第159回通常国会

2004年5月11日 総務委員会


(1)電波利用の地域間格差を補正すべき
(2)電波犯罪を理由とした盗聴・監視の強化は許されない


○又市征治君
 社民党の又市です。
 この法案(電波法・有線電気通信法一部改正案)については賛成であることをあらかじめ申し上げながら、その周辺の問題を質問をしたいと思います。
 政府は、電波に新しいニーズが生まれており、国民共通の資源としてもっと有効に使うことが必要だと、こんなふうにおっしゃっています。ただ、有効利用とはいえ、電波料をオークションにせよという案は問題ありと考えておられるようですけれども、これについては、電波有効利用政策研究会の第一次報告書が、かえって有効利用を阻害する危険性が強いというふうに述べて採用しないという結論を出しているようですけれども、この内容について簡単に紹介をしてください。

○政府参考人(有冨寛一郎君=総務省総合通信基盤局長)
 オークションの方式につきましては、欧米の先例を分析いたしますと、大きく言って二つの点で問題があるというふうに認識をしておりまして、一つ目は落札価格の高騰の問題、二つ目が免許人の選定に対しての電波の公共性の確保の欠如ということがあろうかと思います。
 この電波の落札価格の高騰の問題でございますが、欧州の第三世代の携帯電話の例を取ってみますと、この免許料の高騰によりましてサービスの開始ができないというようなことで電波の有効利用を大きく阻害したとか、あるいはさらに電気通信事業者のみならずメーカーの経営基盤の悪化も招いて、国家の成長あるいは戦略産業であるようなIT産業の衰退を招いたとか、あるいは免許の有効期間が長期化することによって既得権化というものになって、それが将来の再配分を阻害したとかというような多岐にわたる問題が生じたというふうに理解をしております。
 また、免許人の選定に際しての電波の公共性の確保でございますけれども、電波は国民共有の資源でございますので、例えばサービスの提供地域が適切であるかとか、あるいは人口カバー率が十分かといったような、国民にとって最もプラスになるような形で電波が使われていることがこの電波の公共性を考慮した免許人の選定ということになるものだと思っております。
 こういった点でいいますと、オークション方式そのものは電波の公共性を考慮することなく単に支払の多寡のみを物差しとして免許人を選定するというものが通常だと思われますので、こういった形でありますと、不採算地域の切捨てあるいは公共性の確保が困難だという観点で問題があるというふうに認識をしておるところでございます。

○又市征治君
 何でもかんでも市場原理がいいというわけではないと、こういうことですね。特に電波は限られた財ですから、オークションは危険だという、そういう判断についてはこれは賛成であります。
 さて、それに代わる審査項目の代表例として人口カバー率という尺度を挙げられておるようですけれども、しかしこれが乱用されれば、都会で開業するのは簡単ですけれども、人口希薄な地域では最初から免許を取りにくいということにもなりかねませんね。むしろ、過疎地の人たちほど、他のサービスが乏しい分だけ電波情報によって受けるメリットは大きいはずですね。人口だけでなくカバーする面積といった、ある種の過疎地補正とでもいいますか、そういう必要性があるんだろうと思いますけれども、当然そういう意味を含んでいますね。その点についてどうですか。

○政府参考人(有冨寛一郎君
 先ほど申しましたように、電波は国民共有の、かつ有限な資産でございますので、例えばサービスの提供地域が適切かとか、あるいは人口カバー率が十分かといったような、国民にとって最もプラスになるような形で電波が使われる、それが電波の公共性を考慮した免許人の選定であるというふうに考えておりまして、実は電波有効利用政策研究会におきましても、携帯電話事業の免許の選定のための比較審査においては人口カバー率を審査項目とすることの検討が必要であるというような提言も受けております。
 私どもといたしましては、こういった免許申請の審査の段階で人口カバー率などの評価項目をするということによって、できるだけ広い地域で、人口の少ない地域においても電波のシステムの利用が可能となるように取り組むということは重要な政策だと思っております。

