| 第164回通常国会 |
| 2006年3月30日 総務委員会 |
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(1)NHK放送開始から20年は国策の道具にされてきた (2)戦後の再出発以来、常に問われる真実の報道 (3)戦後60年を過ぎても、歴史映像を活用し事実を伝え続けてほしい (4)放送は声を上げられない人や、立場の弱い人の代弁を (5)放送内容に対する与党権力者の介入はあってはならない (6)もし介入を恐れての自主規制ならば、NHKの自主性が問われる (7)再建計画である三カ年経営計画に、姿が見えてこない経営委員会 (8)経営委員会は国民の代弁者として経営を監視する最高機関であれ (9)国際放送の拡大は良いが、費用を国費で賄うべきではない (10)政府の放送実施命令で海外向けにプロパガンダを行えば反発は必至だ (11)編成自主権を守るため、補助金ではなく視聴者からの支持回復の努力を (12)毎年百億円増収という受信料の「希望的観測」計画 (13)地上デジタル放送設備への過剰な投資と聖域化が引き起こす問題 |
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| ○又市征治君 社民党の又市です。 NHKの執行部の皆さんが昨年来から大変な困難の中で御奮闘なさっていることについては、一面敬意を表しておきたいと思います。 そこで、今日は、NHKの放送に関する基本的な姿勢について、私はお伺いをしてまいりたいと思うんです。 昨年、NHKは放送開始八十周年と鳴り物入りでありましたけれども、しかし前半二十年というのは、帝国憲法の下で国策の道具にされて、朝晩軍艦マーチの音楽に乗せて大本営発表を流して、またアジアの植民地や占領地においては、NHKの現地語ラジオ放送が宣撫工作の武器として人々に大きな支配力を振るった、こういう苦い歴史を持っているわけですね。 戦後、国民主権と戦争放棄を定めた憲法の下でNHKも再出発をいたしまして、以降六十年、真実を伝えてほしいという国民の期待にどれだけこたえてきたかということは常に問われるんだろうと思うんです。その意味で、先ほども出ましたが、二〇〇一年一月のETVの特集、戦争を反省する番組「問われる戦時性暴力」で内容を改変したことは、後ろ向きの事件と、大事件として騒がれた問題でもありました。 そこで私は、報道機関としての戦争責任の自覚の上に立って、過去の戦争の惨禍及び植民地支配の実相をどの程度報道されてこられたか。戦後六十年の節目の去年、主なその実績について、まずお伺いをしたいと思います。 ○参考人(原田豊彦君) お答えいたします。 昨年の夏は戦後六十年という節目の夏でございました。戦争体験者の方の高齢化も大変進みまして、平和の尊さについて考えるときだということで、NHKでは特集番組、様々に集中編成をいたしました。 総合テレビでは、八月六日から十四日まで九夜連続でNHKスペシャルで戦争六十年企画というものを放送いたしました。沖縄の地上戦あるいはサイパンの玉砕戦、それから被爆者の実態を描いたもの、あるいは靖国問題を二夜にわたりまして取り上げ、深く掘り下げた内容でもお伝えいたしました。それから、八月十五日の夜には、大型討論番組「日本の、これから」で、アジアの中の日本と、じっくり話そうということで、専門家の方、視聴者の皆さんと長時間の討論もしたところでございます。 それから、総合テレビ以外でも、それぞれのメディアで、例えば衛星放送では、「あの日 昭和二十年の記憶」ということで、これは去年一年間、毎日、本当に各界の皆さんに昭和二十年の思い出をそれぞれ語っていただく、短い番組でございますけれども、衛星放送らしく毎日編成をいたしました。 こうした取組につきましては、視聴者の皆さんからNHKならではの番組だという多数の本当に反響をいただきまして、今年になりまして、毎日新聞主催の毎日芸術賞の特別賞というものもいただいたところでございます。 こうした取組、これからもしっかりやってまいりたいと考えております。 ○又市征治君 分かりました。大変はしょってお話をいただきましたが、資料をたくさんもらいまして。 ただ、戦後六十年だからというだけでなくて、さらに、NHKは豊富な歴史的映像を所蔵されておるわけでありますから、これを活用して事実を広く伝えること、これはまたNHKの使命でもあろうかと思いますから、引き続き、続けていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。 