第169回通常国会

2008年3月27日 総務委員会(1)



(1)改憲国民投票の準備のためとして予算を計上した総務省
(2)国民投票より住民の権利拡充のため住民投票の制度化を
(3)改憲発議すら3年間は凍結なのに投票準備とは先走りだ
(4)仕様書も丸投げ、地方のシステムも把握していない政府
(5)システム事業者と自治体実務者との打合せ経費まで計上
(6)ホームページに年2400万円、パンフ150万部作成
(7)投票の年齢も方法も期間も未定なのに何を広報するのか
(8)一般的な国民投票の議論は先送りで改憲投票だけ先行か
(9)道路財源問題で総務省に問われるのは地方の財源の確保
(10)国直轄事業でも3分の1は地元負担という制度の廃止を
(11)直轄負担金を廃止し地方債発行を抑え地方財政の改善を


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今日は大きく分けて二問、お伺いをしておきたいと思います。
 まず、総務省予算の中で国民投票制度の施行に向けた準備に必要な経費として七千二百万円が計上されている点について、これに関連して伺ってまいりたいと思います。
 そもそも国民投票の前に普及させるべき自治体における住民投票の制度化というものについて、総務省は、私から言わせるならば、住民の権利拡大からは随分立ち遅れた態度を取ってきた、これは前から申し上げてまいりました。特に極めて不公平な点は、前回の改正のときに、市町村合併賛成の場合にだけ住民投票を利用して、住民投票を議会の議決とみなして手続を進めることができる、こんな一方的な、そして政略的な条項を作ったということは大変多くの批判を受けたところでありました。他方で、全国でたくさん起きている現実の住民投票の運動については法制上の位置付けを全くやってこなかった。
 この点について、もう少し住民の自治を求める、あるいは権利拡充を求める、こうしたことにこたえていく考え方はあるのかないのか、そこらのところをお伺いをします。

○政府参考人(岡本保君=総務省自治行政局長)
 お答えいたします。
 住民投票制度につきましては、現行の地方自治制度の根幹が代表民主主義であるということは御案内のとおりでございます。そういう代表民主制を基本とした地方自治制度の下で議会や長の本来の機能と責任をどういうふうに考えるかといった点には十分留意をし、またいろいろな御議論があるところでございまして、累次の地方制度調査会でも御議論いただいておりますけれども、それにつきましては、引き続き検討すべき課題が多いということで、検討課題というふうにされているところでございます。
 なお、今御指摘ございました合併の協議会設置に係ります住民投票の制度につきましては、合併が当該地方団体の存立そのものに直接かかわる制度だと、また地域に限定された課題だということで、住民発議の手続の一環として、合併協議会の設置に関して議会と住民の意思が著しく乖離した場合に限定して設けられているものというふうに考えております。
 なお、合併そのものに関します議会の決定権といったものを住民投票によって覆すという制度ではございません。

○又市征治君
 あんまり変わらぬわけですね。
 こうした中で、昨年、憲法問題に関してのみ国民投票の手続が法制化されたわけですけれども、こういうアンバラという点では問題があると言わざるを得ぬと思います。また、憲法改正手続法の中の国民投票の中身を見ましても、投票年齢の問題とか、公務員の運動の規制の問題をどうするのかとか、マスコミの利用方法、未決定の問題もたくさんあるわけです。そして、この法律は、少なくとも三年間は憲法改正発議を凍結しているということは御承知のとおりです。

 そこで大臣、こうした微妙な政治的なバランスの上に立って憲法改正案の審議が凍結されているわけですけれども、それを総務省があえて投票制度の施行準備だという一見事務的なように見えるけれども、その経費を今の段階で計上することはそういう意味では先走り、こういう批判があるわけでありますけれども、この点についてどうお考えですか。

○国務大臣(増田寛也君)
 今お話がございましたんですが、国民投票法は、議論の過程の中では大変大きないろいろな論点、議論がございましたんですけれども、法律自体、平成二十二年の五月十八日から施行と、こういうことになっております、ちょうど公布の日から起算三年ということでございますが。ですから、やはりそうしたことを考えると、この日以降は憲法改正の発議がなされる可能性はあるという、この法律の条文からはこういうふうになるわけでございます。
 私どもは、総務省設置法で、こうした憲法改正の国民の承認に関する投票の施行の準備ということを設置法の中で所掌事務として決められているものですから、所要の準備はやはり準備として進めていかなければならないということでございます。
 今回のこの国民投票制度、選挙制度とは全く異なる新しい仕組みということがございますので、やはり時間的な余裕の下にその周知を図っていく、そして万全の体制を整えていくということが求められますので、今回そうした形で予算を計上させていただいたところでございます。

