2008.3.17

道路特定財源問題の修正提案に当たって

1.  道路特定財源問題が、当面の大きな政治課題となっている。それは、例えば、法律本則で24.3円となっている揮発油(ガソリン)税が暫定上乗せ分を加えて2倍の48.6円とされてきたものが6税目あり、その暫定措置が08年3月末に切れることにある。

2.
 社民党は、かねてから、30年以上にわたる暫定上乗せ自体が異常であり、道路整備の進展状況など時代の変化を踏まえた見直しが必要であり、道路特定財源の莫大な無駄遣いの削減を含めて租税特別措置法などの抜本改正が必要だと主張・提案してきた。

3.  ところが、政府・与党は、これまで衆・参両院で多数を占める下でこうした主張を押し切ってきた惰性の上に、「暫定税率は平成20年度以降10年間維持する。事業規模を59兆円以下とする向こう10年間の道路整備の中期計画」を前提とした租税特別措置法改正案・地方税法改正案を今国会に提出した。そして与野党逆転の参議院でこれが否決されても、3月末で期限切れとなるガソリン税などを延長する「つなぎ法案」の強行まで画策した。
  さすがにこれは、参議院の論議封殺・参議院無用論であることから、衆・参両院議長が斡旋に乗り出し、「徹底審議を通して修正を含めて年度末までに一定の結論を得る」旨を示し、これを与野党が合意し、「つなぎ法案」は撤回となった。

4.  その後、衆・参両院における論議を通じて、この道路特定財源を囲い込む国土交通省による莫大な無駄遣いや道路建設以外への流用、そして10年間・59兆円の「道路の中期計画」の積算根拠のあいまいさも明らかとなり、国民の不信が一挙に増大した。
  したがって、この「道路の中期計画」や道路特定財源の修正を避けて通ることはできない。参議院の与野党逆転の成果でもある。

5.  社民党は、早急に「与野党6党の修正協議の場の設置と年度末までの結論」を求める。わが党の道路特定財源問題についての考え方は別記(別紙2)のとおりであるが、私は、修正協議に当たっては、これを踏まえつつ、年度末を目前にして国民生活や地方自治体の事業に混乱を起こさないよう激変緩和措置が必要との観点から、「道路特定財源の修正に関する提案(私案)」をまとめ、3月11日に党政策審議会にたたき台として提案した。

6.  なお、民主党は、(1)揮発油税など暫定税率は廃止、(2)特定財源の一般財源化、(3)国直轄事業の地方負担金廃止 ―などを修正の基本としていると伝えられる。
 しかし、(1)暫定税率の全廃では約2.6兆円(国1.7兆円、地方0.9兆円)の税収減となり、(2)地方負担金(道路分約0.6兆円)を廃止しても地方は0.3兆円の減収となる。(3)とすると、国の道路財源は一挙に1兆円余り(現行の3割)となり、国民生活や国・地方に混乱は必至である。「私案」はこれを避けることを主眼とした当面の改革案である。


道路特定財源の修正に関する提案(私案)

1.  暫定税率は、次のとおり激変緩和や地方の財源不足回避措置を講じて、廃止する。
(1)  自動車取得税の暫定税率は、当面、本則に一本化し、廃止する。ただし特定財源から外し、地方の一般財源とする。
(2)  自動車重量税の暫定税率は、当面、本則に一本化し、廃止する。ただし、地方への自動車重量譲与税の配分は、現行1/3を2/5に引き上げる。
(3)  揮発油税(地方道路税を含む)は、本則及び暫定分を合わせて現行53.8円であるが、暫定税率の1/2(12.6円)を減税して41.2円とし、本則に一本化する【7,186億円減税】。ただし、地方道路譲与税の配分は、現行の5.2円を1/5に引き上げる。
(4)  軽油引取税は、本則及び暫定分を合わせて現行32.1円であるが、暫定税率の1/2(8.6円)を減税して23.5円とし、本則に一本化する【2,656億円減税】。
(5)  石油ガス税は現行どおりとする。ただし特定財源から外し、地方の一般財源とする。
2.  暫定税率廃止に伴う地方減収(9,000億円)は、上記②及び③の措置によって補填する。そのため、地方の配分は調整する。

3.  「道路の中期計画」は、「公共事業3%削減」方針並びに莫大な浪費の削減を踏まえ、5か年・20兆円程度の計画に減額変更する。

4.  国直轄事業の地方負担金(道路分約6,000億円)は、「道路の中期計画」を減額変更することに合わせて、廃止する。 

5.  道路特定財源は、上記(1)及び(3)の措置で一定の一般財源化と縮減を図ると共に、当面、下記(6)の総合交通政策の確立をまって、一般財源化を目指していく。

6.  道路整備特別会計は、交通関係の他の特別会計(港湾、空港関係)と統合して「総合交通特別会計」とする。この会計では、交通関係の社会資本整備を総合的に行うとともに、公共交通の維持・確保、交通バリアフリー化の推進、交通安全対策の強化、環境対策等に使途を広げる。

7.  当面、上記(1)のとおり、自動車取得税を地方の一般財源に移し、また石油ガス税を地方への譲与税に替えるとともに、引き続き他の財源についても財源の地方分権化を進める。

