第169回通常国会

2008年4月8日 総務委員会



(1)衆議院が暴走すれば参議院は与野党一緒に抗議してきた
(2)与党から修正協議の提起が事実上なかった道路財源問題
(3)先送りだけを求めた自公政調、マスコミ発表だけの総理
(4)年末の消費税率引上げの論議とセットでは誰も乗れない
(5)道路財源の年間1兆円の繰越金を活用し地方財源に回せ
(6)踊り場などと経済を言うが企業中心でなく勤労者を見よ
(7)賃上げなき物価上昇で危険なスタグフレーションの様相
(8)政府が見込んでいる今年度GDP成長率2%は高過ぎる
(9)株式取引減税廃止は歓迎だが証券保有は全世帯の8%だ
(10)政府は投資を宣伝するが株は一般的な資産手段ではない
(11)株取引の損益通算制度は大口投資家が有利な格差拡大策
(12)損益通算制度導入の減収の見込みも試算していない政府


○又市征治君
 野党最後でございますから、一番初めに、先ほどから与党の皆さんから、四月に入ってようやく地方税法等の審議が入ったのは問題だ、議長あっせんで三月末までに結論出すはずだったんではないのかという野党批判の御意見がございましたから、野党側の考え方といいますか、認識を若干冒頭に申し上げておきたいと思うんです。

 一月末につなぎ法案を出して、年度末まで暫定税率の維持を含めて向こう十年、五十九兆円の道路計画と特定財源確保しようという動きがあった。このことについて衆参両院議長が、徹底審議の上で、そして合意できるものは修正をして年度末までに一定の結論を出しなさいよと、こうあっせんを出されたということだったですね。
 ところが、全く修正の提案などないまま、二月の二十九日に衆議院では予算案などが強行採決をされた。当時、野党の側はぎりぎり自然成立問題を含めても三月の四日まであるではないかと、こう申し上げたけれども、二十九日に強行採決をされた。

 このときに良識の府たる参議院は、魚住さんもおられますけれども、過去の例からいっても、衆議院が暴走したときに参議院としては、まさに良識の府、再考の府としては衆議院に抗議をする、この意思を示した例は何度もあります。少なくとも与野党一緒になって衆議院に抗議の意思を示す、やってまいりました。そのことをやるべきだったどころか、予算委員会で野党はけしからぬといってパフォーマンスまでやられる、こういう経過で進んできた、こんなことがありましたね。
 そうすると、これ、昨年の参議院選挙で与野党が逆転をして、このような問題はとことん話合いをしていかなければ、野党の理解を求める努力をしなきゃならぬという、こういう努力は全くみじんも見られないということに対して野党側は非常に不信感をかつてないほど強めた、こう言わざるを得ないんじゃないでしょうか。

 そして、事実上、修正協議の提起というのがいつあったのか。ないんです、具体的には。三月二十一日に自民党、公明党の政調の皆さんが各党を回られましたけれども、一年先送りをしてくれと、こう言っているだけの話であって、中身は何もない。総理が三月の二十七日ようやく提起されたけれども、これ各党に対して提示されていません。マスコミに発表をされたということであって、もちろん、その中身の先ほど来出ています一般財源化などという問題は、一定検討すべき価値があると思いますけれども、事実経過から見ますならば三月二十七日までこういう状況が続いてきたのであって、それで議論をしなかったのはけしからぬけしからぬとおっしゃるのは、これはいささか筋違いではないのかと、こういうふうに申し上げておかなきゃならぬと思うんです。

 今大事なことは、私は、国民の六割の人が、こんな状態が続いていることに対して与野党どっちもどっちだという責任論を問うている、こういう世論調査が出ているということをしっかり踏まえるべきだ、これは与野党共にそうだと。そして、やはりガソリンの値段が下がっておること、地方に混乱をもたらさないこと、このことを踏まえて、私は、今月中に本当に修正協議をしっかりやって、できるならば、今言ったことを踏まえながら成案が実って、国民の生活にやはり資していく。この努力こそが求められるし、余り衆議院でやったことにこだわり過ぎて、与党の皆さんもここのところはもう一歩踏み込まないと何を言っているのか全く分からない。ただ単に、今年の年末の税制抜本改革の中で消費税を上げることを前提にしますなんということを政調の皆さんが各党を回ってきて言われたんじゃ、これはだれも乗れない、こういうことになっているんだろうと思うんです。

