第159回通常国会

2004年5月18日 総務委員会


(1)市町村合併で役場が遠のくことの弊害
(2)地域で工夫した地域自治組織を規制する政府
(3)昭和の大合併でも反故にされた交付税保障
(4)住民投票は合併促進だけではなく真の住民意思尊重を
(5)合併しない自治体へ制裁的に交付税を削減するな


○又市征治君
 社民党の又市です。最後でありますから、是非よろしく、しっかりと御答弁をお願いをしたいと、こう思います。
 私も、立場上、多くの自治体関係者の皆さんとお会いをいたしますけれども、今度の三法案について、それを推進をする立場、あるいはそれに消極的な立場、こんなものを超えて幾つか疑念や疑問が出されておるわけでありますから、これを解明する、こういう立場で質問をしてまいりたいと思います。
 まず第一に、住民自治と地域自治区あるいは合併特例区などについてお伺いをしたいと思いますが、大臣にお伺いをしますけれども、合併で役場が遠くなってしまうという不安の声に対して総務省合併担当者は、これまで一般の人が本庁の役場に年何回ぐらい行くだろうか、通常は住民票や戸籍等の書類を取りに行くぐらいではないかと、こう述べられております。
 他方で、片山前大臣は、住民基本台帳ネットワークシステムを導入をする際の理由として、住民票の写しを取りに行ったり生存確認の書類を提出するなどの負担が軽くなると、こんなことを強調されたわけで、言っていることは両方が全然違ったことを言っているわけですけれども、合併をやろうということだけではこれは奇妙に一致をした発言になっています。
 そこで、役場の存在意義は単に窓口だけではないわけでありまして、議会の所在地でもありますし、住民が自主的に集って協議をしたり、あるいは主権者としてその奉仕者たる執行機関に要求を出す場でもありますし、また福祉などの日常的なサービスや相談のセンターでもあります。その役場を合併というのは住民からやっぱり距離の面でも、心の面でも、やはり遠くにしてしまうという面は否めませんね。行政がますますそういう意味で独善的になって、県庁や東京の中央政府の顔色ばっかりうかがう体質というものを強める可能性を持っている。そうなってはならないと、こう思うわけですが、この点について大臣の基本的な見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君=総務大臣)
 今、市町村が合併して、えらく大きな地域が合併してなかなか遠くなるというのは地理的には間違いなく言われる可能性が否定できないと思っております。
 ただ、それに、だからというんで、その点だけ見ればそうかもしれませんけれども、工夫もいろいろあるんであって、例えば、そうですね、先生のところの富山県の砺波という市がありますけれども、その市の下のところは四町四村、今度合併すると思いますが、この合併するに当たって一つのところで庁舎を新しく建てることはしない。それから、いろいろその町に関しては、議会はここ、町役場はこの町と、ただしいろいろその辺りを通行するに当たっての道路網に金をきちんと掛けたいというちゃんときちんとした対応をしているところもあります。
 また、今IT化がどんどん進むことになりますと、例えば住民登録、登録、印鑑証明いろいろありますけれども、そういったものは基本的には郵便局からアクセス、郵便局から接続するときちんと対応ができるようになるというようなことも考えられますし、また御存じのように、地域審議会を設置するということもできることになっておりますし、今言われたように、声がなかなかというのが問題だと言われるので、地域自治区とか合併特例区を設けることといたしておりますので、御心配の点は私はなきにしもあらずと思いますけれども、そういった対応をきちんとしていかねばならぬところだと思って、丁寧な対応が必要だと思っております。

