第159回通常国会

2004年3月8日 決算委員会


(1)不要な特別会計を廃止せよ
(2)年金積立金の6割が不良債権化?
(3)社会保険事務の国一元化と国保納付率の低下


○又市征治君
 社民党の又市です。
 本日は、全般的質疑ということでありますので、大枠な問題を取り上げて、細部については後日の審議に参加をしてまいりたいと、こう思っています。
 かねてから、私も巨額なそして不透明な特別会計についてただしてまいりましたけれども、昨年十一月に財政審がその見直しの報告をなされました。それによると、一つは、電源開発特別会計における不用、剰余金、一般会計からの繰入れを縮小して石油特別会計との整理統合をすると、こういう中身が出ています。しかし、この程度では極めて不十分だと思うんですね。なぜかなら、この原発の新規建設全体が凍結だとか中止だとかというのは随分出てきていますね。そういう現状の中で、こうした原発推進、あるいは去年のこの決算委員会でも大変論議をいたしましたが、利権垂れ流し型のこういう状況があるこの特別会計そのものがむしろ不要になってきているんではないか、こんなふうに思われてしようがありません。あるいはまた、産業投資特別会計も大幅縮小の方向がその中では出されているわけですけれども、巨額の原資を毀損、つまり回収不能にして検査院から厳しく指摘されたわけですから、これはもう当然のことだろうと思います。
 しかしながら、例えば電気通信産業などは技術革新が非常に早い分野でもありますし、そしてまた経済力も強いわけですから、この特別会計はむしろ一般会計に吸収をして、そしてもっと弱い分野、例えば過疎地域対策であるとか、あるいは情報弱者対策であるとか、こんなところにむしろ活用すべきじゃないかというふうに私は思っています。
 今、その個別の幾つかを聞くつもりで申し上げているんではなくて、そこで財務大臣にお伺いをしたいのは、こうした不要になった、あるいは財源囲い込みによって腐敗が生じたり、あるいは国民の資産を毀損した会計、こんなの幾つかございますね。こんなのはやっぱり廃止をするなど、もっと踏み込んだ改革をするべきではないか、こんなふうに私思っておるんですが、ここのところの基本的な考え方をまず財務大臣からお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君=財務大臣)
 先ほど、委員の御議論の中にもありましたが、昨年、財投審で総ざらい的な検討をしていただきまして、それを踏まえましてこの十六年度から始めておりまして、これは今年だけで終わるわけではありませんで、これからも続けていかなきゃならないと思います。
 そこで、考え方としまして、前塩川大臣がおっしゃいましたように、離れで、母屋でおかゆを食べているのに離れですき焼きはけしからぬというように、その一つ一つの事務事業を見直して、効率化それから合理化というものをしなきゃいけない。それから、一般会計から繰り入れたりいろんなことがございますが、そういうものを縮減するとか、あるいはその料金などをきちっと見直すとした、歳出、その特会の歳出歳入構造の見直しですね。それから、全体見渡しても、この数が非常に多いのと、一般会計からの出入りや何かで、なかなか国会なんかで御審議いただくときでも特別会計の全体像というのはなかなか把握しにくいというのが実情じゃないかと思います。
 そこで、その企業会計に準じた新たな特別会計財務書類を作成するといったようなことで、アカウンタビリティーといいますか、そういうようなものも今後引き続き、まだ公会計と民間会計の違いというものがありまして、なかなかやってみると難しいんですけれども、できるだけそれは進めていって、全体像をこういう国会の御審議でも明らかに見ていただくようにしなきゃいけない。
 最後は、要するに区分経理を行うのが特会の、それが必要性があるから特会を認めるわけですね。区分経理した方がはっきりして、そこでの独立のいろんな責任も分かっていいような状況なのか、それとも、そのことがかえって何か陰の方で一覧性を阻害して余りオープンにならないようになっているのか、そこら辺りを更に厳しく見直していかなきゃいかぬと、こういうことで今後ともやらせていただきたいと思っております。
 ただ、先ほど御議論になりました電源特会とかの問題は、これは経済産業大臣に......