ところで、最近ある放送関係者から、放送に携わる者を律しているのは真実を希求する不断の努力だ、声を上げられない人々、立場の弱い人々を大事にと若い人にも言ってきたと、こういう旨の言葉を聞きました。NHKの放送現場の代表者は、これを聞いてどのようにお感じでしょうか。 ○参考人(橋本元一君=日本放送協会会長) やはり、委員がお聞きになったその方の御意見というのは、大変身にしみるといいますか、そういうふうな、何といいますか、弱い立場の方々を守るということは、我々、大変大事な役目だと思います。 放送法にもありますけれども、やはり国民全体の福祉の向上、あるいは、そういう中で日々の生活を守るための情報あるいは力付けてあげる情報、番組、こういうものを届けることがやはり公共放送としての役目だと私は考えております。 ○又市征治君 実は、今紹介しましたこの言葉は、去る二十二日の東京高裁で、番組改変事件当時のチーフプロデューサーが証言の中で述べられたものだというふうに聞いております。 事件については、裁判の進行中でありますからこれ以上申しませんけれども、与党権力者の介入はあってはならないことでありますし、もしNHKが介入を恐れてこの幹部が番組改変を自己規制で行ったというのであるならば、なおさらNHK自身、報道における自主性、自律性、主体性、こういったことが問われるんだろうと、こういうふうに思いますし、そういうことはないんだということは今の会長からの決意で了解をいたしますが、改めてそのことは肝に銘じていただきたいと、こう思います。 さて、三か年経営計画が作られたわけですけれども、その中で経営委員会についてどうも姿が見えてこないと、こういう声があります。 政治権力の介入の有無などや、あるいはそれに対する旧執行部の不透明な対応、これへの反省などからNHKは再出発をした、新生するんだと、こうおっしゃってきたのですから、経営委員会はNHK執行部を国民の目で監視をする最高意思決定機関となるべきなんだろうと私は思います。だけれども、どうもそのウエートの置き方が軽いように思えてまたならない、こういう気がいたします。 イギリスの例えばBBCなどは、会長のあいさつ、例えばNHKの会長、そういう会長のあいさつは載せなくても経営委員会の委員長のメッセージはしっかり載せると、こういうことだそうでありまして、経営委員長は自ら国民に顔をさらして、国民の代弁者としてメッセージを発するべきではないかと、こう思うんです。そういう点で、私は、どこか会社経営の傍らで、片手間でやるべきポストではないんじゃないのかと、こういう気がいたします。 そこで、経営委員長自ら、耳の痛いことかもしれませんが、経営委員長の、まず、そういう意味では、委員長や委員というのはむしろ専業で全力を挙げてやっていく、国民を代表して監視をしていく立場にあるのではないのかと、こういう感じがするんですが、これは、経営委員長と、併せて大臣からもこれについての見解はお伺いしたいと思います。 ○参考人(石原邦夫君=日本放送協会経営委員会委員長) 先生御承知のとおり、現在の経営委員会は、国民あるいは視聴者の立場に立ちまして執行部を監督すると、こういう役割を担っております。言わば監督と執行の分離ということを徹底することが大事かと思っております。BBCにおきましても、今回、トラストという制度に変えようという動きがあるようでございますが、そのねらいというのも、むしろ監督と執行を分離すると、そういうことにあるようでございます。 現在の経営委員でございますけれども、教育、文化等々、各分野を代表する人がバランスよく公平に配されていること、並びに、全国八つの地域を代表する方、その地域に居住する方が八人いること、こういうことの条件の下に選出されているわけでございます。 そこで私感じますのは、各分野、それぞれの分野あるいはそれぞれの地域、これは現実に日々動いております。生き生きと動いているわけでございます。そういった生き生きと動いている現場に、現場に身を置いて、そして、そういった現場に身を置く中で視聴者の声あるいはそれぞれの識見というものをNHKの経営の中に生かしていくと、これが何よりも大事ではないかと、こういうふうに理解しておるわけでございます。現在の制度というのは、そういう考えの下に成り立っているのではないかという理解をしているわけでございます。 