○又市征治君
 大臣がよく勉強されているものですから、私の地元のお話まで出たから、少し全然変えてやろうかなとも思ったんですが。
 私は、さっき申し上げたように距離の問題もさることながら、やっぱり心の問題、自分たちの遠くなってしまうというこの感じですね、コミュニティー、こういうことが非常に問題です。
 例えば、今、ちょっと質問それるんですけれども、大臣がちょうどわざわざ私の地元のお話なさいましたが、非常に豪雪地帯です。一晩に一メーターも一メーター五十も雪が降るときある。こういうときに、もうそこの役場も、役場へ勤務に行かないで自分の自宅から職員はだあっと走って除雪に走るわけですよね。もう目にくま作って毎日、毎日毎晩そんなことやって、自分の自宅なんてのはもう夜の十二時、十一時になってようやく自分の自宅の雪下ろしなんてやっているんです。
 こういうのが、合併をやって職員ががっと減っていったときに、本当の意味できめ細かいことができるかどうかと。これはみんなやっぱり疑問持っているんです。そういう問題などというのがある。だから、役場の職員が十人集まったら、どこのどなたのうちがどういう家庭状況かとみんな知っている。ところが、こんなのが合併やりますと、小さくなって、全然みんなお互いに広域配転になる、ならざるを得ませんから、こういうところが大変にやっぱり問題が起こってくるんですね。だから、こういうところを非常に大事にしてもらいたい、やられる場合でもですね。
 こんなことを含めて、そういう意味で私はさっき心の距離が開く、こう申し上げたわけですが、そういう点というものを是非これは、私は合併そのものには余り賛成じゃないんですけれども、やられる場合にはそんなところを是非大事にしてもらいたいと、こう思っています。

 そこで、本論に戻りますが、今回の改正の地域自治区もあるいは合併特例区も、どうしてもこれは首長執行機関の下部機構、出張所という色合いが強くて、今申し上げたような本来の地域コミュニティーとは違うわけですね。これでせめて旧町村の名残を残して合併の抵抗感は薄めるということもあるんでしょうが、これは一面ではまた逆の、よく皆さん方がお使いになる行政効率の面では二重の行政で弊害を生ずるということになりはせぬかというのが一つあります。
 むしろ私は、住民自治の視点から言うならば、この合併後の空洞化を防いで自治を担うという場として、あるいは他方で、合併をしないでやっていく町村にあっても、行政と住民の協力して働くという意味での協働関係、こういうものを促す場として権限や住民参加の度合いというものをもっと文字どおり「自治」区に近づけていくことが必要ではないかというふうに私は考えるわけですけれども、この点についていかがでしょう。

○政府参考人(大野慎一君=総務大臣官房総括審議官)
 いずれも又市先生のおっしゃること、私はごもっともだと思っていまして、たまたま私も岐阜県で副知事やっていた折に、富山と近いので豪雪地帯持っているところ、これも先般合併したわけですが、飛騨市という市になったわけですね。そこでは河合村とかそういう大変な豪雪地帯も一緒になって合併したわけですが、そこに今言った心の距離が出ることを防ぐために旧町村単位に振興事務所というのを当分の間置くわけなんですね。そこで従来のようなサービスをできるだけそこでやっていこうという工夫はすることにしているわけです。この考え方は合併特例区にもあるわけですね。ですから、そういう面を何とか不安を解消するためにそういう仕組みを合併特例区などでやっていくと。
 だけれども、一方で、いずれはやっぱり合併した以上、ある程度統一的にまとまっていくということもこれ基本的な考えにあるわけですから、共通化できるものは共通化していくと。本庁でできることはやっていったらいいと。しかし、対人サービスの面で住民と身近なところで処理した方がいいということが残れば、それはやっぱり住民の身近なところでやったらいいと。しかも、その一部がまあ普遍的な制度でありますけれども、地域自治区というものの中で、しかもそこには、単に職員だけじゃなくて、住民そのものが自分たちもボランティアとしてこの地域の問題で、例えばリサイクルの問題とかそういうことにかかわっていきたいとおっしゃるわけですから、それだったら一緒にやりましょうと、こういう仕組みで地域自治区を作っていくと。
 こういうことでありまして、あえて言えば二律背反の課題を何とかやっていこうという仕組みが合併特例区であったり地域自治区の特例だったりするわけですから、これはいかに活用するかというところが大事なんであって、これ何かあげつらうだけではいかがなものかと、私は率直に言って申し上げたいと思います。

