第164回通常国会

2006年3月29日 総務委員会



(1)官民の賃金引下げ競争に対し、今春闘への期待を示した人事院総裁
(2)官民給与の比較方法変更は人事院の権能放棄、低賃金化に手を貸す行為だ
(3)労働基本権剥奪の代償である以上、同種同規模の比較に基づくべき
(4)手続きが早くなる点で前進する公務災害補償法案
(5)赴任先と帰省先の移動における通勤災害の認定はどうなるのか
(6)公務職場でも増加する非常勤職員への適用はどうなるのか
(7)非常勤の場合、法律のみでは公務災害が適用されない場合がある
(8)非常勤職員への適用のため条例の整備状況を調査せよ
(9)平均2年以上も掛かる自殺の公務災害認定
(10)速やかな認定と、職場に起因するメンタル疾患・自殺の予防策強化を
(11)いまだに女性の進出・昇進の妨げとなっている転勤条件
(12)雇用機会均等法改正案では間接差別の中に転勤条件が挙がっている
(13)地域限定・通勤可能な範囲での幹部登用も考えられるのではないか


○又市征治君
 社民党の又市です。
 本論に入る前に、人事院総裁お見えですから、一つ意見を申し上げておきたいと思います。
 私は、十四日のこの委員会で、今の官民の賃金引下げ競争、賃金デフレスパイラルをどういうふうに思うか、こういうふうにお聞きをしました。そのとき総裁は、この春の民間の賃上げには期待をする、このようなことを御答弁なさったと思います。

 しかし、聞くところによりますと、二十日の日に人事院の研究会で官民給与の比較方法の変更案が出されたというふうに聞きます。これは政府・与党の要求であるとか、一部のマスコミの論調に追随をして人事院の権能放棄、低賃金化に手をかすことになるんではないのかと私は危惧をいたします。
 この件はまだ流動的だというふうにお聞きしますから今日は質問いたしませんけれども、人事院の民間給与実態調査というのは、公務員労働者の労働基本権剥奪の代償として行う以上、労働者側の同意性も重視をしながら、長年の検討の上に確立をしてきた同種同規模の民間職場の正社員を対象とした比較方法に基づいて行われるべきものだろう、このように思います。くれぐれも将来に禍根を残さぬように、一言申し上げておきたいと思います。

 さて、この公務員災害補償法案についてですが、民間は労災保険法により細かい改正は省令で実施しているのに、公務員の場合は一々法改正で機動性を欠くために、今回から人事院の意見申出に従い、国家公務員は人事院規則で、地方公務員は総務省令で扱うことにするという案ですから、手続が速やかになるという点で前進であります。そして、通勤災害の範囲を拡大をする、こういうことになっているわけですが、そこでまず第一番にお伺いしますが、赴任先と帰省先との移動となると、職場を含めていろんな具体的なケースが出てくると思いますが、今回どういうものが認定されるようになるのか、端的に御説明を願います。

○政府参考人(吉田耕三君=人事院事務総局職員福祉局長)
 具体的な例といたしましては、単身赴任をしている職員が、金曜日の勤務終了後に勤務先の官署からいったんその赴任先の住居に戻って帰省の準備をしてから帰省先住居、家族が居住している住居に向かう場合の、その赴任先住居から帰省先住居への移動、あるいは日曜日に帰省先の住居から赴任先の住居へ戻ってきて月曜日の出勤の準備をするという場合における、帰省先の住居から赴任先の住居への移動というものを通勤として扱うということでございます。

○又市征治君
 そこで、今、公務職場で非常勤職員が増えているわけですね。これらの人々への公務災害補償、この適用はどうなるのか。国と地方それぞれの立場でお答えください。

○政府参考人(吉田耕三君)
 国家公務員災害補償制度におきましては、災害補償法の規定に基づきまして、常勤職員、非常勤職員いずれにつきましても補償法の適用対象とされております。

○政府参考人(小笠原倫明君=総務省自治行政局公務員部長)
 地方公務員に関して御説明いたしますと、非常勤の地方公務員のうち、学校医あるいは消防団員といった方はこの地方公務員災害補償法以外の法律で別に補償制度を定めております。それ以外の非常勤の地方公務員につきましては、この法律の六十九条というところに基づきまして、各地方公共団体が定めた条例により公務災害補償が実施されていると、そういうことになっております。

