第159回通常国会

2004年3月24日 総務委員会


(1)公務員制度の能力評価について
(2)特権官僚増殖システム温存だった「改革」政府案
(3)「三位一体」交付税と国庫補助負担の削減だけでなく税源移譲を



○又市征治君
 社民党の又市です。
 初めに、公務員制度について伺いたいと思います。
 公務員制度改革の名の下で、残念ながら天下りの放任、あるいは特権エリートの養成と抱き合わせで能力等級制を打ち出した政府のいわゆる大綱路線、これは国民から大変厳しい批判を受けましたし、その結果、今、一とんざをしているわけですが、その意味では国民にとってじっくりと考える良い機会だとも言えるんではないかと、こう思います。
 その中で、特に能力評価の問題につきましては、事務部門では大変難しいと、こう言って撤回をするような民間企業も今日出ているのが現状であります。もちろん、評価をする以上は、結果を昇進や給与に反映させるというのは当たり前でしょうけれども、そこまで縛るという場合にあっては、事前に職員団体や全職員に周知をして、制度設計にかかわるべきは当然のことだろうと、こう思います。
 この点で、今日は春田室長に来てもらっていますが、ここの点、どういうふうに御認識されておるか。秋の国会に出すために準備されているんでしょうけれども、また、拙速にやってミスであるというのは、これ駄目ですから、その点申し上げて、見解をお伺いしておきたいと思います。

○政府参考人(春田謙君=内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室長)
 お答え申し上げます。
 公務員制度改革につきましては、現在、能力実績主義の人事制度の導入など、改革の内容を具体化するための検討を進めているところでございます。御指摘のように、能力実績主義の新しい人事制度、有効に機能させるためには、公正で納得性の高い評価システムを導入すると、これを任用や給与に活用するということが必要であるというふうに考えてございます。
 新しい人事制度の検討に当たりましては、御指摘のように、職員団体を始めとする関係者の間で幅広く意見交換を行っていくということが重要であるというふうに考えております。特に、職員団体、公務労協等からは私どもに対しまして政労協議の開催の要請がなされていることを受けまして、二月からは連合、公務労協との間で関係行政機関の局長レベルで事務的な打合せを開催するというようなことも行っているところでございまして、その中で幅広く公務員制度改革についても意見交換を行っているというところでございます。
 いずれにいたしましても、職員団体とは今後ともよく話し合ってまいりたいと考えております。

○又市征治君
 十分な労使協議と合意に基づいて制度設計をやりませんと、現在、勤評制度があるけれども全く機能していない、こういうことにも陥ってしまうわけですから、この点、重ねて申し上げておきたいと思います。

 今日は人事院総裁にもお見えいただきました。総裁、長い間、中立機関の責任者として、国民に奉仕する公正公平な公務員人事制度に御尽力をされてこられました。今回、勇退される由ですけれども、長年の御労苦に心からの敬意を表したいと思います。
 中でも、今申し上げた公務員制度の問題で、天下り規制の緩和、つまり大臣承認でよいという政府の行革大綱のお手盛り性の危険性などについてはかなり前から御批判をなさってこられましたし、これが国民の厳しい批判と相まって、政府側もようやくこれは無視できなくなったということもあって、この公務員制度改革の問題が今見直しになっている、こういうことだろうと思います。また、さらには、エリート偏重の採用実態の改革の問題についても、さらにはまた、政府が不備を承知で拙速に出された、今も出ました能力等級制の案についても一定の見解を示されて、大きな意味を持ったなというふうに私は受け止めています。
 もちろん私は、総裁とは立場は全然違いますから、幾らか見解を相違もあることは事実でありますけれども、ここで改めて総裁というか人事院としてのお持ちになっている公務員像、そして特権官僚の自己増殖システムではなくて、国民に奉仕をする、開かれたチェック可能なあるべき公務員制度像について、その要点は何だとお考えになっているか、憲法第十五条、これも踏まえて現代にどう生かしていくか、こういう観点から総裁の御見解を承りたいと思います。