 そういう意味では、やはり先ほど来総務大臣がおっしゃっていますけれども、道路財源で言うならば毎年一兆円からの繰越金が出ている、このことなども生かしながら地方の財源に穴を空けない、こういうことを含めながら、やはりしっかりと今参議院が果たす役割があるのではないのかと、こういう認識であるということを冒頭私は、野党側の最後でございますから、民主党さんなんかが反論しようと思ってもできませんでしたから、私の方から申し上げておきたいと思います。

 そこで、全般的なこの三法についてお尋ねしたいと思うんですが、地方財政を大きく左右する日本経済の現状は大田担当大臣も踊り場だというふうにこう言っているわけですね。しかし、この踊り場というのも企業中心の成長率に注目した見方であって、勤労者の実態、例えば、何度も私も申し上げていますが、年収二百万円以下の人々が一千三百万人を超えてきている、あるいは非正規雇用が一千七百四十万を超えたと、こういう状況から見るともっと前から厳しい状態になっていると、こう言わなきゃならぬと思うんですね。加えて、ここへ来て原油の高騰だ、生活諸物価の高騰だ、そういう格好の中で賃上げなき物価上昇、危険なスタグフレーションの様相を呈し始めているのではないのかと危惧をいたします。

 そこで、二〇〇八年度の名目二・一%、実質二%の成長率というのは、私はどう見てもこれは高過ぎるんじゃないのかと。去年の実際上はもはや修正をしているということなんですが、内閣府はここのところを修正する意思はないのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思う。

○政府参考人(藤岡文七君=内閣府政策統括官)
 お答え申し上げます。
 本年一月の二十年度の政府経済見通しでございますが、十九年度の名目GDP成長率の実績見込みを昨年一月に公表いたしました十九年度見通しのときから下方改定いたしました。前年比で二・二%から前年比〇・八にいたしてございます。
 その理由でございますが、主といたしまして、改正建築基準法施行の影響により住宅投資と設備投資が伸びが小さくなったということが見込まれるということでありますとか、また前提となります原油輸入価格の高騰がございますし、また賃金の伸び悩み等により、GDPデフレーター、いわゆる名目値を押し下げる要因という、その下押し圧力が増しましてその下落をしたものでございます。
 ところで、二十年度の政府経済見通しでございますが、この改正建築基準法施行の影響が収束してまいります。その影響もありまして、住宅投資及び設備投資が回復してまいります。また、原油価格もまだ高騰は続いてございますけれども、まだその輸入デフレーターの押し上げ要因の寄与が縮小するということも見込みまして、二十年度の名目GDP成長率は二・一%と見込んでおるところでございます。

○又市征治君
 私、これ聞いているのは、当然のこととして地方交付税への影響が出てくるから聞いているわけですね、ここで。内閣府の方はもうこれで結構ですから。委員長、結構です。
 そこで、次に財務省にお伺いをしますが、私は大変今の話は甘いと思う。二〇〇七年度歳入を当初の五十三兆四千億円から補正で〇・九兆円減に修正をしたわけですね。しかし、ある専門家は更に二兆円程度下回るんじゃないかと、こういう予測が出ているところもあります。
 私も前回主張したんですが、二〇〇八年度当初予算の税収見積り五十三兆六千億円というのは大変難しいんじゃないのかと、こう思う。だとすると、早めにやはり下方修正をして税収不足額の対策を立てるべきじゃないかと思うんですが、財務省の見解、どうですか。

○政府参考人(川北力君=財務大臣官房審議官)
 お答え申し上げます。
 十九年度の税収につきましては、補正予算におきまして、それまでの課税実績等を踏まえまして先生から御指摘ございましたように〇・九兆円の減額補正をさせていただきまして、五十二・六兆円としたところでございます。その後、直近までの税収の状況を見ますと、二月末まででございますが、税収累計は三十五・六兆円となっております。十九年度の全体の税収の動向につきましては、三月決算法人の法人税の確定申告分が五月分に収納されますが、その五月分の税収に大きく左右される面がございます。
 次に二十年度税収につきましては、この十九年度の補正後予算を基に二十年度の政府経済見通しにおきます各種の経済指標等を踏まえまして、五十三・六兆円、補正後予算と比べまして一・九%の増というふうに見積もってございます。
 二十年度に入ったばかりでございますので二十年度税収の動きにつきましてまだ何も申し上げる状況にはございませんが、いずれにいたしましても、今後の経済情勢や税収動向等につきましては注視していく必要があると考えております。

