第159回通常国会

2004年4月15日 総務委員会


(1)人事委員・公平委員の中立性を阻害する兼職
(2)任期付採用で正規雇用を非正規雇用にするな
(3)国民保護法案等による言論統制の危険性


○又市征治君
 社民党の又市です。
 最後ですから、今までただされた問題点、確認という問題が幾つか出てまいりますが、よろしくお願いしたいと思います。
 まず初めに、人事委員会あるいは公平委員会委員の独立・公平性の問題についてお伺いをしてまいりたいと思いますが、新しい第九条二の九項で、人事委員、公平委員は附属機関の委員、つまり審議会委員などを兼ねてもよい、こういうふうにされていますね。しかし、人事委員であるとかあるいは公平委員は労働基本権制約の代償機能という役割の上、職員の権利救済という機能もあるわけでありますから、首長から独立した立場で職務を遂行すべきであって、そういう意味では比較的長期の任務と強い身分保障がむしろ求められるんではないかと、こう思います。
 他方、審議会の委員などというのは、首長の政策を支持する立場であることも間々あるわけでありまして、兼任となると二つの異なる立場の報酬を併給することにもなります。国の人事官は当然兼職禁止されておるわけでありまして、これとも整合性が取れない、こういうことになるんではないかと思います。
 むしろ、今でも各自治体が共同で人事委員会を設置する、あるいは公平委員会を設置する、こういうことをやっていますし、あるいは委託もしている、こういう現状があるわけですが、この人事委員、公平委員の独立性あるいは公正性、中立性を保つためには、安易に兼職禁止の制限を解除することには疑念を持たざるを得ない、こんなふうに思うんですが、逆にむしろ、今もやられている共同設置あるいは委託の方が、こういう兼職をやるくらいならばむしろ効果的ではないかと、こう思うんですが、この点についての見解をお伺いします。

○政府参考人(須田和博君=総務省自治行政局公務員部長)
 御指摘のように、人事委員会、公平委員会の委員につきましては、公正中立な人事行政を確保するという観点から、本来的には兼職は望ましくないものと考えております。
 しかしながら、特に小規模な地方公共団体におきまして、現行の兼職規定の下では人事委員会等の委員として適切な人材を確保することが困難な場合も見られるところでございますので、そういった意味でより広範にこうした人事委員会、公平委員会にふさわしい人材を求めることができるようにすること、できるようにすることが望ましいのではないかと考えているところでございます。今回の改正は、このような地方公共団体における実情を踏まえまして、人事委員会等の委員として公正中立な人材を確保する観点から、その兼職禁止を緩和することとしたものでございます。
 なお、国の人事官の御指摘でございますけれども、その点、こうした地方の小規模な地方公共団体と全国的に人材の確保を図ることが比較的容易な国の人事官とではやはり同列に論ずることは難しいのではないだろうかと考えております。
 さらに、複数の人事委員会、公平委員会の兼職につきましては、各地方公共団体がそれぞれの判断において適切な人物を選任した結果で生じる、そういうふうな形であれば従来から行っているところでありますので、そういったことも今後とも使っていっていただければよろしいのではないかと思っております。

○又市征治君
 今、前段の方で言われましたから、むしろ一番大事なのは公平性や独立性や中立性をしっかりと担保するということが大事なわけであって、小さいからできないというようなばかな話はないわけですよね。
 この点について、後ほど最後に、ちょっと今大臣おられませんが、大臣からもこの点については見解を後ほどお聞きしたいと思います。

 次に、任期付採用の件についてお伺いしますが、今回の改正は働く者の側からの多様な働き方を求める要求をかなえる面もあると思います。しかし、反面、先ほど来出ていますけれども、大きな流れとして、民間に見られます正規雇用からむしろ非正規雇用へ、安心して働ける職場から不安定でだれがいつ首切られるか分からない、で、競争の場へ変えていくという、またその脅しによって低賃金に甘んじさせられているという、こういう動きが残念ながら民間の部門に多くあるわけで、そういうことではないのかという危惧が当然一面では持たれているわけです。
 そこで、まず、今回の改正が常勤職員を削減するためではなくて、膨大な数の自治体における臨時・非常勤の者を、公務員身分を与えることをもって、そのことを、ちゃんと身分を安定させる、このことをちゃんと自治体にしっかりと周知をしていただきたいと思いますが、この点についていかがですか。