○又市征治君
 そうすると、念のためにお伺いしますが、法律のみでは公務災害補償は適用されない人たちがいる、非常勤の場合に。まあ総務省が通達で、条例できちっと決めなさいよと、こう言えば私は済むんだろうと思うんですが。しかし、ここら辺の非常勤職員に関して条例のあるところ、ないところ、そういう比率だとか、どのぐらいこういうことの申請だとか適用がされているかというのは、実態、御承知ですか。

○政府参考人(小笠原倫明君)
 先ほど申し上げましたように、地方公務員災害補償法六十九条の中で、各地方公共団体が条例で非常勤職員に関する公務災害補償制度を定めなければならないと、こういうふうになされております。
 したがいまして、言わば法律で各地方公共団体に義務付けておるものでございますので、私どもとしては、各団体はその制定義務を履行されているというものと認識しております。すべて、すべからく。

○又市征治君
 是非、民間を含めて非正規労働者の処遇、正社員との格差が今日随分言われているときですから、少し、この労災補償も重要な一項目だと思うんですよね。
 そういう点で、できれば私は自治体の調査などというものをしっかりやっていただいて、それは義務付けになっているんだとおっしゃるけれども、非常勤職員がこういうものが適用になるなんて思っている人はまずほとんど少ないだろうと思うんですね。実際にやられているかどうか、そういう調査なども是非この機会にお願いをしておきたいと思うんですが、それはいいですか、調査は。

○政府参考人(小笠原倫明君)
 今、現在のこの条例に基づきまして非常勤職員の公務災害補償制度を定めているというのは、地方公務員災害補償法が制定以来同じ仕組みになっておりまして、私どもとしては、以来、基本的には問題なく各地方公共団体は条例に基づいて公務災害はされていると思っております。
 また、今回の制度の改正に伴いまして、私どもとしては条例案の通知、速やかにさしていただくことにしておりますので、その点もよろしくお願いします。

○又市征治君
 私これ取り上げたのは、必ずしもきちっとやられてないというケースを聞きますから、今日はここではそれ以上申し上げません。是非そういう状況など、非常勤の皆さんにも気配り、目配りをしっかりされるように、法的にはなっているとおっしゃるけれども、実態的にというのは問題がありというふうに私は思いますから、申し上げたところです。

 そこで、次に移りますが、先ほど来出ているわけですが、メンタルヘルスの問題の増加は公務員も同じでありまして、地方に絞ってお伺いをしますが、自殺による適用申請の数、あるいはそのうち公務として認定された人の数というのはどういう傾向にあるのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

○参考人(杉原正純君=地方公務員災害補償基金理事長)
 地方公務員につきましての今お話しの自殺によります公務災害、まず申請の状況でございますけれども、直近の平成十六年度でございますと申請件数十六件ということでございまして、例えば五年前の平成十二年度の五件に比べますと十一件増加いたしております。また、そのうち、審査の上、公務上であるというふうに認定された件数でございますけれども、これは平成十六年、直近は四件でございまして、五年前は六件でございました。

○又市征治君
 事前に資料もいただいて見たんですが、申請は事実上随分と、十六年度はちょっと減っていますけれども、全体的には増加傾向ですよね、五年連続で見てみますと。そして、実際上公務災害と認定されているのは大体約四分の一ぐらい、こういう傾向が出ていると思うんです。
 そこで、自殺の場合、公務上と認定されるまでかなり長期間を要しているわけですね。平均どのぐらい掛かっているのか、そしてこの遅れている原因、あるいはこれを短縮をする策についてどのように検討されているのか、お伺いしたいと思います。

