第164回通常国会

2006年5月11日 総務委員会(2)



(1)通信コンテンツ自由化・著作権処理の簡略化の問題点
(2)著作権の軽視・切下げ・買いたたきの恐れ
(3)著作権者にとって著作権は生活権
(4)ネット上に移された著作物の違法使用の恐れ
(5)不正利用チェックシステムは公的責任で整備すべき
(6)テレビ視聴にも影響する経済的格差
(7)通信発展のための政府投資の大半は事業者側への投資
(8)低所得者等にも通信の公平な利用は保障されるべき


○又市征治君
 社民党の又市です。
 七人目ぐらいになってきますと、大体ダブってばっかりおって大変質問しにくいな、たまに一番目ぐらいにさしてもらいたいもんだなと、こう思ったりもしないわけじゃ、長谷川さんがもっとそう思っているんじゃないかと思うんですが。

 幾つか、ダブらない格好で、あるいは時には再確認ということを含めてやりたいと思います。
 大臣や座長の松原教授らは、利用者の立場に立つんだ、だから、どこでも、何を使ってもコンテンツを豊富に見られるようにすべきだ、こういうお考えのようであります。としますと、三つばかり私は問題が発生してくるんではないかな、こういう感じがいたします。それで、その点について解明をいただきたいと、こう思っております。

 その一つは、出ておりますけれども、著作権処理の簡略化という名での著作権の軽視、切下げのおそれであります。
 竹中大臣が、この懇談会だけではなくて、知的財産戦略本部においてもその意見が強まっているんではないか、こういうふうに聞いております。すると、簡略化に便乗して、どうしても買いたたきが強まるんではないかということなんですね。二次的放映に当たって著作権者への支払を少なくするということは、これ事業者側から見れば強い要求になってくる。当然そうなると思うんです。しかし、これが直ちに利用者にも安く提供できることになるかというと、大臣はよくウイン・ウインと、こうおっしゃる。余り横文字使ってもらうとよく分からないんで、日本語にすると、双方とも利益を得ると、こういうことの意味ぐらいなんだろうと思うんですが。それが理想だと言われるけれども、中間で事業者だけがもうかると、こういうことになってはならない、こう思うんですが、この著作権の正当な対価、保護について、大臣の見解をまずお伺いをしたいと。

○国務大臣(竹中平蔵君=総務大臣)
 ちょっとその正当な対価がどのぐらいかというのをちょっと明確に申し上げるだけのものを私は持っておりませんですが、委員の御懸念としては、これが権利の切下げになってはいけないと、そこはもうそのとおりだと思います。
 先ほども御答弁をさせていただいたつもりでありますけれども、そうした観点から、この懇談会でも実演家団体からヒアリングを行って、守らなければいけない権利はあります、だからそこはしっかりと意見を聴取しながら議論をしなければいけないと思っています。
 委員の御指摘で今、買いたたきが進んで、一部の人だけが得するのではないかと、そうなってはならないと、これももうそのとおりだと思います。そうならないようにするためには、やはり健全な枠組みの中での健全な競争が行われていると、そうすることによって、一部の人だけが不当な利益を得るということは妨げられていくのだというふうに思います。

 ただ、私の認識では、今著作権の問題というのはその値段、価格がどうこうというよりも、そもそも枠組みとして著作権、特に隣接権で枠組みがしっかりとできていないということに問題があろうかというふうに認識をしておりますので、買いたたき、価格の問題そのものは、私はむしろ非常に健全な枠組みがつくられる中でしっかりと定まっていくものであるというふうに考えております。

○又市征治君
 今お話出ましたように、著作権あるいは隣接権者の中には、強い交渉権を持った一握りの一流の人たちだけじゃ駄目だと、無名の立場の弱いライターであるとか出演者、演奏家などたくさんいるわけですから、こうした人々が、それが再使用されるに当たって、こうした人々の交渉権とか著作権とかというけれども実質は生活権だと思いますね、これを守らなければ本当の意味のコンテンツの向上、メディア文化の持続可能な発展はないのではないか、そういう立場で是非頑張っていただきたいと、こう思います。

 そこで二つ目に、著作権を侵害する完全に違法な使用の問題が二つ目に心配される。
 インターネット上などに移されると、利用の実態が極めて分散して分かりにくくなって、不正利用、ただ乗り、これが横行するのではないかという懸念が出てまいります。特に海外に電波で流出してしまえば、海賊版を防ぐ有効な技術はないんではないのか、こういう心配がまず一つですね。
 それから、不正流出は事業者にとっては営業妨害になりますから、当然これは研究されていくんだろうと思いますが、この問題、今、政府と民間含めて、現段階で何か考えられておるとすればこれは伺っておきたい。

