第164回通常国会

2006年4月17日 決算委員会



(1)財政投融資は国民の資産を政府が産業界に投融資したもの
(2)利益の蓄積である積立金は国民のために使うべき
(3)毎年約5兆円浮いてくる金利変動準備の積立金
(4)「借金返済が最優先で国民生活は将来の問題」とする政府
(5)格差拡大の中、改革で捻出した資金は国民生活へ還元せよ
(6)特別会計は各省庁による財源囲い込み
(7)言葉の定義が曖昧なため悪用・乱用される資金・積立金
(8)特別会計の剰余金をもっと一般会計に繰り入れることは可能


○又市征治君
 社民党の又市です。
 私は、三年半余にわたってこの決算委員会で約四十回近く、とりわけ特別会計について、この問題点を指摘をし、その改革を主張し続けてまいりましたが、政府は本年度の予算でその一部を是正をして、財政健全化に貢献するためと称して、財政融資特別会計の金利変動準備金二十三兆七千億円から二〇〇六年度に十二兆円を国債整理基金に繰り入れる、こういうふうに決められた。この努力は一定、私も評価をいたします。
 そこで、この十二兆円という額を取り崩せるとしたら、その根拠は一体何なのか。この特会は積立金ずうっと増え続けているわけで、過去の推移を含めて簡潔に説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(浜田恵造君)
 ただいま御指摘のとおり、財政融資資金特別会計におきましては、将来の金利変動に備えまして、収支がプラスになった際にその利益を金利変動準備金として積み立て、財務の健全性を図ることが不可欠ということから、財政審、財投分科会の御議論も踏まえまして、この準備金を総資産の千分の百まで積み立てることが適当であるといたしてまいりました。
 一方、平成十八年度予算編成におきましては、この準備金につきまして、特別会計改革、資産・債務改革をできるだけ早期に予算に反映させ、併せて国債残高抑制の要請に対応するとの観点からも検討を行いました。
 その結果、平成十七年度末におきます準備率はいまだ千分の百には達しませんが、これまでの財投改革の成果によりまして、この財政融資資金特別会計の総資産の減少が当面継続するという見通しであることを踏まえれば、総資産に対する金利変動準備金の割合のこの千分の百の考え方を維持しつつも、このうち一部を同特別会計に生じた損失の補てんという本来の目的以外の目的に活用できると判断いたしまして、十二兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れ、国債残高の圧縮に充てることとしたものでございます。

○又市征治君
 つまり、総資産の千分の百にしろという財政制度審議会の意見があって、しかし今、財政融資制度が変わって、この特会の総資産が減ってきており、金利変動準備金の必要額も下がってきたからということですね。しかし、私は、まずこの前提、千分の百そのものが過去の推移から見て必ずしもそれだけの準備をする必要はないというふうに思います。現在、千分の五十程度でも十分にやっていけるはずだと思うんですね。
 今回の十二兆円の放出は、決して一回限りしかできないものではないと、こんなふうにも思うわけです。そもそも財政投融資というのは、国民の年金の掛金であるとか、かつては郵便貯金などを政府が特殊法人などを通じて産業界にどんどん投資、融資をしてきたのですから、その利益の蓄積であるこの特別会計の積立金というのが、本来は国民生活に直結した目的、例えば一般会計の貢献のためにもっと吐き出すべきものだと思うんです。

 しかも、今の総資産の減り方だと、二〇〇五年度の三百三十九兆円が、本年度でいけば二百八十七兆円となりまして、五十二兆円も減るわけですね。このベースでいけば、変動準備金の必要額も毎年数兆円、つまり千分の百ということでいくならば五兆円程度浮いてくる勘定になるんじゃありませんか。