○又市征治君
 そこはいいんです。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 ああ、そうですか、じゃ、そこまでで。

○又市征治君
 今お話がございましたから、三位一体改革ならぬ、三位ばらばら改悪で、二兆八千六百億円も地方が交付税や補助金が削減をされた、予算が組めないと、こう悲鳴を上げている、こういう現状を踏まえますと、さらにこの特別会計、突っ込んだ改革を、今も大臣からありましたけれども、強力に進めていただくように申し上げておきたいと思います。

 そこで、次に厚生労働大臣にお伺いをいたしますが、年金問題について大きく二つについてお伺いをしたいと思います。
 この抜本改革なき、これは先送りで、保険料は上がります、給付は下がりますという今回の改革案についてはごうごうたる批判が起こっている。これは当然だろうと私も思います。この問題は今後の法案審議であるいは予算委員会でもしっかり論議をしてまいりたいと思いますが、今日は決算の立場で年金の積立金について伺っておきたいと思います。昨年十一月の厚生労働省の案では、従来この積立金は崩さない、こういう方針でずっと来た。しかし、この案では積立金取崩しの方向性も出されたわけですね。これ自体は私は結構なことだと思っています。
 そこで、この積立金は、九九年度末で百四十四兆円がある、今現在では百四十七兆と、こう言われているわけですが、大臣、これね、本当にこの価格で、現実にこの価格で現存しているのかどうか。さあ、いざ取り崩そうと思ったら、随分この額が減っておりました、いや、実は回収不能になっている額があるんです、こんなことは毛頭ないんですね。この点についてまずお伺いいたします。

○国務大臣(坂口力君=厚生労働大臣)
 積立金につきましては、財務大臣からも先日も御答弁をいただいているところでございまして、今日まで順調に返還をしていただいておりまして、そして今後も順調に返還をしていただけるものというふうに思っている次第でございます。

○又市征治君
 実は、ここに日本医師会附属の日医総研、日本医師会総合政策研究機構というのの調査報告書がございます。昨年の、一昨年の四月ですかね、四月に発行されていますから、当然厚生労働省は検討済みなんだろうと思うんです。
 これによりますと、今、これは皆さんのお手元に最後のまとめの一枚が出ていると思いますけれども、これによりますと、年金の積立金百四十四兆円のうち、六割に当たる八十七兆八千億円が不良債権化をしているんだということが記されているわけです。このペーパーでいいますと右側の一番上のところ、年金積立百四十四兆円のその横の方ですね、八十七兆八千億円、これが不良債権化と、こう書かれています。資金運用部に、つまり現在の財務省の財政融資資金を通して投融資した積立金のうち、例えば特殊法人で五十九兆七千億円、これは表の左側の一番下、特殊法人がございますね、ここの下で不良債権化をしているのは百八十三兆八千億円あるんだけれども、うち郵貯などが入っているから、これを案分すると五十九兆七千億円不良債権化をしているんだ。あるいは右端の方へいきますと、国の特別会計、これでは十兆六千億円が焦げ付く。こういうふうに実はまとめとして出されているわけですね。
 そこで、大臣にもう一度お伺いをするんですが、厚生労働大臣は当然これの、年金の責任者でございますから、出資者として当然自らチェックをした上で、先ほど当然これは全部返ってくる、こういうふうに御答弁なさったんですが、これは焦げ付きは全く起こらない、あるいは毀損は絶対ないんだ、こういうことなのかどうかもう一度改めて御説明を願います。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 先ほど厚生労働大臣が御答弁されましたように、今、年金から預託していただいたのは今着々とお返ししておりまして、平成二十年度までに全部お返しをするということで今順調に進んでおりまして、御懸念はないものなんです。
 それで、今お示しになりました日医総研の見解ですけれども、これは財投の姿を正しくとらえたものというふうには私どもは思っておりません。
 その理由を申し上げますと、まず財投機関に対して国費が投入されている場合がありますが、それを全部この論文では不良債権化しているとしてとらえてこのような試算をなさっているんですが、しかし財投機関に対して国費が投入されているのは、受益者の負担する利用料とか、あるいは金利を低く抑えようという政策目的でやっているので、これを全部不良債権だととらえていただくのは少し、少しというか全然違うんじゃないかというふうに思うんですね。
 それから、財投が引き受けております地方債とか、それから特別会計向けの貸付けのおおむねが不良債権で返済不能に陥るというふうに見ておられますが、これは極めて非現実的な前提で書いておられるんじゃないかと思います。
 それから、この論文は、特殊法人などの債務超過額を独自に算出しておられるわけなんですが、その方法も、将来投入される国費をすべて負債とみなすというようなやや極端な前提の下に計算されておられるというので、まあ余りこれ以上申しませんが、そういうことで私どもとすれば、実態を正しく反映したものではないというふうに考えております。

