第164回通常国会

2006年5月17日 行政改革に関する特別委員会



(1)行革を言うなら随意契約の廃止・天下り規制こそ初歩
(2)天下り・随意契約などの問題を放置する行革推進法案
(3)人員削減による支出削減効果は数字が合わない
(4)税金と無関係の人件費までカウントする政府のデマ
(5) 地方公務員4・6%削減は自治体への一律の強要なのか
  (答弁)画一的な取組を求めるものでも強制でもない
(6) 地方公務員の削減対象には看護師・保育士を含むのか
  (答弁)看護師・保育士・介護士を含む
(7)国際比較を見れば、日本は驚くほど看護職員が少ない
(8)医療事故を招く、現場の慢性的な人員不足の実態
(9) 看護師は増員こそあれ、削減はあってはならない
  (答弁)看護師数の減少はあり得る
(10)厚生労働大臣は人の命や健康を何だと思っているのか
(11)業務として民間に行った公務員の倒産・失業の場合の復帰は
(12)市場化テスト法案は「首切り法案」と言うしかない
(13)事業移管での雇用者の権利・拒否権を保障する米英
(14)市場化テストでの雇用問題に対応するための制度化を


○又市征治君
 社民党の又市です。
 去る四月二十四日の決算委員会で私は、随意契約の廃止などは、行革を言うんなら初歩中の初歩だ、行革法案のどこに入っているのかと安倍官房長官にお尋ねをしたところ、これは後ほどお答えさせていただきたいということでそのままになっておりますので、改めて安倍長官、国民から見れば随意契約であるとかあるいは天下りの改革などというのは行革の初歩中の初歩だと思いますけれども、法案にこれらの改革を追加をなさる考えはおありかどうか、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(安倍晋三君=内閣官房長官)
 いわゆる天下り、官製談合や随意契約の問題に対する厳しい批判があることは真摯に受け止めなければならないと、このように認識をいたしております。
 官製談合については、官製談合をより効果的に防止をするため、与党において現行の入札談合等関与行為防止法の改正案について検討が行われ、発注機関職員に対する刑罰の導入、入札談合等関与行為の範囲の拡大等を内容とする法案が今、国会に提出をされているところでございます。
 また、天下り問題への対応については、本行政改革推進法案第六十三条におきまして、退職管理の適正化についてできるだけ早期にその具体化のための必要な措置を講ずると規定しているところであり、総理からも指示があったことから総合的に検討を進めてまいりたいと、こう考えております。
 さらに、随意契約の点検、見直しについては法案には規定しておりませんが、これまでも閣僚懇談会や国会答弁において総理の御指示があったように、随意契約は真にやむを得ないものに限るべき点について各大臣自らが積極的に取り組み、国民の理解が得られるよう、公共調達の適正化に政府を挙げて全力で取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
 このため、先日、五月十一日も、公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議を開催し、現時点における各府省ごとの緊急点検の件数、金額等について報告させるとともに、うみを出すべきはしっかりとうみを出し、襟を正すべきは襟を正していくよう、より一層徹底した見直しを行うよう、改めて指示をしたところでございます。

○又市征治君
 しっかりそれらは取り組んでいただきますが、いずれにしても、天下り問題にしましても随契問題にしても公共調達にしても、ずっと去年来から、いや、もっと前から言われてきた問題で、これらの改革がこの法案に入っていないというのは、どう考えてもこれは羊頭狗肉の批判は免れないんではないか、このことだけ申し上げておきたいと思います。
 長官、何かこの後の御都合あるようですから、お引き取りいただいて結構です。

 さて、中馬大臣にお伺いしてまいりますが、前回、私は国家公務員五%削減案の支出削減効果をお尋ねをいたしました。大臣は、人件費八兆六千億円の五%だと答弁をされたわけですが、行政機関や自衛官等の人件費は五兆四千四百億円でありまして、数字が合いません。

この中には、税金ではなく郵政事業の事業収入で支払われている郵政公社職員の人件費であるとか公務員型独法の費用などが含まれて、三兆一千三百億入っているわけですね。
 これ、実際、財政支出としては減るわけではないのになぜここにカウントされているのか、こう聞いたわけでありまして、五兆四千四百億円に訂正をされるべきじゃありませんか。