○又市征治君
 次に、大臣にお伺いをしますが、電波利用者に平等な免許の仕組みとは何かということについて、事業者のベースではなくて末端の利用者、また今は利用できていない潜在的な利用者、そして電波過疎地の住民や高齢者、障害者、一般国民のベースで考えるべきではないかと、こう思います。利用料が余りにも高くては、それが端末に転嫁されて、利用できるのはお金の余裕がある人だけになってしまいますね。また、大都市と同じような人口要件を人口が少ない地域まで適用しては実質的な不平等になってしまうということがあると思いますが、平等を保障するためのこの免許の仕組みについて大臣はどのようにお考えになっていますか。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 又市先生御指摘のとおり、公共性の高い電波ということでもありますので、こうした公共性のことを踏まえれば、これいかに有効利用されるかということは、これは国民平等、なるべく広く、かつ多くの方々が電波を利用できるように配慮するというのはもう基本的なところでもありますし、最も重要なところだと思います。
 御指摘のとおりだと思いますので、こういったものの免許に当たりましては、人口に偏ると大都会にという御指摘も誠に正しいところでもありますので、そういったところも十分に勘案をして、また妙にそっちを、妙に偏ると今度は高くなったりいたしますので、そういったことにならないように今後とも配慮いたしてまいりますが、これまでもいろいろな方々が、今手数料という性格が基本ですから、これを維持しつつ、かつ、こういったことも考えろという説と、もう手数料という発想、これはやめろと、そしてもう経済的な利用価値の点だけでいけという御意見やら、また地方公共団体等々からも徴収すべきだという御意見、いろいろ出てきておりますので、私どもといたしましては、こういった御意見を十分に踏まえながら年内にはこういったものを一応取りまとめてきちんとした方向を出したいと思いますが、今御指摘にありましたように、多方面からいろいろ御意見をいただいておりますので、その点を勘案いたしまして検討させていただきたいと存じます。

○又市征治君
 次に、電波利用料についてお伺いしますが、電波利用料は毎年多額の黒字を出していましたけれども、収入が増える主な理由は携帯電話なわけですね。一台につき年、さっきも大臣はお答えになりましたが、五百四十円、二〇〇二年度決算では四百十五億円で、全収入の何と八七%を占めている。そして、毎年かなりの決算剰余金を出してきているわけですが、平成十四年まで十か年累計では二百九十三億円で、年収の五三%相当分までたまっていたわけですけれども、しかし二〇〇一年度から新たに百億円を超える大口の支出、例のアナ・アナ変換が加わって、今年の予算でも二百二億円、収入の三五%が持っていかれるという、こんな格好になっていますね。将来にわたって膨大な支出が決まってしまったわけですけれども、その結果、十三年度以降は初めから赤字予算で繰越金をどんどん崩していくということにされています。
 この五つの点について、理由を含めてもう少し説明をしてください。

○政府参考人(有冨寛一郎君)
 これは数字を見れば今先生言われたとおりの流れがあるわけでありまして、電波利用料の過去の決算を見ますと、これは毎年収入額が支出額を上回っておると、いわゆる剰余金が累積されているというのは、これは事実でございます。
 これはなぜかということでございますが、これは各年度の予算要求時に見込んだ携帯電話の増加数、これが予想をしたものよりも大きく上回っておるということで、予想以上の収入があったということがこれは大きな原因になっております。
 そういう形でずっと積み上がってきたわけでございますが、この平成十三年度以降、これはアナログ周波数変更対策業務というものが電波利用料の使途に追加をされておりまして、今先生が言われましたように、その部分の割合が非常に多くなっているという形で、この数字を見ますと赤字というような形での予算になっているということでございます。