○又市征治君
 かなり、私もざっと目を通しましたけれども、この調査報告書はラフな計算ではなくて、各特殊法人それから各特別会計の財務状況を一つずつかなり精査をして、そして積み上げてこの金額を出しているわけですね。だから、今私も、今、財務大臣の御説明の一部は理解をいたします。いたしますが、問題は、一体全体そうした、私たちもこの決算委員会で随分問題にしてまいりました、あるいは先ほども言いましたが、この特殊法人やあるいは国の特別会計で随分と毀損が起こっておる、現実にある、回収不能だと、こういう問題などがあるから今こういう指摘がされているんだろうと思うんですね。
 したがって、もう一度お聞きしますが、そういう毀損があったとしても、これは一切、国民には一切迷惑掛けないんです、こういうことなのか、いや毀損は元々ないんだ、これはもう誤っているんだと、こういうお話なのか。私もちょっと確かめましたけれども、少なくとも日本医師会ですよ、そこの総合研究所。じゃ、ここに誤りだというふうに抗議をなさって、そしてこれは訂正をお求めになられたのかどうか、これも全然聞いていないんですが、ここのところをまずお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 これ抗議したのかということでございますが、民間の個別の研究者の論文でございますから、私どももそれは他山の石として十分参考にさせてはいただきますけれども、それぞれ学問の自由もおありだと思いますから、一々抗議するというようなことは考えておりません。

○又市征治君
 総理にも申し上げておきたいと思うんですが、この特別会計の改革、昨年の審議でも明確にされた、そしてまた元厚生大臣もなさっておったわけですが、本当にこの年金資金が貸付けにされておって、そのところで毀損なんていうのは全くないのかどうか。これは、大変今、年金問題、重大な国民の関心事ですから、そういう点ではやはり、こうした問題についてやはりしっかりと調査をそういう意味では御指示いただき、そしてこうした、いや抗議しなかったという問題じゃなくて、私は、どこかの単なる一民間とおっしゃいますけれども、日本医師会ですよ。そういう意味で極めて私は権威が高いと思う。
 そういう意味で、部分的に誤りがあるならあるというふうに明確に指摘をされるべきであって、それなりきのお医者さんの皆さん方がこんな格好でこんなにむちゃくちゃだとおっしゃっているから私どもにもこれが入ってきたわけでありますから、そんなことを含めて、是非そういう意味では総理、この点について調査をそういう意味では御指示なさいませんか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 又市議員のお話を伺っておりまして、これは今までの年金の運用の在り方、あるいは特殊法人、財投等の運用の在り方に対して警鐘を鳴らしているんだと理解しております。
 私はその調査レポートを読んでおりませんが、これはよく考えなきゃいけないことなんですが、今、年金についても郵貯にしても、財投預託を廃止しました。これは財投改革の一環でありまして、国民にとっては、例えば特殊法人の、今、年金福祉事業団、グリーンピア等、当初は国会でも反対なかったんですよね、決議して作れと。地方では歓迎するんですよ。あるいは雇用福祉事業団のあの施設にしても、過疎地にそういう安くていい施設が来れば歓迎すると。自治体も誘致に、国会議員等に陳情してくる。そういう中で、果たしてこれがどういう負担でなされているかという点についてはなかなか見えにくかった。また、要望の方が強いものですから、資金も積立金等で潤沢にあった、雇用保険にしても年金の積立金にしても。だから、これは一部の方々に負担を還元するんだということでやってきた。しかし、これは考えてみれば、どこかで負担している人がいるわけですから、収益事業を上げない限り、必ずどこかで負担する。で、結局負担し切れないときは税金で負担しなきゃいけない。
 いい例が、住宅金融公庫でもそうです。廃止決めましたけれども、これは民間の金融機関よりも低利で貸してくれればみんな喜ぶんです。しかし、その低利の部分はどこで負担しているのか。結局税金で負担するわけですよ。しかし、この資金はどこからというと、郵貯の下で財政投融資として来ている。だからこそ、官の分野の構造改革をしなきゃいかぬということで、財投改革にしても、特殊法人改革にしても、郵政の改革でもやっているわけです。
 これは非常に難しい問題で、結局、民間のやる分も、民間のやっている人は、何にしても、サービスにしても高い、あるいは金利にしても高いから低い方がいいというふうになると、その差額は結局税金で負担しなきゃならない。どっちがいいかと。だから、民間でできるところは民間にといって住宅金融公庫を廃止と言ったらば、廃止できるわけないじゃないかといって反対があったけれども......