○又市征治君
 地方はみんなまあ、これは言っちゃ悪いけれども、総務省案よりももっと創意を工夫を凝らしているんじゃないのか、地域内分権というか自治拡充を探る動きとしてね。小学校区ごとの自治区の設置をやったり、あるいは旧市町村単位の地域審議会の活用であるとか地域振興局の設置であるとか、旧町村ごとの地域自治政府の設置などという構想が出されていますね。これは総務省の方がよく御存じなんだと思いますが、少し私も調べてみました。
 例えば、熊本県あさぎり町のように地域審議会を活用しようというこういうケース、あるいは島根県の、委員長の地元ですけれども、島根県浜田市ほか四市町村では旧自治区に区長がいる自治区を設けたり、あるいは北海道や長野県の一部に見られる旧市町村単位に局を設置をする、あるいは長崎県対馬市の支所の役割を強化をするなど、こんなのは様々、地域自治組織を先取りした動きがありますね。
 また、長野県の飯田市など十八の市、町のように、各自治体の選挙で選ばれた各地域委員会が法人格のある政府を構成するという地域自治政府構想であるとか、町民のほぼ全員が会員になってNPO法人まちづくり山岡を発足させる動き、これは岐阜県の山岡町、小学校区単位で協議会を設置する構想、三重県の伊賀地区であるとか、あるいは旧村地域に架空の村を復活をさせて、村長らが催しの調整などを行うところなど、あるいはまた、広島県高宮町は自然発生した地域振興会と呼ばれる自治組織が地区ごとに様々な試みも展開をしていますし、京都府の美山町は住民で構成される地域振興会とタイアップして旧五つの村すべてに地域振興課長を配置して支所業務を始めている、こんなことなど随分と多くあるんだろうと思う。いろんな工夫していると、こう思うんです。

 そこで大臣、伺いますけれども、今回改正の地域自治区や合併特例区というのは、以上に紹介したように、それぞれオリジナルな地域自治組織を先取りした動きに比べると、私はどうも立ち後れているんではないか、あるいは五年と期限を区切ってむしろ規制をして足引っ張ることになっているんじゃないのか、こういうふうに懸念が出されています。法律で細かく規制をせずに、組織の在り方や機能、また人選も準公選制を取り入れるなど、地域の自主性や主体性が発揮されるような、そういう制度にすべきではないか、これらの地域の今様々な動きというのは当然尊重していくべきじゃないか、こう思うんですが、その点いかがでしょう。

○国務大臣(麻生太郎君)
 地域自治区につきましては、いろいろ自由にできるようなことになろうと考えておりますけれども、今言われたようなことをじゃんじゃんやってくれるところが全国皆そうだったら別に問題、この種の要望も来なかったんです、最初は。何とかしてくれという話がそもそも一杯来たものですからこの種の話は元々考えたので、何となく、役人がしゃべるとえらく堅苦しく聞こえることになっておるんですが、また、いい加減なことを言うとまたそれは問題じゃないかということになりますので、それはなかなか難しい、このバランスが、私はもう。
 だから、そこのところは又市先生おっしゃるとおりなんで、京都の話やら、今都会でそんなものできないじゃないかと言われたある方がいらっしゃいましたけれども、この間、消防でもお答えしましたけれども、大丸有という組織ができると。大丸有というのは大手町と丸の内と有楽町と、三つ足して大丸有と言うんですが、ここできちんとした自治組織ができ上がっておるというような、これは都会ですよ、都会の真っただ中で、名前が何とも面白いので一発で覚えたんですけれども、そういったものができ上がっているのも事実でもありますので、そういった意味では私どももそういったものはできれば誠に喜ばしいことだと思っておりますので、できるだけ住民の意思が反映できるような制度に作り上げたいと思っております。

