第159回通常国会

2004年5月10日 決算委員会


(1)政府資金の莫大な毀損が出ている特別会計
(2)「投資」として税を企業に垂れ流す政府
(3)政策的投資と言えば何でも通る時代ではない
(4)囲い込み的特定財源を一般財源化せよ
(5)特別会計を福祉・雇用・環境に


○又市征治君
 社民党の又市です。
 今日は、これまで指摘をしてまいりました問題点の幾つかについて再確認を大臣に求めていきたいと、こんなふうに思っています。
 幾つかの、まあ今日は特別会計が全部出ていますから、幾つかの特別会計から特殊法人への出資という形を通じて政府資金の巨額の毀損が生じている、とりわけ財務省所管の産業投資特会の産業投資勘定というのは新しい財務諸表では十二兆円が六兆円に半減していますね。
 で、大臣は、四月五日、私この委員会でお聞きをしたときに毀損の事実をお認めになったわけですが、会計検査院からも当然まあ指摘されていることですから、当然お認めになって当たり前ですが、ところがどうもその答弁の後半が私はいただけない。その点をもう一度改めて答弁を求めたいと思うんですが、まず一つは、大臣、財務大臣としての金銭感覚、ちょっとこれは疑わしいと、こう言わざるを得ません。あなたはこうおっしゃっている。四四%を利益還元しているから全体としていいんだと、こういうふうにおっしゃっているんですね。あとの五六%といえば二兆一千五百四十三億円になるわけですよ。これが未回収というより、まあ今後も回収の見込みがないわけですね。これで、財務大臣としてもう少しやっぱり金遣いにシビアになってもらいたい、そういう思いで、もう少し改めてこのことについての答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君=財務大臣)
 産投会計というのは、もう今更委員にイロハを申し上げる必要もありませんけれども、政策的な必要に基づいて、リターンを期待できる一方でやはり民間だけではリスクをしょい切れないだろうなというような政策分野に対して出資を行っているわけでございまして、収益が出た出資先からの国庫納付金等は、現在の段階では収支残高の四四%になっていると、これはこの間御答弁申し上げたわけでありますが、これは引き続きまだ政策目的に沿った事業が実施されておりまして、こういった事業からの将来の利益というのも期待できるところでございまして、あとのその五六%が回収不能ということではないというふうに私は思っております。
 財務省としては、それぞれの機関やその各官庁に対していろんな機会をとらえまして事業実施についてモニタリングも行っておりますし、当初に申し上げた政策目的に沿った運営が行われるように要請しているところでありますけれども、十六年度の予算におきましては、研究開発法人については出資総額は縮減しております。それから、外部有識者による事業評価体制を強化するといったようなことで、収益性の一層の向上というところにも目配りをしながら運営をしているつもりでございます。
 繰り返しになりますが、五六%が回収不能というわけではないというふうに見ております。

