第164回通常国会

2006年4月11日 総務委員会



(1)消防行政の広域化が本当に消防力強化につながるのか
(2)消防行政の基本は市町村自治
(3)広域化の決定や編成は市町村の意向を尊重せよ
(4)消防行政の広域化は人員削減方針の一環ではないのか
(5)消防職員の充足率は基準のわずか75・5%
(6)消防力基準を達成できるよう増員計画を明確にすべき
(7)時間帯ごとの救急出動頻度の違いを踏まえた人員配置を
(8)報じられた竹中大臣の「交付税6兆円減額」発言の真否
(9)地方交付税削減を念頭に置いた議論は政策論として間違い


○又市征治君
 社民党の又市です。
 この消防組織法の改正について趣旨を聞いておりますと、広域化で減らすのは事務部門など重複する部分だけであって、消防救急の現場は拡充するんだと、こういうふうに説明があるわけですね。そこで、これが本当に予防や救急含めた消防力の強化につながるのかという点をお尋ねをしてまいりたい、こう思うんです。

 まず、大臣にお伺いをいたしますけれども、住民との政治的距離という問題ですが、私たちは、強制的な市町村合併によって町村役場が廃止をされ、行政が住民から遠くなるということについては反対をしてまいりました。広域行政についても、それは単位自治体における住民や議会の行政監視機能を低下させたり、非常に間接的な形でのコントロールしかできなくなるという点は合併による弊害と大同小異だろうと思うんです。
 そこで、広域化した場合、消防行政に対する単位自治体、住民のコントロールはどのように担保されるのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君=総務大臣)
 先ほどの高橋委員との質疑にもありましたが、一種の規模の集積の利益を得る反面で、きめ細かなやはりケアというのをどのように担保するかという点でお尋ねの点は大変重要だと思います。
 委託・組合方式を採用する場合には、委託市町村でありますとか組合構成市町村の議会ないしは住民からのチェックが行き届きにくくなるということは、これはやはり気を付けないとやはりあり得ることなわけでございます。このため、組合市町村相互間の意思疎通に特に留意することが必要であるというふうに思っておりまして、この広域化に係る関係市町村の協議に当たりましては、これらのことに十分留意の上、広域化後の消防の円滑な運営の確保に万全を期していただくように我々も期待をしているところでございます。
 消防庁におきましても、そうした観点から今後の消防体制の在り方に関する調査検討会を持っておりますが、その調査検討会におきまして、引き続きこの委託・組合方式の消防本部の運営上の課題というものについて御議論をいただいているところでございます。その結果を踏まえまして、必要に応じて指導、助言をしてまいりたいと思っております。

○又市征治君
 この改正案では、府県が広域化推進計画を作るというわけですが、消防行政の基本は今お話があったように市町村自治であり、財政上も交付税の需要算定でカバーされているわけですね。広域化の決定はあくまでも市町村の意向を尊重される、また具体的な広域化の編成に際しては当該の住民や現場職員の意見というものを十二分に尊重されることが必要だ、まずこの点は確認をしておきたいと思います。

 そこで、二番目に、今は政府が自治体に対して地方公務員四・六%プラスアルファの人員削減を求めているさなかでありますが、こういう状況下での消防の広域化というのは、まあ実はそこには入らないんだ、いや、むしろここは該当外だと、こういうふうにおっしゃっても、どうも人員削減の一環であるんではないか、こういうことで自治体からそういう不安が、声が寄せられている、こういうことがあります。
 そこで、確認の意味で、政府の進める消防広域化というのは人員削減方針のこの一環なのか違うのか、それとも消防については警察官と同様に別途計画的に増員を図っていくということなのか、この点を明確にしてほしい。

○政府参考人(板倉敏和君=消防庁長官)
 まず、明確にということでございますので、政府の人員削減計画の一環ではないということを申し上げたいと思います。
 今回の消防の広域化の推進の目的は、市町村の消防防災体制の一層の強化でございまして、各市町村においては引き続き消防体制の充実強化が必要であると認識をしております。したがいまして、消防本部の総務部門ですとか通信指令部門を効率化することによって生じた人員は、必要に応じて警防、予防などの直接住民サービスを担当する要員として活用されることを想定をしておりまして、広域化によって消防本部の対応力が低下することがあってはならないというふうに思っております。
 現在、大変厳しい行財政状況でございますので、それを踏まえた対応が必要ではないかという声があるのは当然でございますけれども、消防に関して申しますと、これまで数年間、非常に厳しい財政状況の中で各市町村も定員削減をかなりやってきておりますけれども、消防の定数につきましては微増ではございますけれども増加を示しておるということで、市町村も消防の重要性について十分認識をしていただいているというふうに理解をしております。
 まだ、私どもが示しております整備指針からいたしましても十分な水準にはなっていないという実態でございますので、引き続き充実を図らなきゃいけない分野ではないかというふうに思っております。