○国務大臣(中馬弘毅君=行政改革担当大臣)
 まず、前回のときに、少しせかされましたので、少し誤解があるといいましょうか、私の方で言葉足らずがあったと思いますので、その点は正確に申し上げさせていただきますと、八・六兆円という中には郵政民営化、郵政が入っておりますから、これはもう五年後には除かれます。
 したがいまして、実際は郵政を除きますと六・二兆円でございますが、その六・二兆円の五%が減るという意味ではなくて、一応それに相当する、その減らす人員に相当した人件費は減るであろうということを申し上げたので、それはもちろん、年齢の高い人が一挙に独法化されたり、あるいはまた若い人が採用されなかったり、そうしたいろんなケースがありますから、それがイコールでないことはもう御理解いただけるかと思います。ともあれ、そうした縮減効果も十分に見込まれるという意味でお答えしたわけでございます。
 ところで、今お話がありました郵政民営化、これがカウントするのはおかしいじゃないかということでございますが、これは政府の規模の縮減の代表的な例でありまして、また、郵政民営化の実現によって郵政公社の職員は国家公務員ではなくなりまして公的部門から民間部門へ移行することから、総人件費改革の一環として行われる改革と位置付けることはこれは可能だと思います。
 それからまた、非公務員型独立行政法人化は総人件費改革におけるこれはもう重要な切り口でございまして、独立行政法人化は経営の自主性を生かして国民へのサービスの効率化や質を一層効率化させるものでございますから、加えて、非公務員型独立行政法人になれば、これは民間委託の推進等によりまして、より民間に準じた経営努力が可能とすることでありまして、これも総体的にこれに含めさせていただいているわけです。

○又市征治君
 私は、だから国家公務員のと言ったんで、それを、オーバーカウントでしょう。いかにもたくさん減らしますよと国民に宣伝したいんでしょうけれども、前回冒頭に、コンビニでも薬が買えるようになったのは規制改革の成果だと小泉さんがデマ宣伝を千葉へ行ってやられたと、こうここで指摘をしたんですが、それと同様のひどい誇大宣伝ですよ、これ。八兆六千億の五%というその枠でおっしゃっているんですから。意味は違うでしょう。

 そこで、そんなこと言っているとまた時間なくなりますから、それじゃ地方公務員の問題についてお聞きします。
 四・六%の削減ですが、これは政府が自治体に一律に強要するものなのかどうか、簡潔にお答えください。
 それからもう一つ、地方公務員の削減対象には看護師であるとか保育士なども含みますか。この二点について簡潔にお答えください。

○国務大臣(中馬弘毅君)
 これは地方自治体でございますから、国がそれを命令して強制することはもちろんできるわけじゃございません。ここの法律におきましても、国の一つの大きな目標でございますので、地方におきましても、地方自治体におきましても、四・六%、過去の実績でございますが、それ相当の厳格な管理をして、これを四・六%以上減らしてほしいという要請をしておる次第でございます。
 地方公務員の純減を進めるに当たりましては、個々の地方公共団体に対しまして画一的な取組を求めるものではありません。また、強制するものでもなく、各団体においてそれぞれ住民ニーズを踏まえた自主的な取組が行われるべきものと考えております。
 現実に今各自治体の方にお願いをしておりますが、総務省で取りまとめておりますが、これでは、各県や市町村が出してきた数字はもうはるかに五%を、まあ出してきているところでございますが、超えているようでもございます。

 それから、今おっしゃいました看護師、保育士、介護士、これももちろん、十七年四月一日現在の地方公務員総数三百四万人、地方公共団体ですね、これには地方公務員であります看護師、保育士、介護士を含むわけでございます。

○又市征治君
 前段の方は、つまり地方への要請であって、国による自治体へのペナルティーなどは法律上許されないということで、これは確認をしておきますが。
 そこで、今あった問題について川崎大臣にお伺いをしたいと思うんです。
 この公務員の削減の中には、今お話がありましたように、現実には看護師など医療の現場、保育士や介護など公的及びこれに準ずる民間の福祉サービスの現場にももう及んでくるわけですね。
 お配りをした資料を見ていただきたいと思いますけれども、一番右端であります。これ、OECDのヘルスデータによると、百床当たりの看護職員数の国際比較では、アメリカ二百三十人、イギリス百二十九人、ドイツ百二人に対して日本は四十二・八人。驚くべき少なさ、アメリカの五分の一、イギリスの三分の一、こういう格好になっているわけです。これがどういう状態を今現実に生み出しているかということについて若干申し上げてみたいと思うんです。
 富山県内の自治体立であるとか済生会あるいは逓信、健保など十四の公立病院の職員組合で構成をする富山県医療というのがありますが、ここが二〇〇一年と二〇〇四年の連続調査を行っております。空恐ろしい実態を浮き彫りに実はしているわけです。ヒヤリ・ハット、冷やっとした、はっとした、こういう調査がやられております。
 二〇〇一年の調査では、回答者三千四百五十人のうち看護師が七割、あと臨床検査技師や薬剤師などですけれども、何らかの医療ミスの経験がありという職員が何と八六%です。その原因として、医師の指示が不明確だったとか個人の不注意というのが四割程度ありますけれども、最大の原因は、仕事量が多く忙し過ぎるが七〇%、不適正な人員配置が五六%を占めています。二〇〇四年の調査では、医療ミスに当たるアクシデントレポートを書いたことがある職員が一九%、ヒヤリ・ハットに当たるインシデントレポートを書いたことがある職員が六〇%、合わせて七九%と、大変な高さです。