○又市征治君
 そんなこと聞いてない。ちょっと答弁簡単にしてくださいよ。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 実際、廃止された場合は、民間が今まで官がやっていた分野にも参入してきて、これからの資金が有効に民間にも活用されると。
 これはやっぱり非常に重要な問題で、一つの警鐘を鳴らしているというふうに財務省も真剣に受け止めなきゃならないと思っています。現状がいいという答弁は当たらないと思っております。

○又市征治君
 話が横へそれてしまって時間がなくなっていくんですが、坂口大臣にちょっと簡単に最後に一つ年金問題に絡んでお聞きしておきます。
 社会保険事務所の事務の国一元化と国保の納付率の低下の問題についてちょっとお伺いしておきますが、以前は県庁内にありました年金課あるいは保険課というのが、事務の国一元化に伴って全部都道府県の県庁から出て一等地のテナントビルに入居して、年間、今でいいますと二十二億ぐらい余分な金が掛かっていると、こういう無駄が生じているわけですね。
 また、平成十二年以前は市町村と協力をして国保の納付アップというのを図ってきたわけですが、それがなくなったものですから、国一元化になってしまいましたから、したがってこれが、納付率が大幅に落ちてきている。十四年が特にそうだと。そこで、その納付率、今六二・八%まで落ちている、これを何とか八〇%に上げようということから、現在、全国で千九百人の国民年金推進員、これを配置をして何とかアップ図ろうと、こうしているわけですね。雇用問題、別に見れば、私にしてみると、国民の保険料を使って随分と壮大な無駄遣いをやっているんじゃないのかと、こういう気がしてならないわけです。を
 そういう意味で、私は、むしろこの社会保険事務は地方にやってもらった方がよっぽど効率がいい、こんな無駄は使わなくてもいい、こう思っているんですが、その点、簡単にお答えいただきたいと思います。

○国務大臣(坂口力君)
 思いは私も分からないでございません。地方でおやりをいただいておった方が非常に丁寧で効率的であったことだけは、効率的と申しますか、丁寧であったことだけは間違いがありません。
 今、国でやっているわけでありますが、国がやるということになりますと、地方の何分の一かの勢力にこれはなってしまうわけです。たとえ、千九百人導入したとしても、過去に比べればこれは少ないわけでありますから、その点は私たちも留意をしてやらなければいけないというふうに思っておりますが、ここはしかし全体でアップをしなきゃならないことだけはもう紛れもない事実でございますので、懸命にやりたいと思っております。

○又市征治君
 終わります。