○又市征治君
 第二番目に、財政的な保障の問題について幾つかお伺いしたいと思います。
 現行法では、合併しても交付税は十年間、前と同額を保障をすると、こうなっていますね。しかし、これはもう、昔の話もさっき出ましたけれども、旧自治省は大うそをついた前歴があるわけでありまして、すなわち昭和の大合併でも合併前の交付税を五年間保障すると国は当時約束していたのに、それが反故にされて交付税は減額、大問題になったというふうにお聞きしています。財政措置が十分でなかったために関係市町村の大きな持ち出しになってしまったわけ。このため、合併した途端に財政破綻を来して増税をせざるを得ない市町村が続出をしたというふうに聞くわけですが。
 当時、自治省の次長で、後に東京都知事になられた鈴木俊一さんは、交付税措置は合併前の状態を基礎にして計算をすることは約束したが、額を同じにすると約束したわけではないと、こう開き直られて、トータルの額についても守られなかった、こういうことでありまして、このことについて島根大学の保母武彦さんとおっしゃる教授は、昭和の大合併では合併に必要な国の財政措置を三百億円としていたが、実際の措置額は三十六億円弱にすぎなかった。また、新市町村建設の段階においても、一九五七年度予算において地方六団体は新市町村建設に三十六億円を要求したけれども、国の措置は十七億円弱に終わっている。その後の年度も同様の事態が繰り返されたと、こう指弾されているわけです。
 今回、こういうケースがあるから逆にどうなっていくのかという疑念が出されているということなんですが、今回はどうかと。まず、法改正しない場合、十年間保障プラス五年間の激変緩和措置は、これは将来ともに守られるわけですね。

○政府参考人(大野慎一君)
 御指摘のとおりでございます。

○又市征治君
 是非ともそれは、約束は約束ですからしっかりと守っていくべきだろうと思います。
 今回の改正案では、順次短縮して五年にしてしまうと、いかにも早く合併しろよと督励されているように、こう聞こえるようであります。この点について、中央大学の佐々木信夫教授も、これについては昭和の大合併のときのように国の財政難で交付税の約束を反故にされたことがあったと、合併特例債を国は地方交付税で保障すると言っているが、将来のことは分からない。また、国は平成十七年以降のことは何も語っていないと懐疑的に語っておられるわけですけれども、まあ今、そんなことはないとおっしゃいましたから、ここは守られるんだと思いますが、今度も、今度の合併の場合も、国の財政節減が一つのねらいであることは、これまでもこの委員会で何度も議論をされてきましたし、合併で地方の需要額が四兆から五兆円、千自治体ぐらいになった場合には削れる、こういう発言もございました。約束は、そういう意味で鵜呑みにできないというふうに市町村の側が受け取っておられるということの表れなんだと思います。
 そこで、大臣、伺いますけれども、私は、先ほども申し上げましたが、合併は自然に、幾らかの誘引はあってもいいと思いますけれども、自由にやるべきだというふうに考えるわけですが、今回の法案による短縮そのものには、私はそういう意味で反対なんですけれども、それはおくとして、交付税法を改正をして算定替えの制度そのものを変えてしまうということは、これはなさりませんね。法的には何によって担保されるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 内務省から自治省に変わり、総務省に変わって、大分昔とは内容も違ってきたんじゃないかと自画自賛して言うわけじゃありませんけれども、少なくとも今、交付税の合併算定替え制度というものを触るかという御質問なんだと思いますが、法律改正を考えて、法律を変えるというようなことは考えておりません。

○又市征治君
 次に、合併特例債ですけれども、実績は二〇〇二年までの四か年で十二件ですか、四百四十三億円で意外と利用されていない。これは昨年も私、指摘を申し上げましたが、償還が三割自己負担、また七割は償還時に全自治体の交付税財源に組み込むことになるわけですね。また、特別交付税の合併関係が六百三十一億円ですけれども、これも同じ仕組みで、合併しない市町村は締め出されると、こういうことになっているわけで、おかしな仕組みだろうと思うんです。ほかにも、合併市町村補助金が三十一億円ということでありまして、いろいろと三つぐらいにばらまかれておるわけですが、これらは合併そのものが協議が遅れたりして駆け込みになっているので、二〇〇三年、まだ実績は出ていませんね。二〇〇四年度でもっと増えていくことになるんだろうと思います。
 さてそこで、新法では合併特例債はなくなることになっているわけですが、ただし一年延長という経過措置で駆け込み合併が更に増えていくことになるんだろうと思います。今回、合併特例債を廃止する理由をもう一度明確に述べてください。

○政府参考人(大野慎一君)
 この合併特例債、現行法ではこの合併特例法の期限内に合併の成果を上げると、そのために財政支援措置も、思い切って合併を支援するということにしたわけでありますけれども、新法の中では、この新法をどうするかという議論を地方制度調査会でもした折に、要は、この合併に関する障害を除去するための特例を中心に定めるべきだと、現行法のような合併特例債のような財政支援措置については取るべきではないと、こういう答申もありまして、新法では合併特例債については行わないというふうにしたわけでございます。