○又市征治君
 そこで、準備の中身について少しお伺いをしてまいりますが、投票人名簿の調製のための情報システムの構築及び開票速報体制の整備のためのシステムを構築するため、仕様書の策定を外部に依頼をする経費として二千万円、都合二千万円が計上されているわけですが、そこで三点ほどお伺いしますけれども、これは財務省からも通達出されているとおり、IT調達については、システム構築は外部に委託をするにしても仕様書の策定というのは役所が責任を持ってやりなさいよということですよね。これがそのとおりやられているのかどうか。

 二つ目には、現在千八百市町村の選挙人名簿システムは何通りぐらいあって、優れているのはどこか、どのように把握をされているのか。これは日常的な業務としてやっておくべき仕事だと思いますが、この現状把握の状況をお聞きしたい。

 三つ目は、事業者と地方団体の実務者との打合せ経費まで総務省が計上をこの中にしているのではないのかと、こう思うんですが、これらについてお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(久元喜造君=総務省自治行政局選挙部長)
 まず、このシステムの仕様書につきましてお答えを申し上げたいと思います。
 いわゆる国民投票法におきましては、現行の選挙人名簿とは別に投票人名簿を作成する必要がございます。この事務は国民投票法によりまして市町村に義務付けられた新しい事務でありますので、私どもといたしましては、この標準的なシステムの仕様というものを総務省が作って各自治体に示す必要があるというふうに考えております。
 このシステムでありますけれども、これは既存の選挙人名簿のシステムを改修して作成する必要があるわけでありますが、まあ市町村のシステムは多様でありますことから、そういう多様なシステムの状況を十分踏まえる必要がございます。
 で、この仕様書の作成は総務省が行って提示をするものでありますけれども、作成に当たりましては、各市町村のシステムの状況を調査するとともに情報システムの専門的な知見を得るという必要があるものですから、作成に関する調査とそれから支援に関する業務を専門的な知見を有する民間事業者に委託をさせていただきたいというふうに考えております。

 それから、市町村が作っております選挙人名簿システムがどれぐらいあって、どれが優れているかということでございますが、率直に申し上げまして、この選挙人名簿は、市町村が名簿の調製及び保管の任に当たるということにされておりまして、総務省として現時点で把握をしておりません。そういうことで、現状でありますけれども、先ほど申し上げましたような国民投票のシステムのこの仕様を作る上で状況を把握する必要があるということが出てきたものですから、専門的、技術的要請の把握ということで委託をし実施させていただきたいというふうに考えております。

 それから、これらの仕様の作成に当たりましては、総務省として市町村の意見またシステム事業者の知見を求める必要がございます。そこで、この検討会を総務省として直営で開催をさせていただく、その検討会の開催に要する費用といたしまして、これは投票人名簿の関係それから開票速報の関係、それぞれ謝金、委員旅費、資料作成費等といたしましてそれぞれ二百万円を計上させていただいているということでございます。

○又市征治君
 じゃ、もう一つ経費の問題でお伺いしますが、インターネットホームページの構築あるいは維持管理に二千四百万円が計上されているわけですね。日々更新する必要のあるならともかく、中長期的な広報のホームページに二千四百万円は多過ぎると聞いたら、いやパンフレットも百五十万部作りますと、こう言っているわけですが、百五十万部作って何するんです、これ。
 私の地元であります富山県、河合さんも同じですけど、富山県に当てはめたら一万五千部もらってこれどうするんだろうか、使い勝手もないと、こういうことなんですが。しかも、現段階ではさっき申し上げたように対象年齢も決まってない、投票人の対象年齢決まってない、投票の方法も期間も、あるいは運動の規制も、その他決まっていない問題いろいろとある。だとすると、広報をやるというけれども一般的な広報すらやりようがないんで、あるいはやっても意味がないんじゃないのか。
 国民投票制度ができましたよというだけで何でこんな二千四百万円も今こんなことで要るのかということになるわけで、これらが固まってから取り組んで別段問題じゃないんじゃないのかということなわけですが、この点どうお考えですか。

○政府参考人(久元喜造君)
 いわゆる国民投票法は国の最高法規であります憲法の改正手続法でありまして、国家の根幹にかかわるものでありますので、既にその成立している内容につきまして十分に制度を国民に理解していく必要がある、またその任務は総務省の役割であるということは先ほどの大臣の答弁のとおりであります。
 で、この国民投票は全く新しい制度でありまして、例えば投票権の範囲、それから名簿の範囲、それから投票の方法、また選挙についての選挙運動とこの国民投票運動につきましては似ている点もありますけれども、種々異なっている点もあります。これらの内容についてできるだけ詳しく広報をする必要があるということで、私どもといたしましては、パンフレットの作成またホームページの構築等につきましての予算を今回お願いをしているところでございます。

○又市征治君
 そこで大臣、この問題の最後にお伺いしますが、一般的な国民投票について、国民投票法は附則において、この規定の施行後速やかに検討し措置を講ずる、こうしているわけですね。冒頭述べましたように、自治体レベルの住民投票であるとか一般的な国民投票の制度整備を先延ばしをしているというのは、これは本当は問題なんですけれども、これは速やかに検討しなきゃならぬと思うんですね。
 国民向けの広報予算を組むというんならば、やはり憲法改正だけではなくて一般的な国民投票についても論議をされて法制化される中でむしろ行うべきではないかという意見もあります。この点、どうお考えですか。