一方、先生御指摘のように、そういった意味で経営委員会の実を上げていく、これもまた極めて大事なことでございまして、そういった観点から直轄の、経営委員会直轄の事務局を設置並びにこれを強化していくこと、あるいは経営委員会が任命しております監事との連携を強化していくこと、こういうことも大事でございますし、さらに、今回の三か年の経営計画にも盛り込んでおりますけれども、視聴者の声というものが執行の中に生かされていくように、外部人材を執行部の役員の中に登用すると、こういうことも今回の三か年計画に織り込んでいるわけでございまして、以上のような観点から経営委員会としての職務を十分に果たしていくように努力してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 今、委員長からお話がもうありましたですけれども、又市委員はメッセージという、メッセージ性ということを強調されました。私も全く同様だと思っております。 先ほど、私、ガバナンスについての見解を申し上げましたですけれども、そういうそのガバナンスに向けた一つの組織としての決意がやはりメッセージとして伝わるということが極めて重要だと思います。それは国民に対して伝わると同時に、内部の職員に対して伝わると、そしてそれが正に顔の見える経営につながっていくということなんだと思います。 委員長、今大変御苦労なさっておられますけれども、以前は事務局もほとんどなかなかないような状況であったと。そういうものを今強化していただいていますので、そうした面も含めてメッセージ性を強くして、顔の見える経営、それがガバナンスにつながっていくというふうに考えております。 ○又市征治君 是非引き続き、経営委員長、委員会の皆さん方しっかり頑張っていただきますように要請を申し上げておきたいと思います。 さて、国際放送をもっと拡大をしろという意見が高まっておりますし、今日も何人かの委員からも出ました。一般論として私も賛成です。 しかし、その費用を国内の視聴者からの料金で賄うのは不合理だから、いっそ国費で国際放送をやれという、こういうことになりますとちょっと首をかしげざるを得ない、こういうふうに思うんです。 そこで、二〇〇六年度予算で、国際放送の支出七十二億円のうち総務省から受けている助成は二十二億円ですけれども、使途についてどのような指定なり命令なりを受けているのか、御紹介いただきたいと思います。 ○参考人(中川潤一君=日本放送協会理事) お答え申し上げます。 交付金でございますけれども、これは放送法第三十三条一項に基づいて、国の命令で行うラジオ国際放送の実施経費として毎年度受けているものでございます。平成十八年度の命令はまだ受けてございません。 それで、この命令書では、放送事項とか放送区域を示されております。例えば放送事項では、一、時事、二、国の重要な政策、三、国際問題に関する政府の見解、に関する報道及び解説とするというふうにされておりまして、またあわせまして、放送区域も示されているというところでございます。 交付金はこうした命令に基づいて行いますラジオの国際放送の実施経費として使われておりますけれども、こうした放送は放送法第九条に定めておりますNHKが本来の業務として行っている国際放送と一体のものとして行うものというふうにされておりまして、したがいまして、特段、この使途についてはこういう命令書のとおりでございまして、私どもは一体的な運用の中で使わせていただいているというところでございます。 ○又市征治君 さきにも述べたんですが、第二次世界大戦中、NHKはアジア各地において大日本帝国の宣伝の大きな役割を担ったわけですね。 当時、これらの地域では、新聞は少ないし、文字を読める人も限られている中で、この日本語の、日本のラジオ放送の威力は極めて大きかったということはもうみんな知っているとおりであります。 現在の日本は、平和憲法の下にありながら米軍の後方支援のためにイラクに自衛隊を派兵をする、こういうことが続けられておりますし、さらに自衛隊の海外活動を常態化させようという動きもある。 もし政府の実施命令で日本のテレビ電波が、それこそ日の丸を掲げこういう活動をする、こんなことなどを海外に華々しく活動を宣伝をするようなプロパガンダ放送に正に堕すならば、今でも解消されてないアジアの人々の反日感情に火を付けることは明らかなんだろうと思うんですね。 私は、元々、この放送実施命令というやつはどうも理解ができない。