| 第169回通常国会 |
| 2008年3月31日 総務委員会 |
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(1)NHKの職員削減が質の低下や労働強化を招かぬように (2)不祥事続きのNHKの信頼をつないだのは地域スタッフ (3)訪問集金業務に市場化テストの導入を要求した総務大臣 (4)公共性の観点がなく問題だらけだった年金集金業務の例 (5)経済効率優先では視聴者間の不平等感や信頼悪化を招く (6)国際放送が国策放送たれ流しでは国民の良識が疑われる (7)国益主張を叫ぶ経営委員長は放送法の適用外との認識か (8)国際放送は国益をぶつけ合う「言論戦争」の場ではない (9)国民の利益と政府の公式見解は相反することがあり得る (10)NHKは国の宣伝機関ではないということに留意すべき (11)命令放送や受信料など総務省はNHK予算に干渉し過ぎ (12)生活保護世帯への支援が未定など難問山積の地デジ移行 (13)地デジ移行は低所得者層などの家庭への対策を優先せよ (14)放送の自主自律の堅持と真実に基づく良質な番組提供を |
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| ○又市征治君 社会民主党の又市です。 まず、経営合理化についてお伺いしたいと思います。 千二百人の正職員の削減は一段落するようですけれども、昨年も申し上げたように、これが番組の質の低下であるとかあるいは労働強化や下請の濫用によるミスが発生をするなどということにならないように、改めてこれは求めておきたいと思います。 そこで、福地会長は、放送の質を落とすようなコストカットはしない、改革とは縮小再生産のことではないと、こう発言をされているわけですが、その思いのほどをまず御説明をいただきたいと思います。 ○参考人(福地茂雄君=日本放送協会会長) NHKにとりまして番組の放送、報道はまさに命でございます。したがって、私が就任に際しましてまず全職員に申しましたのは、番組報道の質を落とすコストカットはしないと明言をいたしました。 したがって、この千二百人の人員の削減にいたしましても、事務部門は三九%カットいたしました。放送部門は六%のカットということで、おのずからやっぱり放送部門はこの被害が少ないような配慮は十分、これは私がしたわけでございません、前職がしたわけでございますが、そういった取組がなされておるようでございます。 人員削減の一方で、多様な放送サービスの充実でありますとか、あるいは地上デジタル化への取組でございますとか、公共放送としての業務に繁忙感があることは認識しております。今後は関連団体も含めたこのNHKのグループ全体として効率的な関係をひとつ築いていきたいと、かように考えております。 ○又市征治君 二〇〇八年度予算では振り込み数が回復してきたので訪問集金の地域スタッフを減らす方針になっておりますが、先ごろの株のインサイダー取引の影響も今後懸念されますけれども、これまでの相次ぐ不祥事によって、当然視聴者の苦情や抗議が殺到して契約が低迷をしてきました。その下で、下請という不安定な身分ながらも、靴の底をすり減らして身を粉にして、視聴者の厳しい批判を受けながらNHKへの信頼をつないで受信料をいただいてきたのがこの地域スタッフの皆さんですね。 私もこうした方々の御苦労話も聞いてまいりましたけれども、この言わばNHKの安全保障手段ともいうべきこうした方々、理事者側はどういうふうに位置付け、この人々にどのように報いようとされているのか、お伺いをしたいと思うんです。 ○参考人(大西典良君=日本放送協会理事) お答えいたします。 契約者全体の約一二%程度、二十年度九月末で訪問集金を廃止をすることで、これまで訪問集金に要していた二千四百人分の委託契約収納員の労力のうち千二百人分を段階的に削減する一方、残り千二百人分を契約取次ぎや未収対策などの体制強化に振り向けてまいります。契約取次ぎや未収対策においては、転居の有無の確認や未収金の回収のため、全国のお宅を一軒一軒訪ねる活動は不可欠であります。戸別訪問による活動は今後とも継続してまいります。 また、こうした活動を支える委託契約収納員の皆さんには、大変厳しい営業現場での最前線でそれぞれ責任感と誇りを持って仕事に従事していただいております。今後とも、公平負担の徹底に向けて、営業現場の最前線で共に取り組んでまいりたいというふうに思います。 ○又市征治君 余り温かい中身がないですね。 