8.  別途、環境税を創設する。これは、CO2排出源の負担を基本とするが、クルマ社会の負の側面にかんがみ、揮発油税(本案で41.2円)及び軽油引取税(同23.5円)の内から一定額の繰入れを予定する。


《道路特定財源の修正の補足説明》

1.  別表のとおり、暫定税率を全廃すれば、予定された税収総額54,043億円が26,004億円減収となり、国は16,427億円、地方は11,613億円となる。その上に国直轄事業の地方負担金(約6,000億円)を廃止すれば、その分、国の支出増となり、結果として国は1兆円余りの税収しかなくなる。地方でその分支出は減るが、税収総額は3,000億円減収の計算となる。
 このように、直ちに税収が国で31%、地方で56%に減ずることになれば、①国・地方ともに進行・計画中の道路建設が大きく狂い、②地方では議決したばかりの08年度予算の大幅な減額補正(約6,000億円)が迫られ、さらに③国民レベルでは、ガソリンや軽油が安くなるメリットと自動車取得税や軽油引取税では減・免税がなくなるデメリットも生じる。

2.  したがって、激変緩和や地方の財源不足回避策が不可欠である。そのため、暫定税率については、①本則に一本化し財源を地方に譲与するもの(自動車取得税、石油ガス税)、②当面、半分を減税し、残りを本則に一本化するもの(揮発油税、軽油引取税)、③併せて国・地方の配分を地方に厚くするもの(自動車重量譲与税、地方道路譲与税)に仕分けした上で廃止するという激変緩和措置が必要と判断した。
 これによって、焦点である揮発油税(地方道路税含む)と軽油引取税の暫定税率は、それぞれ1/2([12.6円]と[8.6円]分)が減税となる【9,842億円減税】。

3.  暫定税率の廃止によって地方の税収減(9,064億円)が懸念されたが、上記措置によって、予定された地方の税収20,677億円は20,551億円(126億円の減額)で、ほぼ補填できる(自動車取得税及び石油ガス税の一般財源化・地方譲与を含む)。

4.  「道路の中期計画」は5か年計画に変更する。その場合、「公共事業3%削減」方針を踏まえれば「10年・59兆円」は50兆円程度であり、さらに費用対便益(B/C)を含めた積算根拠の見直しや莫大な道路財源の無駄遣い・流用の削減等で、20兆円程度に減額変更する。

5.  「道路の中期計画」の見直し・変更によって国直轄事業への地方負担金は廃止する(54,000億円の内6,000億円の負担金は、修正案の44,889億円に引き戻せば4,900億円程度であり、この分は解消される)。

6.  環境税の創設は、CO2排出源の負担を基本(炭素税)としつつ、クルマ社会の負の側面にかんがみ、揮発油税(12.5円が暫定税率繰り入れ分)及び軽油引取税(8.5円が暫定税率繰り入れ分)の内から一定額の繰り入れも予定する。

7.  なお、国・地方の配分変更の内訳は次のとおり。

(1)
自動車重量税・自動車重量譲与税(税収10,725億円×2/3×77.5%=国5,541億円、10,725億円×2/5=地方4,290億円、894億円は一般財源)
(2)
揮発油税・地方道路譲与税(税収30,683億円÷53.8円×41.2円=23,497億円×4/5=国18,797億円、1/5=地方4,699億円)
(3)
軽油引取税(税収9,914億円÷32.1円×23.5円=地方7,258億円)


道路特定財源の内訳と修正(案)

(税収額は08年度予算 単位:億円)

税  目 本 則
税収額
暫 定
税収額
税 収
総 額
備  考 修正内容
揮発油税 13,843 13,843 27,685 本則24.3円.暫定24.3円
※地方道路税を含め53.8円
(うち暫定は24.3円+0.8円=25.1円)
地方道路譲与税分を含め41.2円で本則化(暫定の半額12.6円を減税)
       (▲8,888
)18,797
自動車重量税 2,444 3,097 5,541 税収10,725億円の2/3=7,150億円の77.5%運用上、国の道路特定財源
【他に一般財源1,583億円 】
暫定税率の本則化
(国一般財源の一部691億円を地方移譲)
             5,541
石油ガス税 140 140 石油ガス税収の50% 地方一般財源化  (▲140)
国合計 16,427 16,940 33,366       (▲9,028)24,338
自動車取得税 2,715 1,309 4,024 都道府県及び指定市(30%),市町村(70%)の比率で配分
暫定税率の本則化・地方の一般財源化
             4,024
自動車重量譲与税 1,588 2,013 3,601 自動車重量税収の1/3が市町村
重量税収の2/5を市町村
         (+689)4,290
地方道路譲与税 2,537 461 2,998 揮発油税と併課(本則4.4円.暫定0.8円=5.2円)。
58%を都道府県・指定市、42%を市町村に配分
揮発油税収の1/5を地方に
        (+1,701)
4,699
石油ガス譲与税 140 140 石油ガス税収の50%(都道府県・指定市)
石油ガス税の全額を地方譲与税に
         (+140)
280
軽油引取税 4,633 5,281 9,914 ※32.1円(うち暫定は17.1円)
道府県税
23.5円で本則化(暫定の半額8.6円を減税)
        (▲2,656)
7,258
地方合計 11,613 9,064 20,677   (一般財源化4,304を含む)
        (▲ 126)
20,551
道路特定財源
税収合計
28,040 26,004 54,043        (▲9,154)44,889


以 上