございます。その結果、平成十四年度末におきます同センターの出資先は十七社で、出資額は二十八億円となっております。
 また、同センターの主な出資先のうち、情報通信分野につきましては、株式会社国際電気通信基礎研究所、ATRの関連会社等に出資が行われております。

○又市征治君
 大臣、お聞きのとおりなわけですが、この基盤センターの破綻、出資金毀損の教訓をどのようにお考えになっていますか。

○国務大臣(竹中平蔵君=総務大臣)
 委員御指摘のように、過去のこのセンターのやっぱり教訓を整理することは私も本当に重要であろうと思います。
 これは、考え方としてはいろいろあるんだと思うんですね。出資するということは、ある意味でそのオーナーになるわけで、キャピタルオーナーになるわけで、非常に強いコミットメントがあるはずなわけですけれども、現実にやっぱりそうはならなかった。資金が固定されてしまうという安心感から恐らくお金を出しっ放しになって、その意味でのしっかりとした目配りができなかったということであろうかと思っております。その意味で、配当等によって十分回収されなかったということは事実だと思います。
 これを受けまして、平成十三年に基盤技術研究円滑化法を改正いたしまして、いわゆる出資方式から委託方式に改めるということにしたわけでございます。この委託方式による現在の民間基盤技術研究促進制度がどういうふうになっているかといいますと、収益性のチェックを行って収益性があるものに限定してそのプロジェクトを採択する。いわゆるバイ・ドール方式を採用してリターンが確保できるようにする。中間評価、事後評価によって事業家をフォローする。そして、特許による収入を前提としたものではなくて、収益又は売上げの方式を適用するということで、恐らくいろんな形で接点ができて、それでリターンが、リターンの開始が余りに長期にならないようにいろんな仕組みを工夫したということだと理解をしております。
 民間の創意、活力を最大限引き出しながら、制度の効率性を確保する、成果の積極的な活用を図っておりますので、あとはこれを本当に、新しい仕組みを作っているわけですから、運用をしっかりやっていくということだと思っております。

○又市征治君
 そこで、幾つかこの研究機構について伺ってまいりますが、まず、旧基盤センターと非常によく似た名前の事業を行っていますね。民間基盤技術研究促進業務というわけですが、事実上旧基盤センターと同じことを繰り返しているんじゃないですか。
 相手先の民間企業についてどんな違いがあるのか、まず述べていただきたい。大臣から今いろいろとお話がございましたけれども、委託先の中には旧基盤センターが債権放棄、帳消しにした同じ企業も含まれているんじゃないですか。

○政府参考人(竹田義行君)
 まず、基盤技術研究促進センターにおける欠損金は主に……

○又市征治君
 いや、それはもう分かりましたから。

○政府参考人(竹田義行君)
 はい、分かりました。
 現行の民間基盤技術研究促進制度では、基盤センターは新設された研究開発企業に対する出資という形でしたけれども、新しい制度では、民間から広く研究開発課題を公募して、その事業性等も含めた観点から厳しく審査をした上で採択をしております。出資方式ではなくバイ・ドール方式による、バイ・ドール法による研究委託方式ということを採用してより受託企業のインセンティブを高めていると、こういうことによりまして、従来の制度と比較しまして一定の納付額が期待できるものというふうに理解しております。
 また、委託先につきましては、これは情報通信研究機構の外部評価委員会におきまして、技術性それから事業性、この両面の観点から公正な審査を行った上で採択をしておるところでございます。
 それから、委員御指摘の、債権放棄の企業が含まれているのではないかという御指摘でございますけれども、国際電気通信基礎技術研究所につきましては、基盤センターから出資しておりますのは、このATRの関連会社に対して出資をしておりまして、これらの会社につきましてはすべて清算済みでございます。
 なお、現行の民間基盤技術研究制度におきましてATRが実施する研究開発、これはATR自身が研究開発をするわけですけれども、これを採択する際には、先ほど申し上げましたとおり、繰り返しになりますけれども、NICTの外部評価委員会において技術性等事業性の観点から適切な審査を実施しているものというふうに認識しております。

