第159回通常国会

2004年4月21日 決算委員会


(1)不透明なODA
(2)「企業の喰い物」「無駄遣い」「汚職」の疑念
(3)作ったが機能していないODAの事例
(4)人道支援に献身したボランティアに飛行機代を請求する前に、税を投じてイラクの誰を助けるのか
  注視せよ


○又市征治君
 社民党の又市です。今日はODA一本についてお伺いをしてまいります。
 ODAについて会計検査院の個別の指摘は、過去七年に延べ三十一件あります。二〇〇二年度も鈴木宗男事件の支援委員会について継続して取り上げているほか、特定検査対象の第一と第二でODAを取り上げていますね。毎年あるということは、背景に鈴木宗男事件のような大きなODAの政治システムに問題があることがうかがわれる、こう言わざるを得ません。

   〔資料配付〕

 今資料をお配りをさせていただきましたけれども、内閣府の世論調査で見ますと、国民は、安定、平和、人道という点でODAを評価をしながらも、近年、ODAをなるべく少なくすべきだという意見がもう、じりじりと増えてきている、こういう傾向にあります。
 グラフの下の方から見ますと、例えば一番上には日本の国内の経済状態が良くないからというのがありますけれども、これ横ばいですね。下の方にあるのはみんな上向きになっているんですが、具体的にどのような経済協力が行われているか不透明だからというのが三七・五%、現地の状況やニーズへの配慮不足で成果が不十分だというのが三四・八%で、この二つの意見が増えているわけです。
 つまり、国民は、援助といいながら実は日本企業による食い物になっているんではないかとか、また外務省などの官による実施は無駄遣いや汚職が多いんではないか、NGOの方が効率的にやっているんではないかという疑念だとか、そんな感じを持っているというふうに言えるんではないかと思うんです。
 この点、外務大臣はどういうふうに受け止めておいでになるのか。検査院の毎年の指摘やあるいは国会質疑、こんなところでODAの問題が随分と問題にされてきて、国民がこのODAの実態あるいは問題点をよく知るようになったからではないかと、こう私は思っていますが、大臣の御感想はどうですか。

○国務大臣(川口順子君=外務大臣)
 最初に申し上げたいことは、ODAについていろいろな御指摘等はあるということはそうでございますけれども、先ほど緒方理事長もおっしゃってくださいましたように、我が国の経済協力については、その大部分においては世界において非常に受け入れられ、かつ非常に適切に適正に運用されている、それが我が国にとっても国際社会の一員として責任ある立場を果たしていくという観点から非常に重要なことであるということでございます。
 それで、その上で、ODAについて今御説明になられたような世論調査、それから、これが税金を原資とするということから考えましたときに、国民の御支持と御理解をいただいた形で効率的に適切にやっていかなければいけないということはもうそのとおりでございまして、ODAについて問題があるということについては、これはその改善をしていかなければいけないと思っております。
 こういった観点から、私は就任以来外務省の改革に取り組んでまいりましたけれども、その大きな一つの柱がODAの改革ということでございまして、様々な観点からの透明性の増大、そして効率性を上げていくこと、そして国民参加を得てやっていくことについては十分に意を払ってきております。また、そういったことを取り込んだ形でODAの大綱の改正ということも昨年の八月に進めたところでございます。
 そういった努力を引き続き続けながら、我が国としてODAをやっていくことが大変に重要であるということもきちんと頭に入れてこの協力事業をやっていきたいと考えております。

○又市征治君
 私も、ODAの必要性といいますか有用性、有効性、こんなことは基本的には全く賛成なわけですが、余りにも問題が多く出てきている、こういうことで申し上げているんです。
 そこで、私は、以前この外務官僚と鈴木宗男氏の北方四島案件の関係や債務帳消し問題、あるいは戦後補償との関連性などについてただしてまいりましたけれども、今日は四月二日に出たばかりのODAに関する総務省の政策評価をちょっと取り上げたいと思います。
 この評価書を私なりに要約しますと、従来の必要性、有効性、効率性という物差しでは言い分がそれぞれできちっと評価ができないと。そこで、総務省としては、特にODA各機関や異なる援助形態の一体性、そして、最後は効果の持続発展性、つまり被援助国の自立に役立つかどうかというところに着目してあるというふうに言っているんだろうと思うんですが、こういう理解でよろしいですか。イエス、ノー、簡潔にお答えください。

○政府参考人(田村政志君=総務省行政評価局長)
 ただいま御指摘のように、今回の政策評価につきましては、必要性、有効性、効率性の観点に加えまして、国際的にも必要な観点とされている援助効果の持続性という観点からも評価したものでございます。

○又市征治君
 総務省が評価の視点として、異なる援助の一体化と効率の持続発展性、つまり自立に役立つかということだと思いますが、こうした着目した点は極めて妥当だというふうに思います。
 そこで、総務省はその失敗例、お金だけ出して技術援助を付けなかった例などを挙げているわけですが、そこで三つお尋ねをいたしますけれども、インドネシアの熱帯病センター、二つ目に同じくインドネシアのかんがい及び生活用水供給路建設、三つ目にベトナムの初等教育施設、この例を簡潔に御説明をしてください。