○参考人(杉原正純君)
 確かに自殺に絡みます案件は大変内容が複雑でございますし、医学的にもいろいろな方面からの検討を要しますものですから、時間が掛かるという実態にあることは率直に申し上げざるを得ないと思います。
 平成十六年度で申しますと、平均処理期間でございますけれども、合計、申請から最後の決定までに二年八か月でございまして、これはまあ平均でございますが、一番長く処理が要した期間は四年五か月という例がございます。そのように大変長うございますものですから、これはすべての公務災害補償について共通でございますけれども、認定事務の迅速かつ公正にということは本当に一番大事な眼目でございますので、種々努力をしてまいっております。
 精神疾患に特に起因いたします自殺の関係につきましては、先ほど申しましたような、御案内だと思いますけれども、職員の個別具体的な職務内容でありますとか、あるいは業務環境がどうであったかと、また家庭その他の私的な状況がどうであったかというようなことを十分調査いたしまして、あわせてそれらを踏まえたまた医学的判断を複数のお医者さんから求めたりいたします。どうしてもある程度期間を要するのが出てくるのは残念ながらやむを得ないことであろうと思っております。
 さはさりながら、迅速な処理が必要でございますので、本部におきましては具体的には次のような方策を取っておるわけでございまして、一つは本部、支部を通じまして進行管理をしていく、逐一お互いに連絡を取りながら進行管理をしていくと。そうしまして、本部から例えば支部への資料要求に当たりましても、期限を設定していつまでに出してくれということを厳に徹底していこうと。また、支部からの事前協議も早め早めに対応していただくようにお願いしております。
 それと、どうしても人間が処理しようという話でございますので、担当の職員の専門的な研修あるいは医学的な知識も含めました担当者の能力の言わばパワーアップといったことにも努めると。
 それから、こういう行財政環境厳しい時期でございますので、なかなか増員というわけにいきませんが、人材を重点的に配置、あるいは知識、経験の豊かなOBを活用するといったような方策を講じております。
 一方、支部におきましても、同じように進行管理に十分留意され、実際に調査などを担当いたします任命権者あるいは現場の職場や所属に対しまして、十分事前にその認識を深めていただくというような知識向上策を講じたり、それぞれにまた期限を厳守いたして資料提出をお願いするようにという指導を行っておりまして、基金としましてもできるだけ早期に事案を処理していきたいと思っておるわけでございます。
 ちなみに、先ほど平成十六年度自殺案件が本部の結論まで二年八か月という平均を申しましたけど、途中経過でございますが、平成十七年度ですと二年二か月ということに若干の改善は図られたものと思っております。

○又市征治君
 いずれにいたしましても、過労やトラブルなど職場に起因したメンタル疾患や自殺の予防策というものはやっぱり強化をしていく。それ自体がなくなることを祈りますけれども、発生した場合はやっぱり速やかに、遺族のことを考えますと速やかに処理されるようにより一層の努力というものをお願いをしておきたい、こう思います。

 まだ本当は質問する予定幾つかあったんですが、人事院総裁、せっかくお見えいただいて、聞くことがありましたのでそちらの方に先に移りたいと思いますが、公務職場における女性の職場進出の問題について、これは時間がなくなってまいりましたから、人事院総裁と総務大臣に端的にお伺いをしておきたいと思います。
 男女雇用機会均等法も現在改正案がかかっておりますけれども、今回禁止される間接差別の限定列挙の中に転勤という条件が入っていますね。
 つまり、転勤条件がいまだに女性の進出、昇進のネックになっているわけで、まだまだ夫中心の職場選び、妻は子育てで転勤しにくいからだと、こういう傾向があるわけですけれども、そのような女性のために地域限定の通勤可能な範囲での幹部登用という道も考えられるんではないか。こういうことなどもむしろしっかりと、指導といったらおかしいですが、考えて促進をするように努力をすべきじゃないかというのがあります。
 この点については総裁から、また、この点についての使用者側としての総務大臣の見解についてもお伺いをしておきたいと思います。

○政府特別補佐人(佐藤壮郎君=人事院総裁)
 業務運営、人事の適材適所の観点から、やはり組織にとってある程度の転勤というのはこれは必要不可欠であろうかと思います。しかしながら、一方で、家庭事情等から転勤しにくい人たち、特に女性でございますけれども、こういう人たちに対しても能力、適性に応じて昇進機会が与えられるべきということもこれまた当然のことでございます。
 これらの点を考慮いたしまして、御指摘のような地域限定あるいは通勤可能な範囲での転勤についても、人事院といたしましては各府省の人事管理の中で適切に対応していただきたいというふうに考えております。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 女性国家公務員の登用というのはこれは重要な課題であると思います。そのために各府省において計画的な取組も進んでいると思います。一方で、国の機関、国民に均質のサービスを提供するということからいきますと、全国各地に人がある程度異動しなければいけないというのもやっぱりどうしても必要なこととして出てまいります。一方では、しかし職員の立場から見ると、家庭と仕事の両立という大問題があると。
 こうしたことを踏まえまして、ブロック別の採用とか現実には行われておるようでございますし、今人事院総裁が言われましたように、そうした事情を様々考慮して適切な人事管理を行っていただくということはこれは必要なことであると思っております。