○又市征治君
 将来を嘱望されている大臣だから、ちょっと余りいただけないなと、私は今もまたそう申し上げざるを得ません。
 私が言っているのはそうではなくて、この出資のそれに見合う実態が失われている現実がやっぱりあるわけですよ。実質は渡しっきり、使いっ放し、こういうことになっている。例えば、二〇〇一年度だけでも評価損が四千八百億円あるわけですね。特に、基盤技術促進センター、これは何回も取り上げましたが、ここは解散、つまり倒産させて出資残高二千八百六十億円を毀損している、こういう実態にあるわけですよ。こういう問題を私、問題にしているんです。
 で、もう一つ、時間がありませんからこの問題だけ追及しませんが、もう一つはこれまでの特別会計改革の論議をちょっと踏まえたと思えない御発言があります。この点はもう一遍改めて問うわけですが、すなわち大臣は、リスクの高いところに出資を行っているんだから結果として毀損も出ている、こういう答弁をされているんですけれども、しかし、これ振り返ってみますと、さっきからも出ていますが、塩川前大臣は、一年前の五月と六月、私、決算委員会でもちゃんと特別会計、これ追及してまいりましたが、何と答えているか。最初はこういうふうに答えている。出資金、基金の在り方を検討する時期に来ておる、現に出資金を食ってしまってマイナスのところがたくさんある、検討しておるところです、こういう御答弁だ。
 次のときは電源開発特会をただしたんですが、私は二兆三千五百億円に上る政府出資金の毀損を示したのに対して、塩川さんは、私も実はこういうことについては非常に疑念を持っております、出資金は財産的なものを残していこうという趣旨がございますが、そこらの支出については今後とも十分研究させてやってまいりたい、こういうふうにお答えになっている。
 ここまで変わってきたというふうに私は思います。同じ時期に会計検査院や行革本部がもっと厳しいことを指摘をしているわけですね。こうした一連のとうとうとした改革の流れというのは、私は、政府の中でもようやく出てきたと。そして、ようやく十一月の財政審の報告が日の目を見て、リターンのない出資は大幅に削減をして評価を厳しくしろと、こう言っているわけですね。
 だけれども、大臣の答弁、どうも私、元へ戻ったような気がしてしようがない。そして、企業会計に学ぶんだというふうに政府側はおっしゃるわけですけれども、こんなものを投資と言い張って巨額な幻の投資残高を抱えていたら、会社だったらとっくの昔に、社長の首が幾つあっても足りないという、こんな状況だと思うんですよ。
 その点について、一体どういうことなのか、もう一遍きちっとここら辺は御答弁いただきたい。この点をお願いいたします。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 先ほど御答弁申しましたように、研究開発というのはいろんなレベルのものがあると思うんですが、ここで、産投会計でやっておりますのは、リターン、リターンは期待できるがまあ全部民間でというのはちょっとリスクが高いねというようなものをやっているわけでございまして、私は、さきのこの審議会の報告にもありますように、そこを厳格に見て査定もきちっとしていく必要があることは、私もそれは当然だろうと思っております。
 ただ、他方、じゃ、そういうリターンも見込めるんだけれどもリスクもあるというようなものにやはり研究開発資金というものを回していく必要性というのもやっぱり私はあると思っておりまして、それが先ほど委員からちょっとおしかりを受けましたような答弁になっているんだろうというふうに思うんです。
 そこで、じゃ出資金という在り方がいいのかどうかというのも、実はここはなかなか問題のあるところでございまして、補助金ということだって場合によっては考えてもいかぬというわけでは私はないんだろうと思っておりますけれども、ただ、そこで補助金という形でありますと、さっき、塩川大臣もおっしゃっていたことでありますが、結局そこで、何ていうんでしょうか、作られてくる資産といいますか、いろんな可能性のあるその研究の成果、収益の可能性があるものに対して、補助金という形であると国の権利というものが残らなくなってしまうということで、そこらをどうしていったらいいかということは、私は非常に悩ましいところがあるんだと思っております。
 そういうことも私どもは十分これからも研究をし、審議会の答申も踏まえて厳格な見方というのをしていく必要がありますけれども、そういうことを考えますと、引き続き、成果などに財産的権利が残る形のお金の流し方というのも、やはり私は存在理由がなくなったわけではないというふうに考えているわけでございます。

○又市征治君
 いずれにしましても、政策的投資だとかと言えば何でも通っていくという時代は私は過ぎたと思うんですね。
 そこで、その原因の問題にちょっと入りますけれども、どうしてそういうリスクの高い、つまりリターンの可能性の低いところへ投資と称して政府資金がじゃぶじゃぶ支出されているかということなんですが、これはほかの特会にも共通をする構造的、私は欠陥だと申し上げてきたんですけれども、ある事業が本当に必要であろうがなかろうが、毎年収入が保証されているから支出を作っているという、こういう節のある会計、幾つかあるわけですよ。これは大臣も実はもう十分御承知なんだろうと思う。だから、財政審の十一月の報告書では、保険料の財源を使って安易な事業を進めるなど本来の目的を逸している、こんなふうに財政審ではびしっと指摘しているわけですね。この保険料という言葉を逆にNTTなどの配当金というふうに言い換えたとすれば、これは産業投資勘定にもそっくり当てはまるわけですよ。
 こうした放漫な投資の根源になっている特定財源の囲い込み制度については、やっぱり今回の特別会計改革ではどのように改革目標を具体化されようとしているのか。私は、そういう点では一般会計に戻すべきものがあるんじゃないのか、何回もこのことを御指摘しているんですが、この点について、特別会計全般について、一般会計との仕分の問題含めてどのようにお考えでしょう。