○又市征治君
 第三番目に、先ほど来からも出されておりますが、知事などによる合併の強制になるんではないかという点について大臣に改めて確認を願いたいと思います。
 知事の行う合併勧告については法定受託事務ではないと、自治事務だと、こう大臣、繰り返し答弁をされております。また、代執行はできないと、こうおっしゃっているわけで、私はあんまりここまでおっしゃるのはいかがかと。当然、当然のことでありますから、適切な例えではないのかなと、こう思いますが、しかしそういう極限の対立の次元に至るレベルではなくても、元々市町村と都道府県は自治法上対等なわけですから、勧告の形を取った暗黙の強要も自主合併とは言えないんではないのかと。大臣は、知事が合併勧告や合併構想によって強要すべきではないと、そういうことでは、我々はそんなことを求めているんじゃないと、こういうふうにおっしゃっているというふうに思っていますけれども、改めてこの点について御確認願いたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君)
 度々お答えを申し上げておりますが、いろいろな地域によって例がもうあろうと思いますが、お互い昔の旧郡内とはいえ、なかなか調子の合わない町長さんもいらっしゃるところもありますので、そういったところにおきまして、まあだれかが、ちょっとこれは地域的に見てもというような合併の話をだれが最初に口火を切るかというのはなかなか難しいところなんで、何となく向き合ったままずっと来ちゃって、まあ何となくこれはといううちに一年たち、二年たったものですから、何となくこれは、少しずつ合併の話の内容もいろいろ分かってきたところもあって、これはした方がええと言ったんだけれども、今までは何となくこうしていたところもあるものですから、だれかがちょっと、ちょっと肩たたいてくれるというような人がいて、じゃあという席になったときに、県議会議員がやるかだれがやるかといったときには、やっぱり基本的には知事さんがその地域の事情もお詳しい県議会議員を含めて話をするというようなことが最も一歩を踏み出すというところなんだと思っておりますので、何回も申し上げますが、知事の勧告と言うと、役所の言葉で勧告と言うとどうも形が、何となく響きが良くないんですが、肩たたいてやる話みたいなところで、程度に感じておいていただければよろしいんで、重ねて申し上げますが、知事が強制権もなければ代執行等々も、例もよろしくないと言われましたけれども、その種の、これは自治、あくまでも自治事務でありますので、そういった点で余り知事の勧告権というような感じの強い響きに、役所が言うと何となく響きになっちゃうんですけれども、基本的にはそういった感じで御理解をいただければ有り難いと存じます。

○又市征治君
 はい、分かりました。
 そこで、住民投票の問題についてお伺いをしてまいりますが、改正案では、合併協議会の設置を知事が勧告したときや議会が否決をしたときは住民の六分の一以上の連署により、又は首長が住民投票の請求を行うことができると。そして、住民投票の過半数の賛成があった場合には議会が可決したものとみなすという、これはこれまでの法体系にはない、全く異例の合併促進一方通行の規定が設けられたわけですね。

 これは、第一に、私は、住民投票の結果を議会より上に置くというのは、総務省があれほど反対をこれまでされてきた住民投票全般の法制化反対論から見れば大転換なわけで、これは一面ではいいことですけれども、合併促進に関してだけというのはもう全く私は筋が通らぬと思いますね。

 それから二つ目に、自治体の主権者たる住民が、合併そのものを最終段階で賛否を決める本来の住民投票ともまたこれは全く異なる、こういうことになるんだと思いますね。

 三つ目に、住民から見ると、合併協議会さえ設置すればあとは合併まですべてを行政と議会に白紙委任するものでしかないわけで、それならば、これ去年からも申し上げてきましたけれども、それならばむしろ住民意思を尊重して議会で再議する手続を定めるべきであって、直接請求を議会が否決した場合にこそ住民投票にかけるような制度化をすべきではないか。

 もうちょっとやっぱり、総務省としてこれまで言っていたこととの法理をしっかりやっぱり通していただきたい、こんな気がするんですが、この点、もう少しきちっと首長さん方、自治体関係者にしっかり理解できるように御答弁願いたいと、こう思います。