次に、NHK予算への総務大臣意見でこの訪問集金業務に市場化テストの活用を要求されている件について伺いたいと思うんです。 私は、昨年、国民年金や厚生年金の集金の市場化テストについて調べてみましたが、請け負った企業は早く取れておいしい対象者に集中をする、あるいはモラルを無視したサラ金的な取立てもあるなど、そこには公共性の観点がないためにいびつな業績を上げている例も社会保険庁自身がこれはまとめに書いているわけですね。 視聴者との信頼で成り立つNHKが経済効率優先で集金の市場化テストを取るというのは、かえって私は視聴者間の不平等や信頼を悪化させるおそれがある、こんなことを申し上げてまいりました。 総務大臣、このことが大臣の意見に書かれているわけですが、私は安易に何であろうと市場化テストなどということを進めるということはいかがなものかと、こう思いますが、御見解を伺いたいと思うんです。 ○国務大臣(増田寛也君=総務大臣) NHKの場合に、受信料を広く国民の皆様方に御負担いただくということでございますので、NHKの経理内容を見ますと営業経費の比率がまだ高い水準にあるものですから、効率的な経営、そして経費の最大限の効率化ということが至上命題だというふうに思っております。 そういう考え方で市場化テストに準じた仕組みを御検討いただきたいと、こういうふうに御指摘をしたわけでございますが、今委員の方から、先生の方から指摘がございましたような点、無理やり取り立てるですとか、あるいは取りやすいところだけを回ると。これはNHKの本来の目標といたします公平性といったようなことを著しく欠くことにつながるわけでございますので、効率性を一方できちんと導入しながらも、国民の皆様方に納得いただけるようなそういうやり方というもの、それをNHKの方でよく中で御検討いただきたいと、このようにしたものでございます。 是非、公共放送としてのNHKで、受信料を国民の皆様方に御負担いただいているということでございますので、そのことも勘案しながら、NHKの方でよく御検討いただければと思っております。 ○又市征治君 今大臣からも意見がありましたように、NHK側でも是非そこらの点は御注意をいただいて、取り組むにしましても対応していただくように求めておきたいと思います。 二つ目に、先ほども出ましたが、国際放送についてお伺いします。 新年度から国際放送が二分され、外国人向けは子会社になるということですね。もし外国語による国際放送が国民の目から遠く離れて、そこでいわゆる国策放送が垂れ流しされては、逆にNHKの、ひいては日本の国民の良識が世界に疑われることになりかねない、こんなことを思います。外国人向け放送をどのように、放送基準、日本国憲法や国連憲章の精神にのっとった内容にしていくのか、その抱負について、国際経験豊かな今井副会長からお伺いしたいと思います。 ○参考人(今井義典君=日本放送協会副会長) お答えします。 まず、新しく強化されます外国人向けテレビ国際放送につきましては、すべてを外国国際放送子会社に委託するのではありませんで、主たるニュース、報道の部分につきましてはNHKの本体がニュースを伝えてまいります。子会社の方では、NHKから番組を委託し、その制作業務を行うことが一つ、もう一つは、子会社独自の番組を制作、放送することになります。 ○又市征治君 収支です。 ○参考人(今井義典君) 失礼いたしました。 NHKの制作する、あるいはNHKが子会社に委託する番組につきましては、NHKの国際番組基準、委託基準にのっとって、則して実施することになります。一方、子会社が番組制作会社として独自に番組を制作し放送する場合には、広告や企業協賛などの外部資金で賄うことも検討しております。このため、この子会社が独自の番組基準や広告基準などを設ける必要があると考えております。 ○又市征治君 次に、先ほども出ましたが、私はNHKの理事者の皆さん方が、NHKの国際放送は日本の立場を直接主張することではないという、この見解が妥当だろうというふうに思っておるわけですが、二十五日の朝日新聞によりますと、十一日の経営委員会において古森経営委員長は、不偏不党と放送法に書いてあるけれども、国際放送では各国とも国益を主張する中で国内放送のように満遍なく意見を伝えるという話では済まないと主張されたと。さらに、日本の意見の発信は覚悟を決めてやらないといけないとか、日本の国益を主張すべきだ、一歩踏み出せとも述べたと報道されているわけですね。 そこでお伺いをしますが、古森さんは、御自分の行動、言動というのが放送法の規制外、あるいは国際放送に放送法は適用されないというお考えなのかどうか、この点をお伺いをしたいと思います。 ○参考人(古森重隆君=日本放送協会経営委員会委員長) 確かに三月十一日の経営委員会においてそういう発言がございましたが、この発言は国際放送番組基準というものを新たに改定するという過程の中で行った議論でございます。 その中で、もちろん放送法の、元々の放送法にも先ほど申し上げましたように不偏不党とかいう言葉がございます。そういうものに縛られることもまた一つ当然のことでありますけれども、ただ、国際放送の場合には、各国の人がいろんな重要な問題、国際問題について、日本人、日本の世論の動向はどうなのかとか、あるいは日本の公式、何回も言っておりますけれども、公式見解はどうなのかというのは、これは大変関心を持っているところでございます。そういう意味では、日本の、先ほど言いました公式見解と世論の動向というものを正しく情報を発信していくべきで、そういう意味では一歩踏み出せという意味の言葉遣いを使ったと思うんですが、そういう趣旨でございます。 ○又市征治君 直接お答えになってないんですが、おっしゃっている意味、今もありましたが、私は国際放送というのは諸国間が国益をぶつけ合う言論戦争の場ではないと思うんですね。しかも、今も公式見解ということを盛んに、先ほどからもおっしゃっているわけですが、第二次世界大戦の例を引くまでもなく、そもそも国民の利益と政府の見解あるいは公式見解というのは必ずしも一体ではない、相反することはあり得る。NHKはまさにそうした深刻な反省の上に立って再スタートをしたということは明らかであります。 そうしますと、古森さんがおっしゃっているずっと一連のものを見てみますと、どうも国家主義的な発想のように見えてしようがない。そうすると、これはNHKの国際番組基準にも、あるいは放送法、日本国憲法や国連憲章からも外れているのではないか。多くの人がそう見ているから批判が起こっている。 この点について、もう一度改めてお聞きします。 ○参考人(古森重隆君) 今のお話はポイントは二つぐらいあると思いますけれども。 一つは、日本が日本の国論というようなものを余りぶつけていくと問題があるんじゃないか、けんかになるんじゃないかというポイントがあったと思いますが、この件につきましては、私は、むしろ日本の意見をはっきり出していくことが対立をあおることではなくて、むしろ論点をはっきりさせると、お互いの立場への理解を促進することになると、そういう意味では健全であるというふうに考えております。 それから、私は何も公式見解や世論の動向だけをNHKは放送しろと言っているわけではありません。当然、放送機関、報道機関として独自の調査、あるいは独自のいろんな記事の作成があると思います。そういう中で、NHKが公共放送としての正しい、いろんな意見もあるよということを言う場合もありましょうし、国論が割れているときは国論が割れていると言うこともありましょうし、その辺のことはあのときにはっきり申し上げたつもりであります。後での記者会見でもそういうふうにはっきり申し上げました。国の宣伝機関ではないというのは、これは実は私の口から言った言葉でございます。 以上であります。 ○又市征治君 大変失礼とは思いますが、去る二十七日のこの当委員会でも、前の御発言に対して深く反省をし、今後発言には注意をしてまいりますと述べられたばかりでありまして、今おっしゃったように、まさにNHKは国の宣伝機関ではない公共放送でございますから、そこの経営委員長として是非とも留意をいただいて対応していただくように求めておきたいと思います。 次に、総務大臣のNHK予算に対する意見の在り方について伺います。 今年度の大臣意見が余りにも長いものですから、私はちょっと気になりまして、過去十年間の大臣の意見を取り寄せてみました。この点、しゃべり出すと長くなりますから、総務省の方で簡潔にひとつ紹介をしてください。 ○政府参考人(小笠原倫明君=総務省情報通信政策局長) 各年度の大臣意見でございますが、国会に御提出しております資料の行数で申し上げますと、まず平成十年度から平成十六年度までは二十二行から四十八行で推移しております。平成十七年度については八十八行、平成十八年度は九十六行、平成十九年度は百十行、今回お出ししております平成二十年度のものは百七十五行となっておるところでございます。 