第164回通常国会

2006年6月14日 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会



(1)海外在住の国民全体への選挙権の拡大はしていくべきだ
(2)在外の有権者数すら把握せずに制度改正を提案するのか
(3)法案で在外投票権が拡充されるのは自衛官などごく一部
(4)投票の便宜を与えるのは「政府の国策に忠実な者」だけ
(5)投票権を保障する以上、職業や組織での差別はできない
(6)商社マンやボランティア団体に対しては検討しないのか
(7)なぜ自衛官だけが地方選挙も技術的に可能になったのか
(8)前防衛庁長官「自衛隊機を飛ばして、投票用紙を運ぶ」
(9)対象範囲を拡充する際は全地域に自衛隊機を飛ばすのか
(10)在外国民の領事館投票と全く整合性が取れない法改定案


○又市征治君
 社民党の又市です。
 我が党も在外国民全体に選挙権を拡大をしていくべきと、こういう立場でありますし、この種委員会でそうした意見についても述べてまいりました。

 今回、衆議院側の与党の皆さんがこうした案をお出しになった、その趣旨については私どもも多とするものでありますけれども、ただ、今のところは取りあえず一部の人々にだけ認めるということになるわけでありまして、そうしますと、その出されることが公平性、つまりすべての在外有権者の中で今回特定の人だけになるけれども、それが今後どういうふうに普遍性を持っていくか、妥当性があるかどうか、ここらのところが問われるんだろうと、こう思います。

 そこで、まず提案者側にもお聞きをいたしますが、海外の滞在三か月未満の有権者、どの程度だというふうにつかんでおられるんでしょうか。

○政府参考人(久保信保君=総務省自治行政局選挙部長)
 これは法務省が調べた日本人の出国者数の統計がございますけれども、平成十六年で出国しておる者の総数、これは一千六百八十三万千百十二名ということになっておりまして、そのうち十日以内という者を見てみますと、一千四百十三万人ほどの方々がおられます。

○又市征治君
 私、有権者と聞いたんで、これ子供もみんな含むでしょう、今の数字は。だから、これは入管の統計なんで、帰国者数の数だけ、いや、いいですよ。つまり、子供も含んだはずなんで、全然実態としては把握できていないわけでしょう。把握できています、有権者。

○政府参考人(久保信保君)
 延べで言っておりますので、完全に把握しておりません。それで、御指摘のように零歳からの統計、すべてでございます。

○又市征治君
 だから、実態が全然分かっていないわけで、そこで、子供も含めた格好で一千六百八十万ぐらい、平成十六年ではそうだと、こう言っているわけで、今回の法案で新しく自衛隊員であるとか南極観測隊だとか、こういう人々に与えられるというのは千四百人ぐらいなわけですね。
 そうすると、この千四百人でもいいんですが、これが第一歩になって、第二歩、第三歩になって、どういうふうに広がっていくというふうにこれは見ておられるのか。その点がないと、取りあえずこれでストップということになってしまったんじゃ意味がないわけで、第二歩、第三歩はどのぐらいの数が広がっていくというふうに提案者側は見ておられるんでしょうか。

○衆議院議員(鳩山邦夫君)
 それは、先ほどから何度もいろいろな方が答弁されておりますように、小さな風穴かもしれませんが、この穴が空いた意義は大きいと思うのです。
 ちょっと話が違うかと思いますが、例えば電子投票をやりますね。やりたいと思っています。しかし、電子投票では、回線で結ぶことは、それは秘密が漏れるとかハッカーがいるということでできませんね。そうしますと、例えば将来いろんな機器が発達して、海外からいわゆる機械を使って電子投票の形で投票するといっても、これ秘密の問題とかハッカーの問題等考えるとなかなか大変だと思いますね。
 そういう意味でいえば、できるだけ幅広く投票していただこうということで、どういうふうに広げていこうかというのは正にこれからの課題なんです。だから、今第二、第三がどういう人たちかとこう言われましても直ちにお答えはできませんで、ありとあらゆる海外滞在者を挙げていく中で、法律によって派遣されて、そして一定の地域や設備にいて、何らかの隊長のような調整権限を持っている人がいるというふうに今は枠をはめないと公正、適正な選挙ができないと。そこで範囲を絞ったわけなんで、これから先生のお知恵を拝借をしながら、まずこれをやっていく、あるいは電子投票等をやっていく、インターネットを使った選挙運動等も可能にしていくという中で、これは本人確認等の方法も進歩すれば広げていく道があり得ると思います。

○又市征治君
 ちょっとあいまいもことした話なんですが、可能性はある、可能性はあると。それで総務省も悩んで、いろいろと苦労して、いろんなことを線引きどこでできるかなと、こういろいろとやってきたというような話なんですが、なかなかできない。

 そこで、ちょっと私は疑問に思うのは、投票権を与える対象者を、さっき大野さんも言ったけれども、お国のために海外で働いている人って、こう限定をされているわけですね。これでは、現在の政府の政策に忠実である者に投票の便宜を与えるんであって、そうでない者は与えないということになりかねないわけ。公職選挙法として投票権を保障する以上は、国家公務員であろうがなかろうが、特定の職業なり、ましてや組織に属してるとか否とか、そういうことによって差別することはできないはずでありますよ。

 そこで、ちょっと伺いたいのは、例えば民間の商社マンで、海外支店に属して、投票管理は支店長の下で可能な人たち、これは一体全体どういうふうにするのか。ここまで広げる努力はお考えでないのか。あるいはまた、ボランティア団体に属して海外にいて、その長の下で、ボランティア団体の長の下で投票管理が可能な人たちもこれはいるわけですね、現実に、組織立ってやっている。こういう人たちには、じゃ投票権は今のところ御検討なさらなかったのかどうか。この点について、皆さん方の御議論の中身をお聞かせいただきたい。