○政府参考人(大野慎一君)
 この点につきまして、まず私どもは合併そのものを、先ほども御答弁申し上げましたように住民投票にかけるという仕組みにはしていないわけでございまして、要するに合併協議会、この場において合併の是非を含めて十分議論をしていただきたいと、合併協議会の場で、これ関係者が入るわけでありますので、そこで合併の是非含めて十分御議論いただきたいと、そこまでは私どもが法律の中で様々な手だてを講じることは許されるのではないかと、こう考えたわけでございまして、そこで、まずは、今回の法案の中にありますように、都道府県知事は合併協議会の設置、設置についての勧告をすることができるわけでありまして、設置の勧告があれば市町村長は協議会の設置協議について議会に付議しなければならないと、付議しなければならないという付議義務が生ずるということでございますね。
 その上で、さはさりながら、議会が設置協議について否決するという場合も当然あるわけですから、賛成ばかりじゃない、否決をすると、この場合には合併協議を、協議会の中で合併協議の是非について議論してほしいと、こういう願いから、先ほど御指摘のあるように、住民が六分の一以上の有権者の署名、あるいは市町村長が住民投票を請求すればこれは合併協議会設置の可否について住民投票ができると、こういうふうにしているわけでありまして、あくまでも合併推進、自治体が合併を推進するための合併協議の場において合併の是非の議論をしていただくための様々な手だての一環のこれは住民投票の仕組みであると、このように御理解を賜れれば有り難いと思います。

○又市征治君
 どうも納得できないんですね。
 さっき私が申し上げたように、合併促進の一方通行と申し上げたんですが、合併やることだけについてはそういうことなんだけれども、合併そのものを住民の意思を問わない、これは全く、さっき私、法理に合わないんじゃないかと、こう申し上げているんで、なぜそれをやらないんですか、それを聞いた方がいいんじゃないですか。
 本当にその地域における、あちこちでここ近年、随分とやっぱり大きな、産業廃棄物の投棄のそういうものを受け入れるのかどうかとか、様々なそういう住民投票などというのが起こってきている。住民の側がもっと先に行っているんじゃありませんかと、私、こう申し上げました。
 そういう意味で、まして今、住民にとって非常に、自分たちの地域社会をどうしていくのか、そういう意味でこの市町村合併の問題というのは重大な問題なんですが、そのことには、そのことを住民の意思問うのが、これは道を閉ざしておいて、合併促進についてはこれはやっていいんだと。なぜそこに行かないのか、そこが納得できないんですよ。その点を、それぞれ自治体の首長さん方も、あるいは議会の皆さん方も、なぜこれだけなのか、全然今の大野さんの説明では理解ができない。
 合併論議についてだけというのは、そんなおかしな理屈成り立たないんじゃないですか。何年かたって何をあのとき言っていたんだろうかということになりはしませんか。もう一度改めて説明してください。

○政府参考人(大野慎一君)
 現行法もそうですけれども、新しい法律も自主的な合併の推進ということを基本的な理念にしているわけですね。この自主的な合併をどのように進めていくか、挙げて関係市町村で議論をしていただく、その場合に当然住民の意向も踏まえていただくと、こういう仕組みなんですけれども、となれば、法律で決めれることは、やはり合併の協議、この合併の協議に是非入っていただきたいと。
 その最終判断はこれは地域の判断になるということになるわけでして、先ほども御答弁申し上げましたように、大臣が申し上げたように、最終的に合併そのものについて住民投票をするかどうか、これは法律でもちろんないわけですが、それぞれの自治体で住民の意向をお聞きをするというふうなことをやっているところはあるわけでして、そこは私どもが賛否両論あるものを制度化するよりも、現時点ではそれぞれの自治体の判断に任せるというのが適切だと思って、そういう制度は法律に書いてないわけでございます。

○又市征治君
 余りここばかりやっておるわけにいかぬのですけれども。
 いや、私は、だから、この合併の促進の問題の住民投票を駄目だと言っているんじゃないんですよ。問題は、それをやるんならばもう一つ、全体のそうした地域社会における重大問題は少なくともこれに連動して住民投票制度、こういうことも、住民制度、そういうものをやるということを作ったらどうですか、そのことをお聞きしているんです。そのことについて総務省はやるつもりは全くないんですかと、このことについてお聞きをしているのであって、だからこれを私、反対しているんじゃないんです。もう一つやったらどうですかということを言っているんで、その点の基本的な考え方をお聞きしたいということです。