○又市征治君
 ちょっと観点を変えてお聞きしますが、私は、このほぼ同じ目的、同じ相手に対して方式を変えて投資しているんじゃないか、こんなふうに思えてならぬのです、資料見させていただくと。
 投資してないから再び毀損するおそれはないというふうにおっしゃるんでしょうけれども、新方式、つまり委託先企業で利益が上がったときにその一定割合を納付させるという方式、つまりバイ・ドール方式というふうにおっしゃるんでしょうが、これでは先方に利益が上がらなければ永久に納付は得られない、こういう契約ですね。つまり、最初からリターンは保証されていない。委託を受けた企業側にほとんど一方的に有利な契約方法じゃないかと思うんですが。
 そこで、お聞きするのは、これになって三年間、この間に実際に機構が納付金を受け取った例があるのか、またそれはどういうプロジェクトのどんな利益から納付を受けたのか、この点、端的にお答えください。

○政府参考人(竹田義行君)
 平成十三年度からこの民間基盤技術研究促進制度が創設された際にバイ・ドール方式が採用されたところでございますけれども、このバイ・ドール方式によります研究開発の委託契約のうち委託先から納付金を受け取った例としましては、平成十六年度に委託先一社から三十八万円を受け取っておるところでございます。
 この研究開発の中身でございますけれども、インターネット上のマルチメディアデータをモバイル端末により、高い操作性を持って処理、検索するためのシステムについての研究開発を行っております。この成果を活用して、委託先が製品を実用化、販売したことに伴い、当該委託先から情報通信研究機構に納付があったものでございます。

○又市征治君
 三十八万円ですね。全然、もうリターンが低いどころかほとんど問題外、こういうふうに言わざるを得ないわけですが。
 ほとんどそういう意味で実現されないバイ・ドール方式というのは、じゃ一体全体、BS、貸借対照表の上ではどのように表されるのか。この基盤技術研究促進勘定を見ますと、政府から毎年百億円前後の出資を受けて資本に計上をしてきたので二〇〇四年度末では資本は四百三十八億円、こういうことになっている。積み上がったように見えます。ところが、その資本のすぐ下に欠損金という欄があって、ここがどんどん膨らんでいて二〇〇四年度末で三百六十八億円。
 これが実態であって、回収できないこれは資本ですね。極めて不自然な扱いですよ、これ。実態はほとんど補助金に限りなく近い、こう申し上げざるを得ない。そうすると、来年も再来年も政府から百億円前後出資をして、これを受けた機構ではこうやってまた欠損金が膨らんでいくと、こういう勘定になるんですか。

○政府参考人(竹田義行君)
 研究委託とそれから資産計上の関係でございますけれども、特許等の知的財産権はバイ・ドール方式として原則として受託者に帰属しておりますので、この研究開発成果を活用して事業化を行って、売上げの一定割合を研究開発機構に納付するという仕組みでございまして、このときに情報通信研究機構と受託者との間で納付契約がございます。これは、将来納付があった場合に、納付時において納付額を収益計上すべきものというふうに考えております。
 また、特許権等の知的財産権は受託者に帰属することになりますので、先ほど御指摘のとおり、情報通信研究機構の貸借対照表には計上されていないと、こういうことになります。

○又市征治君
 あなたは全然違う答弁なさっているんじゃないですか。
 私は、どんどんどんどん欠損金が膨らんでいくんじゃないですかと、こう申し上げているんで、全然意味が違うと。時間がないから次のところに移りますけれども、ちゃんともう少し正確に聞いてくださいよ。

 そこで、基盤センターのこの手痛い教訓など、主に産業投資特別会計の乱脈な投資ぶりの結果を反省した結果、政府の特別会計改革の方針では、研究開発法人への出資等は明らかなリターンが見込めない限り順次引き揚げるし、新たな出資をしないと決められたんじゃなかったですか。
 なのに、情報通信機構の収入における政府の出資金というのは、合併後の二〇〇四年度に九十八億円、二〇〇五年度には百三億円と依然として高額の政府出資が行われている。
 これは一体なぜなのか。機構への出資元が特別会計ではなくて総務省の一般会計だからこういう格好で見逃されているのかどうか。いずれにしても、政府から機構へは出資で、その同じ金が機構からは企業へ委託という格好で行く。ほとんど返済義務がもう緩い。こんな格好になっているんじゃありませんか。
 この点、大変に政府の方針自身に反するんじゃありませんか。