○衆議院議員(佐藤茂樹君)
 今、又市先生から二つですね、民間の商社マン、さらにはボランティア団体に属して海外にいる方という、そういうお尋ねでございますが、我々今回の考え方は、もう冒頭から申し上げているように、二つの要件をきちっと満たしているものにさせていただこうと。

 それは、一つは法律の規定に基づいて国外に派遣されたこと、もう一つは、その長が当該組織の運営について管理又は調整を行う法令に基づく権限を有することという、そういう特定国外派遣組織の要件に該当する方々に対して今回はまず第一歩として投票権を回復させようという、そういう考え方でございまして、今そういう観点からいうと、民間の商社マンの方とかボランティア団体に属している方というのは今回の法案の対象には現段階ではなりませんけれども、今後の課題であろうと思っております。

 元々法律を作る考え方が、日本国憲法で公職選挙法の規定による選挙権の行使を保障されておきながら、別の法律で、国の任務で派遣しなさいという法律に基づいて出ておられる、それによって投票権を行使できない、その方々を投票権を回復させようという、そういう趣旨から今回まず一つ風穴を空けさせていただいた。それ以外の対象者については、今後更に今のこの枠組みでの実施状況を見ながら、広げる方向で我々も考えていきたいなと、そのように考えております。

○又市征治君
 時間の関係で余りもう、本当は、じゃ海外協力隊員なんかの関係どうするのかとかいう、まあいろいろとこれ具体の話あるんですね。

 そこで、もう一つどうしても伺っておきたいんですが、既に投票権を認めた、さっきも出ましたが、在外国民の領事館投票は技術的な理由ということで国政選挙しか認めていませんね、この間決めたのは。ところが、今日の法案は、その人たちを飛び越えて、自衛隊員などについてだけ地方選挙についても投票権を保障する、こういうことになっているわけ。どうして自衛隊員などだけが地方選挙も突然技術的に可能になったのか。

 これは衆議院でも我が党の菅野衆議院議員がお聞きをしましたら、いや、五日間でどうやって可能になるのかと聞いたら、大野前防衛庁長官は、この特定国外派遣組織は投票用紙を運んでいく、回収して持って帰ると答弁された。つまり、自衛隊機を飛ばして、で、自衛隊員だけ投票の便宜を与える、だから五日間でも可能なんだと、こういうふうにおっしゃったと、こういうことなんですね。

 これだとすると、これは大変なお手盛り選挙、全く公平、さっき総務省言ったけれども、公正で公平で適正に執行する、これ全然妨げることになるんじゃないですか。

 では、一体全体自衛隊員以外の地方選挙の投票を広げる場合はどうするのか。まさか、日本人の有権者のいる場所どこへでも全部自衛隊機飛ばすというわけじゃないんでしょう。これ総務省、どう答えるんですか、これについて。

○衆議院議員(大野功統君)
 衆議院での私の答弁を引用されましたので、私の方からお答えしたいと思います。
 まず、投票用紙を持っていったり回収する、普通はそれぞれの民間航空で持っていっている、そこへ今度はいかに協力をしていくかということが問題であります。自衛隊の例でいいますと、これまでは、例えば船舶投票というのが認められております。船舶投票を、ある港まで投票用紙を運んでいくのに、これは民間航空で運んでいる、郵便で運ぶ、場合によっちゃ自衛隊員が民間航空機を使って運んでいく。それから先、港で渡せればいいけれども、それから先どうするのかと、こういう問題です。日本から自衛隊機飛ばして持っていくわけでは全然ありませんので、そこは誤解のないようにお願いいたします。
 それから、例えば今度サマワで投票ということを認めますと、今度はやはり、サマワへ飛んでいる飛行機ありませんから、どうしてもアリ・アルサレム空港、クウェートからC130に乗せて持っていく、こういうことも考えなきゃいけない。いかに、こういう投票制度を正確に確実に公正にやっていくために特定国外派遣組織というのは協力していくかという問題でございます。
 その派遣組織の中には、自衛隊の隊員のみならず、一般の方もいらっしゃるケースもあるわけでありますから、そういう場合にはどうやって、例えば外務省がクーリエを提供して協力する、例えば自衛隊が行っている場合には、自衛隊もまた協力できる範囲でやるということであって、それがお手盛りだとかなんとか言われると、これはもう全く考え方が違うようになってまいるわけでありまして、やはり投票をいかにみんなで協力して海外での不在者投票権の行使を、国民の権利ですから、基本的権利ですから、これを回復させるかという命題として私どもは考えております。

○又市征治君
 時間がもう来てますから、私が申し上げたのは、在外国民の領事館投票については技術的な理由だといって国政選挙についてしか認めてない。なぜ今のこの問題だけが五日間の町長選挙も町議会議員選挙も可能になってくるのか、これはもう全然整合性が取れないじゃないかと。こういう問題があって、そしてその輸送の問題についても、これは大変なお手盛りになってしまうんじゃないかと、こう申し上げているのであって、これは説明付いてない。

○衆議院議員(鳩山邦夫君)
 在外投票制度は、住民票を抜いて海外へ移したわけですから、地方公共団体に所属しておりませんので、地方選挙権というのは、これは投票はなくなると思います。

○又市征治君
 いずれにしろ、時間来ましたから終わります。