○政府参考人(須田和博君)
 今回の任期付採用の拡大でございますけれども、これは一定の期限を有する特定の業務に従事する場合に限定するなど、常勤の正規職員を代替する措置じゃないところでございます。
 また、同じく今回導入します任期付短時間勤務職員制度は、専ら補助的な業務に従事する者とされている臨時・非常勤職員に対しまして、本格的業務に従事することが短時間勤務職員の制度を創設するものでありまして、これは基本的には別個の制度として考えております。
 こうした新たな任用制度の考え方につきましては、各地方公共団体において制度の適切な運用が行われるよう、総務省としても十分な周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

○又市征治君
 常勤をこれに置き換えてはならぬと、こういう趣旨だろうと確認をさせていただきたいと思います。

 で、今の臨時・非常勤の職員は、実際には常勤と同じような仕事を行っていながらパート労働法も適用されず、不安定な雇用が継続をされて、諸手当が支給されないとか、あるいは昇給がないとか休暇制度が不備だとか、機会均等とはもう、均等待遇とほど遠い条件の下に置かれている例が多いわけですね。したがって、これも改正しようということなんでしょうけれども。
 現行法の非常勤の制限、つまり原則六か月ですよ、更新は一回ですよというのは、不確定な身分の状態のまま余りに長期に継続させるのは酷であるから、なるべく正規の長期的、継続的任用にすべきだとの趣旨に基づいてこういう規定が設けられたものだと思うんですが、そういう意味では短期で切るためにわざわざこんな規定を設けたんではないと思うんですね。
 民間企業でリストラや労働条件悪化が続く中、自治体は公共団体であり、労働条件の維持確保あるいは労働者の権利の保護のモデルとならなきゃならぬという、こういう要素はもちろんのこと、労働行政もやっているわけですから、あります。
 今回、正規に地方公務員とする以上は、勝手な雇い止めをしないことであるとか、あるいは賃金改善、昇給制度の導入あるいは諸手当の支給、休暇制度充実など、フルタイムの職員との均等待遇、この実現は当然のことだと思いますけれども、この点について御確認いただきたいと思います。

○政府参考人(須田和博君)
 今回導入することとしております任期付短時間勤務職員につきましては、任期の定めがあり特定の業務に従事する者であること、また勤務時間が短いこと、こうしたことに由来する制約はございますが、本格的業務に従事することができる職員として給料及び一定の手当が支給されることとしたほか、休暇につきましても、勤務時間に比例して与えられる年次休暇を除き、フルタイム職員と基本的に同様なものが与えられるべきと考えているところでございます。
 各地方公共団体におきましては、本制度の趣旨を十分に理解し適切な処遇がなされるよう、必要に応じ適切な助言等を行ってまいりたいと考えております。

○又市征治君
 そこで、もう一つですが、短時間勤務の希望者が今日の社会情勢を反映して出てきたということと、一方で任期を三年とか五年で切るということとは本来関係がないわけですね。それは、そういう短時間の勤務ということと期間を区切るということとは、これは別問題なんです。
 したがって、この多様性を認めた今回の改正の趣旨からすれば、任期の定めのない短時間勤務という範疇もあってもいいんではないのかと、こんなふうに考えるわけですが、将来的に、ここのところは明確になっていないわけですが、将来的にこれは認める考え方あるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
 検討するなら検討するでいいですよ。

○政府参考人(須田和博君)
 任期の定めのない短時間勤務職員につきましてお尋ねでございますが、この点、先ほども申し上げさせていただきましたが、地方公務員制度研究会におきまして、これを無限定に認めることは人事管理が複雑になり過ぎ、また任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営という地方公務員制度の原則にも反するとの意見があったと承知しております。その結果、この研究会におけます最終報告書では、短時間勤務職員の採用が無限定にならないよう任期その他の要件を設けることが示された上で、この任期の定めのない短時間勤務職員の制度につきましては、中長期的課題として慎重に検討すべきものとなったと承知しております。
 したがいまして、総務省といたしましても、この任期の定めのない短時間勤務職員制度につきましては、この研究会の報告書を十分に参考にしながら、民間の動向や国家公務員制度における検討なども注視しつつ、慎重に検討すべきものと考えております。