○又市征治君
 そういうふうに願いたいけれども、私は非常に甘いと思う。
 そこで、総務省に伺ってまいりますが、今内閣府やあるいは財務省の側は非常に希望的観測のように見えているわけですが、これは総務省はそういうわけにはいかないんじゃないのか。生身で地方交付税などに響いてくる、こういうことなんですが、あなた方も内閣府や財務省がそう言うから仕方ない、そういう見方だと思っているのか、いや場合によるとこれは下方修正せざるを得ないというふうに思っているのか、ここらのところの認識を聞きたいんですが、前回も質問したんですけれども、累年の交付税原資たる五税の対予算の減に対して政府は交付税特会の借入れで対処してきたわけですね。それが今八兆円にもなって、地方共通の借金として将来の先食いをしていると言った方がいいでしょう。
 そこで、総務省は、今年度は減収分は特会借入れや地方債ではなくて政府の責任でカバーするように財務省と早めに交渉すべきだと思うんだが、その点の考え方はいかがですか。

○政府参考人(久保信保君=総務省自治財政局長)
 地方交付税の原資となります国税収入の予算計上額につきましては、ただいまも財務省からも御答弁ありましたけれども、財務省におきまして直近の課税実績、あるいは足下の経済動向、各種経済指標等を踏まえて適切な見積りに努力をされていると考えておりまして、年度初め早々のこの現時点におきまして、国税収入が予算計上額を下回ることを前提として私どもが財務省と協議に入るということは適当ではないと考えております。

 なお、今後、仮に予測し得ないような経済変動によって国税収入の減が生じまして、それに伴って交付税総額の減額が生じた場合、地方歳出の減少要素がなければ、その分当然財源不足が拡大するということになってまいります。したがいまして、そのような事態が確実な段階に至ってまいりますと、財務省と協議をして、地方公共団体の財政運営に支障が生じないように、国の補正予算と併せて適切な補てん措置を講じるということが必要になると考えております。

○又市征治君
 先ほども申し上げたように、そういうことにならないことを願っていますけれども、しかし皆さん方が今日ここでおっしゃったことがはてさて九か月、一年たってみたときにどうなるのか、大変私はその点は危惧をする。去年の例から見ても非常に甘かったということがあるわけで、そこのところを危惧いたしますが、最善の努力を是非求めておきたいと、こう思います。

 次に、今回法案の株式取引の軽減税率の廃止というのは、証券所有者と勤労所得者との間の不公平が強まる中で、遅過ぎたとはいえ歓迎をしたいと思います。
 ただし、過日の衆議院での我が党の重野議員の質問に対して河野局長から誤解を招く答弁があったのでちょっとこの点はただしておきたいと思いますが、局長が引用した日本証券業協会のアンケートの対象者というのは一体これはだれなのか。金融広報中央委員会が例年行っているアンケートと大きく違っているんじゃないかと思うんですが、そこの説明をしてください。

○政府参考人(河野栄君=総務省自治税務局長)
 御質問は二月二十六日の衆議院総務委員会における答弁についてであろうかと思いますけれども、この際に引用いたしました調査は、日本証券業協会が平成十八年六月に実施をいたしまして十月に取りまとめた個人投資家の証券税制に関する意識調査の数字を申し上げたものでございます。この調査は、株式等を保有する全国の個人投資家二千人を対象として行ったものというふうに承知をいたしております。

○又市征治君
 国民全体を表す金融広報中央委員会のデータによれば、資産としての証券保有というのは全世帯のうち八・五%、こんなふうに報告されていますね。今あなたが言ったのは、証券業界の証券保有者だけのアンケートを基に言っておられるわけで、それで全国民の七割が株を好んで行っているかのように印象付けられる、議事録読みますとそんな格好になっているんで、ここのところはそうじゃないということをはっきりしておいてもらいたい、こう思います。

 政府を挙げて貯蓄から投資へと宣伝をなさっているわけだけど、なぜ国民が株取引を信用しないのか、また株にまで手が回らないのだというふうに認識をされていますか。その点と二つ。