○又市征治君
 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、ということは結局、携帯電話でもうかるから地上デジタルにどんどん注ぎ込めと、結果的にはこういう格好になっているわけですね。昨年、テレビ局の電波使用料を暫定値上げをしたわけですけれども、その分はたかだか一五%程度で、正に焼け石に水、こんなことになっています。この点、携帯とデジタルは別物でありましてどこかおかしいんじゃないか、こういう声が当然上がってきますね。
 総務省は、研究会の名で昨年末、利用料の論点整理をまとめておられますが、この焦点をぼかして検討対象を全体的に広げてしまっていますけれども、今の収入と支出の今話があったような偏り、また赤字転落状態をどう改善をする考えなのか、大臣のお考えを伺いたいと思いますが、もっと金を取ってデジタルに注ぎ込めというのはこれは駄目ですから、その点、どのようにお考えなのかをお伺いしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 又市先生御存じのように、携帯電話が採用というか利用されるようになった導入時におきましては約、携帯電話は五百万台ぐらいが、今が八千五百とか七百とかいう大台になってきておりますので、この点に関しましては携帯電話からの収入割合が急激に増えていったことはもう間違いございません。また、それに対応してアナログ周波数の変換対策に関して多額の支出がだあっと増えていったというのもこれは事実でありまして、その比率が高くなっておりますということもこれも間違いない事実、御指摘のとおりでありますので。
 いろんな意味で、この点につきましては、先ほど申し上げましたようにいろんな御意見が、手数料からやめろとかいろいろ御意見が出されているとおりでもありますので、いずれにしても公平性ということは非常に大事なところであろうと思いますので、国民の納得をいただけるような形でこれはいろんな形で検討してみる必要があろうと思いますので、年内にはと思っております。

○又市征治君
 次に、無線LANが企業や家庭で今急速に普及をしてまいりました。しかし、情報が漏れる危険性が言われてサイバー犯罪条約に合わせて処罰の対象になるわけですけれども、しかし電波統制を強化をして悪意のない者を犯罪者扱いをしてはならないと思いますね。
 実は、おとといの日に、ソフト、ウィニーの作者が逮捕されました。これは電波法ではなくて著作権法でやられているわけですけれども、有識者は、あのソフト自体はネットワーク的で民主的なものであって類似品はいずれ出てくるんだと、こんなふうに言っていますね。
 そこで、一点だけお伺いするんですが、改正案では暗号を解読しただけでも未遂罪だということなんですけれども、犯行、すなわち漏示であるとか窃用の意図の有無をどうやって一体全体確認をするのか。盗聴を監視するといっても、そのためにまた役所が常時盗聴するなんという、こんなばかげたことが起こったんじゃこれはどうにもならぬわけですが、ここら辺のところはどのようにされようとしておるのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(有冨寛一郎君)
 今回お願いをしております法案でございますが、これはあくまでも暗号通信の復元がなされる段階であって、その復元の目的が漏示、窃用であるという場合に適用されるという形でございます。したがって、単純に漏示、窃用目的を持って行われないで復元をしたということについては、これは違法というふうにはなりません。
 ただ、じゃ具体的に漏示、窃用という目的がどういうもので、どういう形で確認するのかということでございますが、これはやはり客観的なものがなけりゃならないということは当然でございます。例えばでございますが、これは比喩がいいかどうかというのはまた別にしていただきたいと思いますが、例えばでございますが、探偵会社の職員が依頼者からの依頼で他人の暗号通信の傍受あるいは復元を行ったという場合に、その他人の通信内容を教える旨の依頼人との契約書があると、こういったことについてはこれは明らかに漏らす目的でやったねという話になると思いますし、また、企業の職員が競争相手の企業秘密を窃用する、そのために暗号通信の傍受又は復元を行ったと、傍受及び復元を行ったという場合においては、その企業秘密が盛り込まれた企画書、こういったものがあるとすればそれは窃用する目的でやったということが確認できるというふうに考えております。