○又市征治君
 是非、中長期的にというか、将来的にこれは検討をしっかりやっていただきたいと、こう申し上げておきたいと思います。

 次に、人事委員会、公平委員会の苦情処理機能の新設問題で少し人事院にお伺いをしたいと思いますが、改正案では人事委員会、公平委員会の職務として職員の苦情処理が追加をされました。職務の重大な、重要な拡大でありますし、これを保障するだけの体制を充実させる必要があるんだろうと思います。
 先ほども人事院総裁から、最近増えてきていると、この苦情問題が増えてきているという御答弁だったんですが、ここ三年ぐらいで件数はどの程度なのか、ここらのところを、ちょっと総務省の方はよく地方の分は分からないというお話なので、国家公務員の状況について、もう一度改めてお伺いをしておきたいと思います。

○政府特別補佐人(佐藤壮郎君=人事院総裁)
 過去三年間における苦情相談の処理件数でございますけれども、平成十二年度が千九件、それから平成十三年度が八百七十件、それから平成十四年度が九百五十件でございます。それから、十五年度、今集計中でございまして、正確な数字はまだ出ておりませんけれども、大体千二百件程度になろうかというふうに思います。

○又市征治君
 一年で、国家公務員が大ざっぱに言って五十万で約一年に一千件ちょっと、〇・二%という数字なんですけれども、多くないように見えるけれども結構な数字ですね。
 地方公務員では苦情窓口がより近いだけに、もっと比率が高くなる可能性というのが高いんじゃないかと思うんですね。地方公務員、大ざっぱに全部含めると三百万。そうすると、国家公務員のやつ(パーセンテージ)を当てはめると年間六千件以上になる、こういう可能性が非常に高いんではないかと、こんなふうに推測ができるんですが。
 現実には、地方でも既に相談の実態があるんだと思うんですが、だれがどのようにこれは処理をしているのか、そのような状況などの概況、総務省の方で把握ですか、お聞かせをいただきたいと思います。

○政府参考人(須田和博君)
 職員の苦情処理の実態でございますけれども、私ども詳細は必ずしもつかんでございませんが、地方公共団体の人事担当部や人事委員会又は公平委員会におきまして、適宜、職員の相談に応じたり助言等を行っているものと認識しております。
 ただ、今回の改正との関連もあるわけでございますけれども、この人事委員会及び公平委員会が職員の苦情の処理にかかわる場合、本来でしたら中立的な立場から行う調査も可能なわけですけれども、この点につきましては、これまで苦情処理に関する明確な権限の規定がなかったこともございまして、こういったことは行っていないと承知しております。

○又市征治君
 さっき人事院総裁が同僚議員の質問に答えられている中身でいいますと、おおむね任用関係が約三〇%前後ですね、そして、いじめ、嫌がらせ、セクハラ関係、これがまた大体三〇%程度と。これ、人事担当部へ持っていきようがないですね、これ、この種の問題は。そうすると、これ、しっかりと公平委員会なりあるいは人事委員会にそうした機能が果たされるようにしていかないと話にならぬわけでありまして、プライバシーが守られない、独立して秘密が守られなければ、これは相談のしようがない
 そうすると、全く苦情がそういう意味ではうっせきをして職員の不満が増すだけ、こういう状況になるわけでありまして、これは、当然のこととしてこういう苦情処理機能というものが時代状況に応じて必要になったということで新設をするわけですから、ここのところのやはり人員配置を含めて、当然これはやらなきゃならないんじゃないかと思うんですが、その点についての総務省としての考え方はどうですか。

○政府参考人(須田和博君)
 苦情処理に対応するための人員配置でございますけれども、この点につきましては、各団体におきましてその自らの規模や行政能力を考慮した上で判断すべきものでございますし、まず行政組織の簡素合理化と併せて、全体として体制が整備されるべきものではないかと思っております。したがいまして、苦情処理業務の新設により、必然的に団体において人員配置が必要になるというふうには思っておりません。

