第159回通常国会

2004年3月25日 総務委員会


(1)成田空港周辺整備の財政特別措置法改正(延長)案について
(2)プロジェクトは周辺対策費も換算し論議せよ
(3)大昔の計画より「いま必要か」見直せ



○又市征治君
 社民党の又市です。
 首都圏における、あるいは日本を代表する国際空港の位置を成田に決めたときには、民主的な手続という点で大変問題があった。そのために、地元との深刻な紛争が続いてきたわけですね。その見返りとして、この成田財特法の補助金という形が制度化をされてきたと、こういう経緯にあると思います。
 政府が国家的な必要性を言うけれどもローカルには全く不要だ、迷惑だ、こういう巨大な公共事業はほかにもいろいろとあります。例えば、群馬県の八ツ場ダムなども今後事業費とは別に、それに劣らぬぐらいの地元対策費が使われるなどという、こんなのもあちこちで残念ながら存在をしている。そういう意味で、こうした事業費とは別に、それに劣らぬ莫大な地元対策あるいは生活再建事業などが掛かっていくというのはあるわけですから、成田に限らず、共通の問題がそういう点ではあるんだろうと思います。
 そこでまず、この延長の問題をお聞きをいたしますが、先ほど来からも出ていますように、当初は十年、あと二回、十年ずつ延長、そしてその後五年、今度また五年と、こういう格好で合計四十年。事業は、本当に改めてお聞きしますが、今度でこれはもう収束するのかどうか、この点についての見通しを明確にしていただきたい。

○政府参考人(瀧野欣彌君=総務省自治財政局長)
 今回、千葉県の方から、未完了事業としては県道事業なり下水道事業が主なものでございますけれども、先ほど道路局のお話もありましたけれども、今後、今までの実績、今後の事業の見込み、勘案いたしますと、この五年間の期間が必要という要望が出てきたところでございまして、千葉県といたしましては、この五年間で努力していきたいということでございます。

○又市征治君
 次に、国交省にお聞きしますが、成田空港問題の真の解決のためには、国が責任を持って、騒音を始めとする周辺住民の生活を守るための施策であるとか、あるいは周辺地域の振興策であるとか、これらを万全にすることが必要なんだろうと思いますね。しかし、今度公団が民営化になれば、本来の平行滑走路二千五百メーターはともかくとして、金もうけにならない仕事、つまり環境対策であるとか共生策の確実な実施、中長期の地域振興策、災害復旧などは置き去りにされるおそれがあるという懸念が示されています。
 国の責任はどういうふうに担保をされていくのか。特に環境対策、地元共生策については、過去の経緯を踏まえて、地域と空港との共生を実現をしていくために国の関与が引き続き必要不可欠ではないかと思いますが、その点の国の担保をどうしていくのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(宿利正史君=国土交通省航空局次長)
 成田空港につきましては、先生御承知のように、昭和四十一年の閣議決定以降、住民の方々に十分な理解を得ることなく空港の建設を進めてきたというようなことがありまして、建設の過程で賛成派と反対派の対立的な構造が深刻化した、あるいは過激派の介入を招いてその後の空港整備を遅らせる要因になったということを私ども強く認識しております。
 こうした過去の様々な経緯を踏まえまして、関係者によって話合いによって問題を解決をするという努力が積み重ねられてまいりました。その結果、現在では、地域と空港の共生という理念の下に、地域の方々の御協力を得ながら空港を建設し運用していくという新たな時代になっております。
 このような背景を受けまして、昨年成立いたしました成田国際空港株式会社法におきましては、環境対策、共生策を空港会社の事業として法律上明記しております。同時に、これらの事業を営むことが、営むことが空港会社の責務であるということも法律上明確にしております。また、あわせて、空港会社がこのような環境対策、共生策を円滑に実施できるように国が必要な配慮を行うこと、また最終的には国土交通大臣が空港会社の業務について監督命令を発することができるような法律上の仕組みになっております。
 また、国と空港公団では、この空港会社法の制定に際しまして、環境対策、共生策の在り方について千葉県を始め関係自治体と度重なる協議を行ってまいりました。その結果、昨年二月に新東京国際空港公団民営化に関する覚書を締結しておりまして、この中で七十項目を超える地元からの要望事項について誠実に履行していくということを約束しております。
 私ども国土交通省としては、この空港会社法の仕組みの下で環境対策、共生策が適切かつ確実に実施されるように会社を指導してまいりたいと思っております。