○政府参考人(田村政志君)
 今回の政策評価におきましては、外務省等の既往の評価結果を基に個別具体の事業を例に取り上げまして、援助効果の持続性が確保されるためにはどのような援助手法等が取られるべきだったのかなどについて検証したものでございます。
 ただいま御指摘のありました例について御説明をさせていただきます。
 最初に、インドネシアのアイルランガ大学熱帯病センター建設計画についてでございますが、これにつきましては無償資金協力ということで平成八年に行われております。これにつきまして、国際協力機構の評価結果におきまして、故障を修理するための技術、経験の不足や、スペアパーツを自己調達するための予算確保が困難なことなどから、整備した機器整備の中に故障のため使用できない機材があるとされている事例であります。総務省の政策評価では、これを施設・設備整備に合わせた運営、維持管理技術の支援、言わばハードとソフトの組合わせが重要であるとの課題が提起されているものとして整理をしてございます。
 それから次に、インドネシアのかんがい及び生活用水路供給建設計画でございます。
 これにつきましては、草の根無償資金協力ということで、平成十一年に行われているものでございます。これにつきまして、外務省の評価結果において、機材のスペアパーツ購入など経費の掛かる保守管理については、被援助者自らが部品を調達できるようになるまでの間はNGOを通じて供与機材等の適正な使用方法などを定期的に指導するといったフォローアップ措置が必要であるとされている事例でございます。総務省の評価では、これをNGOの連携が重要であるという課題が提起されたものとして整理をしてございます。
 それから、三番目のベトナムの初等教育施設整備計画でございます。
 これにつきましては、無償資金協力ということで、平成七年、九年に行われております。外務省の評価結果において、おおむね十年間は補修などの費用は掛からないとされた学校施設が、実際はトイレなどの給水施設の不良や壁のひび割れを起こしており、保証期間が過ぎた時点では維持管理が適切に行われない可能性があるとされている事例でございます。今回の総務省の評価では、これを施設・設備整備後の運営、維持管理の容易性、経済性を考慮した計画策定が重要であるとの課題が提起されたものとして整理してございます。
 以上でございます。

○又市征治君
 今お聞きしたのはいずれも外務省の管轄の問題ですけれども、ほかにも、タンザニアでディーゼルの揚水ポンプを供給したけれども、石油代が高いし、機械の更新もできないなど、被援助国の実態に合わない事例が報告をされていますね。
 反面、大臣はここら辺のところを言いたかったんでしょうけれども、カンボジアの不発弾処理のように、NGOのきめ細かい指導でうまく現地の人に技術移転ができて高く評価された例もありますけれども、こういうのがたくさんあるんだろうと思いますが、先ほど申し上げたような、かなり現地の実態が必ずしも把握されていない、こういう問題などがあります。
 これらの指摘について大臣にお考えを伺うんですが、特にこの被援助国の持続発展性という視点について、これは是非大臣のお考えを伺っておきたい。
 結局、金を貸して、それで日本の商品を買わせて、はい、おしまいという方法では、機材はさび付き、建物は朽ち果て、自立には全く結び付かない、こういう例が今も紹介があったわけですけれども、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(川口順子君)
 ちょっと私の問題意識も併せて申し上げたいというふうに思いますけれども、経済協力を行った場合に、確かに今御指摘にありましたような、作った後、例えばNGOとの連携をきちんとしていくとか、あるいは適切にメンテができるような、最初からその経済性を考えてやっていくとか、それから現地の事情を十分に把握するとか、それぞれの要素というのは私は全部重要なことだろうと思っております。
 そういったことについて十分でないところがあれば、それは引き続き改善をしていくべき点であると考えておりますけれども、さらに、それに加えて、日本の援助がメンテナンスをしていくということについてもう少し制度として、あるいは予算的に考えられる部分があってもいいのではないかという問題意識も私は持っております。メンテナンスをNGOだけでやれるかどうか、それから、我が国で使われるのと違って、それぞれの国で我が国と違った使われ方をするということもあるわけでございまして、必ずしも日本で考えられるような形でメンテがそもそもされないような状況にもある、そういったことについても私としては問題意識を持っております。
 いずれにしても、援助というのは、持続的な発展に資するという観点からは作ったものが引き続き使われるということが重要で、そのために、一体、政府の予算制度の在り方も含めて、どういったことが今後必要かということについてやはり議論を重ねていく必要があるのではないかというふうに思っております。