 それから三つ目には、個別の著作権者が自分の作品の利用又は不正利用をチェックできるシステムも構築可能になるんだろうと思いますが、これはもう公的責任で整備すべきではないかというふうに思うんですけれども、この以上三つの点についてお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(竹田義行君=総務省情報通信政策局長)
 お答えいたします。
 まず、一点目のコンテンツの不正流出防止技術につきましては、例といたしまして、まず、受信端末に蓄積させずにコンテンツを配信するという、そういうストリーミングの技術、これがございます。それから二点目としては、コンテンツの複製を禁止したり、あるいは複製の回数を制限する、そういった著作権の管理の技術。それから、今度はコンテンツ自身が不正に複製されたコンテンツかどうかという判断を可能にします電子透かしの技術。こういったいろいろな技術がございまして、それぞれの目的に応じて現在活用されておりますし、こらからもこういった技術が導入されるものというふうに期待しております。
 それから、個人の方が作成されましたコンテンツの利用状況の把握という点では、一般的にコンテンツをサーバーに蓄積して利用者の方がアクセスした場合には、これはこの利用に際しましてサーバー側に記録が残ることになっております。こういった一定の利用状況は把握することが可能でございます。
 こういった技術をベースにしまして、例えば既に海外では、アメリカのグーグル社がグーグル・ビデオ・ストアといったようなものを設立しまして、個人が作成したコンテンツを販売していく仕組みが立ち上がってきてございます。

 それからまた、国内におきましても、フジテレビが個人の制作した動画を配信するための合同会社を設立しておりまして、民間において個人の制作していただきましたコンテンツの流通の仕組みという構築の取組というのが開始されたところではないかなというふうに認識しております。
 私ども総務省といたしましては、こうした不正流通防止技術の開発とか、あるいはこれを利用したサービスの動向といったものを見据えつつ、これらの技術の普及とか、あるいはその利用に関する啓発活動に取り組んで、適正なコンテンツの流通の促進といったことを図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○又市征治君
 ありがとうございました。
 それじゃ三番目に、この利用者、消費者の間で経済的能力によって利用の格差が生じる問題で、さっきから何人かからはテレビの問題が出ておりました。
 利用者の立場に立ってと言われるわけですが、その利用者が所得が高くていろんなメディア機器を全部所有できて利用料を負担できるという場合と、そうではなくて、生活保護を受けている、あるいは低所得でなかなかそんなお金を払えないという、そういう人が現実に存在をするということがあるわけですね。金さえあればという深刻なこんな限定条件が付いてはならないんだろうと思います。
 従来の放送というのは、基本的には、あまねくすべての人、家庭が低料金あるいは無料で利用できた。この点からすれば、放送と通信の最大の違いというのは所得による格差が付くか付かないか、こういうことにあるわけで、この点は見逃すわけにいかないんではないかと、こういう気がするんです。

 したがって、放送だけでなく通信も社会的共有財産ですから、一定の公共性というものを帯びているという理念に立脚するならば、政府は通信の公共性、低所得者等にも通信の利用をどのように保障するかというシビルミニマムの政策体系というものを構築していく必要がある。テレビを、デジタルテレビを何とかそれは援助しなさいよというのは、私もそう言いたい面があるけれども、これ通信になってくると物の見事にそうなるということがあるわけでありますね。

 総務省や経済産業省から通信の発展のために公共投資がなされているわけですけれども、その大半が設備投資など事業者サイドに投じられているわけですよね。通信の自由化、商業化を市場原理のまま放置するんではなくて、こうした社会政策、金銭面も含めた通信の公平な利用の保障をどう築き上げていくか、こういう観点で、全く新しい観点が必要になってくるんだろうと思いますから、むしろゼロからの取組が必要なんだろうと思います。
 この点について、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 デジタルな時代にいろんな利便性が高まると。しかし、そのデジタルな時代にいろんな格差が起こる可能性がある。正にデジタルディバイドに対して我々は常に目を向けていかなければいけないということだと思っております。
 今、その意味では、我々は二〇一〇年にはブロードバンドゼロ地域をなくすということですから、ブロードバンドに対するアクセスについて、地域に偏らず多くの人にこれが可能である、当然その場合は合理的な安い料金で、低廉な料金でアクセスできなければ意味がありませんので、実はそうしたことがあるからこそしっかりと競争をしていただいて、料金の低廉化を実現するということが極めて重要な課題になっているというふうに認識をしております。
 その意味では、一九八五年に電気通信事業の自由化が始まったわけですけれども、これまで二十年間その政策を、競争政策を通して、現在では世界有数の低廉な水準というのは、先ほどから御議論いただきましたように、正に政策の枠組みと事業者の努力によって実現をしてきたというふうに申し上げてよいのだろうと思います。
 この過程で、規制緩和、競争促進、接続ルールの整備、様々ないろんな努力があったわけでございます。その意味では、正にこれからブロードバンドゼロ地域を、つくるに当たっても同様の競争政策の促進が私たちには求められているというふうに思います。そうすることによって、一層の料金の低廉化、そしてだれもが通信サービスに安心して利用できるように取り組んでいきたい。
 実は、懇談会では今まで例えば電話のユニバーサルサービスという概念があったわけでございます。ユニバーサルなサービスだと、それをNTTが担うということであったわけですけれども、これがやっぱり今はブロードバンドのサービス、ブロードバンドにアクセスできるということが一つの新しい基準になりつつあるのではないかという観点から、そのためにしっかりと競争政策を促進しようと、そのような議論がなされていると承知をしております。

○又市征治君
 もう一つ聞こうと思ったんですが、もう時間がなくなってしまって、私オーバーしたんじゃ長谷川さんに恐縮ですから、終わりたいと思います。
 いずれにしても、大変大事な問題はらんでおるわけで、今日ここで議論したからといって何かすぐに解決するという問題でもありませんし、引き続き当総務委員会がいろんな意味で議論をしていく必要があるんだろうと思います。その中でまたいろいろとお尋ねしてまいりたいと思います。
 終わります。