○又市征治君
 それでは、法案の改正以外の問題でちょっとお聞きをいたしますが、国土交通省にも今日は来てもらいましたけれども、改造されたトラック無線などの違法な高出力電波を受けるとバスがブレーキが利かなくなって、前を走っていた車に追突をして乗客が骨折するなどの人身事故が東京都内で二件起きていた。これはひょっとすると氷山の一角かもしれませんが。バスメーカーが約二千二百台を対象に部品を交換すると届出がなされている、こういうふうに聞いています。
 せんだってからの横浜の脱輪による死亡事故がようやく真相が分かってまいりましたけれども、こうした無線の問題に絡んで、電波交通障害とでも言うんですかね、このような状況についてどのように掌握をされて、また対応されようとしているのか。まず、これはひとつ国土交通省からお伺いをしておきたいと思います。
 あわせて、こうした電波法違反の高出力の無線局、特に車への対策はどうしようとしているのか、総務省にもこれは関連があると思いますが、この点は総務省からお伺いをしたいと思います。

○政府参考人(峰久幸義君=国土交通省自動車交通局長)
 御指摘のように、バスの走行中にブレーキの利きが悪くなりましてそれで追突事故などが起こりまして、それに関連しまして、昨年の十二月十五日でございますが、三菱ふそうトラック・バス株式会社から、一部のバスにつきまして、搭載されておりましたブレーキを制御する電子装置、電子機器に関して改善対策の届出がありました。
 この改善対策と申しますのは、この間から問題になっておりますように、基準に不適合しているというようなリコールの問題ではございませんで、そういう問題ではございませんけれども、安全上問題となるということで、そういうことで届出をしていただいているものでございます。
 その不具合の内容は、具体的に申し上げますと、アンチロックブレーキシステムといって、急ブレーキなどを掛けた場合にタイヤがロックされましてそれでスリップなどが起こると、それを防ぐために、ハンドル操作がそのスリップによって不可能になりますのでそれを防止する電子制御装置でございますが、この電子制御装置が想定外の不正な高出力の電波を受けますと、そのセンサーに侵入したノイズによりましてその装置が誤作動して、最悪の場合はブレーキの利きが悪くなるという、こういうふうなものでございました。
 それで、これについて改善対策の内容として、ABSと呼んでおりますが、電子制御装置について高出力の電波に対応したものにも対応できるというふうな対策品に交換したというものでございます。
 不具合の状況自体は、事故に至ったのが二件でございますが、それ以外に二件あったということで、ほかにはございません。ただ、こういう形で改善対策をやっております。

○政府参考人(有冨寛一郎君)
 電波との関係、若干御説明させていただきたいと思いますが、三菱ふそう独自の実験によりますと、想定外の高出力の電波が原因となる場合も確認されたということであるようでございます。しかしながら、実際の事故にそれがつながったのかということにつきましては、因果関係はまだ明らかになってないというようなことでございますのですが、それはそれとして、やはりこの不法な無線局を搭載しているようなトラックやダンプカー等、これは極めて遺憾なことでございますので、これは鋭意その取締り等の取組を進めてきております。
 と同時に、広くこれは違法であるということを関係業界等も通じまして、このリーフレットの配布等、重点的にその啓発活動を行ってきているというものでございます。
 それと併せまして、これは電波監視システムというものの整備を図ることによりまして、迅速にこの不法電波の発射源を突き止める、そしてその発射を停止させるというような措置を行うとか、あるいは警察等との、警察等との捜査機関と共同で不法無線局を取り締まるとかということもやってきております。
 今後とも、この周知啓発活動を強化していくということと併せまして、電波監視システムの機能の向上を図る、そしてまた混信等に関する申告の迅速かつ的確な対応のための業務体制の整備、こういったことを進めながら安全な電波環境の実現に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。

○又市征治君
 先ほどのサイバー犯罪は、意図が文書や電子データで立証できることが要件で、警察や裁判所が恣意的に判断をしないということのようですから、これは了解できます。
 また、今ほどありました無線LANは、盗聴やデータの改ざん、破壊、あるいは今日はそこまで触れませんでしたけれども、預金の盗聴など被害に遭う可能性がありますけれども、総務省もパンフレット、今もお話ありましたが、パンフレットを出して周知を徹底を図っていくということのようですから、更に努力をいただくようにお願いをして、私の今日の質疑を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。