○政府参考人(浜田恵造君=財務省理財局次長)
 この十二兆円を本年度において繰り入れますと、平成十七年度末は二十三・七兆円、千分の七十の準備率でございますけれども、この繰入れの結果、十八年度末におきましては十五・二兆円となりまして、準備率は千分の五十三に低下する見込みでございます。
 そこで、来年度以降もこの特別会計の金利変動準備金からの繰入れが可能ではないかというお尋ねかと存じますが、先ほども申し上げましたように、この繰入額十二兆円というものが財政融資資金の今後の財務の健全性に配慮する必要性、あるいはこの当面の十八年、十九年度の資金繰りの制約等もございます。これはまだ郵便貯金、年金に、ただいま先生からも御指摘ございましたが、かつて財投改革前に預託をいただいていたものをまだ十九年度まで預託の返済という資金事情がございます。これらから、繰入れ可能な上限額として十二兆円を判断したところでございます。
 また、将来についてでございますけれども、ただいま申し上げましたように、準備率が十八年度末において千分の五十三まで低下いたしましてリスクが高まるということで、平成十七年十二月の財政審財投分科会におきましても、今後の資産負債管理に細心の注意が必要である、また適正な金利変動準備金の準備率千分の百の考え方を基本的に維持していくことが必要であると御指摘をいただいております。
 したがいまして、現時点において更なる繰入れは困難であると考えておりますが、この準備金の今後の在り方につきましては、将来における財政融資資金及び金利変動準備金の状況、財投計画を取り巻く環境、金利動向等を総合的に勘案しながら更なる検討課題としてまいりたいと考えておるところでございます。

○又市征治君
 随分と慎重なと言うべきか、でたらめなというふうに言った方が私はいいと思いますね。五十年間見てみると、三回しかあなた、取崩しなんてやってないじゃないですか。ずっとたまりにたまって、それも昭和四十七年、昭和五十三年、五十四年の三回だけ。
 こんな格好なわけで、高金利にもしなったらという話だとすれば、それも過去のこの例を見てみますと、せいぜい最高で二百六十九億円足りませんでしたというのはある。まだあちこちに随分と財政あるわけで、そういう意味でこの金利変動などの問題などというのを理屈にするのは全く筋違いということだけここでは申し上げておきたいと思うんです。

 そこで次に、使い道の問題、これは大臣にお伺いしたいと思うんですが、私は三月の質疑の際に、格差が広がっている中でその資金は景気の回復の後押し、国民の暮らしに還元すべきじゃないのか、すべてを国債の繰上償還に充てるのは反対だと、こう申し上げてまいりました。が、それにしても、今回の十二兆円で当面の国債償還のピークがカットできるわけですね。いわゆる二〇一〇年問題はクリアするわけですから、今後の特別会計の余剰資金の活用というのは、より国民の暮らしに直結をした一般会計への繰入れも当然選択肢に入れるべきだと、こんなふうに思うわけです。この点については、財政融資特会の分に限らず、ほかの特別会計からの繰入れ全般についても、総理大臣もこの点については検討すべきだと、こう言っているわけですが、大臣の御見解をお伺いします。

○国務大臣(谷垣禎一君=財務大臣)
 又市委員のこの特別会計改革に懸ける情熱には心から敬意を表したいと思っております。
 それで、今十二兆入れるのを、本来なら一般会計に入れて直接国民生活の向上、改善に役立てるべきだという御主張だったと思います。以前にもこれは議論をさせていただいたと思いますが、私たちはこれは、この準備金は、財投を長い間運用してきて、そしてその結果積み上がった国民共通の資産であるから、国民共通の負債である国債の償還に充てようと。それから、毎年毎年生じてくるようなものであるならばまた別でございますが、これは歴史的低金利の継続という特別の事情により生じた一回限りのものだから、そういう意味でも一般会計、つまりフローの財源とするというんじゃなくて、累年の既発国債の償還に充てようとしたわけでございまして、その結果、先ほど委員御指摘がいただきましたように、二〇一〇年問題というものもクリアすることができましたし、それから十二兆ということでかなり今後の国債費の圧縮につながるというのは、これは国民負担の軽減にとっては大きな役割だろうと思います。
 それで、今後どうしていくかということですが、先ほど来政府委員から御答弁しておりますように、今千分の五十三ですが、千分の百というのを私たちは基本的に維持する必要があると考えますと、この特会から当面繰入れはそう簡単ではないと思っております。
 ただ、ですから、この特会から、じゃ一般会計に入れろという事態はそうすぐに来るとは私は思っておりません。ただ、ほかの特会なんかを精査した場合にはどうなんだということをさっきおっしゃいまして、これは、例えば外為特会から毎年繰り入れているものがございますが、これは言わば毎年毎年の運用で生じているフローでございますから、そういったものは現在も一般会計に入れているわけでございまして、これから何をやるかということはいろいろ、どこにその財源があるかは精査しなければなりませんが、そのストックかフローかによって私は分けていくというのが、一般会計に入れるかそれとも国債償還に充てるかというのが基本的な分け方ではないかと考えております。