○政府参考人(大野慎一君)
 私どもは、今回、そういうことを法案でお願いするつもりはないわけでございます。

○又市征治君
 いやいや、この法案で聞いているんじゃなくて、トータルとして今そういう時代の流れじゃないですか、そういう中で是非そういう方向に向かって努力すべきじゃないですかと、こう聞いているんです。大臣、そこら辺どうでしょう。

○国務大臣(麻生太郎君)
 これは先ほど御答弁を申し上げましたように、この点につきましては、住民投票の問題につきましてはいろいろ地方制度調査会の中でも、代議員と、今いわゆる議員というものの、代表、住民代表の側の議会と直接投票による住民投票との間のバランスの問題というのはずっと話題になっているところでもありますんで、今の言われたような話というのは現実問題としてあちらこちらで今起きておりますんで、あえてこの法律に書かなくてもということが私どもの立場であります。そこは御理解をいただけると思うんですが。

○又市征治君
 いや、ここのところは大分論議が残るところですから、こればかりやっているわけにまいりませんから先へ進みますけれども、しかし、今大臣もおっしゃったように、地域でいろんなことが起こって、それぞれのところでそういう条例を作って住民投票をやっていこうという動きがずっと大きな流れになってきていますね。
 だとすれば、それを少し総務省は、そういう流れもあるわけだから、ちゃんとそういう制度を作ったらいかがですかと、こう申し上げているし、できれば、そのことについて、是非そういうことは前向きに検討していきたいと、こう大臣からの答弁いただけるものだと思って私、質問しているんですが、是非その点については御検討いただくことだけ今ここでは要請をして、先に進みたいと思います。
 そこで、小規模町村の合併問題ですけれども、大臣は、強制合併はしないんだと何度もさっきから申し上げているように答弁をされてまいりました。そこで、具体的にですけれども、まず一定規模、一万人未満の市町村に対して、その編入合併や事務権限、組織の縮小を強制又は強要することは当然、団体自治権や住民自治の否定にほかならないわけでありますから、これは答申では検討課題とされたわけですけれども、事務特例制度の創設については私は行うべきではないと考えるわけですが、この点についてはどういうお考えですか。

○政府参考人(大野慎一君)
 この問題は引き続き検討課題だということでございます。

○又市征治君
 もう一つ、小規模市町村を合併に追い込むことをねらいとした交付税制度、こう言われているわけですが、この見直しは合併しない市町村に対する、一方では、政治的な制裁ではないかと、こうも言われる。地域住民に対して一定の行政水準を確保をし、また自治体の独立性を強化をするという交付税制度の趣旨に反するものだからという、こういうことなんでありまして、私も、こうした制裁に当たるようなこんな形での交付税制度の見直しは行うべきではない、こう思っていますが、この点についての見解はどうですか。

○国務大臣(麻生太郎君)
 当然です。

○又市征治君
 是非、その点は、大臣の答弁をしっかり踏まえて、事務方の方も御努力を願いたいと思います。
 合併を選択しない地域や合併が困難な地域であっても、広域連合制度を活用をすれば同じような効果が期待をできる。合併を唯一の選択肢として強要するのではなくて、広域連合制度であるとか一部事務組合の活用など、地域の実情に合った取組を尊重すべきだろうと。また、そういうことを大事にしている地域もあちこちにあるわけでありますから、その点を是非しっかりとすべきだというふうに思います。
 特に、広域連合に対する財政支援策の抜本的な拡充を図るべきだと考えますけれども、この点についての見解はいかがなのか。また、合併を選択しない市町村を含めて、小規模市町村への支援方策について、関係自治体の参加を求めて検討を行って具体策を図るべきじゃないかと思いますが、この点についてはどういうふうに進められる考え方ですか。