○政府参考人(竹田義行君)
 まず、研究開発の必要性でございますけれども、情報通信分野の研究というのは、科学技術基本計画におきましても重点四分野の一つとして位置付けられておりますし、この分野の民間における基盤技術研究の支援というのは我が国の基盤技術向上のために必要な事業でありまして、引き続き本事業を適切に実施していくということが必要という考えの下に必要額を毎年産業投資特別会計に要望しております。
 先ほどリターンの話がございましたけれども、私どもとしましては、NICTが実施しておりますこの業務につきましては、事業性というものを厳しく審査することによってリターンの確保に努めてまいりたいと思っています。
 先ほどまだ収益が少ないと申しましたけれども、これ制度が平成十三年度から始まったものでございまして、まだ十六年度の決算しか出ておりませんので、これから以降、その推移を私どもとしては期待しておると、こういうことでございます。

○又市征治君
 この政府出資金を機構は収入としてそっくり同額、支出の項目の民間基盤技術研究促進業務関係経費として支出しているわけですよね。その主な出資先企業は一体全体どういうところなんですか。そして、これはどういう契約で、リターンはどういう場合にあるのか、もう一遍説明してください。

○政府参考人(竹田義行君)
 まあ、例示で御説明させていただきたいと思いますけれども、平成十六年度の新規採択案件につきましては、三菱電機株式会社、株式会社メディアフュージョン、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、三菱プレシジョン株式会社、株式会社ケイ・ジー・ティー、沖電気工業株式会社に対して、十六年度で合計で約九億円を支出しております。
 例えば、この中で三菱電機に研究委託をしている内容は、移動体向けの超高速通信用衛星搭載ビーム形状可変マルチビームアンテナ装置の研究開発というものでございまして、まあ最終的には衛星搭載装置の小型化とか軽量化、低消費電力化、通信速度の高速化といったようなものがこの技術によって期待されております。この研究成果を活用して衛星搭載用のアンテナ装置が販売されることによりまして委託先に事業収入が生じることが見込まれておりまして、これは委託先の契約に基づき、その売上高に応じて情報通信研究機構に一定の納付が行われるものと期待しております。

○又市征治君
 時間が参りましたが、もう一、二点聞いてから大臣にお伺いしようと思ったんですが、最後に大臣にお伺いをしておきたいと思うんです。

 どうもこの、ここの独法は、先ほども出ましたが総務省高級官僚の天下り、そしてIT企業の幹部ばかりが役員です。
 この人たちの役員報酬や再天下り先を保証するため、あるいは大企業に研究促進という名前で税金を流すためにわざわざ独法を作っておるんではないか、こう疑われても仕方のない、自ら行政評価をやってきているはずの総務省としては本当に私は疑問があってしようがありません。五百億円もの業務をトンネル化する独法という、こういうルーズな形態そのものを取らずに、国民環視の下、役所でやれば済むことであって、非公務員化することはますます経営責任をあいまいにし、国費を浪費するおそれがあるんではないかと思うんです。これが一体改革なのか、こう言わざるを得ないわけでありまして、大臣の見解を伺って終わりたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 こういう研究開発、研究関連のこの評価というのは本当に難しいですし、気を付けてやらなければいけないと思います。その意味では、委員の御指摘、我々も改めて厳しく受け止めなきゃいけないと思います。
 特に、そのリスクの評価と、長期的な、特にこれは基礎的なものでリスクのあるものをやっていますから、懐妊期間が大変長いものが多いと思われますので、これしかし本当に今、回収なり成果がまだ十分上がっていないという御指摘があって、これはまだこれからですという答弁をさせていただいているわけですが、これ中期的に本当にちゃんとしたものになってなかったら、これは本当にあれですね、しっかりとした責任を示さなきゃいけなくなるんだと思います。当然のことながら、そういうチェックは我々はしっかりとしていくつもりでございます。そこは、独法になってその中期期間の見直し、大変厳しく自らに課してやってまいりたいというふうに思います。