○又市征治君
 私、申し上げたのは、十二兆円全部入れる必要はないじゃないか。少なくとも、今これだけ格差が開いて、おまけにそこへ医療のまた負担増であるとか、あるいは定率減税の廃止だとかという、少なくともその部分ぐらいは国民に戻すべきではないのかと、こう申し上げた。何も十二兆円全部そこに入れる必要はないと、こういうふうに申し上げたんで。
 なお、また一方で、この財政融資資金の積立金、莫大な金、現実にあるわけですよ。また一方では増えるわけでありまして、さっき十二兆円余りに減っていくとこうおっしゃるが、今年度の分で三兆円ぐらいまた積み上がるわけでしょう。十五兆円ぐらい残っていくわけですよね。
 そういう問題があるから、まして準備金なわけで、準備金の積立金なわけですから、そういう点ではそんなに莫大なものが金利が変動したからといって出ていくわけなんかないじゃないですか、過去の五十年の歴史見たって。ということを私は申し上げているわけで、ここのところは、使い方の問題はどうも大臣と私どもの考え方はちょっと認識が違う。何だろうと借金返しだけにまず行くべきだという、国民の生活はちょっとはまあ、それは将来の問題としてとおっしゃるけれども、ちょっと違うと思うんです。

 そこで、もう一つお伺いしますが、次に特別会計のこの積立金からの活用目標、額ですね、いわゆるこの五年で二十兆円というふうに言われている。前回も指摘したんですが、残り四年で六兆二千億円ということになるんでしょうけれども、実は外為特会からの過去の繰入れ実績、大臣から年平均一兆六千億円ありましたと、こう御答弁があった。これ、自動延長すればそれだけで達成可能であって、何ら改革の意欲的な目標とは言えないということは前回も申し上げました。
 そうすると、外為の相場が不安定だからという、こんなお話もあるわけですが、これは答えになってないわけで、じゃ目標の四年間の外為特会積立金からの活用額、どういうふうにしようとお考えなのか、この点をお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 二十兆マイナス十三・八兆イコール六・二兆円、これを今後五年でやるためには、今までの実績から見れば外為のこの剰余金を充てるだけで楽々と達成できるではないかと、そんなものは努力目標にも何もなりはしないという又市委員の御指摘ですが、これは今日いろいろ御議論をさせていただきましたところでございますが、直嶋委員との御議論でも申し上げました。
 確かに、今は毎年一兆数千億一般会計に繰り入れておりますが、これ金利が仮に一%上がりますと、それで一兆減ってまいると。現在、これから金利情勢がどうなっていくかというのはなかなか、マーケットで決まりますから、どうなるとも言いにくいことでございますけれども、現在のようなその内外金利格差が、低金利状態がそう、これもなかなか、ちょっと口もごもごさせて申し上げるわけですが、ずっと続いていくというのは、いささかやっぱりちょっと私としてもどうしてもこれは口ごもるところでございますので、そういうことを考えますと、この六・二兆を外為から頼るという発想は私は必ずしも現実的ではないと思っておりまして、ほかのところからやはり精査して六・二兆をつくってくるという覚悟で臨むべきではないかと考えております。