一方で自主性、自律性というものを認めると言いながら実施命令と、こういうことになって、国際社会における我が国に対する理解の促進ということなどで政府の見解などをみんな示せと、こういう格好が書かれているとするならば大変問題があると思う。 そこで、国際放送は私は政府の宣伝機関としてではなくて、自主的な番組制作によってアジアなどの人々に親近感なり信頼を持って受けられるような、そういう内容にすべきことはもう言うまでもないんではないか、こう思います。 そのためにも、NHKは編成の自主権を守って、国からの補助金は極力受けないで、視聴者が支持する自主財源の範囲で行うために最大の努力をすべきではないか、このように思っているんですが、これについて会長、見解はいかがでしょうか。 ○参考人(橋本元一君) 国際放送の経費を国内の受信料からどこまで賄うかということは、これはやはり視聴者・国民のコンセンサスが必要な問題だと思っております。 当然、指摘ございましたように、受ける側が受けやすい情報、そういうふうな受けやすい意識といいますか、そういうものが大事になっておりますし、今NHKブランドの中でそういう放送を行っております。そういうふうな姿ということをやはり現在、我々最大限、限られた予算ではありますけれども追求しているわけでありますし、今後ともその内容充実に努めてまいりたいというふうに考えております。 ○又市征治君 是非、財源問題などはいろんなことが検討できるんだろうと思うんですね。そういう意味では、しっかりと御検討いただきたい。国会は国会という場でまたそれはそういうことについての議論はあるんだろうと思いますが、是非NHKなりの主体的な御判断というものを求めておきたいと思います。 最後に、たくさん出ておりますが、受信料の問題についてもう少し述べておきたいと思うんです。 二〇〇六年度はマイナス二十億円で抑える、二〇〇七年度は百億円の増収に転じ、二〇〇八年度も更に百億円増収という案なわけですね。私は、これ計画とは言わないんじゃないのかと、希望的な観測、皮算用、こういうふうに、これに近いんではないのかというふうに私は受け止める。もちろん、それに向かっての御努力は大事だと思うんです。しかし、そんなにすいすいと行くくらいなら今日こんな状態になってないわけであって、万が一増収計画が達成できない場合のバッファーということも必要なんだろうと思うんですね。 他方、地上デジタル設備建設予算というのは、二〇〇六年度も三百五十二億六千万ですね。建設費六百九十八億円の五〇・五%、半分以上を占めるということでありまして、これは何ぼ何でも無理があったんではないか。ずっと私これ申し上げてきたんです、これまでも。まして想定外の減収状況。こういう状況の中で、予定どおりこれは進めるんだということでこの地上デジタル化を聖域化するから、逆に機械的に職員は一〇%削減をする、賃金カットもやる、こういった縮小主義、あるいは下請化、丸投げ、こういう格好によって無責任体制が起こりはしないか、そんなことを大変やっぱり我々は危惧するわけであります。デジタル化が進んだように見えますけれども、関東地方など人口の多い地域でスタートさせたからですが、見掛け上の人口普及が急上昇したからといって、実際の購入台数や視聴者がそれほど増えているわけではありません。統計で出ています。 総務省と協議をして、減収見合いで支出の繰延べ策などを模索すべきだったんではないのか、私はこのことを一貫して申し上げてきたんですが、改めてこの点をお聞きをしておきたいと思います。 ○参考人(橋本元一君) この地上テレビのデジタル化というものは、やはり通信、放送融合という世界的なトレンドの中で、かつ日本の国でも放送のデジタル化のメリットといいますか利点を、いかに受信者に新しい世界の利点を作り出すかというふうなことで取り組んで、もう全日本、オールジャパンの体制で取り組んでいるわけであります。 そういう結果、携帯端末に対する放送を乗せるとか、いろんな利便的なサービスが開発され、またそれがライフラインとか、こういうふうなところにつながってこようかと思います。そういうものについて、これは国策として法律で決まっているわけでありまして、これについて我々放送事業者は鋭意いろいろ、当然ながらコストダウンの努力等は行うものの、一生懸命努めてまいりたいというふうに思っております。 |
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