 そこで、医療行政の最高責任者である川崎大臣にお聞きをするんですが、欧米先進国との比較は先ほど出しました。言うに及ばず、医療現場はこうした慢性的な人員不足で、全国的にもこれは同じであります。言わば医療事故がいつ起きてもおかしくないという、こういう状況に置かれているという現状です。とすれば、病院における看護師等のスタッフは、増員こそあれ、削減はあってはならないんじゃないですか。これをまだ減らしますというふうに今度の行革法案では担当大臣がおっしゃっているんですが、医療の責任者として明確にお答えください。

○国務大臣(川崎二郎君=厚生労働大臣)
 資料でお示しいただきましたけれども、ベッド数が極めて日本は多い、平均在院日数が極めて長い、ここが大きな課題として今医療制度改革に取り組んでいるところでございますので、併せて御理解賜りますようお願い申し上げます。

 医療安全を確保する上で正に重要な課題でございます平成十八年度診療報酬改定では、急性期入院医療における手厚い看護体制等の評価を行わせていただきました。小児救急医療のような一般的な民間の医療機関のみでは十分に提供されることが困難で、かつ住民に必要な医療については、これまで公立病院を始めとする公的性格を有する医療機関が主としてその提供の役割を担ってきたところであり、引き続き地域において一定の役割を担っていただくものと考えております。今後、それを担う医療機能に応じ、良質な医療を提供するために必要な看護職員の配置が望まれると、このように考えております。
 一方で、今般の医療制度改革においては、民間で十分担えることができる医療はできる限り民間にゆだねることを基本的な考えとし、これまで公的医療機関が担ってきた役割を民間の医療法人にも積極的に担っていただくよう仕組みを盛り込みました。このような趣旨を踏まえ、今後とも良質かつ効率的な医療提供体制の構築に向け、公的医療機関と民間の医療機関の適切な役割分担、これが促進されていくことと考えております。
 こうした取組を進める中で、公的医療機関の役割が縮小することに伴って、公務員としての看護師数が減少するということもあり得ると、このように考えております。

○又市征治君
 これが一体全体、医療問題の最高責任者がおっしゃる意見か、こう言いたくなります。

 現に、欧米諸国と比べてこれだけの差があるじゃないか。まして、今から四十年前に人事院が判定を出して、医療現場は少なくとも夜勤というのは複数で月八日以内にしなさいと、こう言っているのが、依然として今、公的病院といえども日本じゅうどんな格好になっていますか。九回以上になっていますよ。
 そういう状況だから、私が申し上げているのは、そういう点で、単に官とか民とか問わずに、病院の実態がこういう状態だ、人の命や健康を何だと思っているのか、こう申し上げているわけで、やはりきちっと、そういう意味では単に民間と行き来の問題を言っているんじゃありません。トータルとしてこれは出ているんじゃありませんか。公的病院の問題がここで比較されているんじゃないでしょう。そのことをしっかり認識してもらいたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、中馬さんにもう幾つかお聞きをいたします。
 市場化テスト法案で、公務員の民間移籍後の復帰について、衆議院でも我が党の議員が幾つか質問いたしましたが、疑念が解消されてません。
 官民競争入札の結果、民間企業が受注をして、元々従事していた公務員がそこの仕事がなくなると、公的部門ではなくなる。したがって、その受注した民間のその現場へ行って仕事をやってほしい、企業に移籍をしてもらいたい、上からそう言われた。その経験を生かせと、こう言われた。そうした格好で移籍をして、その業務の契約期間中にその企業が倒産をした場合、あるいは、その企業へ行ったけども、全く無関係な仕事にその会社へ行ってみたら配転をされたという場合、あるいは会社はその人間が気に食わないから解雇をするということもあり得るかもしれない、こういったケースが起こり得るわけです、当然のこととして。契約期間中といえども、倒産することは起こり得る。配転も起こり得る。