○又市征治君
 今出ました整備基準、それに沿ってお伺いしますが、実際の充足状況、最新のデータでは二〇〇三年の四月一日のものを見ますと、大変まだまだ低いですね。
 そのうちで最も低いのがやっぱり消防職員の数ですね。全体では七五・五%の充足率で、四人いるべきところを三人しかいないと、こういうことに全体としてはなる。特に、管轄人口五万人未満の地域では六三・六%、五万人以上十万人未満の地域でも余り変わらず六六・四%。つまり、三人必要だけれども二人しかいませんよ、こういう勘定になる。十万人以上二十万人未満でも六九・六%。大変不足をしているという現状ですね。
 したがって、当局が考えているこの広域化で、それだけに事務部門などは浮かせて現場に移したいということなどもあるんでしょうけれども、あるいはまた、せいぜいが十万人とか二十万人規模の消防本部とそれより小さいところを組合わせをする、こういうことを考えているということなんですが、問題は、今一番大事なことは、広域化するか否かに関係なく、最後の方に消防庁長官がおっしゃったけれども、まずこの消防力の基準を達成をする、その増員をきちっと計画を立てていかないと、今朝からずっと議論をしているように、本当に広域化をして逆にどこか都市部に集中をされたら困る、こういう問題などがある。本当に火災が起こった、今朝から出たように、そうした通所ホーム、そうしたところなどで大きな事故が起こる。こういうことなども考えたときに、えてしてそういう場所は逆に山間へき地なんかに随分多いんですね、まだまだ今の日本の現状を見ると。
 そんなことを含めて、こうした人員の増員計画、こういう努力はされるべきだと思いますが、この点についてもう一度改めて答弁を願います。

○政府参考人(板倉敏和君)
 消防の職員数がこの整備指針にかなり及ばない水準になっているということは私どもも十分認識をしておりまして、何とかこれを少しでも高めていきたいというのが長年の行政の目標にもなってまいっております。
 管轄人口の少ない消防本部というのが充足率が全国平均を下回っておって、管轄人口の多い大規模な消防本部ほど充足率が高くなっているというような傾向もございます。そういうことで、広域化を図ることによりまして、少なくとも充足率というのは高まっていくことになるだろうというふうに思っております。そういうことを通じまして、何とかそういう充足率が低いところが底上げが図られるように努めてまいりたいと思っております。

○又市征治君
 三番目に救急の運用についてお伺いしてまいりますが、時間の関係で答弁を求めている時間がないんですが、やはりこの救急出動は人の活動している時間帯、八時から二十二時の間がピークですね。これ一番山が高い。
 そこで、救急隊の運用についても、こういう時間帯に合わせてローテーションを集中をすれば救急出動の到達時間が早い、そういうことなど、より効果が上がるんではないかというふうに思うんですが、この三月に救急需要対策に関する検討会の報告書が消防庁から出されておりますけれども、この中に今私が提案したようなことも検討されているようですが、今ずっと、一救急隊丸ごと夜から昼へシフトする、こういうプランなど様々検討されるべきじゃないか。ずっと、全く夜も深夜も朝も昼もみんな同じ人員というのは必ずしもそれは効率的ではないんじゃないかということなどあると思うんで、この点について今何か検討されていることがあったり、まあこれはむしろ今後の検討課題だろうというふうに思うんですけれども、もしありましたら答弁願いたいと思います。

○政府参考人(板倉敏和君)
 御指摘のとおり、昼夜間で救急の需要が非常に大きく違うという実態がございます。昼間はやはりピーク時はもう非常に大変で、夜間はかなり余裕があるという実態かと思っております。そういう意味で、御指摘のありました検討会の報告書でも、この差を何とか上手に埋めたらいいんではないかという御指摘をいただいているところでございます。
 私どもも、これは非常に有効な対策になるんではないかというふうに思っておるんですが、現在のシステムがいわゆる二十四時間勤務の交代勤務という形になっておりまして、夜昼同じ数の人員が勤務をするというところがほとんどでございまして、そういう救急の、いわゆる昼間勤務といいましょうか、日勤というのが余りこれまで想定をされていなかったというようなこともございます。ちょっと、検討すべきところもあろうかとは思いますけれども、私といたしましては、これから退職期を迎える人たちの再任用とか、いろんな方法によってそういう日勤の職員を確保するというようなことも考えられるんではないかと思いますので、引き続きこれ有効な対策を考えてまいりたいと思います。