○大臣政務官(山下英利君=財務大臣政務官)
 先生御指摘の特別会計については、その一般財源というものとどういうふうに区分けをするのかというのはいろいろ、戻すかどうかという話、これまでも先生の御質問、ずっと続いているわけなんでございますけれども、昨年十一月の財政制度審議会の報告書で、こういったところにつきまして、特別会計の性格あるいは決算の状況等を踏まえて、まず不要不急の事務事業、これを廃止、縮減等の見直しを行うべきであって、こうした歳出面での合理化を踏まえて、一般会計繰入れの減額や一般会計への納付、国全体の財政資金の効率化の観点も踏まえた歳入面での合理化を図る必要があるというふうな報告されているわけでございます。ですから、そこのところはきちっと目的を明確にして見直しをしていくというところだと思います。
 したがって、財務省としましても、こうした考え方を踏まえつつ、各特別会計の性格に応じて歳入歳出通じた構造面の見直し、これを引き続き進めることが大変必要であると、そのように考えているところでございます。

○又市征治君
 財務省が、先ほども同僚議員の答弁で、大臣からは、特別会計、これほど見直しをやっているときはなかったんじゃないか。当然そうだと思うんですね。今、やっぱりこれだけ国家財政全体的に赤字だと、こう言っておるそういう時期に当然やらなきゃならぬ、私たちもこの委員会で何回も、いろんな会派からも出ました。ただ、今、山下さんからお答えになったそれだけでは私は歯止めにならないと思うんですね。
 産業投資勘定の問題、もう一度大臣にお伺いをしてまいりますけれども、この産投勘定の創設というのは、NTT株の配当をめぐって総務省と経済産業省両省の綱引きがあって、これが決まらなかったために財務省がさらっていったと、こういうふうにマスコミなんかで報じられているわけですよ、これね。そんな格好で言われてきた勘定です。
 しかし、財務省が、そういう意味では、官庁の中の官庁だと、こう言われるわけですけれども、この金を財務省が握る以上は、私は、より高い全社会的な政策目的にむしろ張り付けるというか、そういうところに配分をすべきだ、こんなふうに思うんですね。そして、今、時代は一巡りして、特別会計の特定財源囲い込み行為そのものが批判をされている。さっきも申し上げたように、行革本部もそう言っているし財政審もそう言っている、こういう状況になってきているわけですし、もちろんこの委員会でも何度もそんな意見が出されています。
 ここはひとつ財務省のイニシアチブを発揮をしていただいて、この狭いIT振興に限らず、より国民に公開をされ、国民全体に還元する、こういう用途に支出をすべきじゃないか、そんなふうに思います。そのためには国民によく見える一般会計にやはり戻していく、そのくらいのやっぱり努力が今求められているんじゃないか、このことを大臣に最後に御答弁を求めたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 委員の御主張のように、これは元々NTTとかJTとか、株の配当をどう有効に活用していくかということで出たわけですけれども、何もNTT株のあれだからITにと限定しなきゃならない理由はこれはないわけでございまして、やはり先ほどリターンを見込めるということが必要だと申しましたけれども、リターンを見込み得る事業分野に再投資するということがこれは趣旨でございますから、福祉であるとか雇用であるとか、あるいは環境保全というような分野にでも、収益性の観点が満たされれば私は出資対象としていくことは何ら差し支えないというふうに思っておりまして、そういう形でまた御要望があれば検討していかなきゃいかぬと思っております。

○又市征治君
 終わります。