○政府特別補佐人(中島忠能君=人事院総裁)
 公務員制度というのは行政の在り方を通じまして国民生活に大きな影響を及ぼす、こういう制度改革でございますので、この制度を改正するに当たりましては、やはり一つは広く国民の意見を聞く必要があるだろうと、そして行政の責任者である各省庁の意見を聞く必要があるだろうと、そして最後に、これによりまして勤務条件に影響を受ける一般公務員の意見、特に職員団体の意見というのは十分聞いて、それにこたえていく必要があるだろうというふうに思います。
 そこで、今の時点において公務員制度を改革するというのは一体どういう歴史的な意味があるんだろうかということをしっかり考えておく必要があるだろうというふうに思います。明治の二十年、あるいはその以前から日本の公務員制度というのは百年以上の歴史を持っているわけですが、この歴史を通じて見た場合に、日本の公務員制というか官僚制というのは、戦前戦後を通じて三つの欠陥を持っているというふうに言われております。
 一つは、やはり特権性だろうということです。もう一つは割拠性、いわゆるセクショナリズム。そして、三番目に閉鎖性というふうに言われております。この三つの日本の官僚制が抱えてきた欠陥というものを是非ともこの際に正す必要があるといいますか、少なくとも正すための糸口をつかんでおく必要があるだろうというふうに思います。そして、この歴史的に持っている欠陥というものに並びまして、現在、国民が公務員制度を改革するとしたら、何をやってほしいかというふうに国民が望んでおる、何を望んでいるかということをしっかり受け止める必要があるというふうに思います。
 そこで、私たちは、大新聞の投書欄に出た国民の声というのを子細に目を通して読んでみました。そうすると、先ほど申し上げました日本の官僚制というのが歴史的に持っておる欠陥というものとダブるわけですね。具体的に申し上げますと、今先生がお話になりました天下りの問題についてしっかり解決してほしいという国民の声、あるいはまた、セクショナリズムを是正するためにキャリアシステムというのを見直すべきだという国民の声、あるいはまた、公務の世界においては年功主義的だから成績主義あるいは能力主義というものを導入すべきだという声がございます。そういうものを受け止めながら公務員制度の改革というものを進めていく必要があるだろうというふうに考えております。
 それがすなわち全体の奉仕者としての公務員というものを実現していく基礎的な検討課題じゃないかというふうに考えておりますので、そういうことで、やはりせっかくの機会でございますので、最後は国権の最高機関である国会でお決めいただくわけですから、国会の方でも機会を見て集中的に議論をしていただきたいというふうに私は考えております。

○又市征治君
 ありがとうございました。
 傾聴すべき見解として承りましたし、今大臣も春田室長もメモをお取りになっていましたから、是非今後の中に生かしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
 総裁もますます御健勝で御活躍いただきますように御祈念申し上げます。もう退席いただいて結構でございます。春田さん、結構でございます。

○委員長(景山俊太郎君)
 中島人事院総裁、どうぞ御退席ください。

○又市征治君
 それじゃ、続いて、先日来やってまいりました三位一体改革問題について伺ってまいりたいと思います。
 二〇〇四年度の予算及び地方財政について政府の答弁をずっとこれまで聞いてまいりましたが、本音がだんだん明らかになってきたのかなと、こういう感じがいたします。一言で言えば三位一体改革と言ってきたけれども、交付税は別枠で大幅な削減という極めて重大なごまかしがあったんではないかと私は言わざるを得ません。
 もう一度伺いますけれども、三位一体の三つというのは一体何だったのか、局長、どうぞ。

○政府参考人(瀧野欣彌君=総務省自治財政局長)
 三位一体と申しておりますのは、地方財政の基幹的財源でございます地方税、地方交付税、国庫補助負担金、この三つでございます。

○又市征治君
 そのとおりでありまして、交付税も確かにこの三つの中の一つだったわけですが、三位一体といえば、当然今おっしゃったこれが密接不可分、つまり三つでバランスを取るというのが、これはだれもがそういうふうにみんな受け止めた。常識だろうと思うんですね。総務省も最初、つまり昨年の六月ごろまではそのようにずっとおっしゃってきたんじゃなかったでしょうか。この点、どうですか。