○又市征治君
 是非、先ほどおっしゃったように、そういう中身を子細点検いただきながら、更に改善に向けて努力をお願いをしておきたいと思います。
 次に、会計検査院にお伺いをいたしますが、債務帳消しの課題についてです。
 日本政府は、二〇〇三年三月まで、帳消しは駄目ですよと、返済したらそれと同じ額をプレゼントしますよ、つまりは債務救済無償資金協力を行っていくと、こういう方針だったわけですね。そして、今年の検査院の決算報告では、二〇〇二年度までの二十五年間で三十か国に返済不能額四千六百十一億円を救済贈与したと、こうされています。ただし、二年以内に経済開発や福祉に使うという条件の下でこうされているわけですね。しかし、これらはいわゆる最貧国であり、そもそも焦げ付いているのですから、一時的にせよ払えたということの方がむしろ不思議だと、こう私は思います。実際に日本政府等の口座に振り込まれたのかどうか、この点、まず第一点お伺いをしておきたい。
 第二点に、サラ金ではないが、どこかから一時借りて日本に振り込んだということなのか。すぐそちらへ返さねばならず、新たな使い道に回す余裕がないはずですよね。使い道の報告を取ったといっても、それが事実かどうか、この点は確認できたのかどうか、これが二点目です。
 この二点、会計検査院は証拠書類などを調べられたのかどうか、お伺いをいたします。

○説明員(石野秀世君=会計検査院事務総局第一局長)
 今お話しの債務救済無償資金協力につきましては、昨年、平成十五年次の検査におきまして外務本省等を検査いたしまして、また、インドほか二か国の被援助国におきましては現地調査も実施するというようなことを行ったところでございます。
 その結果としまして、今お話しのとおり、供与された資金等の一部が相当期間使用されないまま残っている事態ということなどを特定項目として掲記したところでございます。
 その債務救済無償資金協力というのは、今お話もありましたように、その対象とする円借款につきまして、債務の帳消しではなく債務国に返済を求めるという一方、返済が行われた場合には原則として返済額と同額の資金を贈与するという仕組みのものでありますし、また、その資金等の使途、目的は経済開発及び国民の福祉向上に寄与するものに限定するということとなっているものでございます。
 検査院といたしましては、その債務救済の対象となっております円借款の返済につきましては、現地調査実施国の分につきまして、国際協力銀行が外務省に対してその円借款の回収状況を報告しているという書類などを見るということによりましてその返済状況ということを確認しております。
 また、資金の使途につきましては、外務本省に対して被援助国より提出されております資金使途の報告書というものがございますので、その内容を確認する、あるいはその被援助国の現地調査の際に被援助国実施機関からその状況を聞き取る、あるいは場合によっては現物の確認をするということなどでその資金の使途の確認を行ったというところでございます。

○又市征治君
 よそから借款できるくらいならば、最貧国、もっと言うならば多重債務者にならないわけでして、実態は新規の贈与だった、こういうことなんだと思うんですね。
 最貧国への債務帳消しというのは、国際的なこれはもう世論であって、大きな意味で言えば、旧植民地に対する先進国全体の償いという、そういう側面もあるわけでありますし、やむを得ない、こういう面があるんだろうと思います。しかし、国内的には国民の税金を貸していたわけですから、これは戻らないという、こんなシステムにしている方がおかしいのであって、外務省としては、損失であるということをやっぱりシステム上これは明確にすべきでないかというふうに思うんですが、この点ちょっと明確に通告していないんですけれども、この点についてはどうお考えですか。

○政府参考人(古田肇君=外務省経済協力局長
 御答弁申し上げます。
 御指摘の借款の供与に当たりましては、それぞれの途上国の発展段階でありますとか債務負担能力を慎重に検討するというのは、私どもとしては当然やらなければいけないことだというふうに思っております。
 ほとんどの場合には問題なく返済が行われてきておるわけでございますが、先ほど来御指摘のあったように、借款の供与時点では予想し得なかった不安定な政治情勢でありますとか、紛争、自然災害等の事情によって返済が著しく困難となりまして、かつ、パリ・クラブなどの多国間の国際的な枠組みの中での決定によって、この国をどう立て直すかという観点から債務の削減を行うことが必要となる場合があるわけでございまして、こういったことにつきましては、そういう債務削減によって債権国が一定の負担と申しますか損失と申しますか、そういったものを負うということになるような事例があり得るわけでございます。
 それはそういうこととして認知した上で、こういったことに立ち至ることがないように、やはり借款の供与に当たって最善を尽くしていくことは当然でございまして、今後とも、新規の円借款供与に当たりましては、各国の事情、なかんずくその国の債務返済能力について十分注視してまいりたいというふうに考えております。

○又市征治君
 最後になりますが、先ほども大臣もおっしゃいましたし、私もその点は、このODAの必要性といいますか、あるいはもっと言うならば、先進国の一面責務といいますか、そういう面でいってもこれは大変重要な問題、そういう点で、このことは更に発展をさせていくということは必要性を認めるものですけれども、一方で、先ほど尾辻さんが御指摘なさったような問題もあります。過去には、やはり軍事独裁政権のてこ入れに使われたり国民の抑圧に使われてきたという、こうした歴史もまだあるわけでありますから、その点も見落とすわけにいかない。
 今度のイラク復興人道支援についても、アメリカ占領軍の下に作られる従属的な政権への支援では、イラク国民に届かずに逆効果になるおそれもあると私は思います。人道支援に献身をしてきたボランティアに対して飛行機代を請求するなどという、こんなことを言い出す前に、莫大な税金を投じてイラクの一体だれを助けるのか、部族長の利得にされないかどうか、更に注視していく、そういう必要が、私たちには責務があるんではないか、こんなことを申し上げて、終わりたいと思います。