○政府参考人(大野慎一君)
 これは今のお話のとおりでございまして、合併新法の中でも、合併に至ることがいろんな事情で難しいというところが最終的に残ることも十分考えられるわけでありますので、そうしたところに対して、基礎自治体、市町村だけで構成されるような広域連合制度、こういったものについてより充実方策はないものかどうか、引き続き検討をしてまいりたいと思います。

○又市征治君
 それでは、その他で一つお伺いしますが、今回の改正では、条例で収入役を置かず首長、助役をしてその事務を兼掌させることができる、こうなっていますね。政令で十万人以下の市が想定をされますが、収入役は収支に関して命令機関と執行機関を分離して事務処理の公正を確保するために置かれているわけでありますけれども、公正な事務処理が確保されることが大切だと思います。どのように事務処理の公正さをこうして収入役を置かなくて担保をされるというふうに考えてこういう改正を出されているのか、この点について説明を願います。

○副大臣(山口俊一君)
 もう又市先生御指摘のとおり、事務処理の公正の確保と、これはもう誠に大事な話ではありますけれども、もうこれも御案内なんですが、やはり電子化とかいろいろと財務の管理状況の把握の仕方が実は容易になってきておる、ぱっと見りゃ分かるみたいな話も実はあるわけでありますし、行政改革による業務の効率化の要請というふうなのもいろいろ出てきております。
 ですから、この改正につきましては、収入役を置かなくとも会計事務の適切な運営を確保できると判断をする場合にのみ一定規模未満の市が収入役を置かないことをお認めをするということで、もう御案内のとおり、町村に関してはもう既にこれまでも置かなくてよいというふうなことがあったわけでありますが、特にそこら辺で収入役にかかわる、置かないということにかかわる問題というのは出ておらないというふうに理解をいたしております。

○又市征治君
 副大臣、せっかくですけれどもね、私、ちょっと考え方が反対なんですよね。収入役がいなくなった分だけ、むしろ首長の専断が強まって会計がルーズになるとすれば、もう大変本末転倒な話ということになるわけで、この事務がコンピューターを使ったとか何とかという問題とは訳が違う、こういう問題だと思うんですね。
 今、やっぱり市町村にとって緊急な課題というのは財政構造の立て直し、安定化のはずであって、むしろ赤字団体に落ち込まないようにするにはどうするかについて収入役がその役割をやはり最も中心になって果たして努力をしている、こういうことだろうと思い、もちろん首長も考えますよ、しかしやはりその衝に当たっているのは収入役なんではないか。ですから、私はむしろ最も必要なポストではないかというふうに思うんですね。収入役が執行権力を正しく分有して、経営責任を首長や助役とともに果たすようにすることの方がむしろ必要ではないか。
 本当に実情に合った話なのかと。何か別の思いがあるのか、先ほどおっしゃったことだけがそういう目的なのか。ちょっと私はこれ、逆行しているんじゃないかなという感じがしてならないんですが、もう少し御説明があればお伺いします。

○副大臣(山口俊一君)
 もうあくまで適切な運営を確保できると判断をした場合にのみ置かなくてもいいというふうな話でありますし、今現在も実は、三百四十七の町村において実は収入役を置かずに町村長又は助役が兼務をなさっておるというふうなところがあるわけなんですが、特に会計事務の公平性で問題があるというふうには実は考えておりません。
 同時に、収入役を置かないというふうなことになりますと、これは条例を制定というふうなことになるわけでありますので、議会が条例の制定改廃を通じて、町村長の専断による、市町村長の専断による会計事務の適切な運営が損なわれることがないようにチェックをすることができる。
 ちなみに、実は近々中に私の地元のある町も収入役を置かないようにしたいと町長がおっしゃっておるんですが、議会がどうだと、今、又市先生御指摘のような議論を今懸命にやっておるところでございます。

○又市征治君
 まだまだ、先ほどから聞いてまいりましたが、納得ができかねるところ、あるいは検討課題などございます。引き続き、そういう意味では重大な、大臣が何度も繰り返しおっしゃっていますけれども、地方が主役と言うべきか、地域主権というか、そういう立場を広げていこうということでやるんだと、こうおっしゃっているわけですが、この点は更に幾つかまだまだ問題も出てきていることもありますから、そういうものも検証しながら更に引き続きこの委員会で議論をしてまいりたいと、このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。