 これまでの中馬大臣の答弁でいうと、そういう場合は中途採用の選考を受けさせた上でこの公務員の身分を戻すこともできるという、何かえらい中途半端であいまいなわけですね。元々この人は、だけれども、その業務のために公務員として従事をしてきて、今度はそこへ行きなさいと、こう言われた。会社の都合で解雇であるとか配転あるいは倒産、こういう場合に選考ではなくて、もう無条件に戻すというのが当たり前じゃありませんか。そのことは法律に明記されてますか。この点について明確にお答えください。

○国務大臣(中馬弘毅君)
 前回にもこのことははっきり申し上げたつもりでございますが、何といいましょうか、市場化テストで民間事業者が落札した場合、この業務に従事していた公務員の処遇につきましては、配置転換と新規採用の抑制によりまして対応することが基本でございます。他方、本人の同意、これも自主的にでございますが、無理やりに行かしたわけじゃありません、本人の同意がありまして、落札業者が希望する場合には、公務員を退職して落札業者の下で業務に従事すること、これももちろん当然ありましょう。
 その落札業者の下で勤務した元公務員には、公務への復帰は当然に保障されておりません、もう向こうに移るわけでございますから。ただし、元公務員が再び公務員に採用される場合、これは選考試験を受けていただくわけでございますが、選考採用された場合には、ただ、公共サービス改革法三十一条に基づきまして、退職手当の計算上、退職前の在職期間と再採用後の在職期間を通算する特例措置が適用される、こういう特例措置でということで認めております。
 ただ、採用試験を原則とする国家公務員につきましても、一定の要件を満たす場合には選考採用を行うことがこれはもう可能でございますが、そこで公務員を退職し落札事業者の下で業務に従事した者につきまして、任命権者である各府省の大臣等が選考採用の条件に合致するか否かを個別具体的に判断した上で再び国家公務員として採用することはもちろん可能でございます。
 本法案に関しましては、先月十九日の衆議院の特別委員会におきまして、落札事業者の希望と本人の同意を前提に公務員を退職し落札事業者の下で業務に従事することになった者が、公務への復帰を希望する場合には、各大臣等任命権者は、その者の退職前の公務員としての勤務経験と落札事業者における勤務経験とを勘案し、公務への復帰希望について十分配慮すること、こうした附帯決議が付けられましたから、十分には配慮いたしますけれども、やはりはっきりとした形で、この選考採用という試験を受けた形でのことでございます。
 今おっしゃりました趣旨は十分に尊重してまいりたいと考えておりますが、これはそういうことを自動的にこちらにまた引き取るということではございません。

○又市征治君
 全く納得できません。
 さっき申し上げたように、そこで民間が落札をしたら官の側に仕事がなくなるわけでしょう。だから、仕事がなくなるから、おまえはそれじゃ、もう辞めてもらうしかないからそこへ行ってほしい。雇用保障のためにも、官の側は、その市役所なら市役所はそのことを要請をする。仕方なしに泣く泣くそこへ行かざるを得ない。その人間が、そこで倒産をしたらそれでもう終わりですと。これ全く首切り法案じゃないですか、これは。
 だから、あなた方が言うように、この市場化テストの問題いうたら、イギリスの問題も勉強しましたと、いいふうに勉強しましたと。うそですよ、それは。イギリスでは、事業移管に際しての雇用者の権利はきちっと保障されていますよ。アメリカでも拒否権がちゃんと保障されている。正に市場化テストで雇用問題が発生をするおそれがあるから、それは制度化されなければいけないんじゃないですか。これじゃ首切り法案だと言うしかない。

 これ、委員長、時間がありませんのでね、こんな答弁じゃ全く納得できません。こういう雇用の保障の問題について、これ是非とも政府の見解を出していただくように、委員長の権限でお願いを是非したいと思います。理事会でも御議論をいただきたいと思います。よろしゅうございますか。

○委員長(尾辻秀久君)
 理事会で協議をいたします。

○又市征治君
 いずれにいたしましても、もう時間が参りました。
 こう今申し上げてきたように、そういう意味では、全く、この行政改革で、基本は国民の暮らしが豊かになり、あるいは少しでもそうした幸せがというか福祉が向上をするというために行政改革というのはやるんだと、こうおっしゃってきた。ところが、現実に、医療現場の問題について言うならば、正に人の命や健康が脅かされることがあっても、それも実は削減対象だと。片一方で自治体労働者のこうした雇用問題が起こっても、それは保障しない。本当にとんでもない法案だというふうに言わざるを得ません。
 申し上げたいことたくさんありますが、今日はこの点最後に申し上げて、終わりたいと思います。