なお、二十年度予算に付しました意見につきましては、まず今回、職員によるインサイダー取引の発覚という報道機関としての信頼性を揺るがす重大な問題がありましたこと、また、昨年の放送法の改正によりまして、NHKのガバナンスの強化、新たな映像国際放送、番組アーカイブの配信など新規業務が導入されますこと、あるいは、これも昨年秋でございますが、子会社の余剰金に関する会計検査院の指摘がありましたこと、そうした新しい事項につきまして総務大臣の意見を盛り込んだ結果、昨年度より分量的に増えているものでございます。 ○又市征治君 今早口だったから皆さんお分かりによくならなかったかもしれませんが、今年は過去最長をまた更新して、前文で三十一行、プラス本文十項目百十五行で、この本文分でいうならば昨年の倍にも膨らんでいるわけですね。 総務大臣意見というのはあくまでも電波行政の管理者なり特殊法人の所管者としてであるべきであって、昨年の改正放送法におきましてもNHKの番組内容への政府の干渉は禁じられていると、これは言うまでもありません。 ところが、前の総務大臣は、NHKの国際放送に命令放送を強行されるなど、干渉の姿勢が極めて濃厚でしたし、受信料の値下げ幅までも干渉された。さすがにこれには与野党から随分と批判の声がありました。 総務省の事務方は私は昨年の延長線上で対応しているのではないかと疑わざるを得ない、こういう気がするんです。NHK予算に対する総務大臣の意見というのは、やはりNHK自身が実行すると言っていることまでに細々触れることは全くないんではないのか、必要最小限、要を得たものに絞るべきだと思いますが、増田大臣の御見解を伺います。 ○国務大臣(増田寛也君) ちょうど、今局長からお話を申し上げましたとおり、インサイダー取引があったり、それから放送法がちょうど改正される時期、それから、さらには会計検査院からの指摘といったようなことが積み重なってございましたので、今回は、この国会での御審議に資する必要かつ十分な意見を付せと、こう放送法上求められておりますので、総務大臣としての認識なり、それから見解を表明させていただきました。 もとより、長ければいいというものでもありませんし、それからいたずらに長くするつもりも毛頭ございません。また、NHKが番組編集権、独自にいろいろとお考えのあることについて介入するつもりも全くございませんし、その時々の状況を踏まえて、国会の御審議の御参考になるようなことを適切に付していきたいと、このように考えております。 ○又市征治君 これも大臣にお伺いしますが、二十七日の毎日新聞で日本テレビの氏家さんが、普及率三割と遅れている地デジ移行について、生活保護百十万世帯への国の支援が未定だ、総務省の一般向け五千円チューナー普及の要請も進まない、かといって遅れたら民放は一千億円の負担増で地方局がつぶれる、こう述べられていますね。実に金食い虫で、NHKだけでもまだ一千三百五十億円必要だというふうに伺っています。 時期尚早だと私たちはこの地デジには反対をしてきたんですが、最低限でも、低所得者の皆さんや、あえてそういう意味では、まだテレビ新しいからもったいないと、こう言っている人々、そういう家庭への対策をやはり優先をされるべきだろう、こう思うんですが、この点はどういうふうになっていますか。 ○国務大臣(増田寛也君) いわゆる弱者の皆さん方ですね、そうした皆さん方に対しての対応というのは、これはきちんと取らなければいけないと。今内容については情報通信審議会の方で御検討いただいておりますが、対象者、支援範囲、それから支援の方法等につきまして、そちらの方でいろいろとおまとめいただいた上で、その後、私どもで責任を持ってその内容を明らかにしたいと。時期的には今年の夏までに総務省の方針を決めたいというふうに思っております。 今お話の中で低価格のチューナーのお話もございました。これも、地デジをきちんと推進していく上では必要欠くべからざるものでございますので、そのチューナーの使用ガイドラインを取りまとめて既に公表してございますが、これにつきましても、開発普及についてメーカーの方に積極的に取り組んでいただく必要がございますので、今要請も既に行っておりますが、今後も更に要請をして、必ずこれは実現化をして、利用者の皆さん方に供したいと。 この地上デジタルの問題、大変重要な問題でございますので、私も先頭に立って実施に向けて努力をしていきたいと、このように考えております。 ○又市征治君 終わりに、新しい福地体制の下、放送の自主自律を堅持をいただいて、真実に基づく豊かでそして良質な番組の公共放送に引き続き努力されることを強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。 |
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