○政府参考人(河野栄君)
 先ほどのデータに関してでございます。金融広報中央委員会の調査、言及されましたけれども、これ日銀内に事務局がございます金融広報中央委員会の調査、家計の金融行動に関する世論調査のことだろうと存じますけれども、ここでは、家計の金融資産に占める株式の割合として、今おっしゃった八・五%という数字が出ております。ただこれ、この調査は、収入階層別の分布を示すというものではございませんで、調査対象世帯の金融資産に占める株式のシェアの数字が八・五%である、こういう統計でございます。
 先ほど申し上げました、先日の衆議院総務委員会における答弁でございますけれども、これ、重野委員からのお尋ねが、株式取引をしている方々のうちどのくらいの比率の方に、これ損益通算の制度をめぐっての質問であったわけでございますけれども、どれくらいの比率の方に損益通算の効果があるかという趣旨の御質問をいただいたわけでございまして、その問いの前には、さらに、この損益通算の制度につきまして高額所得者が有利に操作できる、そういう問題があるのではないかという御指摘もいただいておったところでございます。
 こうしたことを受けまして、先ほど申し上げましたように、この証券業協会の調査の数字を引用いたしまして、個人投資家に占める中低所得者層の割合をお示しをいたしまして、今般の税制改正の効果が、高額所得者層だけでなく一般の個人投資家に及ぶと、こういう旨をお答えしたところでございます。

 なお、貯蓄から投資へということに関連してお話ございましたけれども、貯蓄から投資へという方向に向けていろんな環境整備やられておるわけでございますけれども、これに伴いまして、この数字にも多少表れているかと思いますけれども、いろんな投資家のすそ野というのは広がってきているのではないかと思っております。
 これもちょっと余り、何といいますか、非常に厳密な調査ではないかもしれませんけれども、全国証券取引所の株式分布状況調査というものございまして、時系列で個人株主数、これは上場企業だけに限った数字でございまして、一人の方がたくさんの会社の株式を持っておられるケースもございますので、延べ人数で重複計上になっていると思いますけれども、この数字、時系列でだんだん増えておりまして、例えば十年間取って比較いたしますと、一九九六年で二千七百三十七万人の延べ数であったものが、十年後の二〇〇六年、これが一番新しい数字でございますけれども、三千九百二十八万人とかなり増加をしてまいっておりますので、いろいろそういう株式取引をめぐっていろんな御意見あろうかと思いますけれども、実態としてこういうふうになっているということでございます。

○又市征治君
 株取引が国民の一般的な金融資産保有手段ではない、そういう状況、これは我が国の特色なんですが、そういう中で今回創設される株取引の損益通算制度というのは、大口投資家に有利にして、所得格差が一層拡大するようになると思うんですね。そのときに、どのくらい税の減収があるというふうに見込んでいますか。

○政府参考人(河野栄君)
 今回の税制改正におきまして、新たに株式の譲渡損とそれから配当の損益通算の仕組みを導入することにしているわけでございますけれども、この趣旨は、個人の金融商品選択におきます課税の中立性を確保する、そして投資リスクを軽減できる簡素で分かりやすい金融所得課税の一体化の方向を進めると、こういうことは政府税調の答申でも本格的に進めるべきだと、こういう答申をいただいているわけでございますけれども、こういう方向に沿いまして、上場株式等に係る譲渡損失と配当との間の損益通算の仕組みを導入すると、こういう趣旨でございます。
 お尋ねのこの制度の導入に伴います減収額でございますけれども、これをはじきますといたしますと、上場株式等の譲渡損失額、これを推計する必要がございます。
 しかしながら、株式の譲渡損失というものは投資家が保有株式を売却することによって発生するわけでございますけれども、将来の株価、これも変動するわけでございますし、それからまた株式の取引高、こういったものを的確に予想することは大変困難でございます。また、いつ、どの程度の額を売買するか、これは資産状況等を踏まえて個人の投資家が判断をされるということでございますので、なかなか推計が困難でございます。
 したがいまして、この制度の導入に伴います減収の見込額というものは試算をいたしておらないところでございます。御理解を願いたいと思います。

○又市征治君
 分からないというか、試算していないというか。
 ただ、私は専門家にこの問題聞きました。それによりますと、三か年分の売却損を配当益の多くなった年に相殺できるわけですから、最大の場合で配当課税のすべて、つまり国税で二兆二千億円もが控除される。あるいは、府県民税、市町村民税もその三分の一減収になり、せっかくの軽減税率廃止も全く水の泡ということになるとの見方もある。
 そうすると、もっとこの点については、いや、試算していないとか分からないとか今始めたばかりだからという、これは大変な問題引き起こしかねないわけで、慎重にこれは検討されるべきだと。今日は答えは求めませんが、是非ともそのことは慎重に更に検討してもらいたい、試算もしてもらいたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 一番冒頭に余分な演説をしたものですから、大臣にこの後、道路問題をずっと聞こうと思ったやつが今日はできなくなってしまいましたが、次回に是非その点はただしてまいりたいと思います。
 ありがとうございました。