○政府参考人(瀧野欣彌君)
 こういった三者につきまして、相互に密接な関連があるということで一体的な改革をしたいということでございますが、そういった中で三位一体の改革、主眼はあくまでも地方分権の推進ということではございますが、それと同時に、行財政改革とか財政健全化ということも同時に触れてきたつもりでございまして、例えば平成十四年五月に出しました地方財政の構造改革と税源移譲についてという試案におきましても、やはり国と同一歩調によります地方歳出の削減と、こういうことによる地方財政収支の改善は必要ではないかということは地方分権推進とともに触れてきたつもりでございます。

○又市征治君
 ところが、現実はそういうことで、昨年の六月ごろまでは総務省も三位一体、文字どおりのそういう立場でおられたんですが、どうも中身は、出てきたものを見てみると、正にスリム化の問題が全くの本命になってしまったという、こういう感じを受ける。だから、そういう点で、先日も申し上げましたけれども、地方自治体の多くの首長の皆さん方は、これは全くだまし討ちじゃないか、やみ討ちじゃないか、全然違うじゃないかという形で大変な反発を強めている、こういう格好になっているんではないかと、こう思うんです。
 そこで、大臣にお伺いをいたしますけれども、私はむしろこれは認識を改めてほしいなと、こう思うんです。そのスリム化なるものは、主に交付税の需要額削減の操作によってなされておるわけですね。補助金削減の数倍の規模に今年の場合現実に上がっておる、こういう状況になっているわけですが、しかも、交付税削減は、税源移譲とかあるいは地方税の増収とかの埋まる材料は全くない、こんな格好であるわけですが、この点、大臣、どのように御認識なさっているのか、まず一つはこれをお聞きをしたい。
 しかも、単年度で二兆八千六百億、需要額ベースで一兆五千億円もの大幅な削減ですよね。昨年、塩川財務大臣が交付税一兆円削れと、こう言われたときに、多分今日ここにお見えの委員がほとんどがそのときの総務委員会だと思いますが、これに対しては猛反発をいたしましたし、総務大臣もこれを大問題にして交付税制度を守るという立場で押し返した、こういう実は経過にありました。
 総務大臣、十一月に御就任されたわけですけれども、この交付税削減、莫大な削減になっているわけですけれども、これは麻生大臣の裁断だったのか、それとも前の片山大臣のときにもうそういう裁断をなさったのか、ここはどういうことなんですか。経緯を是非お知らせいただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 今、又市先生おっしゃいましたように、三位一体の改革が閣議決定されましたのが平成十五年六月ということであろうと思いますが、そのときにも、そのときの閣議決定された内容を読みますと、その中に既に地方歳出の抑制という言葉が明記されております。それに基づきまして、昨年の十一月ということになろうかと思いますが、御存じのように一万人の、一兆円とか一万人とかいうのが出たのはこのときなんですが、元々はこれは三年間で四兆円、三年間で四万人というような話だったんですが、とにかく昨年の十一月のときに基本的には何もしないで三年間じゃとにかく話にならぬということで取り急ぎ一兆、目先一兆、削減は一万人という話が出たものですから、それでかなりなものになった、これが一つです。したがって、その点に関しましては間違いなく私どもの方で決定をさせていただいたということになろうかと存じます。簡単に言えば前倒しした、三年でやるところを二年でやるように前倒ししたという表現にもなろうかと思いますが、具体化するべくは、事務方の方に私の方から指示をいたしております。
 それからもう一点は、いわゆる昨年の十二月、地財の方はこれは下から積み上げていく話ですから、最初からどおんと答えを切って一万人とか一兆円とかいうんじゃなくて、これは地財の積み上げの話ですから、こっち側の方はこれは基本的には下からずっと積み上げていっておりますので、その結果ああいうような額になったということですが、御存じのように補助金の削減という部分でスリム化する話と、いわゆる税源を移譲させるという、今回の三位一体の中で一番の基になります税源の移譲という問題と二つあるんですが、この質の話であります税源の移譲の方は、曲がりなりにも譲与税とかいろんな名前がくっ付きましたけれども、間違いなく一歩そっちへ踏み出したというのは、これは物すごく大きな変化だったと思っておりますし、前進だったと思います。
 傍ら、スリム化する話の方はこれは量の話であって、質の話じゃなくて量の話なんですが、量の話につきましては、基本的には交付税だけで約五十兆超します赤字、地方全体で二百四兆円を超します赤字の分の削減をどうしてもこれはせないかぬということが一緒になりましたものですから、質の話と量の話と一緒に来たものですから何となく三位一体という話の方が、量の話の方にばあんとどうしても目が行くものですから、非常に話を、焦点が、質の話としていい話があるんですけれども、量の話の方に偏ってどうしても見られがちという点だと私どもは基本的に理解をしておりますので、その点につきましては、いろいろ地方の中でも人口五万人以上の市町村というところはそうはありませんけれども、五万人以上の人口を抱えた行政体ではおおむね評価ということになっておりますけれども、五万人以下というところの行政体が約八〇%、八五%ぐらいあるかな、人口でいきますと約七十万人ぐらいは五万人以上のところに住んでおられるんですが、そうじゃない区町村で、町村の数でいきますと八五%になりますので、総じて私どもの選挙区を含めてそういうところは多いものですから、一斉に今いろいろ御意見が来ておるというのが実態だと理解をいたしております。