○国務大臣(増田寛也君=総務大臣)
 確かに、附則の方を読みますと、任意でこの一般的な国民投票についても制度化すべきと、こういうことを書いてございますので、まずこの論議をいろいろとなさっていただくということが必要だろうと思います。
 それはそれとして、今後も必要な論議が行われていくんだろうというふうに思うわけでございますが、この憲法改正に関する国民投票でございますけれども、これも二十二年五月の施行後に具体的に実施されるという可能性を秘めておりますので、有しておりますので、そういった施行準備は私ども総務省としてきちんと行っていかなければならない、設置法でそのことも我々の責務ということで設置法にいろいろ記載されているわけでございますので、今、部長の方からもいろいろと予算のシステム構築等についてもお話がございましたけれども、この国民投票制度の内容ですとか、それから投票方法ですね、これについて広報を行うということがやはり来年度、二十年度から必要だということで予算を計上させていただいたものでございます。

○又市征治君
 それじゃ次に、今大問題になっている道路問題についてお伺いを一つしておきたいと思います。
 公明党さんから暫定税率の一部の引下げも含めて妥協案を探る意向が示されているようですし、私自身も、暫定税率はその一部を本則化することなどの整理も含めて、今年度末までに廃止しても国民やあるいは自治体にも混乱を与えないでいける、そんな格好で私案も発表させていただいたんですが、残念ながら、二十一日、与党の側から何であろうと今の案をどうあっても今年度中に通してほしいということで、全く修正協議が進まない。そのことで大変混乱が懸念をされます。

 そこで、その問題は別のところでやるにして、総務委員会でお伺いしておかなきゃならぬ、あるいは総務省として問われる問題としては、地方の財源をどうやって確保するかということの問題だと思うんですね。そこで、国と自治体との間で、自動車関係税及び譲与税以外にも道路財源の複雑なやり取りがあるわけですね。これをまとめて、ちょっと時間の関係で申し訳ないが、初めは都道府県と政令指定都市、市町村と分けてと、こう思ったんですが、率直に、国と地方との関係大変ややこしいやり方があるんで、総額のところで是非紹介をしていただきたい。

○政府参考人(久保信保君)
 平成十八年度決算統計によりますと、道路関係経費のうち、国から地方へ支出される国庫支出金と地方道路整備臨時交付金、これについてまず申し上げます。都道府県、市町村合わせまして、この国庫支出金は一兆百六十三億円、そして臨時交付金、六千九百二十六億円でございます。また、今度は逆に、地方から国へ支出をされます道路橋梁費の国直轄事業負担金でございますけれども、これも都道府県、市町村合計いたしますと、全体で六千五百五十七億円でございます。
 で、その差を申し上げます。国庫支出金と臨時交付金合わせたものから、直轄事業負担金、これを引きますと、全体で一兆五百三十二億円という状況でございます。

○又市征治君
 つまり、この地方から国に召し上げられておる、これはまあ前から言ってきて、年貢米だと私はずっと言ってきたんですが、六千五百五十七億円を差引きをすると、地方は国から、額面は一兆七千億円だけれども、実際は一兆五百三十二億円しかもらっていないと、国からは、簡単に言うと。そういう実態だということを今報告をいただきました。

 道路財源の改革では減税も大事、道路事業のスリム化も大事ということでありますけれども、同時に、この改革を通じて、少なくとも道路問題を通じても地方の分権化というのが進むということが私は大事だと思うんです。
 そこで、私たちは、一兆一千億円の国直轄事業の地方負担金、そのうちの道路分、この今話があった六千五百億円余について廃止するように主張をしてまいりました。
 そこで伺うんですが、直轄負担金という年貢を廃止をすべきことは、前から主張をずっと私は一貫してしてまいりましたし、地方からもずっと要望されてきている問題ですね。この財源捻出はかなりの部分を地方債で行っていると思いますけれども、一般財源も使っている。この重圧から解放された場合、都道府県及び自治体というのは、これをどのように財源の自立へ活用できるというふうにお考えか、是非お答えいただきたい、大臣。

○国務大臣(増田寛也君)
 この直轄負担金の問題は、これは確かにお話がございましたとおり、分権の過程の中で地方団体からも廃止をしていただきたいということを申し上げておりますし、従来から地方分権推進計画の中でもこの見直しということが指摘をされております。二十年度で約一兆一千億あるわけですけれども、これ地方債と一般財源、大体地方債が六千億ほどこれに当たっているということでございますので、仮にこれが今先生お話しのとおり廃止をされるということになれば、その分の地方債の発行がなくなるということと、それからあと一般財源の支出が抑制されるということになりますので、地方の財政状況の改善につながっていくんだと、このように認識をしているところでございます。

○又市征治君
 終わります。