○又市征治君
 もう一点お聞きをします。
 民間空港の軍事利用は民間航空の濫用禁止をした国際民間航空機構条約、ICAO、これに違反をするわけですね。幸い成田では、一九七二年九月二十日付けの航空機公害に関する交渉覚書によれば、空港公団の回答として、新空港は純然たる民間空港のためのものであり軍事利用させることはない、軍事施設と思われるものの設置も一切認めない、軍用のチャーター機問題についても約定どおり処理する、また民間機優先の原則は新空港においても貫かれており、このため百里空域は御要望のとおり北方に縮小して民間機との接触の危険がないようにすると、こういうふうに約束をしているわけですね。
 安全面から見れば成田空港は超複雑空域に分類をされておるわけですが、過密な運航を余儀なくされているという実態は皆さん方の方がよっぽどよく御存じですが、ここへ速度や離着陸態勢など民間機とは全く飛行形態の違う軍用機が出入りすることは、空中衝突など事故の危険を大変増大をさせるおそれがあるということから見ても断じて認めるわけにはまいりませんが、この点は、この確認事項は今後とも変更はないというふうに考えてよろしいですか。

○政府参考人(宿利正史君)
 先生御指摘のように、一九七二年の四月に、当時の運輸大臣、空港公団、千葉県と地元との間で成田空港に関して取決めがなされております。その中では、新東京国際空港は純然たる民間空港であり、安保条約及びこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めないという内容のものでございます。
 成田空港を軍事目的で利用するということにつきましては、こうした地元との取決めを始め、これまでの経緯、また過去幾度かにわたる国会答弁の重みなども踏まえて、慎重に検討し対処すべきものだと考えております。

○又市征治君
 あと、本当は周辺対策交付金などの問題、細かく幾つかお聞きしたいと思いましたが、先ほど同僚議員からございましたので、理解できましたからこれについては取りやめまして、最後に大臣にお伺いをしたいと思いますが、成田財特法の延々とこの延長を重ねてきた。先ほども申し上げましたが、国家的な大プロジェクトだからと称してこうした問題が強行されますと地域住民との間に大変悲劇を生む、こういうこと、あるいは、住民の合意がそういう意味では不可欠であるし、結局は対策に莫大な金も掛かるし時間も掛かる、こういう貴重な教訓を示したんだろうと思いますね。
 この種の問題が、先ほども一つは八ツ場ダムの問題を申し上げましたけれども、あちこちにこういう問題が現実に存在をする。また、今後も様々な国家的なプロジェクトを進めようとした場合に、あるいはその見直しが出てくるわけでしょうけれども、今後とも、事前に地域住民対策、あるいはそのコストまで含めて計算をし、国民的な討議をして、ゴーかあるいはそれをストップするのか、こんなことを決める必要が今日非常に大事なんだろうと、こう思うんですね。
 この点について、内閣を代表する立場でむしろ麻生大臣からの見解をこの問題についてお伺いをしておきたい。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 内閣を代表できるかどうかは別にいたしまして、基本的にはこの種の話、今、泉佐野の話もあっておりましたし、今のダムのお話もちょっと触れておられましたけれども、この種の広範囲にわたります大きな国家プロジェクトを実施するに当たりましては、その地域に住んでおられる方々、また周辺におられる住民の方々とのある程度の合意、百人が百人とは言いませんけれども、意図的に反対される方もいらっしゃるでしょうからそれは全部が全部とは言いませんけれども、少なくとも大多数の合意というのを得られた上でこういったものが実施される方が、より後のトータルコストで考えたら、最初に少々手間が掛かってもトータルコストで考えたら安いものになるということだと思いますので、国家財政上からも、経済効率から考えても、十分な話合いというのは尊重されなければならぬものと考えております。

○又市征治君
 是非ともそういう立場で御努力いただきたいと思います。
 私も他の委員会でずっとこの特別会計の問題を取り上げてまいりまして、いったん決めたからといって、もう十年も二十年前もやって、今の時代状況で全然もう必要性がなくなった、あるいはもっと、代替工事をやればもっと安く上がるのにというのにどんどん、どんどん、ダムを山ほど造る、こういう問題などを随分取り上げてまいりましたけれども、やはり今大臣から御回答ございましたように、大胆に、これほど今国家財政も大変だ、地方にも大変な負担を強いている、こういう状況のときに、むしろ大胆にそういうことは見直す、こんなことを含めて是非御努力いただくことを要望して、私の今日質問を終わります。