○又市征治君
 簡素効率化の問題と。逆に今、それだったら、こんなものは正に形作って魂入れずじゃないですか。何のためにこういう制度を作るのか全く分からないわけであって、やはりしっかりとここらのところは、本当の意味で公務能率を上げていくとか、そういうことを含めておっしゃるならば、やはりここらのところは検討して、一面そういう人々も配置をしないと大変な問題になってくるんだろうと思うんです。
 これは、まあ時間がありませんから、本当はそういう点でいえば人事院の見解も聞きたかったんですが、是非検討いただくようにお願いをしておきたいと思います。
 余り時間がありませんから、もう一つ、競争試験の問題について、公平委員会のもう一つの改正点、競争試験を実施をできるようにするということなんですが、公平委員会で競争試験等行う場合、事務局の設置が可能とされましたけれども、実際には人の配置、能力の強化が図られる必要があると思いますね。
 この改正によって全国でどのぐらいの数の公平委員会が競争試験を行うと予想をされているのか、あるいはそれに伴う今の問題、検討してほしいという、申し上げたことを含めて、どのような職員の配置が考えられているか、そのことについて、何か総務省、把握ですか。

○政府参考人(須田和博君)
 競争試験を行おうという意向を有する公平委員会がどの程度あるかというお尋ねでございましたが、平成十四年十月に、公平委員会を設置しております人口十五万人以上の市、これは全体で百二十五団体ございますが、これを対象としました意向調査によると、そのうちの十団体が意向があるとの回答を寄せております。この点、今後、地方分権の進展に対応できる優秀な人材の確保等、競争試験を行おうとする公平委員会に対するニーズが増えていくのではないだろうと思っております。
 また、事務局を設置された場合にどの程度の人員が配置されるべきかとの点でございますけれども、この点につきましては、やはり個々の市町村の職員規模ですとか、やはり事務処理の能力、いろいろあろうかと思いますけれども、そういった意味で、一概にはちょっと申し上げられないと思っています。

○又市征治君
 それじゃ、最後に大臣にお伺いをしますが、現実は首長や幹部による政治的あるいは情実人事がこの公平委員会あるいは人事委員会などになしとはしません。こうした点でいうならば、公平委員会が採用や試験、昇格の試験をする、これはやらないよりもやることはいいことですけれども、現実の公平委員に情実を排して試験の公平性を担保できるだけの人格が当然のこととして必要になってくるわけですが、時々そういうところで、マスコミをにぎわす氷山の一角として、情実人事がやられている問題などが出たりします。特に、小規模な町村などでこのことが危険性があるわけですが、そういう点では、実態が首長に身近な有力者などがこういうところで就任をさせられているというケースがそういうところに多い。試験の主宰者となるなら、公平委員は一層中立的、公平な、首長の影響力から独立したこういう適任者がやはり必要になると思うんですけれども、先ほど来から申し上げた、こうした人格あるいはそうした人々を採用していくためにどのような措置が必要だとお考えになっているか、是非とも大臣の最終的な見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 そこに書いてありますように、人格が高潔、地方自治の本旨及び民主的で能率的な事務の処理に理解があり、かつ人事行政に関して識見を有する者と、日本全国にそういう立派な方がどれぐらいいらっしゃるかよく知りませんけれども、少なくとも、各地方において、これは比較対照の問題ですから、その地域においてはほかの人に比べてはという方でやっぱり選んでいただく以外にないんであって、欠点を挙げていったら幾らでもあろうと思いますが、しかし基本的には、これは最終的に議会の同意が要るということになっておりますので、議会の同意が要るというところで担保していただくということ以外にちょっと、その人について、いろいろ私どもとして、中立公正な人事行政というのを推進するのにふさわしい方ということ以外には、それがどうしてふさわしくないのかと言われると、私どもとして返答のしようが、かなり、数字で挙げられるような話ではありませんので、そういったことが基本的には、従来でいきますと、その地方の名士とか弁護士とか、職員のOBとか学校の先生だったとかいう方が多いように数字の上からは感じられますけれども、最終的には議会の同意を得るというところで担保されておると考えるべきではないかと思っております。

○又市征治君
 時間がもう過ぎましたので。
 ちょっと今の大臣の答弁はいただけません。私は、共同設置の問題であるとか、独立性というものを大事にしてほしいということで、一番冒頭、ちょうど大臣、席立っておられたところだったんで、その点をお聞きになっていなかったからそういう答弁になったと思いますが、是非その点は、ここの大変な大事なところですから、独立性、公平性、公正性、今後の確保のための措置もまたいろいろと御検討いただきたい。
 その点申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。