○又市征治君
 ここも見解が違うんですが、じゃ百歩譲って、納得はできないんですが、向こう四年間、外為特会からの貢献は当てにならないと、目標額は言えないということでありますから。
 じゃ、六兆円は外為特会以外どこの会計からお出しになるおつもりなのか、それはどのぐらいの目標なのか、この点についてお答えください。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 これはまだこれからの検討でございまして、率直に言って、この二十兆という目標を作りましたときに、積み上げて作ったわけではございません。十二兆、それから今年やりました十三・八兆ですね、ここまでは計算ができておりましたけれども、これからやはり精査して少しでもつくっていくと、こういうことでございます。

○又市征治君
 外為特会が変動する変動すると、そういう何か鬼が来る鬼が来るみたいな話なんですが、剰余金、十六年度で見ましても二・二兆円あるわけでしょう。積立金、これ十三・四兆円ですか、こういう莫大なものがあって、ずっと積み上がってきて、それで一%変わったら、こういうお話なんで、正にオオカミが来ると、こういう話でしか聞こえないわけで、全く現実的ではなくて、だれかがおっしゃったけど、ため込むのが大好きと、こういう格好にしか見えないわけです。

 そこで、あともう少しお伺いしますが、この資金の問題、資金の在り方の問題ですね。
 特別会計は各省庁による財源囲い込みで、中でもこの資金だとか積立金に批判が集中をしているわけですね。それはなぜか。それらの言葉の定義が非常にあいまいで、悪用されているからではないか、私はそのように思います。財政法四十四条にはただ、特別会計は資金を設けてよいと書かれているだけということなものですから、そこから乱用が生まれている。
 あるいは、そういう点でいうならば、この特別会計の資金についてしっかり見直すということが今日求められているんではないかと思うんです。少なくとも二種類に大別できるんじゃないか。つまり、資金の反対側、負債に借入れとか預り金があって動かせない資金というものが一方である、そうではなくて、単にその特別会計が所管する省庁の勝手にできる余剰金、これを積み立てる資金がある、こういう二つぐらいに分かれるんではないのかと。そうすると、この際財政法を改正するなどして呼び名も変えて両者を峻別をすべきでないのかと、こんなふうに思うんですが、この点について御見解いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 剰余金とか積立金とか、いろんな性格なものがございますから一律には言えないところもありますが、よく精査しなきゃいかぬというのはもう委員のおっしゃるとおりだろうと思います。
 それで、委員もおっしゃいましたように、明確にやはり使途の決まっているものもございますから、それはそれでやっぱり一くくりあると思いますね。それから、明確に使途の決まってないもの、これは今までも御議論がありましたけれども、こういう厳しい経済情勢を考えますと、一般会計と特別会計というのはともに国の財布であるということには変わりございませんから、できる限り一般会計への繰入れ等々を行うことによって国民負担の軽減に活用するというのは大きな方向性からいって私は間違ってないだろうというふうに思います。
 それから、いろんな剰余金とか何かがポケットとして勝手に使われているという御指摘はもうそのとおりでございまして、そういった特会の特別規定というのはやはり見直していかなきゃいけないと思います。それで、今回の法案第十九条ですね、これ行革法案の第十九条第一項で、個別の特別会計の性格に応じ、剰余金の一部を一般会計に繰り入れることなども視野に、その上で一般会計と異なる取扱いの整理のための必要な法制上の措置を今後講ずるとなっておりますから、私ども、これはきちっと議論をさせていただいて、来年度にはそういう法律を出すということで今作業をしているところでございます。

○又市征治君
 時間がなくなってしまって、あと三問ぐらい残したんですが、いずれにしましても、小泉総理は九月に替わられるそうでありますけれども、この間の三月三日、これは直嶋委員も同じ問題を追及いただいたんですが、この剰余金の問題、この点で十分なのかと、もっと剰余金を一般会計に繰り入れることができるんじゃないかという点は、具体的な提案もありますので、この点については今後真剣に検討していきたいと、こういう答弁を私にもされております。
 これは当然政府統一見解だろうと思いますが、是非そういう意味で、今少し改革が進み始めた、この点は冒頭申し上げたように評価をする、しかし、使い方も含めて、あるいはもっと具体的に精査をする、こういう中身が非常に大事だと思うんで、大車輪でこれはやっていただきたい。この点を申し上げて、今日の質問を終わりたいと思います。