○又市征治君
 そこで、今日はさっきお座りになったんですが、片山前大臣、せんだっても私ちょっと触れましたけれども、予算委員長として発言をされておる中身ですね、三位一体の改革とは関係ないんだよ、交付税を切り過ぎたんだよ、それだけの話なんだよと、こう以下同じ趣旨で三度予算委員会で発言されておりまして、これ不規則発言かなと思ったら全部議事録に載っておりますから。これは総務省の責任だよとも言っておられるわけですね。これが本当だとすると、ちょっとこれは御確認いただきたいんですが、一つは、片山大臣在任の十一月までは交付税で一兆五千億円もの削減は考えていなかったと、こういうことになりますね。二つ目に、その後で総務省は三位一体と何の関係もなく交付税の大幅削減をしたということになる、こういうことになるんじゃないでしょうか。しかも、三つ目には、これは財務省の圧力でなくて総務省独自に判断をしたんだと。この三つ、これは相違ございませんか。ここのところの認識、違うなら違うとまた教えていただきたい。

○国務大臣(麻生太郎君
 少しずれておるところがあれば瀧野の方から細目言わせますけれども、先ほど申し上げましたとおりに平成十四年の五月の段階で、地方財政の構造改革と財源移譲についてというのがいわゆる片山プランと言われるものだと思いますが、そのときにも地方の歳入と歳出の自由度を高めていくということが大事だということで、国と同一基調で、とにかく地方歳出の削減により地方財政収支を改善するということはこの段階で位置付けられております。これは資料が残っておりますので。したがいまして、私どもは平成十四年十一月の三位一体改革につきましても、十八年度まで先ほど申し上げたような具体的改革に基づいたんであって、私どもとしては一方的に後からぽっとそれだけ出したというわけでは決してないと理解をいたしております。
 細目につきましては瀧野の方から言わせます。

○又市征治君
 時間ですから、あっという間に時間が来てしまいましたので。
 地方にとっては血の出るような一兆五千億、あるいは二兆八千六百億ということですよね。要するに、いろんなことをおっしゃいますが、本当に地方に自由度が広がったり、その意味で地方に元気が出たりということになっているかどうかというのは私、大臣、政治的な判断として非常に大事なんだろうと思うんですよ。
 そういう意味では、確かに、私は全否定ではありませんよ、確かに移譲という問題については一歩前進をしているということはそのとおり認めますけれども、しかしトータルで見れば、非常に多くの自治体が予算が組めないとかなんとかという大変な問題になって、国のやり方が、さっき申し上げたような、だまし討ちだ、やみ討ちだと、こうおっしゃる。こういう空気になっていること事実。こんなことを含めて、やっぱり交付税制度のやはり大きな問題点、浮き彫りになってきたように私は思えてなりません。
 したがって、それらの問題は、今日は時間が来ましたから、今日はこれ以上論議できませんけれども、引き続きまた、ここらの問題はいろいろと論議をさせてもらいたい、このことを申し上げて、終わりたいと思います。