○又市征治君
 実は我が党は、今日の質問で、答弁で賛否を決めると、こういうことだったんですが、今までの答弁で賛成をしたいと、こう思います。その点は申し上げておきたいと思いますが。

 そこで、最後に大臣に、消防問題とちょっと直接関係ないんですが、最近の総務大臣の発言について少し真意をお伺いをしておきたいと思います。
 三月二十九日の諮問会議で大臣が交付税の試算を発表されて、六兆円減額という形で大きく報道されました。余りに反響が大きくなって、新聞報道によると、四月六日の自民党の部会で、修正というか、数値目標化を否定したというふうに、こう書かれておるわけですね。これは個人の議員としての意見だったということですが、仮にも地方自治を預かる総務大臣の発言としてはいかがかと苦言を申し上げたいと思うんです。

 そこで、この竹中意見の目的というのは、何か見ていますと、プライマリーバランスの繰上げ達成で言っておられるのかなと、こういうふうに見ましたが、そのために地方の歳出を切り込むと。その結果、交付税の減額と、具体的にその半額だけ国の交付税負担が減るということかなというふうに私は受け取ったんですが、しかし、これでは一体、地方行財政の充実であるとか、あるいは住民サービスの維持向上という観点はどこに行くんだろうかなと大変懸念があるわけでありまして、この点、大変関心が高まっていますから、今日この場でお聞きをしておきたいと思うんです。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 御発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 今委員は、三月二十九日の諮問会議で交付税の試算をした、ないしは交付税の削減の試算をしたというふうにちょっとおっしゃったんでございますが、まあ新聞にはそう書いている新聞もあるんですが、そういうことは一切行っておりませんから、これは是非、議事録と提出の資料等々で御確認をいただきたいと思います。
 何をやったかということを、いい機会でございますので是非正確に申し上げたいと思うんですが、これはもう、この委員会でももうかねてから申し上げましたように、地方交付税を減らすということを念頭に置いた議論というのは、これは政策論として間違っていると。これは地方には地方の歳出があります。それは社会保障の支出であり、人件費であり、公共事業であり、その他の経費である。で、この歳出項目は国と一緒なんです。
 私が先般の国と地方の歳出歳入の一体改革の中で申し上げましたのは、国と地方それぞれに社会保障、人件費、そして公共事業等々ありますから、それぞれについて国と地方が同じような前提で努力をする。これは、横ばいでするというのもあるし、減らすというのもあるし、物価上昇分ぐらいは見てあげるというのもあるし、八通り、それでやると、国の収支と地方の収支はそれぞれどれほど変化をするかということの試算を見ているわけでございます。
 これは、国は国税、これはGDPが三%伸びたら、まあ弾性値一・一ぐらいとすればそれだけ伸びる。地方税の弾性値は国税の弾性値ほどは高くはございません。そういうことをやって、しかも三%成長、四%成長、それぞれでやるかという八通りのケース。そして、どのぐらい国と地方の収支が改善するかと。その中で、さらに、収支改善しない分については、将来的には更に歳出を削減するか税負担を求めるかということを議論しなければいけない。正に歳出歳入の一体改革についてその試算を発表させていただいたわけでございます。
 そのうち、例えば地方の収支の改善幅、これも八通りですからいろいろあります。収支が改善しないケースもありますし、かなり成長率が高くて改善するケースもありますけれども、その中の比較的高い数字を取り上げて、これが交付税の、この交付税削減の目標であるというふうに一部のメディアが、一部じゃない、一つのメディアが、これ本当に私がそんなことを言っていたら全部のメディア報じていますよね。そういうふうな面白おかしい言い方をしたわけでございます。
 私がかねて申し上げていますように、これは、地方交付税というのはこれは中間的な支出でございます。国も地方も歳出削減には努めなければいけないと思います。そして一方で、経済を良くして歳入が、自然増が、税の自然増が上がってくれるようにはしなければいけないと思います。そして、国と地方が納得できる形でそれを、その成果をどのように使うかということに合意をしなければいけない。これも骨太の方針に書いているとおりでございます。
 結果的に、国民の税負担が余り増えないで、ないしは結果的に国も地方も納得して交付税が減るということは、これは、それはそれで悪いことではないわけでございますけれども、交付税という中間的な支出を削減の目標にするというようなことは政策論としては間違っていますし、ましてや国民、地方の合意は絶対に得られない。この姿勢はもう一貫してこれからも主張していくつもりでございます。

○委員長(世耕弘成君)
 又市征治君、時間が過ぎております。

○又市征治君
 はい、時間が来てますから。もう一問聞こうかなと思ったら、大臣、三分もしゃべっちゃったから、これはもう。
 この問題は重要な問題ですから、更にこの場でまた議論をさせていただくことを申し上げて、終わりたいと思います。